- Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001140613
感想・レビュー・書評
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主人公は12歳の少年・マックスです。
母が再婚相手と旅行に出ているあいだ、夏休みを父の元で過ごすことになったマックス。
彼の父は、ラクダを連れてアメリカ中を興行して生計を立てています。
父と2人、トレイラーで旅をしながら各地でさまざまな人と出会う、マックスには馴染みのないひと夏の生活がはじまります。
はじめは生意気な態度のマックス少年に、もやもやした気持ちを抱きながら読んでいました。
12歳という年齢のせいもあると思いますが、母親が「あのラクダ引き」と父のことを馬鹿にしたように呼んでいたことも影響しているのでしょう。
しかし、行く先々で慕われる父の姿を見たり、自分自身も苦い思いを経験する中で、マックスの父に対する気持ちがゆるやかに変化していって少し安心しました。
また、サブリナという少女に出会ったことも、大きな影響があったと思います。
フリークの新聞記事を集めていて、年齢よりも大人びた口調で話す彼女。
なぜか旅先で何度も遭遇する彼女は、一体何を隠しているのでしょうか。
小島希里さんの訳者あとがきが、物語の余韻を優しく深めてくれます。
仮面とは、自分を隠して他の人にならせてくれるものであり、仮面に隠して本当の自分自身にならせてくれるものでもある。
もし12歳の私が本書に出会っていたら、どんな感想を抱いていたのか、無性に知りたいと思いました。
このあとがきで引用されている、カニグズバーグの講演集『トーク・トーク』も読んでみたくなりました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ウッディ父さん。なんて大きな愛なんだろう。主人公は父さんと行動をともにすることで、自ら様々な発見をし、反省をし、そして、自分の本当の出自を知る。
しかし、よくぞラクダで商売をしている人のさまをここまで見事に描けるものだ。舌を巻く。
タイトルの「800番」がそういう意味だったとは! -
自分として生きていく。
マックスは母親が富豪と結婚して新婚旅行に行くので、離婚した父親と夏休みを過ごすことになった。父親はラクダを連れてトレーラーで興行をしながら暮らしている。これからの生活への想いと父親との生活への不満を抱えたマックスが道中で出会ったのは——。
周りから浮きたくない。見下されたくない。そのために進学先のブレザーを着て、母親の再婚相手に連れて行かれた豪華なレストランの話をする。しかし父親には不発で、知り合ったサブリナはどうやら行く先々でまったく架空の人物になりすましている様子。大物歌手のトリーナは、実は名付け親でどうやら昔の父母を知っているらしい。
自分が誰なのか、わかっているだろうか。自分のふりをしているのかもしれない。誰かのふりをすることは決して間違いではない。何かを演じることで自由になれることもある。ウッディが演じていたもの。それを受け入れてマックスは残りの夏休みを過ごす。
外国からの旅人のように、違う習慣を見守れる人になりたい。 -
再婚する母親が新婚旅行に行っている間、12才の少年マックスは「ラクダ使い」の父親のところで過ごすことになった。
マックスは、もうすぐ始まるはずの、社会的にも経済的にも恵まれている母親の再婚相手に合わせた生活…名門私立校の生徒となって…に慣れておかなくちゃ!と思って過ごしている。「ぼくが慣れておくはずだったのはファーストクラスの暮らしだっていうこと。」
ラクダ使いの父親ウッディーは「のびのびできると思うのか?」
旅回りのあいだにマックスは個性的な人々と出会う。ウッディーはみんなに好かれていて、ウッディーもみんなが好き。それは、お互いに助け合い信頼しあっているから。
そんな中に身を置いているうちに、マックスの価値観もじわじわと変わっていく、、
「仮面」というのも、この本のテーマのひとつですが、ウッディーにも仮面があったということを知って、マックスは大きな愛情を感じることになる! -
チョーやさしいけど金がなく、かっこわるくて、ラクダを飼って芸能の仕事をしているダサくて恥ずかしい父さんと、ラクダは嫌だと別れた母さんが歳のいった富豪と再婚し、急にエリートになったような気分に酔ってるこまっしゃくれた少年の旅物語。義理の父の金でボンボン校に入学できたことを鼻にかけて、ラクダ父さんと田舎を旅してる最中もそのブランド校のブレザーをこれみよがしに着続けたりしてた子が、旅しながら出会った人と触れ合い、ラクダ父さんとの時間を通して、少しずつ、その凝り固まったスカした心が素直になっていく。
アメリカの文化や空気感が感じられて、映画を観たような気分になった。自分いまや中年やけど、この少年の同年代、10代の初めころに読んでたら、どう感じたんやろう。いいとは思えなかったかもしれないかなあ。 -
いろんな人達がいて
鎧や仮面で自分を守って生きている
自分も何か理想を持っていると前を向いて歩ける気がする
見つけられないと表に出られない事もある
家にいても何か見つけて外に出て
そこからまた探してみてほしいと思う -
タイトルの800番の意味は最後にわかる。そういうことか、という気づき。
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山陰中央新報の水曜日『週刊さんいん学聞』で紹介されてた本
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みんな人は色々な仮面をつけている。
本当の自分って。。。