モモ (岩波少年文庫(127))

制作 : ミヒャエル・エンデ  大島 かおり 
  • 岩波書店
4.14
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本棚登録 : 6790
レビュー : 862
  • Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001141276

作品紹介・あらすじ

町はずれの円形劇場あとにまよいこんだ不思議な少女モモ。町の人たちはモモに話を聞いてもらうと、幸福な気もちになるのでした。そこへ、「時間どろぼう」の男たちの魔の手が忍び寄ります…。「時間」とは何かを問う、エンデの名作。小学5・6年以上。

感想・レビュー・書評

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  • 「人間はじぶんの時間をどうするかは、じぶんじしんできめなくてはならない」

    先日とある方にオススメしていただいて急遽再読した『モモ』。
    13、4歳の頃に読んだ時には、「随分と斬新な設定で、なんだか哲学的だ」くらいにしか思わなかったのに、成人して、日々に追われ、そして、人生に迷い気味の今の自分には、耳が痛いと同時に、ハッとさせられ、身につまされることのなんと多いこと。

    ある日突然現れ、朽ち果てて廃墟となった円形劇場に住み着いた、言わば、浮浪児の少女「モモ」。
    街の人たちは、自分たちも貧しいながらも、モモを受け入れ、面倒をみます。モモは、不思議な少女で、人の話を聞く才能に長けていて、街の人たちにとってなくてはならない存在となる。貧しいながらも、モモとの時間を共有しながら、穏やかな日々を過ごす人々。しかし、「時間泥棒」を働く灰色の男たちが現れたことで、街の人々の生活は一変し…。

    今回この本を読んで、ものすごくいろいろなことを考えました。
    例えば。
    時間の概念とか感覚の曖昧さとか。
    詐欺についてとか。
    危機と混乱に陥った時の人間の残虐性さとか。
    でも、何よりも一番強く考えたのは、豊かさってなんだろう?、ということ。

    効率よい手順で、かつ、より長時間の労働をすれば、少なくとも、それをしないよりはお金を稼げる。より多くのお金があれば、より多くの欲しいものが買える。
    家族や大事な人に渡せる「もの」も増える。
    でも、それは、決して、心や身体が健やかで豊かであることと同義ではない。

    「じぶんの時間」がなくなって、ただお腹を満たすだけの味気ない食事を取ってしまったり、睡眠や、自分の好きなものや大切なものに触れて心を満たす時間を減らしてしまって、肉体的にも精神的にも疲労を溜め込んだり。
    結局は大事な人たちと過ごす時間が減って、ストレスと苛立ちが喧嘩の火種を作る可能性だってある。
    それは結局、誰とも語り合えず、最終的に分かり合えない「孤独」を招くことだってある。

    仕事をしている時はいかに短い時間で多くの作業をこなすか、食事を作る時もどうしたら時間をかけずに済むか…等等、毎日の生活の中で常に合理性を考えて、キリキリしてしまっている自分を、反省しました。
    でも、残念ながら、きっと、それ、直らないのよね…。だって、私一人の力では、勤務時間も仕事量も、そして、こなす家事や雑用がある事実も変わらないんだもの…。

    でも、少なくとも、自分の好きな人々や好きな物に接することを疎かにせず、できる限りの時間をかけることは、できるはず。
    そこでバランスを取って、丁寧に日々を生きよう。
    そう思えた物語でした。

    この物語は、紹介いただいた方から、読む度に新しい発見があると教えていただいたので、また少し時間を置いて、読み直したいです。

    • hotaruさん
      hiromida2さん、こんにちは。
      コメントありがとうございます。本当に、「モモ」は色々と自分の生活を改めて考えるきっかけになりました。も...
      hiromida2さん、こんにちは。
      コメントありがとうございます。本当に、「モモ」は色々と自分の生活を改めて考えるきっかけになりました。もしよかったら、hiromida2さんも再読してみてくださいね!

      「その名にちなんで」は、hiromida2さんの本棚とレビューを拝見させていただいている時にコメントしたので、hiromida2さんの本棚へのコメントとなりました。
      また素敵な本について、本棚を通して紹介しあったりコメントしあったりで、楽しみたいです☆
      これからもよろしくお願いします。
      2018/05/27
    • hiromida2さん
      hotaruさん ありがとうございます。以前はかなり本の虫で(特に海外小説)を沢山読んでいましたが 現在はDVDで映画を散々観てる中で ブグ...
      hotaruさん ありがとうございます。以前はかなり本の虫で(特に海外小説)を沢山読んでいましたが 現在はDVDで映画を散々観てる中で ブグログの皆さんの本棚を覗かせてもらってると 興味を引く物語が沢山あり、また、それを参考に「あーこんな本もあったんだ!」って 日本や海外に関係なく また色々読んでいます。「モモ」も是非 再読してみます^_^新しい発見があるかもしれない。また、本棚覗かせて頂きます!
      2018/05/28
    • hiromida2さん
      こちらこそ これからもよろしくお願いします♪ヽ(*^∇^*)ノ*:・'゚☆
      こちらこそ これからもよろしくお願いします♪ヽ(*^∇^*)ノ*:・'゚☆
      2018/05/28
  •  今から書くことは、すべて私の心の中で、1ミリも思っていないことです。感じてないことです。嘘です。情報は疑ってかかるべきです。とくに下に書かれた文章とかには。この本の感想を書くのは苦痛でした。でも、なぜこれほどまでに苦痛なのかわかりませんでした。ある日、小谷野敦のレビューがこのモモのアマゾンページに載りました。そこで、ようやく痛みの理由を知りました。
     引用します。
    『これを読んで、日本人はあの盆と正月の帰省ラッシュといった愚かなことをやめるであろうか。話題の映画に殺到し、早く観ようとするのをやめるであろうか。やめたなら幸いであるが、どうもそうは思えないのである。
     この本は、「なんで話題の映画を早く観なきゃいけないの?」と言っているはずなのである。この本に感動しつつ、それをやめないとしたら、それは何にもなっていないのである。』
     ああ、その通りだ、そうだ、と思いました。
     私はこの小説を感動できなかった。だけれど、感動した風に書いたのが、下記の通りとなります。
     ……。

    「ごめん、時間ない」、「私が焦ってるの、見ててわからないの?」、「無駄口叩かないで」、「相手してる暇ないから」。
     私たちは今、とても窮屈な時代を生きています。『モモ』に登場する時間どろぼうにすっかり時間を奪われてしまったからです。
     現代に生きる私たちはこんな言葉に囲まれていると思います。もっと合理的になれ、効率良くしろ、余計なことを考えず生きろ。充実した人生を送れ、眠る時間以外は自分磨きに集中しろ。資格を取得して、自己啓発して新しい自分になれ。マニュアルを頭に叩き込んで即戦力になれ。そうしないと周りに置いて行かれる。みじめな人生が待っているぞ。他の奴のことなんて考えるな。時間はないんだ。
     そんな「~をしなければ生きていけない」で占められた空気の中で私たちは息も絶え絶えに呼吸して過ごしています。
    「世界で一つだけの花~♪」という歌、大事だよね、とでも言えば、嘲笑と共に「甘えだ」、「ふざけるな」、「贅沢言うな」と袋だたきにあい、恥をかいてしまいます。

     ミヒャエル・エンデの「モモ」の主人公『モモ』はこれらの空気の化身『時間どろぼう』と戦う物語です。
     モモは街の外れにある円形劇場の廃墟を住処として、人々と仲良く暮らす女の子です。ある日、時間を無駄にして生きるな、その時間を私たちに預ければ利子をつけてお返しするという時間貯蓄銀行を運営するどろぼう達が現れます。街の人は、なんて無駄な時間を過ごして来たことだろうと思いこみ、モモに構わなくなって必死に働き始め、何も考えないエゴの塊となります。どろぼうは、人が貯蓄した時間を葉巻に変えて、それを吸って生きている存在です。彼らを相手取り、モモは一人一人の大切な時間を取り戻すため、様々な困難を乗り越え、みんなを忙しいだけの空気から解放するという話です。
     ミヒャエル・エンデ(1929-1995)は南ドイツ生まれの児童文学作家で、モモは1972年の作です。岩波少年文庫として小学5・6年生以上向けであるものの、大人でも十分読み応えのある一冊です。
     モモと時間どろぼうの対立は、資本家に人間としての生き生きとした労働を奪われることに警告を発する寓話に読めます。時間=お金として、儲けるために機械化・合理化を果てしなく続ける資本主義経済について批判的に考えることができます。
     しかし、それだけでモモは終わりません。想像力を奪う、情報社会批判をも含んだ描かれ方がされていると思います。
     例えば物語の中に登場する子ども達は、どろぼう出現前には円形劇場で冒険家ごっこをするのですが、時間どろぼうが現れると、子どもは外に出られず、施設の中で、頭がよくなる遊び道具を相手に、日々を送る羽目になります。
     私たちも、朝起きて、夜中まで必死に働き、手の空いた時間はテレビ、アニメ、ゲーム三昧。ネットでは様々なニュースに対して、バッシングと誹謗中傷と反射的な言葉の数々に晒され、二手三手先を熟考する想像力はどこにもありません。
     私たちはどうすればそれを取り返せるでしょうか。
     モモを読めばわかることがあります。
     どろぼう達を撃退したモモはたった一つ、特殊な能力を持っていました。
     人の心を開かせ、本音で語らせ、本気で考え、スッキリとさせることです。自らの言葉で考える力を人は持っているんだということに気付かせる「聴く力」をモモは使えるのです。モモは何も話さずそこにいる。人の話を真剣に聞く。それだけで人々は幸せになり、想像力と思いやりのある社会を築くのでした。
     私たちの目は映像社会でとことん肥えてます。嗅覚も舌も非常にグルメであると思います。ただ、聴くことはいかがでしょうか。そして考えることは……。
     いちいち考えてる暇なんてない。たくさん本を読んで何か吸収しないと……。おいしい話以外、聴く気ない。そんな空気に飲み込まれそうな時や忙しさに心奪われかけた時、読みたい本だと思います。

  • モモはきっと癒し系。今の時代にぴったり。
    「…するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな、たのしければ、仕事がうまくはかどる。こういうふうにやらにゃあだめなんだ。」(ベッポの言葉より) 
    「時間て、…一種の音楽なのよ―いつでもひびいているから、人間がとりたてて聞きもしない音楽。でもあたしは、ときどき聞いていたような気がする。とってもしずかな音楽よ。」(モモの言葉より)

  • 「時間」がテーマのファンタジー。
    ファンタジーだけど風刺的な内容で、自分は時間をどう使っているかを考えさせられました。
    あれをしなきゃ、これをしなきゃと忙しなく過ごすのではなく、「今」と向き合った自分の時間の使い方をしたいなぁと思いました。

  • 効率よく動け!無駄が多い!
    と言われ、よく反省してたけど、計画どおりに動いたところで精神的に疲れてしまうだけで、辛かったなぁと以前の職場を思い出しました。
    一見、無駄と思われる時間こそが、その人らしさを作っている時間なのだと気付けました。
    私もモモを見習って、人の話を人の本心を聞ける人になろう。
    これからは、心の中にモモがいることを意識して過ごそう。

  • 初めて読んだのは大学生の頃でした。ミヒャエルエンデの教育に関する著作から逆に辿ってきた形です。大人になって読んでしまうと、実社会での風刺という意味合いを、無理に読み解いてしまい残念です。子供の時の素直な心で、時間泥棒と戦うモモの姿を見れたらよかったのにと思います。私の本棚に残っていますが、子供は読んでいないようです。

  • 子供がイッキに読んだ。
    難しい表現などがあまりなく、スラスラ読めてた。
    いろんな登場人物が出てきて、ストーリーがどんどん展開していくので、飽きないのだそうだ。

    同じエンデの作品でも『はてしない物語』は最高におもしろくて★★★★★なのに対して、『モモ』もすっごくおもしろかったけど★★★★なんだって。

  • 私の人生観を決定的に変えたバイブル的読み物。
    ちなみに今は、賃金労働は最低限に抑え、残りの時間は空想で暮らしています。

    もう一つちなみに、プロフィール画像の猫もモモです。
    物語の主人公のように、ある日何気ない素振りで玄関の前に佇んでいました。

  • はっとさせられた。時間の過ごし方について考えさせられた本。とにかく速さを重視した時間の使い方では大切な何かを忘れてしまう。最後にモモは時間を取り戻すことはできたけど、実際にはどうだろう。利益を求めて速さを重視しシステマチックに仕事をこなす現代。経営者が労働者の時間を買っているといえるが、時間銀行に時間を盗まれている状態と、どう差があるのだろうか。檻に閉じ込められて、いろいろと規制され笑顔も想像力のなくなっていく子どもたち。将来に役にたつからと数字の勉強をして、いわれたままにお遊戯をしてみせて、、、本当は家族と遊びたいのに、友達と自分たちで考えた遊びを自由にしたいのに、、、何か違う。いろいろと考えさせられた。

  • 読み手の心理状況に合わせていかようにでも読める作品です。その時々で感想が全く異なると思います。今回は、副題の「時間」ではなく、モモの「聴く力」傾聴と寄り添いの重要性について注目して読みました。「分かち」「待つ」モモの傾聴スタイルはとても理想的です。モモは知識や技術がなくても「命の住処が心」だと気づいていてそれを意識した傾聴スタイルを確立しています。とかく主観を織り交ぜながら聞いてしまう人の話。なぜかわからないけれど善し悪しを決めたがってしまう人の話。モモは決してそういう聞き方はしません。だから皆、安心してモモを頼りにし、モモになら何でも打ち明けられ、かつモモがそのことについて特に何も言わなくても相談者自らが考え答えを出し、自然とあるべき姿に事はおさまっていきます。私にはこのモモのような理想的な傾聴ができるだけの力量はありません。答えはその人の中にある、それを自然と本人の力で引き出せるモモの「聴く力」お手本にしたいです。この本からは他にもたくさんのメッセージがありました。「虚しさ」や「抑うつ」がどうやってやってくるのかや、自分の持つ時間を誰に、何に割くのかによってその人の価値も決まること。大人が手間を惜しむと子供の創造力が無くなっていくこと。仕事への取り組み姿勢としては楽しんでコツコツと目の前にあることに全力を尽くすこと、などなど。子供から大人まで読んだその時々で得るものが変わる名作だと思います。

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