ネギをうえた人―朝鮮民話選 (岩波少年文庫)

制作 : 金 素雲 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 70
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001140897

作品紹介・あらすじ

人間はどうしてネギを食べるようになったのか?ネコとイヌがけんかするのはなぜ?おばあさんは悪いトラをどうやって追いはらったか-動物と人間がくりひろげるのどかな世界が語られる朝鮮の民話33編。小学4・5年以上。

感想・レビュー・書評

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  • 朝鮮の民話集である。
    民話の類は結構読んでいるような気がしていたが、そういえば朝鮮の民話って知らなかった。表題作がかなりシュールだという話を聞き、こりゃおもしろそうだと図書館で借りてみた。

    岩波少年文庫。かなり年季の入った本だ。
    34のお話が入っている。ごくごく短い1~2ページ程度のものから、やや長めの10ページを超えるものまで。

    トラが多く出てくるのが印象的。やはり身近にいた動物であるということだろう(参考までに、トラの生息域http://www.wwf.or.jp/activities/2009/01/605313.html)。悪役で登場することが多いのは、やはり人が襲われることもあったということか。
    ヒキガエルやシカやウサギも多いような。

    ざーっと読んでいくと、類話を目にしたことのある話もある。「おむこさんの買いもの」は「松山鏡」にちょっと似ているし、「銀のさじ」は「御神酒徳利」に似ている。「トラとウサギ」は「かちかち山」みたいだ。「金のつるのなべ」は、「おおかみと七匹の子ヤギ」に「お天道様金の鎖」を足したよう。

    ふーん、そうですか、という感じのとりたてて毒のない話もある。
    が、目が点になるものもいくつか。エキゾチックでは片付けられない。この発想はどこから来るのか。すごい。

    表題作を除けば、個人的仰け反る話の一押しはこれか。「物語のふくろ」
    「物語好きの男の子がいて、物語を聞くたび、『ためておくんだ』と腰のふくろに物語を押し込んでいた」・・・はい・・・?
    「男の子は大きくなり、結婚することになった。」・・・え、いきなり時間経ちすぎちゃう・・・?
    「物語たちはせまいところに押し込められていたことを、非常に恨みに思っていた。」・・・まぢですか・・・?
    「そして物語たちは、復讐を企てた。」・・・!!!
    衝撃である。そんなことがあるのである。夢にも思いませんでした。
    どうなるか、気になった方はぜひ本書を。

    教訓。
    皆さん、物語を独り占めにしてはだめですよ。おもしろい話を聞いたら、どんどん回りの人に教えて、物語に恨まれないようにね。

  • 私的岩波少年文庫Best3の一つ。

    近くて遠い国の昔話。もっと色々紹介されて、近くて近い国になれば良いですね。。。

  • 「人間が、まだ、ネギをたべなかったころの話です。
    そのころは、よく人間が、人間をたべました。」

    朝鮮半島に伝わる民話が
    33つ集められた本です。
    その中には、上に引用したような
    びっくりするような書き出しの
    「ネギをうえた人」というお話も。

    民話として一括りにされていますが、
    神話、童話、寓話など
    さまざまなジャンルが含まれています。

    子ども向けではあるものの
    私はこれを読んでどえらく感激してしまいました。
    まったく自由な形態で
    物語が展開するからです。

    きっと今抱いている感激は、
    子どもの頃ではわからなかったものだと
    思います。

    私は、子どもの頃、生意気なリアリストでした。

    「民話」「童話」のたぐいは
    非科学的な感じがして、
    もしかしたら小馬鹿にして
    受け取ってしまっていたかもしれないのです。

    成長したからこそ理解できる、
    人間の奥底に眠る
    本能の物語。
    民話にはそれが息づいています。

    それから、身近な地域でありながら
    「朝鮮のお話」を
    ちっとも知らなかったなと
    少し恥ずかしくも感じました。

    大人にこそ読んでもらいたい物語集です。

  • 意外に知らない朝鮮半島の民話集。北欧神話に似たもの、日本や中国に似たもの、世界各地の民話に類似したものなども多いが、この板の人間に取っては呪術的な話がいくつか含まれているのが嬉しい。
    「すがたを盗まれた話」は川で切った爪を食べた野ネズミが、爪の持ち主になり変わる話。爪には人間の精気が宿っているため、それを食べることで化けることが可能だった。表題作は、「そのころは、よく人間が人間を食べました。」で始まるカニバリズムくさい話。どうしても人間が牛に見えてしまうため、人々は間違ってお互いを食べてしまっていたが、主人公も間違って兄弟を食べてしまったことから反省し、人間が人間に見えるまともな国を探し放浪する。

  • ほのぼのとして良い。
    なんか童心に帰れます。
    挿絵も素敵!

  • 今では BS チャンネルの番組表を眺めてみると、「はて、ここは日本か、韓国か??」と訝しく思っちゃうぐらい、韓流ドラマが横行している我が日本国。  これだけ四六時中韓流ドラマにさらされている割には、彼の国の文化に関しては実はさほどちゃんと認識されていないように感じるのは KiKi だけかしら??  ま、そんなことを言う KiKi 自身にしたって近くて遠い国韓国について、ましてや拉致問題でかなりお馴染みになった北朝鮮に至ってはほとんど何も知らないと言っても過言ではない人生を送ってきています。

    この本のあとがきの編者の言葉にある



    デンマークに生まれたアンデルセンの物語ならたいてい知っているあなたたちに、今度はこの近い隣の国の昔がたりも読んでもらいたいと思います。




    はまさに KiKi 向けに語りかけられた言葉のように感じます。  でも実はこの本は1953年にはちゃんと日本に紹介されていたんですねぇ・・・・。  きっと子供時代の KiKi は岩波少年文庫のラインナップを眺めていても「朝鮮民話選」と見た瞬間に切り捨てていたような気がします ^^;  朝鮮と言う国を蔑視まではしていなかったけれど、やっぱり心の中のどこかに西洋文化への憧れを強く抱いていた子供でしたから、心の中のどこにも「お隣の国」という意識さえ持っていなかったような気がするんですよね~。



    さて、今回初めてこの本を、ひいては朝鮮の民話というものに触れてみたわけですが、これがなかなか面白い。  少しは知っている中国の民話にもどことなく似ているような似ていないような、我が日本国の民話にも似ているようなところもあるけどどこか違う・・・・。  もっと言えば「こんな話、グリムにもあったよなぁ」な~んていうことを感じることもあったんだけど、何故か途中から「え?  そっちへ行っちゃうの??」と予想を裏切ってくれたりして、知っているパターンを外されて意表を突かれることが多かったように感じます。

    ヨーロッパの民話では多くの場合「オオカミ」が演じる悪役を朝鮮民話では「トラ」が演じています。  KiKi の記憶が正しければ確か韓国の建国神話の中に虎と熊が出てきて、熊の方は神様(?)の言いつけを守って人間に生まれ変わることができたけれど、虎の方は逃げちゃったというような話があったように思うので、やっぱり彼の地では「トラ」という生き物は悪役商会のトップスターの位置に君臨しているのかもしれません。

    この本に収録されているお話は全部で33編あるんだけど、その構成は?とちょっと俯瞰してみるとどこか雑然としている印象を受けます。  何て言ったらいいんだろう、「神話」と「民話」が入り混じっているような雰囲気があるんですよね~。  日本で言うなら「古事記」に分類されるような話もあれば、「おとぎ草子」に分類されるような話もあるっていう感じなんですよ。  

    そうそう、それから結構意外だったのはどこにもキムチが出て来なかったこと!(笑)  キムチって比較的新しい食材なんですかねぇ・・・・・。  そう思って調べてみたらキムチの文献初出は13世紀初頭ぐらいなんだそうです。  まあ文献に出てきた時に初めて食べ物として作られたとは限らないわけだけど、民話として定着するにはちょっと若すぎるとは言えるかもしれません。

    表題作の冒頭は結構意表をついています。  

    人間が、まだ、ネギを食べなかった頃の話です。  その頃は、よく人間が、人間を食べました。  それは、お互いが、牛に見えるからでした。


    出た~!  人肉食!!  しかもその理由は人間同士、お互いが牛に見えちゃうとは!!  どこをどうつつけばこういう発想が生まれてくるのか、目がテンになっちゃったとしか言いようがありません。  でも、中国では「西遊記」にも「水滸伝」にも人肉食の話は当たり前みたいに出てくるし、大陸では当たり前の風習(と呼んでいいのかどうかもわからないけれど)だったのか、それとも KiKi が知らないだけで我が日本国も古の時代には人肉食が当たり前のように行われていたのか、知りたいような、知りたくないような・・・・・・ ^^;

    食糧難の中である意味緊急避難的に行われた人肉食だったらまだ少しは理解できそうな気がしないでもないけれど、そうじゃなかったら KiKi にはその現実(?)を直視できる自信はないなぁ・・・・。  そんな風に感じるのは KiKi が無類の「ネギ好き」だから(← この物語の中では人間がネギを食べるようになってから人肉食はなくなったことになっている)・・・・・なのかしら??



    さて、最後に・・・・  この本の宮崎駿さんの推薦文は以下のとおりです。 



    となりの国、韓国の民話をあつめた本です。  34(タイプミスではありません。  宮崎さんが紹介しているこの本は1953年刊行の古い版で、どうやらそちらにはもう1編掲載されていたらしい・・・・)のお話の中でも、本の題になっている、ネギをうえた人のお話は忘れることができません。  あなたはネギを好きですか?  ぼくは大好きです。




    はい、大好きです、ネギ。  だから「人肉食」と聞いただけでぞっとしてしまうのかもしれません。

  • ☆「おむこさんの買い物」
    2012/09/25 5-2

  • ☆おむこさんの買いもの 2012/07/21

  • 朝鮮の神話は少し読んだが、民話は読んだことがなかった。暖かく、優しく、滑稽。昔聞いた子守唄のように懐かしい。同じ木と土の文化圏の昔話なんだな。民話が洋の東西を問わず似ているのは不思議だなあ。人づてに伝わってきた話が、それぞれの国にそれぞれの姿で定着した証なんだろうか?

  • 韓国の民話。トラの登場が多いのと、展開が日本のものと似ているようで、終わりというか展開の仕方がやっぱりちょっと異なるなと感じた。
    ほとんどが短いお話なので、簡単に読めて良い。

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