ドリトル先生と秘密の湖 下 (岩波少年文庫 031)

  • 岩波書店 (2000年11月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (290ページ) / ISBN・EAN: 9784001140316

みんなの感想まとめ

物語は、冒険を通じて深い反戦思想と社会問題を問いかけます。ドリトル先生と彼の仲間たちが、冷酷な王政や奴隷制度の中で人間と動物の関係を描き出し、平和を願う生き物たちの姿が印象的です。特に、動物たちが人間...

感想・レビュー・書評

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  • ドロンコが話してくれる大昔のこと。その頃から生きものはみんなきっと平和を願って求めていたのね…今もそうだけど、ドロンコが大事に思ってくれた地球や人間のありようとかけ離れていくようで哀しい。最後の、新井満さんによる文章もよかった。ロフティングがどういう状況で、どういう世界情勢の中これを書いたのか。本文でもだけど、読んで涙が出ました。ドリトル先生が今の地球の、この世界の現状を見たら何て言うだろう。まだ希望はあると言ってくれるだろうか。

  • コメントは上巻の方に。

  • 大ガメのドロンコのリューマチの治療を終え、ようやくドリトル先生は、大洪水が起こった前後の世界の話を聞くことができるようになりました。

    世界のほとんどを支配していたのは、冷酷無比なマシュツ王。
    彼は次々に近隣諸国を攻め立て、領土を拡大し、すべてを奪い、支配する。

    彼が独裁政権を維持できたのは、優れた教育システムのおかげ。
    言われたことに疑問を持たない、余計なことを考えない人間の創出。
    国は国民である一部の人と、大勢の奴隷からなっている。
    幸せなのは、もちろん国民のみ。

    ノアの家族は渡された設計図通りに箱舟をつくり、渡されたリストの動物を箱舟に乗せる。
    考えることはしない。
    どうして彼らが神に選ばれたのか、この話の中では明かされない。
    愚かな老人ノアとして描かれている。

    ドロンコは彼らのほかに漂流している人間を見つけるのだが、リストに載っていない彼ら人間を助けるわけにいかないというノア。
    ドロンコと彼の妻べリンダは、ここでノアと別れて人間エバーとガザを助ける。

    洪水の後、なすすべを持たないノアたちに見切りをつけた動物たちは、自分たちの国をつくる。
    そして生き残ったエバーとガザを捉えて、奴隷として使う。
    ドロンコとべリンダは、エバーとガザを逃がし、人間が安心して暮らせる土地を探して旅に出る。

    基本は冒険話です。
    しかし物語の底層を貫くのは強い反戦の思想。

    前作から18年もの歳月を開けて書かれた本書は、ちょうど第二次世界大戦が勃発してから終わるまでの時期と重なる時期に執筆されている。
    重い病に侵された中、死ぬまでに書き終えたいという一心で書き上げた。

    一度は水の下に沈んだマシュツ王の宮殿が姿を現わし、そこに大量の財宝が手つかずで見つかった時、いつも貧乏なドリトル先生のために持って帰ろうという動物たち。
    それに対しドリトル先生はきっぱりと言う。

    “この宝物は、盗まれたものだ。征服された王や、殺された王子から、取りあげられたものだ。この金貨は、―戦いで殺された、罪もない男や女や、子どもたちの、苦しみの声をあげておるのだよ。金(かね)―ああ、それが世界の悪の源だ。”

  • 「さようなら、海の鳥さん、さようなら! あなたたちの巣ごもりする島が、いつまでも、あなたたちのものでありますように。――あなたたちだけの――平和の島でありますように。」この台詞でじわりと涙が出た。ドロンコ翁、あなたたちがあれほど慈しんだ人間の所為で、地球がまた、壊れかかっています。(2009-06-28L)

  • 救出されたカメは、大昔の地球の雄大な物語を語りはじめる。

  • ドリトル先生に救出された大ガメのドロンコが明かす、大昔の地球の雄大な物語。大洪水がおきたときのノアの箱舟のようすや、動物が主人になったゾウ王国でのできごとなどが語られます

  • 亀の想い出話はすごく鮮明で、でももうこの地上のどこにもない風景や国や人の話なのだと思うと、鼻の奥がつんとする。

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著者プロフィール

井伏 鱒二(いぶせ・ますじ):1898-1993年。広島県福山市生まれ。本名満寿二。はじめは画家をも志すも、やがて文学に専心し、『鯉』『山椒魚』で文壇に登場。独自のユーモアと哀感ただよう多くの作品を書いた。主な作品に『へんろう宿』『漂民宇三郎』『珍品堂主人』『黒い雨』など。『井伏鱒二全集』全28巻別巻2がある。


「2025年 『井伏鱒二ベスト・エッセイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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