西風のくれた鍵 (岩波少年文庫 79)

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  • / ISBN・EAN: 9784001140798

感想・レビュー・書評

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    西風のくれた鍵
    岩波少年文庫079.
    1996/04/15.  第1刷発行 
    2000/02/16  新版第1刷発行

    著者:アリソン・アトリー
    訳者:石井桃子 (いしい ももこ)
    訳者:中川李枝子(なかがわ りえこ)

    発行所:株式会社岩波書店
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    手にした理由
    「時の旅人」を読んでみたかったのだけれど、短編集が有るというので、どんな感じかな?とこちらを先に読むことにしました。
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    もくじ
    ・ピクシーのスカーフ
    ・ゆきむすめ
    ・鋳掛屋の宝もの
    ・幻のスパイス売り
    ・妖精の花嫁ポリー
    ・西風のくれた鍵
    訳注
    訳者あとがき
    挿絵:アイリーン・ホーキンズ
    カバー画:太田大八(おおた だいはち)
    -------------------
    裏表紙より
    西風が暮れた木の実の鍵で幼いジョンが知った気の秘密とは?・・・
    表題作のほか、動物たちのことばがわかる妖精のスカーフを拾った少年の話。ピクシーに見染められて結婚した少女ポリーの話など、幻想的で楽しい6つの物語。
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    手にした理由
    アリソン・アトリーの「時の旅人」を読んで見る前に、短編でどんな作風なのかなと読んでみました。
    訳した人が、石井桃子さんと中川李枝子さんのお名前があった。
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    お話は6つ。文化も時代もちがう作者さんの作品。
    妖精、ピクシー、不思議な出来事。今も「そうだよね~」って思えるお話もあれば、「ふぅ~ん」ってお話もあった。
    概ね、良かったねで終われる。

    過去は変えることはできない。
    記憶は書き換えることはできる。と読んだのはいつだったろうか・・?
    ポリーのお話はちょっと寂しかったな。






    -------------------------------------
    著者アリソン・アトリーさんについて
    (裏表紙・そでより)
    1884年—1976年
    イギリスの作家。ダービーシャーのクロムフォード村の農場に生まれ、自然の中で幼い日々を過ごす。
    マンチェスター大学で物理を学び、ロンドンの助詞中等学校で理科担当の教職に就いた。
    アトリーの作品・グレイラビットシリーズなど幼年向けどうぶつ物語がよく知られている。
    出身地の歴史を題材に【時】を扱った長編ファンタジーの「時の旅人」や自伝的作品「農場に暮らして」はアトリーの資質の最良のものが現れた作品として、高く評価されている。
    短編集に「西風のくれた鍵」「氷の花束」がある。

  • アトリーの本は題名は聞いたことある有名なものが多いのですが、実は初めて読書しました。
    この短編童話集は、妖精などを題材にしたものが多くて、きっと好みだろうなあと思ったので借りてきたのですが、その予感はあたっていて、すごく面白かったです!
    最初のお話、「ピクシーのスカーフ」では、翻訳の言葉が粗暴な印象を受けたので、正直すごく戸惑ったのですが、それに続き収録されている「雪むすめ」、「幻のスパイス売り」「妖精の花嫁ポリー」が、すごく好みでした。
    欲に雪むすめとポリーは、自分の故郷に帰りたいと願い一度は故郷に帰るのですが、そこにはもはや自分の居場所はなく、自分と故郷は異質なものなのだと思い知り、育った先に帰る。
    みたいな展開が一緒なのですが、なかなかほかの童話には見られないようなお話の筋で、とても気にいています。

    物語を彩る文章も、叙情的でとても美しく、読んでいて想像力を膨らまされ、心地よいです。
    また、童話には人生に大切な訓えや気づきを含み与えられているんだなあと、改めて思わされる、そんな素敵な童話たちばかりで、本当に面白かったです。
    適度な分量、親切な訳注、それらも揃った、本当に良質な本になっています。
    童話のように生きていくことは、現代においては不可能なのかもしれないけれど、童話のような生き方を、忘れないようにしたいと思えるような、そんな一冊で、読んでよかったと思いました。
    おすすめです。

    以下に収録作品を挙げておきます。

    「ピクシーのスカーフ」
    「雪むすめ」
    「鋳かけ屋の宝もの」
    「幻のスパイス売り」
    「妖精の花嫁ポリー」
    「西風のくれた鍵」

  • 故郷のことを、これまでのことを忘れる薬。
    人間以外の世界に行ってしまったのなら、もう戻ることができないのなら、そういう薬が必要不可欠になるのだろう。

    浦島太郎にも、そんな薬、渡してくれたらよかったのに。
    玉手箱は、もしかしたらそのためのものだったのかもしれません。

    いっそ、忘れさせてくれたら、楽だったろうに。

  • 時の旅人みたいな長編も良いけど、短編も良かったです。
    表題作の西風のくれた鍵もよかったですが、幻のスパイス売りが大変心に残りました。あのスパイスを売るセリフやおばあさんに丁寧に接するッベシーのやさしさ、最後には幸せを手に入れてほっとしました。
    ちょっと悲しい妖精の花嫁ポリーもいいですね。
    小学校の頃に読みたかった!

  • 『ナツメグに シナモン
    ジンジャーに キャラウェイ
    インディーズ諸国の スパイス
    さあ 買いにおいで…』

    …このフレーズがふと思い出され、一体何の本だったかな、と探し辿りついた本。
    「ナツメグにシナモン、ジンジャーにキャラウェイ」…幼い頃、このとても異国情緒たっぷりに聞こえた単語に、“外国”への憧れを募らせていたこと…も思い出しました。

    意外と小学生の頃の記憶でも覚えているよう。あの頃の感情をちょっとでも胸の内心の内に、感じ取ることがまだ出来た自分には、ちょっと嬉しかった。

    そして、アトリーは個人的には短編の方が好きなのです。
    「時の旅人」「農場にくらして」よりも、「氷の花たば」「西風のくれた鍵」「グレイラビットのおはなし」…など。
    アトリーの、何とも少女らしさを持った目に写しだされて書かれた文章は、精密で、描写がとても丁寧でして、
    これが長編の文章になりますと、物語の展開のスピードに途中でイヤになってしまったんですね、特に小学生のころは(苦笑)

  • 温かく素朴なお話たち。命を宿した雪娘、妖精と結ばれた娘、魔法のスパイスを手にした娘、西風から鍵を渡された少年。イギリスの田園風景の元で繰り広げられる、少し不思議なお話。こういうお話を面白く感じることが出来ることが、幸せなんじゃないかなと思ってしまいます。派手さは全くないんだけど、だからこそ面白いというこの感じ。物語の扉を感じました。

  • こういう物語を読んでドキドキ・ワクワクする時間を持つことができる子供は幸せだと思います。  でも、今のご時世、この本の対象学年らしい(裏表紙にそう書いてある)、小学5・6年以上の子供はこういう物語を読んでどんな感想を持つのでしょうか?  なんか嘘っぽい。  子供だまし。  こんなことあるわけないじゃん!  そんな声が聞こえてくるような気がします。  恐らくはもっと幼い子供じゃないと、こういう物語が受け入れられない時代になっちゃっているんじゃないか?  そんな風に感じるのは気のせいでしょうか?

    どことなく「ファージョン・テイスト」が感じられる、イギリスの豊かな田園風景を背景とした幻想短編集。  ちょっと面白いなぁと思ったのは、イギリスの田舎の方では自動車が走るような時代になっても、ピクシーや妖精が暮らしていたり、アニミズム的な物の見方が残っていたりしたように感じられること。  もっともそれはアトリー個人の感性によるものなのかもしれませんが・・・・・ ^^;

    (全文はブログにて)

  • 「西風がくれた木の実の鍵で幼いジョンが知った木の秘密とは? 表題作のほか、妖精ピクシーのスカーフを拾った少年の話、ピクシーに見初められて結婚した少女ポリーの話など、幻想的な6つの物語を収める。96年刊の新版。]

    ピクシーのスカーフ 5−34
    雪むすめ 35−70
    鋳かけ屋の宝もの 71−85
    幻のスパイス売り 87−118
    妖精の花嫁ポリー 119−148
    西風のくれた鍵 149−172

  • この雰囲気、大好きだ~

  • ピクシーのスカーフ
    面白かった〜!スカーフ持ってみたい!

    雪むすめ
    半分くらい単調が続くけれど、
    中盤に急展開があり、ちょっと切ない。

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著者プロフィール

アリソン・アトリー 1884年、イギリスのダービシャー州の古い農場に生まれる。広い野原や森で小動物とともにすごした少女時代の体験をもとに、多くの物語やエッセーを書いた。日本語に翻訳された作品に『グレイ・ラビットのおはなし』『時の旅人』(以上岩波書店)、『チム・ラビットのおはなし』(童心社)、「おめでたこぶた」シリーズ、『むぎばたけ』『クリスマスのちいさなおくりもの』『ちゃいろいつつみがみのはなし』(以上福音館書店)など多数。1976年没。

「2020年 『はりねずみともぐらのふうせんりょこう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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