銀のいす―ナルニア国ものがたり〈4〉 (岩波少年文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001140378

感想・レビュー・書評

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  • 今回はユースチスとジルが主人公。
    読み終わってみると子供たちの成長に驚かされる。

    ユースチスなんて意地悪で臆病な男の子だったのに。こんなに成長しちゃってまぁすごい。
    朝びらき丸に乗せられて若きカスピアン王との旅し大きく成長したユースチス。今度はジルという少女と共にナルニアに呼ばれ、リリアン王子を探す旅に出発する。それはアスランから託された偉大なお使いだった。
    沼人の泥足にがえもんという勇気ある素晴らしい人物にも出会えて満足。
    本作のユースチスの勇気の向こうには、リーピチープというネズミの存在が垣間見える。読者としては前作の朝びらき丸からの展開に、作者の粋を感じずにはいられなかった。

    ナルニアやアスランの存在が、決して言葉では言い表せない凄みというか何というか。ただただ納得しちゃう感は他にない魅力であることは確か。

    全編通して、その時代のイギリスの影響かもしれないが、階級社会の残酷さがそこらに含まれているように感じる。にしてもアスランに抱き着きたい。

    読む順番については、とあるサイトの記事で、作者自身が発売順ではなく物語内の時系列順で読むことを薦めていることを紹介されていた。
    というわけで、発売準ではなく、この順番で読もうと思う。
    ①魔術師のおい
    ②ライオンと魔女③馬と少年
    ④カスピアン王子のつのぶえ
    ⑤朝びらき丸 東の海へ
    ⑥銀のいす(今ここ)
    ⑦さいごの戦い

    読了。さいごの戦いへ進む。

  • 再読。

    『ナルニア国物語』第4巻。第3巻から70年後のナルニアを舞台に、ユースチス、ジル、泥足にがえもんたちによる、カスピアン王の息子・リリアン王子の救出劇を描く。

    アスランからの指令を尽く間違えながらも、悪戦苦闘して先へ進む3人の道行きが面白い。
    巻を増すごとに物語の完成度も上がっているように感じる。

    ‘地上世界は存在せず、ただの夢であり、この世には自分が統べる地下世界しかない’と催眠をかける夜見の国の女王との舌戦が印象的。
    泥足にがえもんの切る啖呵、
    「よろしいか、あたしらがみな夢を見ているだけで、ああいうものがみな(中略)頭のなかにつくりだされたものにすぎないと、いたしましょう。だとしても、その場合ただあたしにいえることは、心につくりだしたものこそ、じっさいにあるものよりも、はるかに大切なものに思えるということでさ」という台詞は格好良い。またそれは字義通りの意味に留まらず宗教(キリスト教)的な告白にも聞こえる。
    同じ長台詞の中の「あたしは、アスランの味方でさ。たとえいまみちびいてくれるアスランという方が存在しなくても、それでもあたしは、アスランを信じますとも。あたしは、ナルニアがどこにもないということになっても、やっぱりナルニア人として生きていくつもりでさ」という言葉もまた同様に、信仰への確信が重ねられているようで興味深い。

  • 『銀のいす』タイトルが意味深
    物語で出てきたとき、少々悲しいやりきれない暗い気持ちを抱いた。リリアン王子を思う気持ちで。

    すっかりシリーズ名物になりつつある、ちょっぴり風変わりな仲間、泥足にがえもん。出会いから最後まで可笑しい素敵な仲間だった。それだけでなく、ぬまびとのキーマンぶりに読み終えるといつのまにか大ファンです。

    ユースチスとカスピアンの絆は胸熱です


    この魔女は雪の女王と同一人物だったのか…と驚いた

  • 主人公が大人になっていくと、違う子供に主人公交代するというシステムが面白い。

  • ブログをこちらに書きましたので、宜しければお読みください。

    http://sommelierofbooks.com/fiction_nonfiction/silverchairofnarnia/

    世界三大ファンタジーの1つ『ナルニア国ものがたり』。

    第1弾の『ライオンと魔女』は壮大で
    『世界三大ファンタジー』の呼び名に
    ふさわしい作品でした。

    しかし第2弾、第3弾は『駄作』と言っても
    過言ではない残念な出来でした。

    しかし第4弾は輝きを見事に取り戻しました。

    今から60年以上前に書かれた、
    まさにファンタジーの原点である

    『ナルニア国ものがたり』

    の中でも、特にお子さんに読んでほしい
    『勇気の旅のものがたり』です。

  • 何でか前半、物語に入り込めず。ジルのキャラクターに馴染むのに時間がかかったのだろうか、ペベンシーきょうだいの頃の感覚が抜けきれなかったのかも知れない。だとしたら大人の悪い癖。後半は例の如く、先が気になって一気に読み進めた。ラストはどうなんだろう?大団円という意味では小気味良い。というより、アスランは別世界の存在のようで、何処にでも在る存在だということの証なのだろう。今回はあとがきが圧巻(ただし若干のネタバレあり)。

  • ナルニアのシリーズはどんどん面白くなってきた。今回も、空を飛んだり、巨人の国、地下の国と旅をする。地下の国って閉塞感がすごくて読んでいてきついはずなのになんだかとても心惹かれてしまう、、
    泥足にがえもんが今回はいい味出してる。
    長く辛い道程の先に暖かいベッドがあると思うと誘惑には勝てないよね。祭りのごちそうが人間っていうのはなんとなくわかるし、途中で出会った美しい女の人が魔女というのも分かりやすいかな。そこは児童文学らしい。

    基本的にいい子と悪い子が出てきて、そこに諭す保護者的役割がいて、最後はアスランの言葉や行動で救われるっていうのはここまでずっと同じなんだよね。

    聖書の教えを子供に伝えるために書かれたということだから、聖書を知っていればもっと深く読み解けるのかな、、

  • 表題の「銀のいす」ってそういう意味か。ナルニアを救うためにアスランが人間界からやってきたユースチスとジル、沼人へヒントを授け、行方不明となったカスピアン王子の息子を探しに行くというストーリー。これまで読んだナルニア国シリーズの中で長い旅の辛さが特に強調されているようだった。巨人達とのやりとりが面白く巨人の料理辞典?の「ニンゲン」「ヌマビト」の記述は思わずクスッとしてしまった。そしてカスピアン王子の死。ユースチスが年老いたカスピアン王子に対して感じた哀しさが胸に迫った。シリーズの主要人物も亡くなったことで児童向け小説とはいえこのシリーズも綺麗な終わり方ばかりではないのだと何だかハッとした。

  • 相変わらず時代感がナイスで、こういう表現を使った本が今後生まれることはないだろうから、貴重なんじゃないか。
    今回のポイントは巨人かね。ただ石を投げるだけの愚かな巨人、という方はまだしも、賢い巨人の方は恐ろしいというか、まぁある意味ペットから見た人間てなもんで、エサをやって気が向いたら食うわけで。これを読んで子どもたちもベジタリアンに転向すること間違いなしである。
    更には言葉を理解しない獣は食って良いけど、理解する獣は食っちゃだめ、という、知的なら殺すな西洋主義が理解できるのではないか。イルカはダメでブタはOKなわけですよ。
    てかブタは蔑視表現として連発されているので、ブタも可哀想に。まぁ美味いから食うけどね。

  • ナルニアも、ついに4巻。
    前の巻が海なら今回は地下の冒険。
    王子を探して冒険する話だが、みそは「目的の忘却」にある。登場人物が皆自分が何者であるか、忘れてしまう。何が正しいのか分からなくなるというのが今回のテーマ。
    それ故、これまでと比べてグダグダで新キャラの泥足にがえもんの性格も相まってじめじめした雰囲気がある。
    ただ、最後にそれらを吹き飛ばすカタストロフがやってきて大団円になるのでとても読み心地が良い。

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