グリックの冒険 (岩波少年文庫 045)

  • 岩波書店 (2000年7月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784001140453

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ2冊目 「冒険者たち」はこちら
    http://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4001140446
    ★★★

    人間の家に飼われていたシマリスのグリックは、庭で出会った鳩のピッポーから聞いた「北の森」の話心を奪われる。
    「広くて高い木が豊かに繁り、森の中の草原には色とりどりの花が咲き乱れ、その香りでむせそうなくらい。小鳥は鳴きかわし、蝶は飛び、森を流れる谷川は青く澄みきり、岩陰からはイワナが覗いている。
    なんといっても君と同じ仲間のシマリスが何百匹、何千匹もいる。楽しそうに草の上を走り、高い木に軽々と上り、枝から枝へ自由に跳び移る。
    胡桃やアケビや栗の実をたっぷりと食べ、踊るように飛び回っているんだ」

    グリックの心は波たつ。そうだ、そここそが僕のうちなんだ。こんな狭い人間の家の応接間と籠じゃなんだ。

    必ず森へ行くというグリックにピッポーはその困難を説く。

    「まずはこの家を出て、道路やビルを超えて町を抜け、それから畑がずっと続き、その次にはけっこう高い丘、それからまた畑があり、大きな川が流れ、その川は小さな川をみんなのみこんで海へ続く。海岸をずっと北に行くと山があり、その山を越えるとやっと北の森」

    だがグリックの心は抑えられない。
    かならず行く、森へ、ぼくのうちへ。

    ついに人間の家を逃げ出したグリック。
    町では冒険ネズミのガンバとその15匹の仲間達とネズミ同士の抗争に加わり、
    自由に生きることへの憧れを増す。
    動物園ではメスシマリスののんのんと知り合い旅を共にすることに。
    2匹の旅は、キツネやタカに狙われ、川を船で流され、雪嵐の山で凍えそうになり…
    しかし2匹の決意は変わらない。
    必ず北の森へ行く。自分のうちへ。

    ★★★

    「冒険者たち」を読んだらガンバと15匹の仲間達の前後作があったのでまずは1冊目を借りてみた。
    これまた6歳の次男に私が音読、時間がかかった~~、しかしこれから借りる3冊目が一番長そう~~(苦笑)
    グリックの話は作者が20代後半で飼っていたシマリスが逃げ出したことから描くという衝撃に突き動かされ…ということで、
    グリックの旅の道も作者の故郷への道筋をモデルにしているということでかなりの臨場感があります。
    そして、ガンバの時系列でいうと、「冒険者たち」で白イタチのノロイとの対決後のようですね。
    その後彼らは「気の向くまま足の向くまま、今日はここ、明日はあそこ、明後日は知らない」で世界を冒険したりきままに旅したりネズミ界で名を挙げ、今回は雇われ傭兵としてわざわざ呼ばれたらしい、なんかクールでノロイと対決してた頃からかなりプロになってますね。

  • グリックがフラックと別れた時が衝撃的だった。

  •  小学3年生の頃、国語の授業で毎回少しずつ先生が読み聞かせてくれ、大好きだった本。特に中盤のドブネズミとクマネズミの戦いに、ドキドキハラハラしながら聞いていたことを思い出す。ペットとして飼われるシマリスのグリックが、仲間がたくさん棲む北の森へ数々の試練を乗り越えて進む姿にグッとくる。私にとって思い出深い作品。
     また、薮内さんの描かれるリアルな動物の挿絵がとても素晴らしい。図鑑の挿絵画家もされていたらしく、キャラクターじみていない挿絵がストーリーで描かれる過酷な現実とも非常にマッチしている。

  • 人の気配はあるけれど出てこないのがいいなあ。
    自然の過酷さ野生の厳しさがとても現実アジしか感じられなくて、生きれるの…?行けるの…?とはらはらしっぱなし。
    グリックとのんのんが辿った道のり歩いてみたいな。
    1ヶ月半という距離。秋から冬へ変わる気温の差に雪山越え…わたし、行けないかも…
    行きなさい!と強すぎる程に言った姉さん。のんのんが自分がいなければもっと早く着いたかもしれない、の気持ち。一人では辿り着けなかったよ、と言うのを今じゃない、と着いてからと思うグリックも、待っていてくれたピッポーも
    最初から最後まで胸が熱かった。
    前に読んだのいつだったかな、その時よりさらに好きになってる。

  • 前から気になっていた本をいよいよ通読!
     序盤から気丈に送り出す姉や、気取り屋だけど実力も優しさもあるピッポーなど良いキャラクター達に出会い背中を押されて進む力強いスタートだ!特にピッポーは最後の最後にも再登場しており、とても良いキャラである。
     第一部はクマネズミとドブネズミの戦いにまだ未熟なグリックが巻き込まれる話だ。ドブネズミもクマネズミも必死であることが印象深い。もはや最後の戦いの後には互いに手出しはせず解散しておりお互いの生命力に圧倒されていたようにも思える。第二部のグリック達のように彼らは彼らの人生を、目的を達成できるかなど関係なくやれるだけやってやったのである!そしてガンバが冒険者達ではまだ未熟だったがすっかり成長して成熟し始めている様子が伺える。発行された時系列は逆とはいえ、冒険者の後読みたかったその後の冒険が垣間見えるような形でありとても嬉しい。
     そして第二部、いよいよ始まるグリック自身の冒険!良い人にも悪い人にもあいながら先に進んだ場所には波乱万丈の恐るべき道のりがあった!もはや頼りになる先達もおらず次々に襲いかかる恐怖!いやさや前半も面白かったが加速して面白い。森まで果てしなく続くいくつもの道筋とエリア終わる気がしないとすら読んでいて思えた長すぎる旅程!試練に次ぐ試練、戦いに次ぐ戦い!のんのんの足の悪さというハンデ、そして迫り来る冬のタイムリミット!超えど超えども無数にある試練と難所!足踏みする期間やいつまで経っても変わらない景色など焦燥感も強く、ここまでの試練があってまだつかないのかと読者である自分も幾度か絶望した。無論なんどもグリックとのんのんも諦めそうになった。だがそれを潜り抜けて目的地まで進見続けるという、自らの意思で自らの人生を突き進む力のある冒険譚であった。
     特に何度も何度も繰り返す絶望の中でも進む意思は凄まじく、何度も九死に一生を得る場面が手に汗握る。読者は当然ながらグリックものんのんも何度も諦めそうになっていた。安住の地にできそうな土地も現れ誘惑してくる展開も複数あり、冬が近いとこを考えればそういう選択肢も出てしまうのだ.だが片方が折れそうな時は片方が励ましあうことで、互いに支え合うことで進んできた。まさしく1人より2人の方が進無事ができたのである。計算を度外視して自分がやりたい自分自身の戦いをお互いに影響を与え合うことで突破したのである!やれるとこまでやってやる!という不屈の意思が2人いる事で成立したのだ!やれることをやるしかない人生の試練を潜り抜けたのである!
     また本格的な冒険に移る前に、停滞し冒険に憧れながら冒険者を邪魔する他者の中に入り、他者の冒険を見てそれで満足して終わる彼らと同じ未来を、再起するもう1人のんのんのおかげで回避して、自分自身の冒険を歩む、というパートが挟まるのも良い。冒険を経過するだけではダメ、満足せず自らの冒険に飛び込まなくてはならないのだ。ガンバとの冒険は未熟な精神性のグリックに経験と自信を与えるだけではなく、自分の人生に立ち向かうロールモデルを提示しつつ、他者のそれを自分のものと混同してしまうという試練としての側面を持ち合わせていたと言えるだろう。
     また最後の最後でのんのんが漏らした、今この時こそ始まりのある終わりを迎えられた、という言葉も印象的。まさしく物語の理想の完結めいている。先のないなにも次のない終わりではなく、新たなるスタートのある終わりこそ読後の物語を永遠に輝かせる。思えばこの物語は新たなる人生のスタートラインに向かうための物語であった。
     もう一つ興味深いことに、この物語は書いた時点の作者の半生を元にしているらしい。なるほど、波乱万丈で絶望も希望もある深みのある物語であった。全力で苦しみもがき、ひたすら進み生きるといこと。2人の名前の由来も良い、幸せと体を充填する食事に由来するグリックと、彼女が味わいその後も幾度となく味わう挫折を否定する二重否定ののんのん。可愛らしさと意味が慎重に盛り込まれた良いネーミングだ。また最後の最後に、人生における別れ、挿絵の籔内氏の訃報がくるのも良い効果が生まれている。人生を生きることを謳う小説が、人生を生き抜いた人の記録で終わるのである。思えば姉のフリックもまた、最後に死して死のうともその人生が誰かの心にのこる終わりを迎えていたのであった。
     

  • 街で飼われているシマリスのグリックは、あるとき森で暮らす野生のリスの話を聞き、強い憧れを抱く。家を飛び出して森を目指すグリックが、ドブネズミのガンバや動物園で知り合ったメスのノンノンと一緒に、冒険をするお話。
    子供向けの冒険物語だが、小さなリスが遠い北の森を目指す道のりには危険がいっぱいで、ハラハラドキドキの内容。
    疲れた心にサプリメント効果バッチリで、ぜひシリーズをまた読みたい。

  • ガンバとグリックのあいしょうやのんのんとのぼうけんのないようがすごいいよかったのでぞくへんもよもうとおもいます

  • 久々に児童文学を読みました。筋としてはとてもシンプルですが、最後までハラハラドキドキしながら読みました。

  • 「冒険者たち」、「ガンバとかわうそ」を読んでいたので楽しみにしていた。ガンバがいつ出てくるのかなーと思ったら、結構序盤で出てきた。ネズミたちの戦いに巻き込まれて、どうなるのかなと思ったけどなんとか乗り切って、ガンバに案内してもらって旅もかなり楽勝と思ったら、連れてこられたのは動物園。ガンバもこの時、まだ外の世界を知り始めた頃だもんね。そして、ここでのんのんと出会い、いよいよ北の森を目指す。始めのうちは台風にあったり敵にあったりで困難はあるけど順調に旅をしてる。だけどだんだん寒くなり旅も厳しさを増してくる。船に乗り込んだ時は絶対そうなると思った。ここら辺から読んでいて苦しい、、山越えはもうピーク。あと少しで読み終わると頑張ると、最後はピッポーよくやった!お姉さんが亡くなっていたのは悲しかったけど、冬越えの準備もされていてよかった。

  • ガンバの冒険を子どもたちとアニメで見たものの、この作品が原作者の処女作だとは知りませんでした。

    家や動物園で飼われていることの安全の反対にある自由。
    「ながいながいペンギンの話」と同じく、飼われている生き物の気持ちについて考えさせられました。

    足をケガしていたらたどりつけないはず、戦った相手がタカに襲われる、など、運がいいでは語れない物語、ガンバにしてもハトのビッポーにしても、命を助けてもらったことへの恩返しの気持ちがここまでとは、と。

    ガンバが動物園を「きみのうち」だと思って連れて行ったのは、ちょっとおもしろかったです。

  • ガンバの冒険は、子どもの頃に大好きだった。こっちが最初の本で、やっぱり、挿絵と一体での本です。

  • 冬山を登るというのにほぼ何も準備も計画もなくなんて、どういうことやねん。というツッコミはあれども、やっぱ毛皮を纏っているというのは強い。しかもそこらへんで飯も調達できるし、草食動物って最強だよな。でも食われちゃうから、なかなか難しい。
    最後の結末はまぁそうなるよね、とは思ってたけど、眠気に耐えきれなくなったところで切ない展開だったら泣けるかも!とも思ったよ。やっぱ子供向けかー、と思ったら最後の二人の会話がおまえらやることやってんのかよいつの間にか、ていう意味深っぷりで、好き。

  • どうして子どもにこんな辛いばかりの話読ませなきゃならんのだ、と思うが、かといって大人が読まなきゃならんものでもない。

  • 斎藤惇夫の処女作で、日本屈指の本格的動物ファンタジー。
    「冒険者たち」では主人公のガンバが、ちょい役だが重要な存在として登場しているのも見どころ。

  • ガンバと15匹の仲間たちが活躍する『冒険者たち』の前作にあたる作品。
    シマリスのグリックが飼われていた家を逃げ出し、数々の危機を潜り抜けながら、"本当の故郷"である北の森を目指す冒険譚です。

    薮内正幸さんの挿画が、物語の臨場感を高めています。
    動物の体の動きなどがとてもリアルで、さらに場面場面の感情を含んだ表情で描かれているのです。

    小さな動物たちの冒険なのに、ものすごく迫力があって、目が離せませんでした。
    機会を見つけて、小学生の子供たちに薦めていきたいと思います。

  • 3部作を読みたい。

  •   再読です。
      私が最も好きな本のうちの1冊なんですが、いつ読んでもやっぱりいいです。大好きです。最後に読んでからもう随分経っているんですが今でもそれは変わりません。むしろ前以上に好きになりました。

      途中に出てくる動物園が日本のように感じました。みんな形も顔つきも違うのに、みんなどこか似ている。冒険話に興味は示すものの誰も冒険しようとはしない。時にはしようとするものを阻害したり、孤立させたり。動物園は餌に困る心配もなく、安全です。生きてく上で必要なものは全て揃っています。それでもどこか貧しいんです。生きている、と感じないんです。これはまさに日本のような気がしてなりませんでした。みんな抜け穴があるのは知ってるのに抜け出さない。自分から動こうとしないで現状に満足している限り金網越しの空しか見えないんですよね。

      この冒険を支えてるのは"恩義"だったように思います。自分の道を見失わず恩義を大切にする限り、道は開けてくるものだと、そんな事を思いました。最後はかなりうるうると・・・。

  • 飼いリスのグリックは、野生のリスの住む北の森にあこがれ、カゴから脱走します。街でドブネズミのガンバと親しくなり、動物園で知り合った雌リスののんのんといっしょに、北の森をめざします。
    動物の世界の弱肉強食、自然の驚異に何度もさらされ、倒れそうになりながらもあきらめずに進んでいく姿、グリックとのんのんがお互いにはげましあいながら北の森へ進んでいく姿に心を打たれる。愛と自由の物語。2011/5/27

  • ガンバも良いけど、こちらもね。脱走→自由を目指す旅、というのはこの手の物語では定石の展開。そして王道だからこそ、くるものがあります。最後はしんみり。

  • 本作はドブネズミのガンバではなく、シマリスのグリックが主人公の物語。

    私はガンバの方が好きだけど、それはそれ。
    グリックはグリックで健気で愛らしい。少しずつ逞しくなっていく姿が印象的。

    切ないけれど、勇気をもらえる作品。

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著者プロフィール

斎藤惇夫 1940年新潟市生まれ。小学校一年から高校卒業まで長岡市ですごす。長年子どもの本の編集に携わり、現在は、著作と、子どもの本の普及活動を続ける。著書に『グリックの冒険』『冒険者たち』『ガンバとカワウソの冒険』『哲夫の春休み』(以上、岩波書店)、『おいで子どもたち』(日本聖公会)、『現在、子どもたちが求めているもの』『子どもと子どもの本に捧げた生涯』(以上、キッズメイト)、講演録に『わたしはなぜファンタジーに向かうのか』(教文館)などがある。

「2017年 『河童のユウタの冒険(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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