- Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001140804
感想・レビュー・書評
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2冊あります。
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素晴らしかった。
リンドグレーンの文も、大塚勇三さんの日本語も、ぐいぐいと読ませてくれる。
主人公は、現実世界には二度と戻れない寂しさを持っているまま、はるかな国で幸せに暮らしていくのがら、なんとも言えない。
登場する名前が、ミオ、ユムユム、ミラミス、など響きが愛らしい。 -
切なくて悲しくて... 救われてほしい
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リンドグレーンの美しいファンタジー。
幸せな国の隣にある死の国。それを支配する恐ろしい圧制者。昔から語り伝えられてきた救いの騎士と魔法の剣……と、よくあるアイテムが集まってはいるのだけど、それでもこんなにハラハラと引き込まれるのは、ミオが、家でも学校でもいじめられていたふつうの子で、はるかな国にやってきて王子になっても(そういう意味で、貴種流離譚でもある)、小さくてこわがりで、ぶるぶる震えている弱さをずっとかかえているからなんだと思う。
それにしても風景の描写や、馬のミラミスがミオに鼻先を寄せてずっと頭をもたせかけている様のいとおしいこと。美しい場面がそこここにちりばめられた物語でした。 -
美しい叙事詩。言葉が重なり、リズムが作られ、まるでお話がそこに織られていくよう。オペラ。波が打ち寄せ引くように繰り返され、語られていく。
そして最後は、また元の現実の世界を回想して、円が閉じられる。
現実の世界との繋がりを幾分かは保ったまま話が進んでいくことを、どう捉えたらいいのだろう。
彼の夢想、現実逃避の世界と捉えることも、また、死と結びつけることも出来るのだろうが、まだこれという解釈に落ち着かない。 -
出来過ぎたうつくしい物語に感じたもやもやが、読み進めるうちにかなしみのもやもやに変化した。
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傑作です。
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大好きな「ながくつしたのピッピ」を書いたリンドグレーンの作品。
孤児のボッセが「はるかな国」へ行って、騎士カトーと戦い、捕らわれていた子供や、動物や、光を取り戻すお話…
と、言うのが小学生の頃に読んだ私の記憶。
ひょんなきっかけで再び手に取ったから気付けたボッセの悲しみ、淋しさ、愛を求める心…
ボッセが求めていたのは、大きな幸せでは無い。キラキラ輝くものではなく、穏やかな普通にあると思われる日だまりのような幸せ。それが何よりも尊いものだと児童文学に含ませるリンドグレーンは、やはり素晴らしい作家だと痛感させられる一冊。 -
父親の愛を求める気持ちが切なくて…つらいです。
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え〜と……そういうことだよねぇ??って思いながらアマゾンレビューを見たら、やっぱりそう読むのが大人の読み方か……と思って切なくなった。そういう読み方をしたら怖いお話です。
物語というより詩……。そう、叙事詩みたいでとても美しいけれど。 -
初めて読んだのは、高校1年のときだったでしょうか。以来、忘れられない1冊です。
哀愁の漂う、神秘的で美しい冒険譚です。 -
「ミオよわたしのミオ」この題名に胸騒ぎをおぼえた。ウップランド通りで行方不明になったボッセ少年は金のリンゴの導きで、『はるかな国』へと迷い込む。そこで自分はみなしごボッセではなく、美しく優しい王様の子ども、ミオであることを知る。ミオは親友ベンカと瓜二つの少年ユムユムと白い馬ミラミスとともに、『はるかな国』を脅かす『外の国』の残酷な騎士カトーと対決に向かう。淡い光に包まれた美しい『はるかな国』に優しい父といながらも、ミオは常にウップランド通りでの生活を思い浮かべる。また『はるかな国』の王や親友や白い馬にウップランド通りに残してきた人々の面影がある。悪夢のようなカトーとの対決に勝ち、全ての取り戻された『はるかな国』なのに、さらわれた子ども達のために歌うなげき鳥が、啼きやまない理由にミオは気付かない。「ミオよわたしのミオ」それは少年の心が生み出し、その寂しい空洞にいつまでもこだまする切なる呼び声だ。望まれることを望む声。最後のなげき鳥が誰のために啼いたのか、これに小さな読者が気付いたとすれば、それはあまりに悲しい。子どもの孤独な心の有り様と、それが生み出す美しい幻想の冒険物語は、大人の読者が味わった方がより冴え冴えと染みるかも知れない。
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「ミオよわたしのミオ」
少年の心にこだまする切なる声の反響。
少年自身が生み出した声。
最後のなげき鳥が誰のために鳴いたのか、
これに小さな読者が気付いたとすれば、
それはあまりに悲しい。
大人の読者が少年の孤独に触れる冴え冴えとした幻想の冒険物語。 -
みなしごの少年ボッセは、「はるかな国」に迷い込み、王子ミオとして、王様である父親の愛を一心に受け、ユムユムという親友を得、騎士カトーと戦うのだけれど。<br>それはおそらくボッセの空想で。愛を求めても得られない少年は空想の世界に遊ぶしかなかったのかと思い至ると切なくて胸がつまる。
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みなしごとしてつらい日々を送っていた少年ボッセは、ある夜、別世界「はるかな国」へ迷い込みます。王子ミオとなり、白馬とともに残酷な騎士カトーと戦う少年の耳にひびいてきたのは、王である父の声でした。心ゆさぶる美しい物語