本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (238ページ) / ISBN・EAN: 9784001141146
みんなの感想まとめ
物語は、若者ネロと忠犬パトラッシュの切ない運命を描いています。読者は、ネロが抱く芸術への情熱とその背後にある残酷な現実に心を痛めつつ、彼の一途な生き様に感動します。特に、ネロが最期に流す涙は、悲しみだ...
感想・レビュー・書評
-
ラララ ラララ ズインゲン ズインゲン
グレイーヌ ヴリンダース
ラララ ズインゲン ヴリンダース
『あらしの前』のクリスマスシーンがすばらしかったので、次の岩波少年文庫はクリスマスシーズンにふさわしい物語にしようと思ったら、これになりました。我ながらひねたセレクトです。
ちなみに私は主題歌をずっと「ラララ ジングルベル〜」だと思っていましたが、今回、調べてみたら全然違う歌詞でした。「Zingen Zingen Kleine Vlinders」は「歌え 小さな 蝶々」という意味だそうです。
作詞は童話作家の岸田衿子(『ジオジオのかんむり』!)、作曲は『巨人の星』、『キャンディキャンディ』など数々のアニメソングを手がけている渡辺岳夫。
さらに併読した『誰がネロとパトラッシュを殺すのか』によると、この部分を歌っているのはアントワープで急きょ結成された子ども合唱団。ドキュメンタリー映画制作陣がラジオで呼びかけて探し出すまで、彼らは自分たちの歌声が日本でヒットしたことを知らなかったそうです。
日本では1975年放映のアニメの印象が強すぎて(そしてそれが傑作だったために)原作をちゃんと読んだことがないという人も多いのでは。
私もアニメはリアルタイムで見てるはずなんですが、さすがにあまり覚えていない。アニメのイメージをベースにした子ども向け絵本がうちにあり、その印象が強いです。
その絵本の中でネロが風車の絵を描いていると、大人がほめてくれる場面があるんですが、子ども心にそうかこういう絵を描けば大人はほめてくれるのかと思い、実物を見たこともない風車の絵を描いていた時期がありました。我ながらひねた子どもです。
あらためて読んでみると、これが本当にひどい話(笑)。原作は岩波少年文庫で100ページという短さ。よくこんな暗い話を一年間のアニメにしようとしたもんだ。
著者のウィーダはイギリスの作家で、3週間ほど旅行したときのイメージをもとにフランダースを描いています。30匹の犬を飼うほど犬好きだった彼女にとって、犬を使役するフランダース人は野蛮で粗野な田舎者なので、その描写には手加減がない。
ネロは根拠なく有名な画家になって貧乏から抜け出すことを夢みてますが、たった一度のコンクールに選ばれなかっただけで挫折します。
原作ではネロは15歳、アロワは12歳。アロワはスペインの血をひく黒い眼をしていると書かれています。アロワの父がふたりの仲を裂こうとするのは、たんにネロが貧乏だからというだけじゃないのです。
放火の疑いをかけられて村で孤立していくネロ。それでも、大金の入った財布を届けたのだから、クリスマスに帰る家もなく、食べるものもない窮状を訴えて助けを求めてもよかったのでは。なぜ彼らは死ななければいけなかったのか。そこには作者の社会批判とともに、ご都合主義的なセンチメンタリズムを感じます。
(そこをキリスト教的受難とか日本的自己犠牲とかまで高めてしまった日本のアニメの最終回の功罪があります。)
そういったいくつかの作品上の欠点からご当地ベルギーでは『フランダースの犬』はまったく読まれておらず、ルーベンスの絵を見ながら涙する日本人観光客によりやっとその存在を知り(オランダ語訳の出版は1985年)、ネロとパトラッシュの像が建てられ、アントワープ大聖堂の前に記念碑が置かれている、というところまでは聞いたことがあります。(『トリビアの泉』でもネタになってましたね。)
そのほかの話は『誰がネロとパトラッシュを殺すのか』に続きます。
以下、引用。
パトラッシュは、何世紀にもわたってフランダースで代々ひどい目にあってきた一族の出身でした。人間にこきつかわれる奴隷、貧しい人たちの犬、かじ棒と引き具につながれた動物でした。荷車があたってできるすり傷に、筋肉を痛めつけられながら生き、心臓をこわしてかたい道で死んでいく生き物でした。
フランダースはすばらしい土地とはいえず、なかでもアントワープのまわりは、おもしろみのないところでした。特徴のない平野に、麦や菜種の畑、牧場が単調にくりかえされるばかりです。
ルーベンスの墓であるこの町は、ルーベンスを通じて、ただその人のおかげで、わたしたちにとって生きつづけているのでした。
-
タイトルは知っている、結末も知っている。でも読んだことはない。そんな作品の代表ではないでしょうか。どうしてもミルク色の夜明け〜となってしまうのですが、原作のネロは少し年齢が上でした。そのため芸術に純粋にまっしぐらで、その身を捧げた若者という印象が残りました。それはいっしょに収録されている「ニュンベルクのストーブ」にも言えることで、芸術作品ともいえるストーブに恋い焦がれた若者の一途な想いが描かれています。しかし前者では全てがうまくいかず「もう、おそすぎるよ。」の言葉が示す通りの結果となり、後者はその想いが成就する。同じ作者から産み出された作品で正反対の結果となる物語が併録されている面白さがありました。
しかしこの短い物語を一年がかりのアニメ作品に昇華したのはすごいですね。もちろん原作の簡潔さもよかったのですが。 -
よく知れた物語だが、あらためて読み返してみた。子どもの時は、ネロやパトラッシュ(パトラシエ)の真実な生き方に感動し、世の残酷さや不公平さに心を痛めた。ネロが流す最期の涙は悲しみの涙であり、自分も憂えの涙であった。しかし、少なからず世の中の辛苦を経験した今、この物語は違った迫り方をしてくる。
「ああ、神様、これで十分です!」と流す涙は、悲しみの涙ではなく、願いの成就とともに自らの人生を受け入れ、死をも受け入れた喜びの涙なのかもしれないと。わたしの最期の時も、「これで十分です」といえる人生でありたい。 -
昇天していくところしか知らなかった。
でも、全てがやるせないなと思った。
幸せは最後まで信じないとなと。
助けを求め続けることの大切さ。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/722647 -
2さつあります。
-
・この本をどんどん読んでいくと少しずつ中身がわかってきて、悲しくなったり、感動する所がたくさんあっていい本でした。
-
ルーベンスの宗教画に心酔する純真なこころを持つ主人公ネロと犬のパトラッシュとおじいさんの人間の生きる道をおしえてくれるお話。
涙なしでは読み切れない。 -
-
配置場所:摂枚フマニオ
請求記号:933.6||O
資料ID:92031750 -
表題作も、収録の「ニュルンベルクのストーブ」も、少年が芸術を信じる力、その強さ・凄さが描かれていた。(理想像なのかもしれないけど)
何かを一心に信じることの貴重さや崇高さが感じられました。 -
新版でも読了。
パトラッシェがパトラッシュ、挿絵も変わっている。
純粋がゆえに、神の元へ早く旅立つことになったネロ…。 -
「フランダースの犬」は絵本では読んだことはあるけれど、原作を読むのは初めて。
アニメで有名な「パトラッシュ、僕はもう疲れたよ」という言葉はなくて誰も自分たちを必要としていないから一緒に死のうというものだったとは…。
ネロに目を覚ましてほしい、コゼツさん、アロワ、画家。
それに対するネロの「もう、おそすぎるよ」という表情…。
本当に何もかもが遅すぎる。
コゼツさんが夜のうちにネロを訪ねてくれたなら。
神様の元に行った方が幸せなのだろうか。
パトラッシュが酷い扱いを受けて死にそうなところをネロたちに拾われたというのは知らなかった。
パトラッシュが勇敢でたくましい。
「ニュルンベルクのストーブ」はストーブを売りとばされたときの絶望感、悲壮感は本当に心が痛い。
解説を先に読んでいたのでハッピーエンドになることは知っていたけれど、途中で見つかってしまうのではないかとヒヤヒヤした。
おしゃべりな骨董品たちのシーンは実際の芸術品を知っているともっと楽しめそう。
ハッピーエンドで終わるニュルンベルクのストーブの方が好き。
重い話だけれど挿絵の顔が可愛らしい。
少しちぐはぐな印象。 -
パトラッシェの忠犬ぶりが泣けた……
-
あの有名なテレビアニメを見たことのない男の感想です。
読んでみると原作は短く、感傷的でないとは言いませんが、冗長も停滞もなく物語が進行するためあっさりとした印象でした。幸福な時期をもっと書き込んでくれた方が、この悲劇の不条理さに対する拒否感が高まって、もっと泣かされたことと思います。悲劇も不条理でしたが、逆境に負けないネロ少年の純真さも不条理でした。ありえないと思ったわけではなく、こういう不条理な純真さがありえるということも人間だよなと思いました。美しいですよね。
僕はやはり結末には泣いてしまいましたが、うちの子供たちは展開の急さに少し置いていかれたようで、え、もう死んじゃったの、という驚きが強かったようです。
『ニュルンベルクのストーブ』
心底愛するストーブを父親に売られてしまった少年の冒険のお話しです。
これはいかにも、フランダースの犬だけでは薄くて一冊にならないのでおまけに付けたみたいと思ったので、全然期待しなかったし、読み始めるのを躊躇さえしました。しかし読んでみると面白かったです。フランダースの犬よりも主観的な描写が豊かで、主人公への感情移入もしやすいようでした。さてこの物語の粗筋はというと、心底愛するストーブを父親に売られてしまった少年の冒険のお話です。と書くと突拍子なさすぎて、読んでいない人には意味不明なことでしょう。僕たちにも読み進めるまでわかりませんでしたし、序盤は彼の一見異常に聞こえる愛情がおっかしくて、ひとつの楽しみですらありました。しかしその理由が詳しく繰り返し描かれているので、ある程度感情移入できるようになりました。(もっとも子供たちは読後にも「なんでそこまでしちゃったかな?」みたいな疑問を捨てきれていませんでしたが)。すごく良かったかと聞かれたらうーんそれほどでもと答えますが、なかなか楽しめるお話でした。フランダースの犬も含めても、全体にそういう感想です。 -
ベルギー、アントワープなどを舞台とした作品です。
-
2011.4.23読了。
ベルギー旅行の前に読んでみた。
最後ネロとパトラッシュが覚悟の自殺?だったのはちょっと -
フランダースの貧しい少年ネロは、村人たちから迫害を受けながらもルーベンスの絵に憧れ、老犬パトラッシュを友として一心に絵を描き続ける。しかし、クリスマスの朝アントワープの大伽藍に見出されたものは、この不幸な天才少年と愛犬との相いだいた亡骸だった。虐げられた者への同情を率直素朴な表現でつづった少年文学の傑作。ほかに「ニュールンベルクのストーブ」を併録。
ウィーダの作品
本棚登録 :
感想 :

とchatGPTが申していました(^_^;)
だから、ネロはキリスト教世界では決して敗者ではなく、むしろ勝者(という言い方が正しいかどうかはわかり...
だから、ネロはキリスト教世界では決して敗者ではなく、むしろ勝者(という言い方が正しいかどうかはわかりませんが)なんだということですね。
私は、この当時では女性には与えられない位置だと思うのです。