クローディアの秘密 (岩波少年文庫 (050))

制作 : E.L. Konigsburg  松永 ふみ子 
  • 岩波書店
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レビュー : 199
  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001140507

感想・レビュー・書評

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  • 目次の次に現れるのはメトロポリタン美術館の内部図。
    そしてお次は、「わたしの弁護士・サクソンバーグさま」という手紙。
    手紙を書いたのはどうやら、モノクロの線画に描かれたフランクワイラーさんという老女らしい。
    この老女の語りでお話が進む。
    「読んで、理解してください」と結ばれた手紙の、この出だしだけで秘密めいている。
    タイトルだけでも気を引くのに、一体どんな秘密が展開されるのか。
    1967年に出された本だというのに、今も読み継がれている児童書の名著。

    秘密を持つことは良くないことのように大方の人は教育されている。
    でも本当はその逆で、秘密を持つだけで子どもは賢くなり、成長していく。
    もちろんその秘密は、誰かのものを盗んだり壊したりすることではなく、自分で発見する喜びのこと。見出すことの幸福が、個の確立と成長に繋がり、結果として家族やコミュニティと上手く繋がる力にもなっていく。
    作品の中で作者が何度も秘密の大切さを語っている点がとても重要で、日本のお話には決して登場しないタイプの話になっている。
    何しろ家出の先はメトロポリタン美術館だもの。

    12歳のクローディアは、何かに腹を立てて衝動的に家出したわけではない。
    何かと不公平な毎日が退屈で、変わったことがしてみたかった。
    用意周到に計画をたて、金銭面でしっかりした腕前の9歳の弟を伴って「家出に行く」。
    タフなメンタルの持ち主が主人公のため、ワクワク・ハラハラ感はかなり少ない。
    場面も、美術館内が大半。しかし、この美術館内で発見したものがすごかった。
    さてふたりは、この美術品の秘密にどこまで迫れるか。
    お話は、冒頭の手紙の差出人であるフランクワイラーさんに出会うところから、思いも寄らない結末へと導かれていく。

    親があわてふためくという描写が一切ないところも興味深い。
    家出という行為に与えている意味も日本とまるで違い、子どもの成長を見守る作者の愛を感じる。
    一番面白いのは、頭が良くて理屈っぽく野心家のクローディアを、うまく現実的におさめたのがフランクワイラーさんであるというところ。
    終盤のこの老女のセリフがとても味わい深く、ここだけ何度も読み返してしまった。
    成長の傍らには賢明な大人がいるものなのね。こちらも、この夏ぜひどうぞ。

    • nejidonさん
      佐藤史緒さん,こんばんは(^^♪
      コメントありがとうございます。とても嬉しいです!
      その大貫妙子さんの歌というのを、他の方のレビューでも...
      佐藤史緒さん,こんばんは(^^♪
      コメントありがとうございます。とても嬉しいです!
      その大貫妙子さんの歌というのを、他の方のレビューでも読みましたが、残念なことに
      分からないのです。
      年齢的にはクリアしているはずなのですけれどねぇ・・
      悲しいかなピンと来なくて、歌好きな友人に歌ってもらいました(笑)
      まさに、この作品にインスパイアされて生まれた歌なのだと思いましたよ♪
      そうそう、楽器のケースをトランク代わりにするのですよね。とても賢い子たちで。

      この作品、佐藤史緒さんはきっとお好みなんじゃないかしら?
      ひとつ前の「シャーロットのおくりもの」と共に、ぜひどうぞ!
      メトロポリタン美術館に詳しくなれて、とても楽しい読書タイムになるかと思います。
      2018/07/18
    • 佐藤史緒さん
      みんなのうた史上「怖い歌」としてぶっちぎりで名前の上がることの多い歌ですが、私は良い曲だと思います。シュールではありますけど。それにしてもご...
      みんなのうた史上「怖い歌」としてぶっちぎりで名前の上がることの多い歌ですが、私は良い曲だと思います。シュールではありますけど。それにしてもご友人の方、すごいですね、いきなりリクエストされて歌えるなんて!(笑)

      ほんとうに好きそうなお話ですので、今度、岩波少年文庫の置いてある本屋に行ったら探してみようと思います♪ 「シャーロットのおくりもの」と一緒に…
      すてきなお話、ご紹介ありがとうございました
      (*´∀`)♪
      2018/07/19
    • nejidonさん
      佐藤史緒さん、再訪してくださってありがとうございます!
      でしょう?でしょう?その友人は公立中の音楽教師です。
      「みんなのうた」の譜面はほ...
      佐藤史緒さん、再訪してくださってありがとうございます!
      でしょう?でしょう?その友人は公立中の音楽教師です。
      「みんなのうた」の譜面はほとんど入手しているのですよ。
      この時も、譜面を見ながら実に明るく楽しそうに歌ってくれました。
      よって、大貫妙子さんもビックリの全然怖くない歌でした・笑
      私は図書館で借りたものですが、書店でも首尾よく手に入りますように!
      期待に違わない読書となりますよう、秘かにお祈りしております。
      2018/07/20
  • 小学生のクローディアとジェイミーの姉弟が、ニューヨークのメトロポリタン美術館に家出した一週間を描いた作品。

    児童文学なのもあり、入り組んだ構成や胸に迫りくる展開みたいなものはありません。
    それでも、クローディアとジェイミーそれぞれの個性が明確に設定され、話の冒頭から書き表されているところが、この物語を生き生きとしたものにしています。

    計画を立てたり考えたりするのが上手いけど、癇癪持ちで、意地っ張りなところのあるクローディア。
    深く考えたりせず、口も軽いけど、けちんぼで、お金の使い方が上手なジェイミー。

    二人の子供らしい無邪気さやわがまま、冒険心といった、生き生きとしたとした描写が存分に楽しめます。

    誰もいなくなった夜の美術館で、展示品である中世の貴族のベッドで眠るとか、毎朝そこから起き出して昼は普通の鑑賞者のふりをしながら美術の勉強をするとか、いい歳した大人になっても、やっぱりワクワクします。
    閉館時と開館前に、監視員の目をかいくぐる瞬間とか、ドキドキして楽しめるし。
    彼らと同じ年齢の子供の頃に読んだら、夢中になっただろうなあ…。

    クローディアの目的が、当初の家出から、とある展示品の謎解きに変わってしまうところなんかは、やっぱり子供らしくてご愛嬌。

    物語の最後は、ちょっと駆け足で取ってつけたような御都合主義な感じもしますが、児童文学と思えば、爽やかでいい終わり方です。

    実在する美術館だけに、美術館内の展示室の描写なんかも楽しくて、息抜きに読むのに良い物語でした。

  • 12歳の女の子・クローディアは家出をすることに決めました。
    綿密に計画を立てて準備を整え、相棒に弟のジェイミーを選びました。
    二人の家出の先はなんとメトロポリタン美術館!

    閉館後の美術館でこっそり寝泊りするなんて、とっても魅力的。
    さらにそこにミケランジェロの作品ではないかとされる天使像の謎が加わって。

    けんかはすれども、クローディアとジェイミーのチームワークはなかなかのもの。
    二人が顔を見合せて、にやりとする様子が見えるようです。

    "秘密"を持つことは、人の心の中を変える。
    だから人々は秘密を持ちたがるのかもしれません。
    周りに隠している後ろめたさと甘酸っぱい優越感がちょっぴり、そして何よりわくわくする高揚感。
    花に惹かれる蝶のように、クローディアも秘密の持つ魅惑的な香りに導かれたんですね。

  • クローディアと同じ年の頃、夢中になって読んだ本。
    あの頃はとにかく家出する子供の話が大好きで、「クローディアの秘密」と「あくたれジャンの日記」が二大巨頭でした。
    なのに、18年経って再読してみるとなんともあっさりした読後感。
    子供たちが本当に本物の子供らしくこまっしゃくれていて個性的でいいなあ、ユニークで好きだなあ、というくらい。
    あの頃はおそらくそれほど興味を持っていなかった本の主軸となるテーマを今はしっかり理解できるのに、ときめきは蘇らない。
    それどころか、この子たちがこうしている間にも、家のひとたちがどんなに心配していることかと大人側を思いやってしまったりして、ああなんてつまんない大人になっちゃったんだと自分自身にがっかり…。
    冒険、秘密、反逆に憧れる多くの子どもたちに、心からわくわくしながら読んでもらいたい作品です。
    私にはもう味わえないあの興奮を、今堪能できる子たちに、どんどん楽しんでもらいたい!

  • 12歳の少女クローディアは、両親の不公平さに不満を持ち、3歳年下の弟ジェイミーを連れて、ニューヨークのメトロポリタン美術館に家出をします。メトロポリタン美術館の中で寝起きをするうちに、クローディアはミケランジェロ作と言われる天使の像に惹き付けられ、天使の像が本当にミケランジェロの作かどうかという謎を解くことにします。やがて二人は、天使の像を美術館に売ったベシル・E・フランクワイラー婦人を訪ねることにしますが…。


    「5・6年生に“本当のこと”というテーマでブックトークをするのですが、何かよい本はないですか?」と聞いて、司書さんに教えてもらったのがこの本でした。その時は、同じカニグズバークの『800番への旅』が全然面白くなくて挫折していたので、実際に手には取りませんでしたが、ずっと気になっていて、やっと読むことが出来ました。
    最後まで読み進んで、最後の最後でやっと、(ああ、なるほど!)とすとんと腑に落ちることになりました。司書さんが、“本当のこと”のテーマとしてこの本を挙げたのは、ドンピシャの内容だったことが分かったからです。自分は訳文が苦手なので、読み進めるのにかなり苦労しましたが、苦労して読んだのが報われたと思えるすっきりとした読み終わりとなりました。

    クローディアが手に入れたかったものは何なのか。天使の像の真実は。
    天使の像のことはともかくとして、クローディアの持つ感覚は、同じ小5小6の児童たちには理解できるでしょうか?今までと違う自分になりたい。それが手に入れられるまでは帰らない。
    その家出の結果、クローディアは何を手に入れたのか?
    自分としては、結構意外なものを手に入れたなぁという感じです。
    人間の心を支えるものにはいろいろな種類があるのだなぁと思いました。

    挿絵がいいなぁと思いましたが、カニグズバーグ自身の挿画だそうです。
    訳文はやはり苦手で、弟のジェイミーが間違った言葉を使うところで違和感を感じたし、彼の口癖の「ぼろっちいの」が特に違和感が大きかったのですが、最後でクローディアにヒントを与えるためにその口癖を使ったことが分かり、無理あるんじゃないか?と思いましたが…。

    12歳の少女が弟と一緒に家出をし、メトロポリタン美術館に忍び込んでその中で一週間も寝起きをし、果てはミケランジェロの作と言われる彫像の謎を解く、というストーリーは面白いと思うけれど、高学年の児童にこのお話が読みやすいかどうかは少し疑問。

  • ずいぶん前に『児童文学キッチン』を読んだとき、大貫妙子さんの『メトロポリタン美術館』の元ネタということを知ってずっと気になっていたことと、ちょっと資料に必要な局面ができたことで読んでみた。

    書籍案内に書いてあるとおりの、姉弟の冒険的な家出ストーリーだと軽く考えて読み始めると、それとはまったくかけ離れた筆致から始まる、トリッキーな序盤。ミステリーも読む者としては、そこに結構反応する。

    この物語が描かれている視点のことを気にしだすと、気が散ってストーリーを追いにくいのではないかとも思ううけれど、そこが巧みで、クローディアとジェイミーのアドベンチャラスな美術館暮らしが始まると、そこが気にならなくなる。そうか、そういうふうに過ごせばいいのか。噴水も使える(!)のか、とか。姉弟のいで立ちや館内での様子など、大貫妙子さんはとても巧みにエッセンスを抜き出してあの曲を作っていらっしゃるのも感じられた。

    そして、ぐるっと回って最初の疑問に戻り、それにもうひとひねり加わる。子どもの向こう見ずな冒険の面、世間的には失踪騒ぎの面、彼らの内面の成長の面がきれいにすぱっと収まる手際のよさにも驚いた。そうか、そういうふうにつながるのか、と。安易な大人向けのミステリーより構成が巧みですよ、これ。

    成長するのに大掛かりな冒険を必要とする人としない人がおり、内面に秘密(ダークサイドオブフォースに落ちるようなものじゃなくて)を持つことは大切で、それによって成長する人がいる、というマダムの諭しは、インドア派で育ち、今もインドア派で生きている私には非常に腑に落ちる。これを10代になるかならないかに教えてくれる本や人があるということは、とても勇気づけられることだろうと思う。

    私も、家出するなら美術館を目的地にしてみたい。ただし、夜間に寒くなければだけど。

    • niwatokoさん
      わたしも大貫さんの歌からこの作品を知って読んだんですが、30年くらい?昔のことでもう細かい内容はすっかり忘れてました。「成長するのに~」のく...
      わたしも大貫さんの歌からこの作品を知って読んだんですが、30年くらい?昔のことでもう細かい内容はすっかり忘れてました。「成長するのに~」のくだりなんてそんなとこありましたっけ? 今、感動しました。わたしも冒険しない人間なのでこんなふうに言ってもらえたら…と。♪「夜になるとここは冷える」ですよね(笑)。
      2015/09/10
    • Pipo@ひねもす縁側さん
      読んだ数が少ないので、断言できないところもあるんですが、欧米の児童文学って、子供の賢さを認めて、小さな大人とみなして言葉をやりとりするものが...
      読んだ数が少ないので、断言できないところもあるんですが、欧米の児童文学って、子供の賢さを認めて、小さな大人とみなして言葉をやりとりするものが多いような気がして、私はそこがすごく好きです。行動の勇気も大事だけど、行動だけではない成長のしかたがある、という感じでしょうか。今流行りの「道徳」とは違った、もっと豊かな感じのような。

      それにしても、バイオリンケースを所蔵品の中に放り込めるとは驚きました(笑)。
      2015/09/10
  • 「幸福というのは、わき立つ感情が心の中に落ちつき場所を見つけること」なんていう素敵フレーズに今さら気づいた!

  • 幼い頃、メトロポリタン•ミュージアムの曲を聴いて、なんとなく不思議な迷子になった気分でいたものだった。

    この話は、ある姉弟が用意周到な準備の末にメトロポリタン美術館に家出をする所から始まる。

    その発想と、なんとか美術館で日々をしのいでゆく姉弟にワクワクドキドキさせられる。
    物語の中には、ちょっと知的な要素も含まれている。姉クローディアの好奇心は、学問に向き合うには不可欠な要素だ。

    とにかく、二人の機転を楽しんでほしい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「メトロポリタン•ミュージアムの曲を聴いて」
      懐かしいね、、、
      「メトロポリタン•ミュージアムの曲を聴いて」
      懐かしいね、、、
      2014/05/26
  • 美術館で隠れたり、噴水でお金を拾ったり。昔ながらの家出はいやだというクローディアの考え通りで、素敵だと思います!!

  • 何年ぶりかで再読。静かに心にしみ透る作品。11歳の少女クローディアのイニシエーションがテーマなのだが、それは一気に飛び越えるようなスタイルをとらずに、これから何年もかかって熟成されて行くような種類のものだ。まさに女の子のイニシエーションに相応しいだろう。「秘密」という言葉は、まことに意味が深い。

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