みどりのゆび (岩波少年文庫)

制作 : ジャクリーヌ・デュエーム  Maurice Druon  安東 次男 
  • 岩波書店
4.12
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本棚登録 : 605
レビュー : 98
  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001141016

作品紹介・あらすじ

裕福に暮らすチト少年は、お父さんが兵器を作る人だったことを知り、驚きました。じぶんが不思議な(みどりのゆび)をもっていることに気づいた少年は、町じゅうに花を咲かせます。チトって、だれだったのでしょう?小学4・5年以上。

感想・レビュー・書評

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  • 登録したのはかなり前なのに、レビューが書きにくくて放置していた。
    再読したのでここに記録しておこう。

    上手に花を咲かせるひとのことを「緑の指を持っている」などと表現するが、このお話しはただ優しいだけではない。
    穏やかな言葉で紡がれているから見逃してしまうところだ。
    レビューが書きにくいというのは、その部分である。

    ミルポワルの町の裕福な家に生まれ育った少年チト。
    しかし学校では居眠りばかり。
    「ほかのお子さんと同じではない」という理由で退学させられてしまう。
    でもそこは、おおらかなお金持ちの考えること。
    両親は、学校の代わりに色々な体験をさせることにしたのだ。
    そして、庭師のムスターシュから植物について教わるのだが、チトは自分の親指が「みどりのゆび」であることを知ってしまう・・

    人知を超えた不思議な力というものは、それを持った者を時に苦しめる。
    刑務所・貧民街・難病を抱える女の子の病室と、チトは次々に花を咲かせていくが、チトの心は休まる暇もなかったのではないだろうか。
    ある国と国との間で始まろうとしている戦争。
    その罪深さを知り、嘆いたチトは「みどりのゆび」を使うことに決める。
    出来すぎたメルヘンと、思われる方も多いことだろう。
    しかし「あり得ない」と言う前に、なぜそう思うのかを考えてみるといい。
    考えれば考えるだけ、何かが心の中に実ることだろう。
    花というのはひとつの比喩であって、誰しもの胸の中にある種を、芽吹かせ育てることが大切なのだと、この作品は教えてくれる。
    いや、それは穿ちすぎというものかもしれない。
    その、行きつ戻りつの繰り返しで、読むたびにこちらの心も揺れてしまうのだ。
    奇跡などとはほど遠い、凡人ゆえに。
    見ても見えずの、烏合の衆のひとりであるゆえに。

  • 「花咲家の人々」で桂くんが感想文に取り上げていた本との事で興味を持ちました。とても良いお話でした。挿絵も素敵です。最後にチト自身の事を明らかにして結ぶわけですが、それは結局、人間がおろかさに気付いて戦争を回避したという事でなく、人知を超えた存在の力よると言う事になってしまってないか?と、いささか残念に思ってしまいました。それはキリスト教の影響の為でしょうか。もっと単純に物語を受け取ればよかったかな。

  • 花を育てるのが上手な人を

    みどりのゆびを持っているというらしい。

    主人公のチトは心やさしい。

    兵器を製造する親のことを思い胸をいためるのね。

  • 寓話だけど、形だけでなく人物や会話に生き生きと命が宿っている名作。

  • 小学生の頃に読んだ本で一番覚えている本。説教臭い内容なんだけど、主人公チトと馬のジムナスティックの関係に切なくて愛しい気持ちになる。
    ーーーー
    子どもの反応@9歳11ヶ月:本棚に置いて1週間。未読。

  • フランスの童話です。
    いい大人が童話なんて読んでどうするの?
    そんな声が聞こえてきそうです。
    とんでもない。
    特に不朽の名作と呼ばれる童話からは、大人が今読んでも学べることがたくさんあります。
    もっとも、本書はどちらかと云えばマイナーな部類の童話でしょう。
    物語の主人公は、ミルポワルというまちに住む、「チト」というちょっと変わった少年です。
    他人より遅れて8つの年に学校へ入りますが、居眠りばかりしてついには退学させられます。
    ただ、チトには他のだれもできない特技がありました。
    それは、「みどりのおやゆび」を持っていて、どこにでも花を咲かせることができるのです。
    貧民街にも、刑務所にも、病気の女の子の病室にも、動物園にもいっぱい花を咲かせ、みんなを幸せにします。
    ところで、チトはお金持ちの家の生まれでした。
    おとうさんは戦争に使う武器や軍需品を製造する工場を経営していました。
    そして、バジーと呼ばれる国と、バタンと呼ばれる国の間で戦争が起きます。
    おとうさんの経営する工場はバジーにもバタンにも武器を供給します。
    チトはこのことを知り、とても悲しみます。
    ただ、悲しんだだけではありません。
    チトはとても勇気のある少年でした。
    大砲や機関銃など、バジーとバタンに売る武器に「仕掛け」をし、いざ使おうとすると花が咲くように仕向けたのです。
    バジーとバタンは戦争するのをあきらめ、平和条約を結びます。
    まるで、おとぎ話だと笑うかもしれません。
    ただ、注意深く読むと、物語の含意は深いものがあります。
    チトは、おとうさんの工場を監督する「かみなりおじさん」に、バジーとバタンがなぜ戦争するのか訊ねます。
    かみなりおじさんは、石油が埋蔵している砂漠地帯を両国が欲しがっているからだと説明します。
    チトは「どうして石油なんかほしいの?」と至極当然の質問をします。
    それに対して、かみなりおじさんはこう答えます。
    「ほうっておくと、ほかの国に石油をとられてしまう。戦争をするには、どうしても石油がいるのです、だからほしがる。」
    チトは、「もしぼくのききちがいでなければ、バジーとバタンは石油のために戦争をはじめようとしていて、そのわけは、戦争にはどうしても石油がいるからだ。」と考え、「そんなの、ばかげてるよ。」と、やはり真っ当なことを云って、ついには叱られてしまいます。
    随所に気の利いたアフォリズムがさりげなく散りばめられているのも本書の特色。
    たとえば、病気の女の子はこんなことを云います。
    「不幸かどうかわかるためには、幸福だったことがなくちゃだめだわ。あたしは生まれつき病身なの。」
    もっとも、こんな言葉は日めくりカレンダーや自己啓発本の類を読めば、いくらも出て来るでしょう。
    ただ、物語をこよなく愛してきた自分としては、物語の中に埋め込まれた良い言葉を、当の物語の中から、ご自身の手ですくい上げてほしいなあ、と思うのです。
    童話なので言葉は大変にやさしく分かりやすいです。
    くわえて宝石のように美しい。
    特に、最後にチトが天に昇っていく場面はうっとりするほどです。
    心がささくれ立っている時に読むといいかもしれません。
    おススメです。

  • 触れるとなんにでも花の咲くみどりのゆびを持つチト。その不思議な力で戦車や大砲に花を咲かせて戦争を中止にしてしまう。今のガザにチトが居れば。砲弾でなく一輪の花を!

  • チト少年は、さわると何にでも花の咲く「みどりのゆび」をもっています。このゆびで、刑務所や病院も花いっぱいにし、戦場の大砲という大砲に花を咲かせて戦争を中止させてしまいます。


    じわじわと心が温かくなるお話でした。
    純粋な子どもは皆天使なんだと思います。
    美しい容姿で、お金持ちの家に生まれて、幸せをたくさん持っているチトは、囚人や貧乏な人、病気の女の子、戦争までも花を咲かせることで、人々の心を癒しました。
    それは、チトが他の子どもと違っても認めてくれるムスターシュじいさんがいてくれたおかげだと思います。1人でも認めてくれる大人がいるってことはいいことですよね。

    チトを大切にしているお父さんも、鉄砲を作る工場で裕福になったのであって、チトの幸せは戦争によって生まれていたという矛盾。
    「それなら、おじさんの商売って、おそろしいものなんだね。」

    絵もステキ。
    表紙の絵はムスターシュじいさんが大きく描かれているけれど、遠くから見ると、ひげが天使の羽に見えませんか?
    子どもには怖がられる絵かもしれないけれど、よく見ると細かいところまで描かれていて、詩的な雰囲気の本書によく合っている絵だと思いました。

  • お金持ちでうつくしいパパとママのもとで幸福に暮らすチト。けれど、8歳になって通い始めた学校では居眠りばかりで他の子供と同じように振る舞えず、たった3日で退学になってしまいました。
    困ったパパは新しい教育法を試みます。家の庭で、畑で、工場で、街で、実際に見て、触れて、物事や社会の仕組みをチトに学習させるのです。
    「庭の授業」では、庭師ムスターシュが先生となって、土や植物のことを教えてくれました。その授業の最中、ムスターシュはチトのおやゆびの不思議な力に気づきます……。

    触れたものに花を咲かせる力を持つ〈みどりのゆび〉を持つチトは、刑務所に、貧民街に、孤独な少女の病室に、パパの工場で作っている兵器さえも……それは誰のものでもない砂漠を挟んで戦争をする兵士の持つ銃。戦車。あらゆるものを花で覆い尽くす奇跡を起こします。
    ……さて、チトとは一体、誰だったのでしょう?

    くもりのない心のなかに、天使の素質を持つ少年チトのものがたり。
    人間は詩に包まれてばかりでは生きてはゆけない。しかし、勇気を持って生きてゆくためには詩が必要なことも、確かなのだ。

  • 久しぶりに物語に入り込むことができた児童書に
    出会いました。
    お正月休みに一気に読みました。
    以前から気になっていた本でしたので、もっと早く
    読めばよかったです。
    何らかの理由で学校に行くことを苦痛に感じている
    子どもに読んでほしいです。
    個人的には戦争反対、原発反対なので共感できる
    良書でした。

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