ぼくがぼくであること (岩波少年文庫 86)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001140866

感想・レビュー・書評

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  • 優等生ぞろいの兄妹の中で、ひとりだけダメな6年生、秀一。極端な教育ママの抑圧に耐えかねて、思いつきから家出する。乗り込んだ軽トラがひき逃げしたのを目撃してしまい、転がり込んだ山奥の一軒家。そこには頑固な老人と孫が二人だけで暮らしていた。同い年とは思えないほど大人びた少女夏代。二人の暮らしを手伝ううちに、秀一は少しずつ成長していって…。
    1969年刊行のため、戦後日本の負の遺産とか、当時の学生運動とかが織り込まれた展開は古さを感じます。それでも、ひと夏の少年の成長物語として、やはり永遠に読み継がれてほしい一作だと思います。

  • このお話は4年生のぼくにはちょっと難しかったかな(笑)ちょっと複雑だけど面白かったです。

  • ちょっと気持ちが涸れてるなって時に読んで、すかっとした。だから本の世界って好きだ。自立していく様子がかなり小気味いい。いつかまた読みたい本。20 Dec 2006

  • 『砂場の少年』と同じく中学生の頃に読んだ。かなりの衝撃でその後何度も繰り返し読んだ。できのいい兄と妹にはさまれて親の期待に応えられず身動きできない主人公の苦しみが今でも胸の中に残っている。「イイ子」だった私が大人に対して初めて凶暴といえるほどの攻撃的な気持ちを持った。主人公が家出をして帰ってきた時に私もひとつ大人になったような気がした。

  • ふむ、まあ、児童文学だな。
    一部、事件の決着が回収されなくてモヤモヤするけど、こんなもんか。
    …と、解説ページもパラパラと見ていた。ら。
    この著者の作品、大林宣彦監督作品の原作になっているらしい。
    え、『転校生』だけじゃなくて、『とんでろじいちゃん』もこの人が原作なんですか!?!?
    とんでろじいちゃんは、小さい頃に見て、なんだかとても好きなのだ。
    小中学生の頃好きだった作家である富安陽子さんが描くような、日常の中に八百万がひょっこり顔を出すような、ワクワク、ちょっぴり怖い冒険が、自分のひと夏の冒険みたいにずっと心に残ってるのだ。
    違う作品の話になってしまったけれど、これが自分にとってのこの本についての大事件。

  • 予想以上に、社会派な作品。男の子が、母親に疑問を持ち、家出をして、様々な経験をして成長していく。
    優等生と思っていた兄や、母親の手先にしか思えなかった妹。弱いと思ってた父。反抗的になったり、批判したくなる年頃の子どもに、考えるきっかけを与えてくれるかも。終わりまで、飽きずにあっという間に読めた。

    • はしのさん
      うれしいなあ、僕の大好きな作品です。この作品に小学生の自分は大きな影響を受けました。
      うれしいなあ、僕の大好きな作品です。この作品に小学生の自分は大きな影響を受けました。
      2013/05/24
  • これは面白い!!  面白い・・・・のと同時に多くのことを考えさせられる物語でした。  でも正直なところ子供時代にこの本を読んでいたら、KiKi には秀一の気持ちが今ほどは理解できなかったような気がします。  なぜなら、KiKi は秀一タイプの子供ではなく、どちらかと言えば妹のマユミタイプの子供だったと思うので・・・・・。  つまり、そこそこ勉強もできるし、大人の気に入る子供を演じることもできる子供。  まあ、マユミとの違いがあったとすれば、「自分を可愛く見せる」というセンスには欠けていた(少なくとも KiKi は外見的な可愛さにはあまり重きを置いていなかった女の子だったので 苦笑)し、マユミほど陰湿じゃない(少なくとも告げ口をするのはあまり好きじゃなかった)ぐらい・・・・かも ^^;

    母親のヒステリックさ加減はちょっとオーバーな気がしないでもなかったけれど、KiKi の母親世代(物語の母親と近い世代)の専業主婦で子供に期待の多くを寄せているタイプっていうのは多かれ少なかれ、この物語の母親と同じような部分を持っていたような気がします。  本人は子供と家族のために一所懸命なんですよ。  でも、ある意味で世間知らずで、ある意味で閉鎖的で、ある意味で理想主義者。  だからいわゆる「いい子」のステレオタイプには甘くて、秀一みたいなタイプの子供は大の苦手なんですよね~。  で、秀一が女の子だったら、親にも負けない口(物言いと言うか、お喋りと言うか)で自分を表現することもできたりするんだけど、残念なことに秀一は口下手な男の子なわけですよ。  だから、自分を、自分の考えていることや感じていることをどう表現したらいいのか、わからないんですよね~。  で、子供のほうが黙っていることをいいことに、親の方はガンガン押し込んでくるし、対する子供はとりあえず今この時点での嵐が通り過ぎるのを待っている・・・・・。

    (全文はブログにて)

  • 新聞で紹介されていて、興味を持ったので、読んでみました。
    主人公の秀一は、5人兄弟の4番目の男の子(兄が2人、姉・妹が一人ずつ)で小学校6年生。優秀で要領のいい兄弟の中で、ひとり、勉強嫌いということで、教育ママである母親に叱られまくりの冴えない毎日。そんななか家出を想像していたところ、それがいつのまにか家族に伝わってしまい、「おまえが家出なんかできるわけがない」と言われてひくにひけなくなり、ついに家出。なんとも冴えない主人公ですが、その先で出会った老人と女の子の住む家での生活で、いろいろなことを発見して、帰ってきます・・・。
    小学生向けに書かれた本と言うこともあり、すぐに読めて、おもしろかったです。次々と出来事が起こり、スピーディな展開で飽きさせない、ということもあります(これと同じ内容を大人向けに書いたら、もっとすごくボリュームのある本になったはずです)。また、劣等生の秀一の目を通して見た世界が読み手の共感を得やすいだろうと言うことも思います。また、扱っているテーマが「家族」であることも普遍性のあるテーマだと思いましたし、初めて公表されたのが1969年と古いのですが、その時代を感じる内容が多く盛り込まれていることが、逆に、新鮮に感じました。
    現在、母親である自分から見ると、母親の描かれ方がステレオタイプにも思えましたが、子どもの反乱がひとつのテーマであるので、この描かれ方もやむなしかな、と。郵便物を取り返そうと息巻く秀一を、なんとかしてとめようとする母親は、気の毒を通り越して滑稽そのものでしかありませんが、この時代のお母さんならありえたのかしら。自分自身、母親の立場でありながら、少し突き放してこの母親を見ることもできるのは、これが書かれた時代に私自身が産まれてもいなかったから(世代的には子どもの方に近い)、といえるかもしれません。
    とにかく面白くて、あっという間に読んでしまいました。子ども向けだからといって、あなどれませんね。

  • やかましい母親や優等生ぞろいの兄妹のなかで,秀一だけはダメな子だった.
    ひょんなことから家出をした秀一は,同い年の少女とおじいさんの住む農家
    で,ひと夏をすごす.次々とふしぎな事件にまきこまれていくなかで,秀一は,
    見せかけだけの家庭や社会の真の姿を感じとるようになっていく.少年の
    力強い成長を描く物語.

  • 確か中学生の頃に読みました。
    兄弟の中でも一番劣等生な主人公が、家出によって成長する物語。
    劣等感だとか、親への反発だとかそのモヤモヤした気持ち。とても衝撃を受けた覚えが。
    今でもたまに読み返してみる本です。

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著者プロフィール

1931年北海道小樽市生まれ。児童読み物・ノンフィクション作家。戦時下を描いたノンフィクションに『ボクラ少国民』シリーズ(辺境社)、『少国民の名のもとに』(小学館)、『アジア・太平洋戦争史』(岩波書店)、『戦時児童文学論』『靖国の子』(大月書店)などがある。

「2019年 『山中恒と読む 修身教科書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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