ぽっぺん先生の日曜日 (岩波少年文庫 70)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001140705

感想・レビュー・書評

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  • いつもならぐうたら過ごすぽっぺん先生の日曜日なのですが、この日は…

    アリスがウサギを追いかけて不思議の国に入っていったように、
    ぽっぺん先生は小さい頃に読んでいた「なぞなぞのほん」という、絵本の中へ入っていってしまったのです…。

    なぞなぞの答えを見つけないと、次のページに進めない。
    全てのなぞにこたえたら、もとの世界に戻ることができるのでしょうか…

    ファンタジーの入口としては、ありがちなものかもしれません。
    しかしなんとも飄々として、どこか哲学的な面持ち。。
    動物や昆虫たちの会話はとってもシュール。

    私が好きだったのは、ランニングをするブタ。
    一人なのに、「ゼンタイトマレ」と言い、うしろにゼンタイが休んでいると言い張るので、
    ぽっぺん先生がうしろには誰もいないと教えると、
    「おい、私はいるか。私はいるか。」とヒステリックになるシーン。
    なんだか禅問答のような、落語のような可笑しさ。
    読書好きのダチョウに、このブタが、
    「読書は心にかびが生える。」なんて言ったり…

    他にもぬけがら町の住人、洋服たちが、ぽっぺん先生のことを『中身』だなんて言って、取り合いになったり…
    ちょっとコワイ?!

    お決まりのラストだろうと思いつつも、なんだか引き込まれて読んでしまう、そんな物語でした。

    今手に入るのは岩波少年文庫のもののみですが、もとの筑摩の単行本は、手描きっぽいフォントが素敵でした。

  • 4-00-114070-5
    C8393\680E.

    ぽっぺん先生の日曜日
    岩波少年文庫 070

    2000年11月17日第1刷発行
    作者:舟崎克彦(ふなざき よしひこ)
    発行所:株式会社 岩波書店

    小学4・5年生以上

    カバー裏表紙より----------
    「なぞなぞの本」の中に入り込んでしまったぽっぺん先生は、謎を解かなければ外に出られない。ところが、その謎ときときたら、頓智やへ理屈ばかり。おまけに出合うのは奇想天外な動物だらけ。さて、どうなる事やら。--------

    ぽっぺん先生のシリーズは11冊(ぽっぺん先生の動物紀はそれだけで6巻ある)
    シリーズの初めはこの「ぽっぺん先生の日曜日」で初刊は筑摩書房、1973年 のち角川文庫、ちくま文庫、岩波少年文庫となる。
    ※ぽっぺん先生のシリーズはメモに
    ------------------------
    もくじより
    さて、そろそろはじめますか
    ペリカンのくちばしには、なせふくろがついているのでしょう
    タヌキ、クロブタ、ダチョウ、トガリネズミ。このなかではなしのおもしろいどうぶつはどれでしょう
    カタツムリ、ミソサザイ、ワシ。この中で、にてもやいてもふかしても食べられないもの、それはいったいだれでしょう
    服がおふろにゆくとき、ポケットには何がはいっているでしょう
    イノシシの赤ん坊はなぜいつまでも眠れないのでしょう
    おもちゃかぼちゃは、ぜんぶで何種類あるでしょう
    少年はなぜピッコロをふいているのでしょう。その答えはハモニカを持っていないからです。
     ぽっぺん先生の誕生日

    ----------------------------------

    まえがき や あとがき の表記はないですが、ぽっぺん先生の誕生日とある章は著作者さんによるあとがきで、その中にこの物語がひらめいたきっかけが書かれています。1本のフランス映画の中で主人公が物語の筋とは全く関係なく絵本を小脇に抱えてウロウロする場面。自分がシナリオ作家だったら主人公をあの本の中に・・・。
    その発想から生まれたこの物語。主人公はその中で作られていき、その名前には相当苦労があったようで、この本の中でも「ぽっぺん先生」と表記されているだけで、苗字も、名前も出てきません。
    その「ぽっぺん」という名前にたどり着くまでに
    電話帳(電話帳って昔あったんですね?って時代が近づいていますね)や辞書をひっくり返し俳諧歳時記にたどり着きその中から「ぽっぺん」という言葉を見つけたそうです。
    関東ではビードロと呼ばれる(自分では長崎のお土産屋さんで見たことがある)それは 新年の季語だそうです。
    自分の母親の事を 「バァさん」と呼びますが、ぽっぺん先生に(今のところ)子どもは無く、先生の兄弟がいるのかいないのかも不明で、なぜ「バァさん」と呼ぶのか謎です。

    いちばん最初1973年に発行されたこの物語の中には、ランタン・レコード・喫茶店・まがいもの 等、今時の子どもたちにはなじみが薄いと思われる言葉や、意味あいが違って受け取れる言葉などが出てきます。
    岩波少年文庫のこの物語は2000年発行、2020年の今10歳前後の児童にとって知らない言葉もあるかもしれないけれど、さりとて他の言葉に変えられないし、いちいち解説もまどろっこしい。丸っと楽しめる年代の私はラッキーでした。

    コロナ禍以降、今まで先延ばしにしていた使わないものの処分などに手を付けていますが、(実際たいして片付いては居ない)ぽっぺん先生の書斎の様子がとっても魅力的に感じてしまいます。夏の暑い日には埃とお日様に焼かれくたびれた無垢の床板、日向のにおいがしていそうです。

    それにしても、魅力的な主人公です。
    「さて、はじめますか」っていい言葉ですね。

    ----------------------------
    この本を手にするきっかけ
    良い本として(すごく漠然としたものですが)子どもたちにおすすめとされたリストで何回か見かけていた。
    今まで読んだことはなく、自分が学生の頃も、周りで流行っていなかったので知らなかった。
    ラジオ番組で取り上げられていて、児童向けの一冊だったので、読みやすそうだなと初めて手にした。

  • 「書斎の本を整理しているうちに「なぞなぞの本」の中に入り込んでしまった、ぽっぺん先生。なぞなぞをとかなければ、先にもすすめなけりゃ外にも出られません。どうなる、ぽっぺん先生!?」

  • 書斎の本を整理しているうちに「なぞなぞの本」の中に入りこんでしまったぽっぺん先生。なぞなぞを解かないと先にもすすめないし外にも出られない。おかしな人や動物と出会い、ヘンテコななぞなぞをなんとか解きながら先に進んでいく。なんとなくシュールでもあり哲学的でもあり。ほっぺん先生と一緒に冒険した気分。

  • あんまり子供向けすぎない文体が魅力
    内容は簡単だけど言い回しとぽっぺん先生の冴えない感じが面白くて幼い時に読んでたらどう感じたんだろう
    いい読み物だと思う

  • 小学生の時に読んだっきりでしたが、社会人になりふと久しぶりに読みたくなって図書館で借りました。ぽっぺん先生シリーズのどこか不思議でじんわりとあたたかいお話が大好きです。

  • 「なぞなぞの本」の中に入りこんでしまったぽっぺん先生は、なぞを解かなければ外に出られない。ところが、そのなぞ解きときたら、トンチやヘリクツばかり。おまけに出会うのは奇想天外な動物だらけ。さて、どうなることやら。筑摩書房87年刊の再刊。

    小学生の頃に読んで、読書にハマるきっかけになった本!
    ぽっぺん先生シリーズ大好きだった!
    今読んでも面白いよ~!!

    しょっぱなの先生の書斎の描写がいい!
    今にも雪崩が起きそうな本棚★

  • うおお懐かしい。
    そうそう、児童書だけど、さえない生物学科の大学助教授ぽっぺん先生が主人公で、わりと普通に学問用語やら論文のことやら出てくるのである。
    なぞなぞの本に入り込んでしまったぽっぺん先生はもとの部屋へ戻ってこれるのか。
    ①ペリカンのくちばしには、なぜふくろがついているのでしょう
    ②タヌキ、クロブタ、ダチョウ、トガリネズミ。この中で、はなしのおもしろいどうぶつはどれでしょう
    ③カタツムリ、ミソサザイ、ワシ。この中で、にてもやいてもふかしても食べられないもの、それはいったいだれでしょう
    ④服がおふろにゆくとき、ポケットには何がはいっているでしょう
    ⑤イノシシの赤ん坊はなぜいつまでも眠れないのでしょう
    おもちゃかぼちゃは、ぜんぶで何種類あるでしょう
    ⑥少年はなぜピッコロをふいているのでしょう
    ……洋服たちの町のトウモロコシ屋がやけに印象に残っている。

  • 「子どもを本好きにする10の秘訣」>「芸術・感性」で紹介された本。

  • 再読。

    子どもの頃からもう何度も読み返している。けれど読むたびに、文章にあふれる風刺や機智やそこはかとない寂しさ、そして何より優しさを感じる。
    それが子どもでも大人でも、本が好きだという人に読んでほしい一冊。

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著者プロフィール

舟崎克彦  東京都生まれ。学習院大学卒業。白百合女子大学教授。「ぽっぺん先生」物語シリーズ(岩波書店)で路傍の石文学賞、『雨の動物園』(岩波書店)で国際アンデルセン賞を受賞。作品に「日本の神話」シリーズ(あかね書房)他多数。

「2013年 『クレヨンマジック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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