クマのプーさん (岩波少年文庫 8)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001140088

感想・レビュー・書評

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  • 阿川佐和子氏訳の『プーさん』との比較、そしてメイさんのレビューを拝読して読みたくなった。
    (その節は有難うございました^ ^) 石井桃子氏は日本で初めて『プーさん』を翻訳されたことで知られている。

    改めて構成を振り返ると、原作者のミルン氏がご子息のクリストファー・ロビン君のために「くまのプーさん」のお話を創作する流れになる。

    プーさん、敬語だったりして何だか紳士的!『くまのパディントン』も紳士的だけど、プーさんは間の抜けたおとぼけ紳士って感じ?マーマレードやハチミツと、甘いものには目がないところは共通しているか笑

    阿川氏版と比べて語りかけも優しい!というかテンポが良い!読んでいる最中ちょうど子供たちの歓声が外から聞こえたので、勝手に読み聞かせをしている気分になった笑

    「プー、きみ、朝起きたときにね、まず第一に、どんなこと、かんがえる?」
    「けさのごはんはなににしよ? ってことだな」[中略]
    「ぼくはね、きょうはどんなすばらしいことがあるかな、ってことだよ」
    プーはかんがえぶかげにうなずきました。
    「つまり、おんなじことだね」と、プーはいいました。

    「語り手」が優れているのは、動物たちだけでなくクリストファー君本人も話に登場、彼らと交流させているところだと思う。大好きな親の語る物語で、自分が思わぬ活躍をしていると子供なら誰だって嬉しいはず。「自分はこんなことも出来たんだ!」と自身を誇りに思うことだってできる。
    阿川氏版にも書いたけど、「人間界では非力とされる子供がプーや仲間たちの間では頼りになる存在」という設定は、クリストファー君や世界中の子供たちを大いに元気づけたに違いない。

    阿川氏がえらいゴリ押しされていた石井氏の翻訳スキルも気になっていた。
    あとがきでは翻訳秘話をもっと伺いたかったのだが、それは別途他の解説本で探索してみようかしらん。

    • メイさん
      こんばんは、ahadamsさん。
      早速、読まれたんですね。^_^

      ahadamsさんの『クリストファー君のような頼りになる存在が世界中の子...
      こんばんは、ahadamsさん。
      早速、読まれたんですね。^_^

      ahadamsさんの『クリストファー君のような頼りになる存在が世界中の子供たちを大いに元気づけたに違いない』という言葉、とても素敵です。
      私は『クマのプーさん』でクリストファーの事を知ったという感じなんですが、みんなクリストファーを大好きで頼りにしてるのが、すごく微笑ましくて好きです。

      阿川佐和子さんの翻訳版ってどんな感じなのか早く読んでみたいです。と言っても、私の場合だいぶ先になってしまうかもしれませんが。(^^;)


      2023/03/10
    • ahddamsさん
      メイさん、こんばんは。
      コメント有難うございます!
      翻訳の違いなどが気になって、他の積読本そっちのけで会いに行きました笑

      そのように言って...
      メイさん、こんばんは。
      コメント有難うございます!
      翻訳の違いなどが気になって、他の積読本そっちのけで会いに行きました笑

      そのように言ってくださりとても嬉しいです^ ^父親の読み聞かせで物語が進行するというのは意外でしたが、子供が喜ぶ工夫が施されているのに一番感動しました。クリストファー君はもはやみんなのリーダーですね♬

      私も後回しになっている本が続々で、お気持ちお察しします^^; 読まれた際はレビューを心待ちにしていますね!改めて本書をご紹介くださり有難うございました♬
      2023/03/10
  • 昨年『クマのプーさん』展に行って来ました。プーさんは昔から好きで、原画が観ることができて本当に嬉しかったです。観てて楽しくて笑顔になってしまいました。癒されました。展示会で初めて知ったことも多かったですね。"プー"というのは頭が良くないっていう意味らしいです。それを知って、え〜ってなりました。それはひどいかもと思いつつ、クマのプーさんの世界ではそんな感じだしなーとも思い、苦笑いですね。あと、イーヨが面白くて笑いのツボでした。

    展示会に行って一番ショックだったのが、私はクマのプーさんをほとんど知らないという事に気づいた事です。好きなのに知らない…。知っているのは、ハチミツ食べ過ぎて木の穴から抜けなくなった話だけ。これは好きとは言えないと後ろめたさを感じてた時、ショップでこの本を見つけました。石井桃子さんが初めてクマのプーさんを翻訳したという事で、今の私には丁度いいと思いました。

    読み始めると、登場してくる子たちがみんな可愛い、愛おしい。その言葉しか出てこない。プーとイーヨはおとぼけ、コブタ(ピグレット)は気が弱い、クリストファー・ロビンはみんなの頼りになる小さなお兄ちゃん、ウサギはイタズラ大好き、フクロは知識をひけらかす、カンガとルー親子は一番普通かな?性格はバラバラだけど、みんな仲良し。ほのぼのしてて癒されます。小学4・5年向けと書いてあったけど、大人が読んでても楽しいし、学ぶこともありました。私はやっぱりプーが一番好きですね。考えてる事、やる事がどうしてそうなるのー?とツッコミどころ満載です。でも、そこが何とも言えなく可愛い。

    挿絵がまた良いです。私には専門的な事は分からないけど、デッサン風って言っていいのかな?(挿絵を描いたアーネストさんごめんなさい。上手く表現できなくて)それが物語を引き立てていいです。カラーの絵もいいのかもしれないけど、モノクロの方が断然いいです。

    読み終えて、仲間って大切だと思いました。

    • メイさん
      こんばんは、ahddamsさん。
      コメントありがとうございます。
      この本を読んで改めてプーって本当に可愛いと思いました。

      以前、ahdda...
      こんばんは、ahddamsさん。
      コメントありがとうございます。
      この本を読んで改めてプーって本当に可愛いと思いました。

      以前、ahddamsさんが紹介された阿川佐和子さん訳の本を読んでみたくて、美術館のショップで売ってるかもと思い探しましたがなかったです。(^^;
      ahddamsさんのレビューでプーさん関連の本が色々あると知り、私も探して読んでみたいと思います。

      2023/02/09
    • ahddamsさん
      メイさん
      阿川佐和子さん訳はショップ販売されていなかったんですね汗 思い切った訳をされている印象だったので、お手に取られた際は是非そちらもお...
      メイさん
      阿川佐和子さん訳はショップ販売されていなかったんですね汗 思い切った訳をされている印象だったので、お手に取られた際は是非そちらもお楽しみください!
      プーさんについてはもっと情報量を増やしていきたいと思っているので、これからもぼちぼち文献を漁っていく予定です^ ^またメイさんやプーさん好きの皆さんと談義できるのを楽しみにしています♪
      2023/02/09
    • メイさん
      ahddamsさん

      阿川佐和子さんのはどんなのか読んでみたいです。
      読み比べるのも楽しいですよね。

      プーさんのレビュー楽しみにしてます。...
      ahddamsさん

      阿川佐和子さんのはどんなのか読んでみたいです。
      読み比べるのも楽しいですよね。

      プーさんのレビュー楽しみにしてます。^_^
      2023/02/09
  • 購入して未読のまま、長年本棚にあったうちの1冊。
    「旧い本を、ちゃんと1回読んでから断捨離しよう」計画の一環として。

    40年間くらい寝かしてあり、全体的に茶色く劣化。
    同時期に購入してあった洋書と並行して、ここ最近数ヶ月間に少しずつ読み進めて、やっと読了。

    天下の石井桃子さんにケチつけるつもりはないが、
    時刻の翻訳間違い、数字の2と3を翻訳間違い、1文を翻訳忘れ(飛ばしている)などがあった。
    (1979年 第28刷発行)

  • «小さな子どもから見える、優しくて賑やかな世界»
    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    クマのプーさんは小さい頃ディズニー版のアニメを見たことはあったのですが、原作は読んだことが無かったので気になって手に取ってみました。

    アニメ版では前置きもなく最初から「百エーカーの森」が舞台となっていた気がしますが、これがA.Aミルン氏が息子クリストファー・ロビンととそのクマの友達のために考えた想像の世界の話だよということになると、彼がいかに息子を大切に思っていたかがひしひしと伝わってきて、目頭が熱くなりました。
    現代で言うなら、子どもとニチアサの特撮やアニメを見て、一緒に戦隊ごっこやプ○キ○アごっこをしてくれるお父さんといったところでしょうか。

    第三者の目線で読んでも、クリストファー・ロビンやプーさんとその仲間たちの少しズレた行動ややり取りが微笑ましいお話なのですが、そのお父さんの目線で読むと、息子へ優しい世界を見せてあげようとする気持ちが伝わってきて温かい気持ちになれるので、一読で二度幸せなお話だと思います。

    【おまけ:書くか迷って、やはりここに残しておきたくなった話】
    お読みになった方は、最後の9話と10話以外ではプーさんがとかく頭の悪いキャラクターとして描かれる一方、クリストファー・ロビンがやたらと賢くて気も遣える子としてもてはやされる状況にモヤッとした方もいらっしゃるのではないでしょうか。

    もちろん、自分の息子が主人公のお話なので、彼が冷遇される話は決して作らないと思うのですが、もうひとつ。

    読んでいる途中で英文学を研究されているある方のお話を思い出したのですが、どうやらこの時代、欧州の人々の間には白人優生思想や人間中心主義といった
    「人間(特に白人)が一番優れているんだから、他の人種や他の動植物は自分達に管理されるのが良いことで、幸せなことだよね」という考えが根付いていたらしいのです。現代でも少し似たような考え方はあるので※1 ミルン氏やロビン君は温かく真っ直ぐな人だったんじゃないかなと思いますが、
    そういった考え方が透けて見えてしまった点では、アニメ版の方が純粋に見られて良かったかなと思います。

    ※1 Wikipediaや他SNSで何人かの方が指摘されているように(下記参照)、ライトノベルでは異世界転移・転生するとだいたい現代思想と現代文明最高ってなるよね、というのと同じだと思います。

    疑問例は以下参照

    https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12239604532?__ysp=55Ww5LiW55WM6Lui55SfIOePvuS7o%2BaWh%2BaYjg%3D%3D

  • ゾゾを捕まえる話など、コブタのセリフで腹を抱えて笑いました。絶妙な翻訳だと思います。かなり昔の訳のため、ところどころ古めかしい言葉遣いはありますが、それはそれで味わい深く楽しめました。そもそも、原作が100年近く前の本なので、無理に現代風にすることもないと思います。

    全体を通してほのぼのとしたユーモアに富み、登場人物も生き生きして魅力があります。何より、息子クリストファー・ロビンくんへの愛がすみずみまで満ちているので、まるで、ブランケットに包まれているような心地で、安心して、空想の世界にひたれます。それも、いまだに世界中で愛されている理由のひとつでしょう。

    ぜんぶそれぞれ面白いと思いますが、とりわけイーヨーの誕生日は傑作ですね。友達のために心を尽くしたのに思うようには行かず、それでも視点を変えるとまったく上手くいってしまうんですからなんとも素晴らしい。そして深い。贈り物って、物って何なんだろうと改めて思いました。ツボから風船を出したり入れたりするイーヨーの姿はユーモラスであると同時に感動的でもあります。

    プーさんの「いやんなっちゃう!」も癖になります。けつまずいた時とか、トゲが刺さった時など、自分でもちょっとマヌケで凹みそうな際にコレをいうと、一瞬でプーさんみたいに鷹揚になれます。

    実は『タオのプーさん』を読むために本書を買いました。ディズニー・プーさんのイメージしかなかったので、ここでちゃんと原作を読もう!と決心した自分を褒めたいです。児童書ですが、大人が読んでも充分すばらしい内容でした。

  • 欠陥のある者しかいない世界。
    世界のみんながこれくらいおバカで、お互いのおバカを当たり前のものとして、今日はどんないい日になるかなあってだけ考えて過ごせたらどんなに幸せな世の中なんだろうと思うけど、
    そうしたら自然の脅威に今以上に晒されているんだろうな、現実は厳しい。

    おバカの世界と並行して、蜂蜜のツボを焼ける人や丈夫な蝙蝠傘を作れる人がいる世界が存在しないと成り立たない。
    だからプーさんの世界は夢物語で、憧れてしまうんだなあ。

    ただおバカでいられる子供の特権が拡張現実したらプーさんの世界なのかもしれないとかなんとか、取り留めのないことを考えたりします。

  • アリスやプーさんの原作を読むと、ディズニーの功罪について考えてしまいます・・・。アリスはテニエル、プーさんはやはりシェパードの挿絵のイメージが強いというのもあるけれど、童話が本来持つ毒を全部抜いて砂糖漬けにしてしまうのがディズニー作品ですよね。それが全面的に悪いとは言わないけれど。

    シェパードの絵は、とにかくクリストファーロビンの後頭部の可愛らしさにつきます。キャラクターたちは、大人になって読むと、ネガティブなイーヨーのキャラが物悲しい。

  •  世界一有名なクマの物語は、原作もとてもユーモラス。思わず笑ってしまうほど、可愛らしく面白かった。ふんだんな挿絵もたまらなく可愛い。
     ちょっと頭の弱いプーと、そんなプーが大好きなクリストファー・ロビンの「おバカさんだなぁ」と愛情たっぷりに言うところが愛らしい。プーのセリフはあの声で脳内再生されるが、声と喋り方がピッタリはまっている。今作にはティガーは登場しないが、やはりウサギ穴にお尻がはまる事件と、ルー坊とコブタ入れ替わり作戦が特に好き。児童文学によく織り込まれる教訓なしの、純粋に楽しめる作品。

  • 目次
    ・わたしたちが、クマのプーやミツバチとお友だちになり、さて、お話ははじまります
    ・プーがお客にいって、動きのとれなくなるお話
    ・プーとコブタが、狩りに出て、もうすこしでモモンガ―をつかまえるお話
    ・イーヨーが、しっぽをなくし、プーが、しっぽを見つけるお話
    ・コブタが、ゾゾに会うお話
    ・イーヨーがお誕生日に、お祝いをふたつもらうお話
    ・カンガとルー坊が森にやってきて、コブタがおふろにはいるお話
    ・クリストファー・ロビンが、てんけん隊をひきいて、北極(ノース・ポール)へいくお話
    ・コブタが、ぜんぜん、水にかこまれるお話
    ・クリストファー・ロビンが、プーの慰労会をひらきます そして、わたしたちは、さよならをいたします

    『クマのプーさん展』の前に読みたかったのですが、展覧会を思い出しながら読むのもまた乙なもの。(ちょっと負け惜しみ)

    人間の子どもはクリストファー・ロビンだけですが、プーもコブタもフクロも子どもそのも。
    イーヨーはおじさんっぽい語り口ですが、中身はいわゆる「かまってちゃん」

    「クマのプーさん」なんてタイトルなものだから、しっかり者の頼れるアニキみたいに感じていましたが、クリストファー・ロビンは「ばっかなクマのやつ!」って言うんです。
    ハチミツを見ると食べたくなっちゃう。
    食べたらそのこと忘れちゃう。
    心のままに行動するプーは、たしかに「ばっかな」、でも愛すべきクマ。

    有名な、プーがウサギの家で食べすぎて、お腹がつかえて家から出られなくなったお話。
    一週間絶食してお腹が引っ込むのを待っているプーに、クリストファー・ロビンが本を読んであげるシーンの挿絵を見ると、どうもジャムについて書いてある本らしい。
    なかなか辛辣な少年です。

    大雨で孤立してしまったコブタを助けに行く話が好きです。
    これはプーが結構頭と体を使って頑張る話。
    友だちのためなら、頑張れる。

  • 映画「プーと大人になった僕」を見て久々に
    自分で購入して読みました。
    プーさん好きなので、ロビンとのこれまでの話も
    知りたくて。
    心温まるお話でした。
    ずいぶん昔の本なので、言い回しが古いとの評判で
    確かにそんな感じも受けましたが
    プーさんのほのぼのとした雰囲気が伝わってきて
    楽しく読みました。
    続きの「プー横丁・・」も読もうと思います。

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