時の旅人 (岩波少年文庫 3148)

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  • Amazon.co.jp ・本 (452ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001131482

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  • アリソン・アトリーの古典的名作。いわゆるタイムトラベルものに入るのだろうけれど、そこはイギリスのものらしく、そもそも過去を変えようとかそういう積極的な関わりではなくて、そこはかとないノスタルジーと喪失感が漂う。最後に、(生きては)もう二度と会えないと知りつつ見送るアンソニーとフランシスの騎馬の後ろ姿が何とも印象的。
    人間の一生は短く、神の思し召しのまま、死んだらそれでおしまい。それでもなお、連綿と続いていく何かがあって、それは例えば丘や川であったり、家の横に立つ樹であったり、血のつながった人々の暮らしであったりする、という辺りのゆったりとした認識が、イギリス的だなあと思う。
    話に絡んでくるのが、カトリックとプロテスタントが激しく争っていた16世紀のイギリスの情勢、実際に起こった幽閉のスコットランドのメアリー女王救出作戦(失敗)とそれに続くアンソニー・バビントンの処刑なので、日本の小学生だとちょっと読むのが大変かも。丁寧に描き込まれた生活の描写も、むしろ大人の方が楽しめるかもしれない。

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著者プロフィール

アリソン・アトリー 1884年、イギリスのダービシャー州の古い農場に生まれる。広い野原や森で小動物とともにすごした少女時代の体験をもとに、多くの物語やエッセーを書いた。日本語に翻訳された作品に『グレイ・ラビットのおはなし』『時の旅人』(以上岩波書店)、『チム・ラビットのおはなし』(童心社)、「おめでたこぶた」シリーズ、『むぎばたけ』『クリスマスのちいさなおくりもの』『ちゃいろいつつみがみのはなし』(以上福音館書店)など多数。1976年没。

「2020年 『はりねずみともぐらのふうせんりょこう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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