銀のいす―ナルニア国ものがたり〈4〉 (岩波少年文庫)

  • 岩波書店
3.64
  • (83)
  • (72)
  • (197)
  • (8)
  • (0)
本棚登録 : 983
感想 : 77
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001140378

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 今回はユースチスとジルが主人公。
    読み終わってみると子供たちの成長に驚かされる。

    ユースチスなんて意地悪で臆病な男の子だったのに。こんなに成長しちゃってまぁすごい。
    朝びらき丸に乗せられて若きカスピアン王との旅し大きく成長したユースチス。今度はジルという少女と共にナルニアに呼ばれ、リリアン王子を探す旅に出発する。それはアスランから託された偉大なお使いだった。
    沼人の泥足にがえもんという勇気ある素晴らしい人物にも出会えて満足。
    本作のユースチスの勇気の向こうには、リーピチープというネズミの存在が垣間見える。読者としては前作の朝びらき丸からの展開に、作者の粋を感じずにはいられなかった。

    ナルニアやアスランの存在が、決して言葉では言い表せない凄みというか何というか。ただただ納得しちゃう感は他にない魅力であることは確か。

    全編通して、その時代のイギリスの影響かもしれないが、階級社会の残酷さがそこらに含まれているように感じる。にしてもアスランに抱き着きたい。

    読む順番については、とあるサイトの記事で、作者自身が発売順ではなく物語内の時系列順で読むことを薦めていることを紹介されていた。
    というわけで、発売準ではなく、この順番で読もうと思う。
    ①魔術師のおい
    ②ライオンと魔女③馬と少年
    ④カスピアン王子のつのぶえ
    ⑤朝びらき丸 東の海へ
    ⑥銀のいす(今ここ)
    ⑦さいごの戦い

    読了。さいごの戦いへ進む。

  • 再読。

    『ナルニア国物語』第4巻。第3巻から70年後のナルニアを舞台に、ユースチス、ジル、泥足にがえもんたちによる、カスピアン王の息子・リリアン王子の救出劇を描く。

    アスランからの指令を尽く間違えながらも、悪戦苦闘して先へ進む3人の道行きが面白い。
    巻を増すごとに物語の完成度も上がっているように感じる。

    ‘地上世界は存在せず、ただの夢であり、この世には自分が統べる地下世界しかない’と催眠をかける夜見の国の女王との舌戦が印象的。
    泥足にがえもんの切る啖呵、
    「よろしいか、あたしらがみな夢を見ているだけで、ああいうものがみな(中略)頭のなかにつくりだされたものにすぎないと、いたしましょう。だとしても、その場合ただあたしにいえることは、心につくりだしたものこそ、じっさいにあるものよりも、はるかに大切なものに思えるということでさ」という台詞は格好良い。またそれは字義通りの意味に留まらず宗教(キリスト教)的な告白にも聞こえる。
    同じ長台詞の中の「あたしは、アスランの味方でさ。たとえいまみちびいてくれるアスランという方が存在しなくても、それでもあたしは、アスランを信じますとも。あたしは、ナルニアがどこにもないということになっても、やっぱりナルニア人として生きていくつもりでさ」という言葉もまた同様に、信仰への確信が重ねられているようで興味深い。

  • 『銀のいす』タイトルが意味深
    物語で出てきたとき、少々悲しいやりきれない暗い気持ちを抱いた。リリアン王子を思う気持ちで。

    すっかりシリーズ名物になりつつある、ちょっぴり風変わりな仲間、泥足にがえもん。出会いから最後まで可笑しい素敵な仲間だった。それだけでなく、ぬまびとのキーマンぶりに読み終えるといつのまにか大ファンです。

    ユースチスとカスピアンの絆は胸熱です


    この魔女は雪の女王と同一人物だったのか…と驚いた

  • 主人公が大人になっていくと、違う子供に主人公交代するというシステムが面白い。

  • ブログをこちらに書きましたので、宜しければお読みください。

    http://sommelierofbooks.com/fiction_nonfiction/silverchairofnarnia/

    世界三大ファンタジーの1つ『ナルニア国ものがたり』。

    第1弾の『ライオンと魔女』は壮大で
    『世界三大ファンタジー』の呼び名に
    ふさわしい作品でした。

    しかし第2弾、第3弾は『駄作』と言っても
    過言ではない残念な出来でした。

    しかし第4弾は輝きを見事に取り戻しました。

    今から60年以上前に書かれた、
    まさにファンタジーの原点である

    『ナルニア国ものがたり』

    の中でも、特にお子さんに読んでほしい
    『勇気の旅のものがたり』です。

  • 何でか前半、物語に入り込めず。ジルのキャラクターに馴染むのに時間がかかったのだろうか、ペベンシーきょうだいの頃の感覚が抜けきれなかったのかも知れない。だとしたら大人の悪い癖。後半は例の如く、先が気になって一気に読み進めた。ラストはどうなんだろう?大団円という意味では小気味良い。というより、アスランは別世界の存在のようで、何処にでも在る存在だということの証なのだろう。今回はあとがきが圧巻(ただし若干のネタバレあり)。

  • ナルニアのシリーズはどんどん面白くなってきた。今回も、空を飛んだり、巨人の国、地下の国と旅をする。地下の国って閉塞感がすごくて読んでいてきついはずなのになんだかとても心惹かれてしまう、、
    泥足にがえもんが今回はいい味出してる。
    長く辛い道程の先に暖かいベッドがあると思うと誘惑には勝てないよね。祭りのごちそうが人間っていうのはなんとなくわかるし、途中で出会った美しい女の人が魔女というのも分かりやすいかな。そこは児童文学らしい。

    基本的にいい子と悪い子が出てきて、そこに諭す保護者的役割がいて、最後はアスランの言葉や行動で救われるっていうのはここまでずっと同じなんだよね。

    聖書の教えを子供に伝えるために書かれたということだから、聖書を知っていればもっと深く読み解けるのかな、、

  • 表題の「銀のいす」ってそういう意味か。ナルニアを救うためにアスランが人間界からやってきたユースチスとジル、沼人へヒントを授け、行方不明となったカスピアン王子の息子を探しに行くというストーリー。これまで読んだナルニア国シリーズの中で長い旅の辛さが特に強調されているようだった。巨人達とのやりとりが面白く巨人の料理辞典?の「ニンゲン」「ヌマビト」の記述は思わずクスッとしてしまった。そしてカスピアン王子の死。ユースチスが年老いたカスピアン王子に対して感じた哀しさが胸に迫った。シリーズの主要人物も亡くなったことで児童向け小説とはいえこのシリーズも綺麗な終わり方ばかりではないのだと何だかハッとした。

  • 相変わらず時代感がナイスで、こういう表現を使った本が今後生まれることはないだろうから、貴重なんじゃないか。
    今回のポイントは巨人かね。ただ石を投げるだけの愚かな巨人、という方はまだしも、賢い巨人の方は恐ろしいというか、まぁある意味ペットから見た人間てなもんで、エサをやって気が向いたら食うわけで。これを読んで子どもたちもベジタリアンに転向すること間違いなしである。
    更には言葉を理解しない獣は食って良いけど、理解する獣は食っちゃだめ、という、知的なら殺すな西洋主義が理解できるのではないか。イルカはダメでブタはOKなわけですよ。
    てかブタは蔑視表現として連発されているので、ブタも可哀想に。まぁ美味いから食うけどね。

  • ナルニアも、ついに4巻。
    前の巻が海なら今回は地下の冒険。
    王子を探して冒険する話だが、みそは「目的の忘却」にある。登場人物が皆自分が何者であるか、忘れてしまう。何が正しいのか分からなくなるというのが今回のテーマ。
    それ故、これまでと比べてグダグダで新キャラの泥足にがえもんの性格も相まってじめじめした雰囲気がある。
    ただ、最後にそれらを吹き飛ばすカタストロフがやってきて大団円になるのでとても読み心地が良い。

  • 第一巻のレビューを参照してください。

  • ナルニア国物語シリーズ第4巻。第一作の主人公のぺペンシーきょうだいは誰も出てこないので少し淋しい。今回はユースチスとジルが行方不明の王子を探しに行く冒険。ナル二アという国は広大で奥が深い。2012/644

  • このシリーズで今のところ一番好き。
    ジルが好き。

  • 2014年10月に実施した学生選書企画で学生の皆さんによって選ばれ購入した本です。
    通常の配架場所: 開架図書(2階)
    請求記号: 933.7//L59

  • ちょいとひっかかるところもあるけど、ここまでの4冊の中では1番好きかも。特に出だしが。

  • 4巻目。ユースチスとジル、ナルニアへ。

  • 映画で観ていない部分へ突入
    まったく前知識なく読みましたが、
    面白かった!!
    朝びらき丸より面白かった気がします

    ユースチスが、すっかり頼れる子になってて感激。
    最後、カスピアンがユースチスと会わずに死んでしまうのは寂しいなあと思っていたから
    ナルニアではない場所だけどふたりが再会して嬉しかった

    現実の世界に戻って、いじめっこたちをおどかすっていうのは
    ちょっと違うような気がしましたが、
    それがきっかけで学校も正されるっていう展開は、
    卒論で調べたルイスの、学校嫌いなところがそうさせているのかなと思いました。

    ナルニアを読んでいると本当に、
    セントールやフォーンや小人やドリアードたちが身近に思えてくる。
    もっともっと彼らのことを知りたいとさえ思う。

    にがえもんさんが魔女に対して言った言葉が
    いちばんのメインだったんでしょうね。
    今ここにある世界よりも、頭で想像した世界のほうがよっぽど確かだという主張は
    現実世界じゃ通用するもんじゃないと思うけれど
    これもルイスの心に確たるものとしてあった考えなのでしょう。

  • 前作ですっかり成長したユースチスが活躍します。いじわる癖は抜けきっていませんが、空想や冒険に浸りがちな他のキャラクターと違って「現実主義」的な部分が全体的な良いアクセントになっています。
    沼地を越え、荒れ地を越え、巨人のくにをくぐりぬけ、地底の国にいたる、他の巻にはない長い冒険が繰り広げられます。手に汗握る展開が多く、全7巻のうち、冒険物語としては一番完成度の高い巻だと思っています。

  • とにかく、泥足にがえもんがよかった!
    ネガティブで心配事ばかりしていると思えば、ここぞというときには誰よりも勇敢で頼りになって、とってもかっこよかったです。
    かっこよくないのに、というギャップがいいです。
    最後の「いくらあたしがきりょうよしだからってね。」のところが本当にかわいくて笑ってしまった。

    物語はと言えば、面白かったんだけど、ちょっと失速したような気もしないでもないような。
    ジルが微妙だったかな…ユースチスが成長してたのは嬉しかった!
    もう少し見せ場があってもよかったのに!

    14章の「この世の奥底」の、穴からいろんなひとたちに引き上げてもらうシーンがとても好きで何回も読みました。
    挿絵もかわいい。お茶持ってくるフォーンや、あんまり役に立ってなさそうなリスたちや、みんなにこにこして働いてる姿がいい。
    そのあとの美味しそうなごちそうも良かった!
    ごはんをいただく、という喜びって人間の根本的なものなんだなぁと思いました。

    あと、いくつか疑問点も。
    ・ものいうけものは食べたらだめで、ものいわないけものはいいの?(よく考えたら確かに前からハムとか食べてたけど)
    ・ジルとユースチスは洋服をどうしてそのまま持って帰れたのか
    ・帰るタイミングを選べたのは初めて?

    これから明かされていくのかな〜。

  • ナルニア国物語の4つ目の話。一日30~40ページずつ、ゆっくりと読みました。心理描写に重きを置き、主人公である子供たちの成長をじっくりと描く、ルイスの技法を味わっていきました。
     今回の話は、前回初めて登場したユースチスとその友人の女の子ジルが主人公。なんだかよろしくない新教育が学校に取り入れられる中、これまたよろしくない級友たちからいじめられるジルとそれを庇い逃げるユースチスが、扉をくぐり逃げてきたところがナルニアだった。前回の冒険から数十年がたった、カスピアン10世の末期の頃。魔女が現れ王子リリアンをかどわかし、連れ去り数年がたった時であった。その王子を探しに、ユースチスとジル、そして沼人の泥足にがえもんが冒険をする。前回ヘタレだったユースチスが主人公ということもあり、今まで以上に危なっかしい道中。泥足にがえもんも決して頼りになるパートナーではないので、ハラハラもひときわである。しかしそんな彼らも、なんとかアスランの導きを頼りにリリアンのもとにたどりつく。
     見どころは魔女との闘いで、泥足にがえもんが魔女に怒鳴りつけ、まくしたてるところ。用心深いばっかりの気弱が、勇気を抱く瞬間である。相変わらず戦闘描写はあっさりだが、それよりも世界の描き方、登場人物の表情の豊かさがナルニアらしい。それまで魔女に使われていた地霊たちが解放され飛び回り跳ねまわる姿は、私の頭の中でもかわいく転げまわる。ルイスらしい愛情あふれた言葉たちがここにも詰まっている。

     アスランの登場がいよいよ象徴的になってきている。イエス=アスランは子供たちを導く。現代と、ナルニアに起こる終末に向かって。

    13/9/25

  • ナルニア国ものがたり第4巻。ナルニアに呼ばれたジルとユースチフは沼人の泥足にがえもんと共に行方知れずの王子を捜しにいくのだった。
    一本調子にも思えるが起伏に富んだ物語です。アスランからの忠告をことごとく守れなかったり、ジルとユースチフのコンビがちくはぐしていたり。それでもトントンとお話は進んでいきます。だから二人が真に心通じ合った場面が胸に沁み入ります。
    特筆すべきはにがえもんさんのキャラクタでしょう。愛すべき悲観主義者。子どもたちの気持ちを萎えさせることもしばしばなのですが、そんな彼だからこそ最後まで希望を失わなかったのは、お話のもって行き方として素敵ですね。

  • 読んでいる最中から「いや絶対あの女敵じゃん!横にいる黙った騎士は王子じゃん!」と突っ込みまくりました。
    これが子供の純粋さか…
    巨人族が恐かったです。ニンゲンは珍味だそうで…今まで王子を探す旅に出た戦士は、巨人に食べられてしまっていたのだなと思い、胸が痛くなりました。
    「北」というのは白い魔女も、今回出てきた緑の魔女にも当てはまり、日本でも北枕とかいうものですから、黄泉とつながっている感じなのでしょうか。神話としても、大地から生まれるものは異形の者だったりしますから、今回の緑の魔女=大蛇はギリシア神話からなのかな、と思いました。
    でもファンタジーは最後はスッキリいくから好きです。今回もポンポン解決しました(笑)

  • ナルニアの北の巨人の国へ、行方不明の王子を探しに行く物語。
    凍える寒さと雪、謎の巨大な建造物と巨人達の王宮、
    地下の世界と黄泉の国。
    魔法にかけられたリリアン王子の脳天気ぶりが泣かせます(笑)

  • 泥足にがえもんがよかった。

  • ファンタジーはやっぱりいいと思わせてくれる。

  •   ナルニアの7巻のうち、この巻が大好きなのは、なんといっても、沼人の泥足にがえもんさんが登場するから。

  • 第4巻。ユースチスとジルのお話。りりしかったカスピアン王子がなんと!?子供向けの本ではあるけど、文体が少し昔風なので想像力をフルに働かせて読まないといけない。

  • 図書館で借りました

     ファンタジー。 続編。ナルニア国ものがたり。

     カスピアン王の息子が行方しれずに。
     ユースチフとジルは王子を探しに北の地へ、沼人の泥足にがえもん(うっとうしいほど悲観者だが、リアリストで常識人でもある大人)とともに、向かう。
     

     ああ、こいつ怪しいとおもったら案の定。
     お約束の展開が続く。
     だまされたり、巨人に食われかけたり、地下人に掴まったり。
     

     カスピアンは老人に。
     なんだかそれが悲しい。
     愛妻も殺されて、息子を失った彼のことを思うと、辛いよなー。

  •  ルーシーにかわって登場する女の子は、いじめられっ子で少し意地っ張りなジル。この子がまたかわいいんだなあ・・・・

     ユースチスとジルはいじめっ子に追われているうちにナルニアへと導かれていきます。
    そして、アスランの命により、2人は行方不明になったカスピアンの息子、リリアン王子を探しに行く旅にでかけます。旅の道連れは少し悲観主義な沼人、泥足にがえもん(このキャラクターがまた秀逸)です。

     巨人たちの国を超えて、3人が行き着いたのは、狡猾な魔女が支配する地下の国。そこにいたのは銀のいすに腰掛け、呪いをかけられたリリアン王子の姿でした。そして彼らもまた魔女の誘惑に心を奪われてしまいますが、それを救ったのは・・・・?

     登場する子供たちは旅の途中で様々な困難と誘惑に襲われます。ちょうど現実世界と同じように・・・うまくいかないことだらけ。だけど、そんな彼らをいつも見守っているのが偉大なるライオン、アスランです。

     物語の最後に、人間としての一生を終えたカスピアンがあることを願います。それはとても素敵な決断です。

  • こんどは時系列の6番目。

    今回の新キャラはいじめられっ子の少女ジル・ポール。
    ユースチス(今回はスクラブと書かれることが多い)とともにナルニアに飛ばされてしまう。
    そこでのクエストはすでに年老いちゃったカスピアンの息子で、もう10年来行方不明となっているリリアン王子の探索。
    悲観的な沼人の泥足にがえもん(なんつう名前や)とともにあまりいさましくない一行の出発だ!!

    ≪そのしるべを心で知って、見せかけにはだまされないことが、とても大切なのだよ≫(byアスラン p.48)

    (2006年02月26日読了)

全77件中 1 - 30件を表示

C.S.ルイスの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×