冒険者たち ガンバと15ひきの仲間 (岩波少年文庫044)

著者 :
制作 : 薮内 正幸 
  • 岩波書店
4.13
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本棚登録 : 655
レビュー : 117
  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001140446

感想・レビュー・書評

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  • ★★★

    町ネズミのガンバは、友達のマンプクに誘われ港で行われるネズミのパーティにー行く。
    船乗りネズミ、港ネズミたちとの盛り上がったパーティーの終わりの頃、瀕死のネズミ、忠太が助けを求めに来る。
    忠太は夢見が島のネズミ。数年前まで平和だった島にイタチたちが住みつき、仲間のネズミたちは次々狩られ、残ったネズミたちは隠れ暮らしを余儀なくされているという。
    忠太が口にしたイタチのリーダーの名前を聞いたネズミたちは色めきたつ。

     「白イタチのノロイ」

    それはふだんは個別に暮らすイタチをまとめる統率力と、魔術のような技と話術で小動物たちをを骨抜きにして次々に狩っては食い殺す恐ろしい相手だった。
    ノロイとは闘いたくないとその場を去るネズミたち。
    だがガンバは忠太と共に船に乗る。
    そして数匹のネズミたちも密航していた。
    こうしてリーダーに選ばれたガンバは15匹の仲間たち、マンプク、ヨイショ、ガクシャ、イカサマ、シジン、イダテン、アナホリ、カリック、バス、テノール、ジャンプ、バレット、ボーボ、オイボレ、そして忠太と共に島へ向かう。
    それはノロイと闘うというよりも、島ネズミたちと運命を共にするための旅だった。

    島に着き、隠れ住むネズミたちと合流したガンバたちは、島に残っている唯一のネズミの隠れ場所、海辺の崖の洞穴に籠る。
    環境の違う島ネズミたちとの交流や確執を経て、ガンバたちは島ネズミが無事に暮らせる方法を考えてゆく。

    ある晩ノロイに引き連れられたイタチたちがネズミの洞穴に向かい並び立つ。
    腹を空かせ閉じ込められているネズミたちの耳に、魔の誘惑のように奏でられるノロイの声。
    それはネズミたちとイタチたちとの四夜に渡る闘いの始まりだった。

    ★★★

    昔アニメ番組をやっていたときは見ていなかったのですが、話もキャラクターも面白く、今からでも見るべき作品ではないかと思った。
    アニメでは「ガンバと8匹の仲間たち」でしたね。さすがに15匹は多かったか。
    最近3Dアニメ映画化されたようで、6歳の次男が予告で「みたい」と興味を持ったので、「それより読もう!」と本を借りてきた…んだが、結構長くて私が音読してったので、かなり時間がかかってしまいました。
    しかし文章はかなり読みやすく、描写も素晴らしく、展開もドキドキわくわくと、大人が読んでも完成度の高い児童文学です。
    名前だけで特技が分かるようなネズミたちの個性と作戦、町ネズミのガンバが初めて海を見たときの感動、島に着いた時ののどかな風景から島ネズミを探すための過酷な旅、ノロイの怖ろしくも妖しい存在、そしてネズミたちとイタチたちの最後の死闘。
    挿絵が動物絵でおなじみの藪内正幸なので、登場人物(動物)たちの特徴をよく捉えています。

    シリーズで前後の話もあるようで、読んでみたいと思いつつ、もっと長い文章を私が音読するのはちょっと大変だな~~と考え中。


    P85~
    ヨイショの声にガンバはそろそろ目を開けてみました。ペンキを塗ったばかりの甲板が、太陽の光を浴びて真っ白に光り、まだ雨がすっかり乾ききっていない部分はキラキラ光を反射していました。 (…中略…) その向こうに鉄の手すりが船を取り囲んでおり、さらにその向こうに…、ガンバは手すりの向こうにあるものを見たとき、突然バネ仕掛けの人形のようにぴょんと飛び上がると、今度は酔っ払いみたいにふらふらしながら舷側に近づいていきました。そしてベンチの下に入ると、右手を軽く上げ、遠くを指すような格好をしながら、
     「海だ!」
    と、ため息交じりにつぶやきました。
    (…中略…) ヨイショがまた言いましたが、ガンバはやはり口を半分明けたまま海を見つめています。やがて、心地よい潮風が潮の香りを運んでガンバをやさしく包むと、ガンバはまたしてもぴょんと飛び上がり、ヨイショの止めるのも聞かず、人間の足の間を走り抜け揚錨機の近くまで走って行きました。そして追いついてきたヨイショを見ると、目の前に広がっている海を見て
     「これも海か!」
    と怒ったような震え声で言いました。
     「ああ、これも海だ。」
    ヨイショが答えました。ガンバはまた走りだし、舳までいくとまたまた目の前に広がっている海をじっと見つめ
     「これも海か!」
    と、泣き叫ぶようにいいました。
     「ああ、これも海だ。」
    するとまたガンバは走りだし、今度は舷側に沿って横目で海をにらむようにしながら、一気に艫まで走って行くと、ハアハア息を切らしながら
     「これも全部海か!」
    と言いました。
     「ああ、これも海だ!」
    ヨイショもできる限りでかい声を出して応えました。ガンバは肩を震わせながら座り込んでしまいました。船の通った跡が一筋の黒い青色になり、その上をカモメが数十羽すいすい飛び回り、時々さあーっと海に飛び込んでは魚をくわえ、また飛び上がっていました。あとはどこもかしこも海と空だけでした。

    • だいさん
      アニメは日曜日にやってたような?
      私は見なかったですが 友達が 大好きなアニメでした。
      アニメは日曜日にやってたような?
      私は見なかったですが 友達が 大好きなアニメでした。
      2016/03/02
    • 淳水堂さん
      だいさんこんばんは。

      私の子供の頃ですが、ネズミか~と思ってみてなかったんですよ。
      ちらっと見たことはありますけど、
      ノロイが実に...
      だいさんこんばんは。

      私の子供の頃ですが、ネズミか~と思ってみてなかったんですよ。
      ちらっと見たことはありますけど、
      ノロイが実に妖しくてよかった。
      たしかダイジェスト版もあったような。
      原作が良かったのでアニメ版DVD借りようか考えてます。
      2016/03/02
  • 母がガンバのアニメが好きだったので、小さい頃はガンバを見せられていました。
    ストーリーはほとんど覚えていないのですが、テーマ曲とオープニングのノロイがすごい怖かったことは鮮明に覚えています。

    原作を読むのは初めてです。
    夢中になって読みました。
    仲間たちとの絆に、生きるための闘いの最中に芽生えた恋に、涙が出ました。

    イタチとの闘いの中で、15匹の仲間たちが特技を活かしてピンチを切り抜けていく姿から目が離せなくなっていました。
    特に、シジンがかすれる声を振り絞って仲間を呼び戻すシーンが印象的でした。

    関連する『グリックの冒険』と『ガンバとカワウソの冒険』も読もうと決意しました。

  • 小学生の時に読んで、衝撃を受けた作品。
    実は三部作?の二巻目らしいのだが、これが発端だと思っていた。

    イタチの首領、ノロイの描写が美しい。
    毛並みや動き、そしてその描写に見合った言葉で、ガンバたちネズミを巧みに誘惑しようとするのだから、恐ろしい。

    そうして、圧倒的な戦力差を知りながらイタチに牙をむくネズミたちに胸を打つ。
    私が好きなのは、ノロイたちが美しいハーモニーでネズミたちを穴から出そうと歌うのに対して、序盤で湿った詩しか作れないと嘲られたシジンが懸命に対抗するシーンである。

    小さなネズミ一匹が、大量のイタチ相手に歌で勝負するというのは、想像すると……なのだが、とてもドラマチックに描かれている。

    また、ネズミのリーダーであるガンバの、リーダーながら自分の立ち位置をよく分かっている発言がいい。
    周りの仲間は教師でもある、と言い切るガンバのリーダー像は、なんというか児童文学を超えた重みがあるように思う。

    かつて読んだ時よりは、ややドキドキ感が薄れた悲しい大人の私だが、それでもしっかりと味わうことが出来た。
    是非、名作として継がれていって欲しい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「とてもドラマチックに描かれている。」
      血生臭くなってしまう戦いを、象徴的な方法で表して秀逸だと思う。
      私は、TVで見たマンガ版の「早瀬...
      「とてもドラマチックに描かれている。」
      血生臭くなってしまう戦いを、象徴的な方法で表して秀逸だと思う。
      私は、TVで見たマンガ版の「早瀬川の唄」が耳にコビリ付いている。。。
      2014/05/01
  • 古臭い言葉で表現するなら、「義を見てせざるは勇無きなり」の一言になるのでしょうか?
    天敵に立ち向かう無謀さは頂けませんが、それでも立ち向かわざるを得ない時もあると心の隅で思っています。

  • ガンバ!ガンバです~^^
    アニメのガンバは、再放送してるのをほんのちょびっと見たことはあるんですが、全然見たことないに等しく、
    本も初めて読みました。

    なにこの感動・・!
    すごいスペクタクルでした。泣ける・・!

    序盤はガンバの消極的というか家から離れたがらない慎重な性格に「へーーー原作のガンバはこんなんなのかあ」と思ってたんですが
    一貫してガンバは意外とリーダーっぽくなく、
    特に何かに秀でているでもなく、
    「ガンバ」という名前にもちょっと疑問が・・
    いや、別にガンバきらいじゃないけど!
    ガンバがんばってたけども!

    次々と出てくるネズミたちに、「ああこんなキャラいたなあ」とか「こんなのいたっけ・・?」みたいな感じで
    16ひきも出てくるから覚えられない!と心配したけど
    みんなの特技とか特徴がそのまま名前になってるから覚えやすくてよかった^^

    覚えてないけどアニメでは16ひきもいなかったような気がする
    ので調べたらやっぱり7ひきらしい!
    そうかそうかー

    イタチと闘う演説をしたけどみんな出てっちゃって、
    ガンバと忠太だけで船に乗り込んだけど、
    次から次へと仲間が出てくるところはガチで泣きました・・
    こういうの弱い^^

    島に入ってからのあれこれは、ドキドキしたし普通に面白かった

    ノロイとのたたかいは、ちょっと「ん・・?^^」って思ったけど
    シジンとか、バス・テノールとか、バレットとか
    出番あるのかな~と思ってた(笑)ネズミたちにもちゃんと活躍があってよかった。
    ボーボが泣けた・・そんな予感したけど、その予感気にしないで読んでたから、まさか!って感じで・・
    イカサマいいやつだなあ・・

    アナホリがとんだところで出番があってちょっと・・><

    こんな感動したり、わくわくするとは思わなかった。
    ぜひアニメも見たい!と思ったけど昔の作品だし見れなそうなので
    動画サイトでちょびっとだけのを見たら

    ノロイ様(様つけたくなる)が怖すぎてびびりました・・!
    何このモンスター!!笑
    ちょーーこわいよ
    これじゃネズミじゃなくたって闘いたくないよ・・

  • 今でも海を見るたびに、ガンバが「これが海か!これも、これも海か!」とあちこち飛び回って叫ぶシーンを思い出す。

  • くぅ~っ!胸が熱くなる1冊!

    性格や能力の違うネズミ達がが、それぞれの持てる力を惜しむこと無く発揮して、イタチのノロイをやっつける、冒険の物語。
    誰か1人でも欠けていたら、果たせなかった!
    最後はほろりと泣けてしまう…

    子供の頃に是非とも読みたかった(´。`)

  • この原作版での仲間の一人「ボーボ」はその名の通り、ボーっとした性格で、仲間たちが議論を白熱させても、ひとりボーっと「さかなになって海を泳いでみたい」と考えている。
    そのボーボが、イタチとの長い戦いで仲間がみんな疲れ休んでいるとき、突然叫び声をあげ、一人で突っ込んでいった。イタチが隙をついて岩の間から入り込みネズミたちを襲おうとしていた。
    別に誰かに指示されたわけじゃない。ボーボだって、できたら危険なことは避けて、いつものように空想にひたる自分の好きな時間を過ごしていたかったはず。でもボーボは突っ込んだ。気がつけば体が動いていた。そしてボーボは・・・

    「ガンバと15ひきの仲間」の題のとおり、ひとりのヒーローだけの物語じゃない。いろんな性格、いろんな考え方が、時にはぶつかりながらも、ある瞬間、ひとりの力が最大限に輝く場面が描かれる。ふだんは脱力キャラのボーボも、勇者として敢然と戦い、そして仲間を守った。

    人間でも同じと思う。万能な人間なんていない。自分が力を発揮できる、その瞬間をいかにして見逃さないようにするか。そして、その瞬間が来た時、いかに最大限に自分の力を発揮するか。それが自分のみならず、仲間のためになれるのならば最高だ。

    薮内正幸さんのイラストは、ネズミやイタチの毛の細部まで丁寧に描きこまれ、それが擬人化されて歌ったり踊ったりしている姿が自然に見えるのも、すごい力量です。300ページのネズミとイタチとのダンス合戦のイラストに笑みがこぼれ、340ページの岩の隙間でのイタチとの激闘シーンのイラストに手に汗にぎり、そして357ページのイラストでは涙することでしょう。
    (2010/3/14)

  • 久しぶりの冒険もの。
    久しぶりの児童書。

    少し不安だったけど、ものすごく読みやすかった!

    と思ったら日本の作家さんだからかな(外国文学かと思った)

    主人公のネズミとイタチの戦い。

    残念な大人の頭では「いやいや食べられちゃうだろ。でかさが違うだろ」とか思いながら読んでいったら、いやーよく考えられているなーと大感心。

    最初は絶対に無理だと思っていたけど、だんだん勝て!と本気で考えられるようになってきて。

    結構ベタな展開、ベタなセリフも多いけど、児童書ならわかりやすくていいよなぁ。

    ネズミたちの名前で個性がわかるのもいい。

    綺麗にまとまっていて非常に読みやすかった。

  • 人生初泣き小説。
    初めて海を見て「これが海か!」と叫ぶガンバの感動と、ヨイショが「そうだ」と応える誇らしげな感じ。
    ロマンがギュッと詰まっている。

    そしてアニメでも小説でも、イカサマはカッコイイ。
    登場するネズミが多いので、数をぐっと絞ったアニメの判断はとても正解。

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プロフィール

斎藤惇夫 1940年新潟市生まれ。小学校一年から高校卒業まで長岡市ですごす。長年子どもの本の編集に携わり、現在は、著作と、子どもの本の普及活動を続ける。著書に『グリックの冒険』『冒険者たち』『ガンバとカワウソの冒険』『哲夫の春休み』(以上、岩波書店)、『おいで子どもたち』(日本聖公会)、『現在、子どもたちが求めているもの』『子どもと子どもの本に捧げた生涯』(以上、キッズメイト)、講演録に『わたしはなぜファンタジーに向かうのか』(教文館)などがある。

「2017年 『河童のユウタの冒険(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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