魔女ジェニファとわたし (岩波少年文庫 84)

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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001140842

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  • 表紙絵の右側の女の子が「魔女であるらしい」ジェニファ。
    左側の手を引かれている子が「魔女見習い」で、このお話の語り手であるエリザベス。
    ふたりとも同じ11歳で、魔女になる最初の儀式の場面だ。
    「クローディアの秘密」の作者・カニグズバーグの、またもや「秘密」と「成長」をキーワードにした作品。これがもう面白いのなんの。
    自分以外の者に憧れたことのある人、そしてそれを記憶している人、心を鷲掴みにされるかも。
    タイトルに「魔女」とあってもファンタジーではない。
    ふたりの女の子の交流がメインで、しいて言えばふたりとも主人公かな。
    NYが舞台の、ハロウィンから翌年の春までの約半年間のお話。
    最後はあっという間に幸福感に包まれるので、その心の準備も怠りなくね。

    クローディアと同じく、今度の子たちも大変な読書家だ。
    本の中に秘密を発見しようと、読んで読んで読みまくる。
    ジェニファにいたっては「マクベス」まで読んでいる(!)。
    そこまでして読むわけは、本物の魔女になりたいから。
    でもそれは、ふたりだけの秘密。世界中の誰にも知られてはならない大切な秘密だ。
    その秘密をあたためた分だけ、大きな成長がある。

    エリザベスの視点で話が進むので、一読するとジェニファに問題ありのように思われそうだが、エリザベスもかなりの問題を抱えている。
    大変な偏食児でクラスで一番小さく、おまけにぐずりやでしょっちゅう遅刻している。
    ただでさえ新興住宅地のアパートに引っ越してきたばかりで、友だちなどひとりもいない。
    かたやジェニファは、とても賢くて気のきいたセリフをぽんぽんと吐く子で、その利発さと黒人だという点で同級生たちとは一線を画している。
    どちらがどちらを支え、救ったのか。
    たぶん、お互いに支えあい救い合ったのだろう。「秘密」を仲立ちにして。

    後から思えばあっという間に過ぎ去ったように思える子ども時代のひととき。
    その年代でしか味わい得ないような孤独感や疎外感・焦燥感などを、実に巧みに表現した作品。
    モノクロの挿絵もカニグズバーグ本人によるものらしく、ハロウィンのコスプレ審査の場面などがとても面白い。
    「いまでは、ありのままのわたしたちで、たのしいのです」という最後の一行で、じわっと胸があったかくなった。

  • おすすめいただいたカニグズバーグ作品。
    すてきな物語に出会えてうれしい。


    「魔女」とタイトルにはあるけれど、
    ファンタジーではなく、ごくふつうの女の子のお話。

    秘密をテーマに描かれているのは、
    魔女を名乗る女の子ジェニファと、見習いのエリザベス、2人の友情のお話なのです。

    2人が待ち合わせするのは土曜日の図書館。
    秘密を共有する図書館の時間、なんて素敵すぎない?

    何気ない日常を「秘密」と一緒に切り取った物語になっている、ところがとてもよかった。
    嫌な女友達にちょっとずつ嫌がらせをする2人も微笑ましいの。どの時代のどの世代にも嫌な奴っているんだよね。



    「クローディアの秘密」は読んだはずだけど
    全然思い出せないので、そっちも読もうかなあ。

  • これまで親しかった人と、疎遠になってしまったり、けんかしてしまったりした後は、心にぽっかり穴が開いたような感覚におちいる人は、多いと思います。

    けんかが起きる瞬間、相手によって自分の大切なものを傷つけられた時に、怒りの感情が湧き起こります。魔女ジェニファと、わたしの間にも、そんな瞬間が起きてしまいます。自分が信頼していたジェニファが相手だからこそ、主人公のわたしには、複雑な気持ちが駆け巡ります。ジェニファに対して、憎しみを覚えますが、あんなにも仲良く過ごした日々が失われて、喪失感を忘れることができません。2人がどうやって、関係を回復していくのか、というところは、本書の読みどころの一つだと思います。本書には、描かれていませんが、ジェニファがいったいどんな気持ちで、けんかした後の日々を過ごしていたのかを、想像すると面白いです。ジェニファ―の思いを想像したとき、私は感動し、心が温かいもので満たされました。

  • 先生から「もっとたくさん友だちを作りなさい」って言われても、ちっとも心が動かなかったのに、この本を読むと、ふつうの女の子と、ふつうに遊ぶことがこんなにも幸せなことなんだって、じわじわと伝わってくる。

    でも空を飛ぶこと、カエルと友だちになること、まだ本当はあきらめてなかったりもする。

  • 子どもの頃はとにかくジェニファの魔女としてのクールさ、秘密を持つどきどき感にときめいていたのですが(笑)大人になってから読んでみると、ちょっと違った視点で読むことができました。

    学校以外の世界を持っているのも大事だ。
    みんなが平熱三十六度五分とは限らないから。

  • カニグズバーグさんの少女友情もの

    頭がよくて本をよく読むジェニファと秘密のともだちになる(魔女の弟子入りをする)
    たのしい魔女ごっこ

    いろいろあってふつうのともだちになる

    そこまでがいろいろある~

    小さい子の心理がじょうずですね~

  • 久々に再読。カニグズバーグのいろいろな作品の肝である「秘密」ということがとてもワクワクする形ですっきり上手に描かれているなとあらためて思う。
    孤独だったり、シンシアの誕生パーティーの場面のように壁の花的存在であったりしても、ジェニファとの秘密を心に抱いているからエリザベスは満ちたりていられた。でも、そのジェニファとの関係も、秘密を媒介にした不安定なものだったから、一度はこわして作り直す必要があったんですね。いっしょに笑えるようになったふたりはもう大丈夫。そうなるともうシンシアのことなど気にもならなくなる。うまく表現するのが難しいのだけど、いろんな面で痛快だし、とても充実感を感じさせてくれる作品です。

  • 自分が生まれる前に書かれた作品なのに、登場する子は今の子供と同じような悩みや苛立ちを抱えていた。気位の高いジェニファはやけに大人ぽくて人間味に欠けるが(さすが魔女)、同世代の子が憧れるのわかる!

  • ニューヨーク郊外の小学校に転校してきたばかりのエリザベスは、ハロウィーンのおまつりの日に、黒人の少女ジェニファと出会いました。自分は魔女だという風変わりなジェニファとエリザベスは、秘密の約束をかわします……。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    去年?か一昨年くらいに読んだからわりと話覚えてたなぁ。
    面白いよね、なんとなく……
    なにが面白いのか聞かれるとわかんないんだけど、自分たちもこういうごっこ遊びの延長みたいなことしてたけど、ここまで本格的にやると、なんか真実味がすごあなぁみたいな笑

    ジェニファの皮肉ぽいとこが可愛くて面白い。

  • 子どもの世界はたいへんなのだ。孤独で寂しくて。子どもは子どもで過酷な中を戦っているんだ。一人でもすこしでもわかりあえたらすごくうれしい。

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