魔女ジェニファとわたし (岩波少年文庫)

制作 : E.L. Konigsburg  松永 ふみ子 
  • 岩波書店
3.99
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レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001140842

感想・レビュー・書評

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  • 表紙絵の右側の女の子が「魔女であるらしい」ジェニファ。
    左側の手を引かれている子が「魔女見習い」で、このお話の語り手であるエリザベス。
    ふたりとも同じ11歳で、魔女になる最初の儀式の場面だ。
    「クローディアの秘密」の作者・カニグズバーグの、またもや「秘密」と「成長」をキーワードにした作品。これがもう、面白いのなんの。
    自分以外の者に憧れたことのある人、そしてそれを記憶している人、心を鷲掴みにされるかも。
    ちなみに、タイトルに「魔女」とあってもファンタジーではない。
    ふたりの女の子の交流がメインで、しいて言えばふたりとも主人公かな。
    NYが舞台の、ハロウィンから翌年の春までの約半年間のお話。
    最後はあっという間に幸福感に包まれるので、その心の準備も怠りなくね(笑)。

    クローディアと同じく、今度の子たちも大変な読書家だ。
    本の中に秘密を発見しようと、読んで読んで読みまくる。
    ジェニファにいたっては「マクベス」まで読んでいる(!)。
    そこまでして読むわけは、本物の魔女になりたいから。
    でもそれは、ふたりだけの秘密。世界中の誰にも知られてはならない、大切な秘密だ。
    その秘密をあたためた分だけ、大きな成長がある。

    エリザベスの視点で話が進むので、一読するとジェニファに問題ありのように思われそうだが、エリザベスもかなりの問題を抱えている。
    大変な偏食児でクラスで一番小さく、おまけにぐずりやでしょっちゅう遅刻している。
    ただでさえ新興住宅地のアパートに引っ越してきたばかりで、友だちなどひとりもいない。
    かたやジェニファは、とても賢くて気のきいたセリフをぽんぽんと吐く子で、その利発さと黒人だという点で同級生たちとは一線を画している。
    どちらがどちらを支え、救ったのか。
    たぶん、お互いに支えあい救い合ったのだろう。「秘密」を仲立ちにして。

    後から思えばあっという間に過ぎ去ったように思える子ども時代のひととき。
    その年代でしか味わい得ないような孤独感や疎外感・焦燥感などを、実に巧みに表現した作品。
    モノクロの挿絵もカニグズバーグ本人によるものらしく、ハロウィンのコスプレ審査の場面などがとても面白い。
    「いまでは、ありのままのわたしたちで、たのしいのです」という最後の一行で、じわっと胸があったかくなった。

  • 久々に再読。カニグズバーグのいろいろな作品の肝である「秘密」ということがとてもワクワクする形ですっきり上手に描かれているなとあらためて思う。
    孤独だったり、シンシアの誕生パーティーの場面のように壁の花的存在であったりしても、ジェニファとの秘密を心に抱いているからエリザベスは満ちたりていられた。でも、そのジェニファとの関係も、秘密を媒介にした不安定なものだったから、一度はこわして作り直す必要があったんですね。いっしょに笑えるようになったふたりはもう大丈夫。そうなるともうシンシアのことなど気にもならなくなる。うまく表現するのが難しいのだけど、いろんな面で痛快だし、とても充実感を感じさせてくれる作品です。

  • おととい読了。カニグズバーグは何冊目かなぁ。
    話がすとんと落ちつき過ぎて、うーんと思う。オチをうまくつけたせいで、それまで描いてきたことが矮小化されたような。それとは別に、カニグズバーグ作品にはどれでもうっすら感じる選民思想的なものが、この作品でもわりと強く出ている気がして、それもちょっと苦手。「魔女」の立ち位置を選ばざるを得ないことへの疑問が、行き場を失って胸につかえる。
    実用的な処方箋だとしても、その「実用」性の裏側への意識は、どこかにあってほしいと思う。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「うっすら感じる選民思想的なもの」
      読んだのは、随分前だけど、感じなかったなぁ、、、再読しようかな?
      カニグズバーグは、私の中では最良の...
      「うっすら感じる選民思想的なもの」
      読んだのは、随分前だけど、感じなかったなぁ、、、再読しようかな?
      カニグズバーグは、私の中では最良の作家の一人。。。
      2014/06/20
  • カニグズバーグさんの少女友情もの

    頭がよくて本をよく読むジェニファと秘密のともだちになる(魔女の弟子入りをする)
    たのしい魔女ごっこ

    いろいろあってふつうのともだちになる

    そこまでがいろいろある~

    小さい子の心理がじょうずですね~

  • これまで親しかった人と、疎遠になってしまったり、けんかしてしまったりした後は、心にぽっかり穴が開いたような感覚におちいる人は、多いと思います。

    けんかが起きる瞬間、相手によって自分の大切なものを傷つけられた時に、怒りの感情が湧き起こります。魔女ジェニファと、わたしの間にも、そんな瞬間が起きてしまいます。自分が信頼していたジェニファが相手だからこそ、主人公のわたしには、複雑な気持ちが駆け巡ります。ジェニファに対して、憎しみを覚えますが、あんなにも仲良く過ごした日々が失われて、喪失感を忘れることができません。2人がどうやって、関係を回復していくのか、というところは、本書の読みどころの一つだと思います。本書には、描かれていませんが、ジェニファがいったいどんな気持ちで、けんかした後の日々を過ごしていたのかを、想像すると面白いです。ジェニファ―の思いを想像したとき、私は感動し、心が温かいもので満たされました。

  • カバーの内容紹介に、黒人の少女ジェニファとあったエリザベス…とあったが、本文中に、ジェニファが、アフリカ系であることを示す文章は、お母さんが参観に来た時に、黒人のお母さんは一人だけだからすぐにわかった、というところくらい。
    解説とかで、触れてほしかった。
    でも、そこを差し引いても、おもしろかった。
    エリザベスの、説明しずらい、ぐちゃぐちゃした感情とか、そりが合わないクラスメイトへの想いとか。
    40年ほど昔に書かれた本だが、内容は古びていない

  • 先生から「もっとたくさん友だちを作りなさい」って言われても、ちっとも心が動かなかったのに、この本を読むと、ふつうの女の子と、ふつうに遊ぶことがこんなにも幸せなことなんだって、じわじわと伝わってくる。

    でも空を飛ぶこと、カエルと友だちになること、まだ本当はあきらめてなかったりもする。

  • さすがカニグズバーグ。複雑だけれど、これほど現実を表したものはないだろう、という心の機微が描かれていく。孤立した二人が、孤独を経て、「秘密」を見出し、破綻し、しかし心が通じ合っていく。マクベスとの入れ子構造も見事。カニグズバーグ本人の挿絵も好きだ。

  • 子どもの頃はとにかくジェニファの魔女としてのクールさ、秘密を持つどきどき感にときめいていたのですが(笑)大人になってから読んでみると、ちょっと違った視点で読むことができました。

    学校以外の世界を持っているのも大事だ。
    みんなが平熱三十六度五分とは限らないから。

  • この作品は、カニグスバーグが『クローディアの秘密』と同じ1967年に発表し、この2作が同年のニユーベリー賞を争ったといういわくつきのもの。どちらも、少女の内面の成長をテーマとしているのだが、その深みにおいては、やはりニューベリー賞を受賞した『クローディアの秘密』の方に軍配が上がりそうだ。素材こそは魔女修業と魅力的なのだが、残念ながら今一歩、日常を突き抜けるものには欠けるようだ。もっとも、そうは言っても、こちらもきわめて傑出した作品であり、大人になってからも是非とも読みたいものである。

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