モモ (岩波少年文庫(127))

  • 岩波書店
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本棚登録 : 9351
レビュー : 1030
  • Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001141276

作品紹介・あらすじ

町はずれの円形劇場あとにまよいこんだ不思議な少女モモ。町の人たちはモモに話を聞いてもらうと、幸福な気もちになるのでした。そこへ、「時間どろぼう」の男たちの魔の手が忍び寄ります…。「時間」とは何かを問う、エンデの名作。小学5・6年以上。

感想・レビュー・書評

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  • 「人間はじぶんの時間をどうするかは、じぶんじしんできめなくてはならない」

    先日とある方にオススメしていただいて急遽再読した『モモ』。
    13、4歳の頃に読んだ時には、「随分と斬新な設定で、なんだか哲学的だ」くらいにしか思わなかったのに、成人して、日々に追われ、そして、人生に迷い気味の今の自分には、耳が痛いと同時に、ハッとさせられ、身につまされることのなんと多いこと。

    ある日突然現れ、朽ち果てて廃墟となった円形劇場に住み着いた、言わば、浮浪児の少女「モモ」。
    街の人たちは、自分たちも貧しいながらも、モモを受け入れ、面倒をみます。モモは、不思議な少女で、人の話を聞く才能に長けていて、街の人たちにとってなくてはならない存在となる。貧しいながらも、モモとの時間を共有しながら、穏やかな日々を過ごす人々。しかし、「時間泥棒」を働く灰色の男たちが現れたことで、街の人々の生活は一変し…。

    今回この本を読んで、ものすごくいろいろなことを考えました。
    例えば。
    時間の概念とか感覚の曖昧さとか。
    詐欺についてとか。
    危機と混乱に陥った時の人間の残虐性さとか。
    でも、何よりも一番強く考えたのは、豊かさってなんだろう?、ということ。

    効率よい手順で、かつ、より長時間の労働をすれば、少なくとも、それをしないよりはお金を稼げる。より多くのお金があれば、より多くの欲しいものが買える。
    家族や大事な人に渡せる「もの」も増える。
    でも、それは、決して、心や身体が健やかで豊かであることと同義ではない。

    「じぶんの時間」がなくなって、ただお腹を満たすだけの味気ない食事を取ってしまったり、睡眠や、自分の好きなものや大切なものに触れて心を満たす時間を減らしてしまって、肉体的にも精神的にも疲労を溜め込んだり。
    結局は大事な人たちと過ごす時間が減って、ストレスと苛立ちが喧嘩の火種を作る可能性だってある。
    それは結局、誰とも語り合えず、最終的に分かり合えない「孤独」を招くことだってある。

    仕事をしている時はいかに短い時間で多くの作業をこなすか、食事を作る時もどうしたら時間をかけずに済むか…等等、毎日の生活の中で常に合理性を考えて、キリキリしてしまっている自分を、反省しました。
    でも、残念ながら、きっと、それ、直らないのよね…。だって、私一人の力では、勤務時間も仕事量も、そして、こなす家事や雑用がある事実も変わらないんだもの…。

    でも、少なくとも、自分の好きな人々や好きな物に接することを疎かにせず、できる限りの時間をかけることは、できるはず。
    そこでバランスを取って、丁寧に日々を生きよう。
    そう思えた物語でした。

    この物語は、紹介いただいた方から、読む度に新しい発見があると教えていただいたので、また少し時間を置いて、読み直したいです。

    • hotaruさん
      hiromida2さん、こんにちは。
      コメントありがとうございます。本当に、「モモ」は色々と自分の生活を改めて考えるきっかけになりました。も...
      hiromida2さん、こんにちは。
      コメントありがとうございます。本当に、「モモ」は色々と自分の生活を改めて考えるきっかけになりました。もしよかったら、hiromida2さんも再読してみてくださいね!

      「その名にちなんで」は、hiromida2さんの本棚とレビューを拝見させていただいている時にコメントしたので、hiromida2さんの本棚へのコメントとなりました。
      また素敵な本について、本棚を通して紹介しあったりコメントしあったりで、楽しみたいです☆
      これからもよろしくお願いします。
      2018/05/27
    • hiromida2さん
      hotaruさん ありがとうございます。以前はかなり本の虫で(特に海外小説)を沢山読んでいましたが 現在はDVDで映画を散々観てる中で ブグ...
      hotaruさん ありがとうございます。以前はかなり本の虫で(特に海外小説)を沢山読んでいましたが 現在はDVDで映画を散々観てる中で ブグログの皆さんの本棚を覗かせてもらってると 興味を引く物語が沢山あり、また、それを参考に「あーこんな本もあったんだ!」って 日本や海外に関係なく また色々読んでいます。「モモ」も是非 再読してみます^_^新しい発見があるかもしれない。また、本棚覗かせて頂きます!
      2018/05/28
    • hiromida2さん
      こちらこそ これからもよろしくお願いします♪ヽ(*^∇^*)ノ*:・'゚☆
      こちらこそ これからもよろしくお願いします♪ヽ(*^∇^*)ノ*:・'゚☆
      2018/05/28
  • またしても凄い児童文学書を読んでしまいました!これはまた言葉がでないぐらい凄い小説です。SF?推理小説?童話?メルヘン?社会風刺?いやいや、丸ごと全部じゃないですか!すごいですねぇ、この本は。ものすごく心に深く刺さりました。なんといっても息もつかせないような怒涛の展開のラッシュ、まるで映画「マトリックス」のような仮想現実でのスリル感!かと思えば、少々モモとカメのカシオペイア、マイスター・ホラの存在自体がまるでジブリの世界。グイグイ引き込ませる展開が非常に素晴らしい。それだけ夢中にさせながら、ものすごく深い話だったと思わせる。時間どろぼう、、あぁ、、現代日本でも現在進行形じゃないですか。。かくいう私も仕事猛烈人間で時間に追われる日々を長いサラリーマン人生で送ってきました。でも今は、まるでモモに解放されたかのように、読書や映画などのプライベートの時間を大事にし出しています。忘れちゃいけないですね。何事も効率効率で時間に余裕がなくなってくるとギズギスしてしまいます。

    それにしても壮大でファンタジックでメルヘンチックで、素晴らしい小説でした!あらゆる人におすすめしたい一作です!!

    • やまさん
      kanegon69 さん
      こんばんは。
      いいね!有難う御座います。
      野伏間の治助 北町奉行所捕物控 シリーズの8作目です。
      長谷川卓...
      kanegon69 さん
      こんばんは。
      いいね!有難う御座います。
      野伏間の治助 北町奉行所捕物控 シリーズの8作目です。
      長谷川卓さんの本は、「戻り舟同心」シリーズの新装版が出てから読み始めたのかな?
      はっきりは覚えていませんが、新刊が出たら読んでいます。
      読んでいて面白いです。
      中でも一番は、「嶽神」の上下巻です。
      真田忍者、伊賀忍者は出て来るは、そして武田家の遺金をめぐって壮烈な戦いです。
      是非読んでみてください。
      やま
      2019/12/09
    • kanegon69 さん
      やまさん、オススメありがとうございます!面白そうですねぇ。チェックして見ます^_^
      やまさん、オススメありがとうございます!面白そうですねぇ。チェックして見ます^_^
      2019/12/09
  •  今から書くことは、すべて私の心の中で、1ミリも思っていないことです。感じてないことです。嘘です。情報は疑ってかかるべきです。とくに下に書かれた文章とかには。この本の感想を書くのは苦痛でした。でも、なぜこれほどまでに苦痛なのかわかりませんでした。ある日、小谷野敦のレビューがこのモモのアマゾンページに載りました。そこで、ようやく痛みの理由を知りました。
     引用します。
    『これを読んで、日本人はあの盆と正月の帰省ラッシュといった愚かなことをやめるであろうか。話題の映画に殺到し、早く観ようとするのをやめるであろうか。やめたなら幸いであるが、どうもそうは思えないのである。
     この本は、「なんで話題の映画を早く観なきゃいけないの?」と言っているはずなのである。この本に感動しつつ、それをやめないとしたら、それは何にもなっていないのである。』
     ああ、その通りだ、そうだ、と思いました。
     私はこの小説を感動できなかった。だけれど、感動した風に書いたのが、下記の通りとなります。
     ……。

    「ごめん、時間ない」、「私が焦ってるの、見ててわからないの?」、「無駄口叩かないで」、「相手してる暇ないから」。
     私たちは今、とても窮屈な時代を生きています。『モモ』に登場する時間どろぼうにすっかり時間を奪われてしまったからです。
     現代に生きる私たちはこんな言葉に囲まれていると思います。もっと合理的になれ、効率良くしろ、余計なことを考えず生きろ。充実した人生を送れ、眠る時間以外は自分磨きに集中しろ。資格を取得して、自己啓発して新しい自分になれ。マニュアルを頭に叩き込んで即戦力になれ。そうしないと周りに置いて行かれる。みじめな人生が待っているぞ。他の奴のことなんて考えるな。時間はないんだ。
     そんな「~をしなければ生きていけない」で占められた空気の中で私たちは息も絶え絶えに呼吸して過ごしています。
    「世界で一つだけの花~♪」という歌、大事だよね、とでも言えば、嘲笑と共に「甘えだ」、「ふざけるな」、「贅沢言うな」と袋だたきにあい、恥をかいてしまいます。

     ミヒャエル・エンデの「モモ」の主人公『モモ』はこれらの空気の化身『時間どろぼう』と戦う物語です。
     モモは街の外れにある円形劇場の廃墟を住処として、人々と仲良く暮らす女の子です。ある日、時間を無駄にして生きるな、その時間を私たちに預ければ利子をつけてお返しするという時間貯蓄銀行を運営するどろぼう達が現れます。街の人は、なんて無駄な時間を過ごして来たことだろうと思いこみ、モモに構わなくなって必死に働き始め、何も考えないエゴの塊となります。どろぼうは、人が貯蓄した時間を葉巻に変えて、それを吸って生きている存在です。彼らを相手取り、モモは一人一人の大切な時間を取り戻すため、様々な困難を乗り越え、みんなを忙しいだけの空気から解放するという話です。
     ミヒャエル・エンデ(1929-1995)は南ドイツ生まれの児童文学作家で、モモは1972年の作です。岩波少年文庫として小学5・6年生以上向けであるものの、大人でも十分読み応えのある一冊です。
     モモと時間どろぼうの対立は、資本家に人間としての生き生きとした労働を奪われることに警告を発する寓話に読めます。時間=お金として、儲けるために機械化・合理化を果てしなく続ける資本主義経済について批判的に考えることができます。
     しかし、それだけでモモは終わりません。想像力を奪う、情報社会批判をも含んだ描かれ方がされていると思います。
     例えば物語の中に登場する子ども達は、どろぼう出現前には円形劇場で冒険家ごっこをするのですが、時間どろぼうが現れると、子どもは外に出られず、施設の中で、頭がよくなる遊び道具を相手に、日々を送る羽目になります。
     私たちも、朝起きて、夜中まで必死に働き、手の空いた時間はテレビ、アニメ、ゲーム三昧。ネットでは様々なニュースに対して、バッシングと誹謗中傷と反射的な言葉の数々に晒され、二手三手先を熟考する想像力はどこにもありません。
     私たちはどうすればそれを取り返せるでしょうか。
     モモを読めばわかることがあります。
     どろぼう達を撃退したモモはたった一つ、特殊な能力を持っていました。
     人の心を開かせ、本音で語らせ、本気で考え、スッキリとさせることです。自らの言葉で考える力を人は持っているんだということに気付かせる「聴く力」をモモは使えるのです。モモは何も話さずそこにいる。人の話を真剣に聞く。それだけで人々は幸せになり、想像力と思いやりのある社会を築くのでした。
     私たちの目は映像社会でとことん肥えてます。嗅覚も舌も非常にグルメであると思います。ただ、聴くことはいかがでしょうか。そして考えることは……。
     いちいち考えてる暇なんてない。たくさん本を読んで何か吸収しないと……。おいしい話以外、聴く気ない。そんな空気に飲み込まれそうな時や忙しさに心奪われかけた時、読みたい本だと思います。

  • 「モモ」 ミヒャエル・エンデ(著)
    1976 9/24 第1刷 (株)岩波書店
    2017 8/4第74刷

    2020 3/20 読了

    恥ずかしながら57歳にして初「モモ」

    素晴らしい作品でした!

    なんで今まで読まなかったのか…
    自分の生き方に疑問を持たずにはいられません!

    想像の中で自由に…
    本当に自由に遊ぶ楽しさを
    大人になると忘れてしまいます。

    これがまさか「時間貯蓄銀行」の罠だったとは!

    「将来のために」それは可能性を信じない
    夢を信じない、想像力を信じない

    自分の未来を信じない
    消極的な選択なんだろう。

    モモの孤独な戦いによって取り戻した
    自由と想像を思う存分楽しんで生きることに決めましたよ。

    ぼくは。

  • 児童書かと思いきや、がっちり哲学書だなって。大人が読めば自分たち対する警告書だと受け取れると思う。一度たちどまって考えるのも大事。モモの様にやる時はやる!!のも大事。

  • 「時間」がテーマのファンタジー。
    ファンタジーだけど風刺的な内容で、自分は時間をどう使っているかを考えさせられました。
    あれをしなきゃ、これをしなきゃと忙しなく過ごすのではなく、「今」と向き合った自分の時間の使い方をしたいなぁと思いました。

  • 「しだいにしだいに子どもたちは、小さな時間貯蓄家といった顔つきになってきました。やれと命じられたことを、いやいやながら、おもしろくなさそうに、ふくれっつらでやります。そしてじぶんたちのすきなようにしていいと言われると、こんどはなにをしたらいいか、ぜんぜんわからないのです。」

    時間短縮、効率化、大切なことだと思いますが、問題は生まれた時間をどう過ごすか。なのだと、この物語から強く訴えられたと感じます。現代の人類は過去どの時代を生きる人類よりも時間短縮や効率化に成功していると思います。そのはずです。ですか、私たちの時間の過ごし方はどうだろうか、せかせかと生み出した時間をせかせかと消費している。いったい何のために?誰のため?そんなにせかせか、いらいらと過ごしているのは?

    家事や仕事、様々なことを効率化させた現代で、ゆとりある時間を豊かに使えている人がどれほどいるだろう。
    そう、言われているように思いました。

    モモのように、豊かに、強く、優しくありたいなあ。
    この1時間はマイスター・ホラからの贈りものだから。

  • メールやらSNSなどでますます忙しく余裕を失っているなっている現代人を見たらこの本が役に立ってないとエンデさんに嘆かれそうです。
    エンデさんはその後「はてしない物語」で翻訳された佐藤真理子さんと再婚されており
    長野県信濃町黒姫童話館ではエンデさんの2000点を超える作品資料を本人寄贈により収蔵、世界で唯一常設展示しているようです。

  • 光を見るために目があり、音を聞くために耳があり、時間を感じ取るために心がある。
    時間泥棒に盗まれた時間を取り戻すモモ。
    取り戻された時間は、「時間がない」と言っていた人達の心へと帰っていく。

  • 時間って、いったいなんなの?

    それは、一種の音楽。

    いつでもひびいてるから、
    人間がとりたてて聞きもしない音楽。

    ほんとうの時間は
    時計やカレンダーで
    はかれるものじゃない。

    心が時間を感じとらなければ
    その時間はないも同じ。


    とってもすてきな本でした(*´-`)
    モモみたいな人になりたい。

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