たのしい川べ (岩波少年文庫 99)

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  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001140996

感想・レビュー・書評

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  • モグラ、川ネズミ、アナグマ、ヒキガエルなど、川辺に住む動物たちを主人公にしたお話。動物たちは完全に擬人化されていて、ボート遊びやピクニックを楽しみ、人間と同じように食事をして暖炉にあたる。当時のイギリス人の生活が垣間見えて面白い。E・H・シェパードの挿絵も可愛くて好き。
    英国らしい皮肉の効いたユーモアもあって楽しいお話だが、近代的な刺激のある生活に気をとられて、身近な自然の美しさを忘れがちな人間を風刺しているような気もするなあ。

  • 大人になってからもう一度読むべき。間違いを認めて素直に謝ったり、友だちのことを逃げずに背負ったり、今のわたしにはできないことを、ここに出てくる動物たちは一生懸命にやっている。ヒキガエルも含めて、出てくるみんなが愛おしい。人間と動物の生活があいまいに混じりあって、ときどき矛盾するシーンがあるのもご愛嬌で好き。

  •  「ひみつ王国」を読んで早速一冊読むことにする。こういうの大好きですよ。これは、幼い子ども向きじゃないですよね?ちょっと生意気を言い始めたローティーン向け、いえ、いっそ大人向けといってもいい。訳文の妙ももちろんありますが、皮肉とユーモアがビリっと効いてて辛口です。ただ美しいだけのファンタジーと思ったら大間違い、世の中厳しいもんです。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ねこ和毛さん
      「ひみつの王国」!
      仰言る通りだと思う。大人向けですね、、、
      ねこ和毛さん
      「ひみつの王国」!
      仰言る通りだと思う。大人向けですね、、、
      2021/02/06
  • 春になり地下の家から飛び出したモグラが、川ねずみと出会い、暮らす毎日を描く。温厚な性格のモグラと思いやり深いねずみ、森の仲間たちと季節を存分に味わう豊かな暮らし。時に困難にあったりもするが、仲間との関わりによって切り抜けて行く。大らかで金持ちだが、飽きっぽく、スピード狂で自慢屋のヒキガエルは、とんでもない事件を引き起こす。モグラ達、友達の助けを借りて暮らしを取り戻そうとする顛末は、ドキドキさせられる。やや難しい言葉もあり、小学生高学年向きだが、読んであげれば中学年くらいから。
    穏やかな風景で現代の子には刺激的ではないかもしれないが、友情の温かさ、思いやりの心地よさを感じられる物語を子供時代に楽しんで欲しい。

  • 梨木香歩さんが意識されている作品だとどこかで目にしてから、読んでみたいと思っていた作品です。

    モグラとネズミ、アナグマとヒキガエルの4匹の動物たちを中心に、川辺に住まう生き物の暮らしを描いた物語。
    冒頭から、春に呼ばれて地上に出たモグラが初めて目にした川の描写に魅了されました。
    春の喜びにあふれた楽しげで美しいきらめきに、誘われるように読み進めました。

    個人的にはネズミとモグラがカワウソ坊やを探しに行って大いなる存在に出会う「あかつきのパン笛」と、川辺に定住するネズミが旅に憧れる「旅びとたち」が特に印象に残りました。
    美しい自然描写も去ることながら、動物たちの心の動きがとても素直で、いとおしく感じられます。

    ヒキガエルの自分勝手なトラブルメーカーっぷりに、最初のうちは「何てヤツだ!」と反発しながら読んでいたのですが、最後には憎めなくなっているから不思議。
    訳者あとがきによると、このヒキガエルの性格は著者の息子にそっくりなのだとか。
    お父さんが語ってくれる、自分そっくりの登場人物が出てくるお話に、小さな男の子は夢中になったのだろうな。

  • イギリスの人里離れた川辺を舞台に、モグラくんと川ねずみくんの友情、わがままなヒキガエルくんに翻弄されながらの冒険が繰り広げられる。
    現代社会に疲れた方にオススメ。癒されること請け合いです。

  • 宮崎駿がこの作品を推していたので、読んでみた。大人が読んでも十分に楽しめるファンタジー。挿絵がとても可愛らしい。

  • 威張りやで問題児のヒキガエルくん、真面目で繊細なモグラくん、心配性のネズミくん、ドンと構えている親分肌のアナグマくん。それぞれの個性を尊重しながら助け合いながらの川べの生活。穏やかな生活が続くのかな? とゆったりした気持ち読んでいたらヒキガエルくんがやらかしてくれた(笑)。平凡な日常なんて実際はないのかもね。人も一人では生きていけない。個性を尊重しながら支え合う関係を、投げ出さないで大切にしなきゃとやさしい気持ちで思えた。心が洗われる感じ、また読みたい。

  • 動物たちがとても人間味があって、
    むりやり感がなくて、
    お馬鹿なところや間抜けなところも愛しい。

  • イギリスの児童文学の屈指の名作ファンタジーと言われているケネス・グレアムの「たのしい川べ」(1908年)を読みました。

    先日読んだ、斎藤惇夫さんの本「私はなぜファンタジーに向かうのか」で、絶賛されていた本です。

    「熊のプーさん」の著者A.A.ミルンが熱狂的な礼賛者で以下と述べてるそうです。

    「人はほとんどの本の価値について論じ合うことはできるが、この本についてだけはそれができない。青年は恋する人にこれを贈り、その反応をみて、恋文を返してもらうかどうか判断するだろうし、おとなは、この本を甥に贈り、遺言の書き換えを検討するかもしれない。初めて訪れた客には家族が朗読し、その人となりを判断する。これは人物審査の本なのである」

    いったい、そこまで言わせるこの本の魅力はなんなのだろうと思って読み進めましたが、最近、気になってどうしようもない「川」をめぐる記述含めて自然の豊かさの表現が詩的に美しいと思いました。

    モグラ、川ネズミ、アナグマ、ヒキガエルの四匹のキャラクターの個性が強く、「あるある」とニヤニヤと感情移入しながら楽しく読めました^ ^

    それにしても、アメリカのセオドア・ルーズベルト大統領がアメリカでの出版を強く勧めたのは、自分の子供たちがこの本にすっかり夢中になったからだそうですが、大統領が児童図書の普及に熱心であるのはすごいことだとおもいました。

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