とぶ船 上 (岩波少年文庫 136)

  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001141368

感想・レビュー・書評

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  • 面白い。下巻が楽しみ

    4兄弟のピーターの歯痛で、普段は一人では行ってはいけない街へ行き、帰りに出会った不思議なお店で船を買う。もうこの時点で子どもならワクワクしっぱなしだ。自分のお金ともう少しの額。こういう表現にも夢を感じるのだろうか。

    イギリスからエジプトへ行ったり、ウィリアム征服王の時代1066年へ飛んだり、タイムマシンのような船で、4兄弟は冒険をする。
    北欧神話も出てくるあたり、今でこそわかるが、子ども時代なら知らず触れるカタカナの感じにさらにワクワク感が増すのだろうか。

    今年は児童書も読んでいく、第一弾がこの本で良かった!

  • 感想は下巻に

  • この物語はホント懐かしい!!  そして大好きで繰り返し読んだ子供時代の思い出が鮮やかに蘇ります。  思い起こせば「北欧神話」に初めて出会ったのはこの本だったし、イギリスという国、英文学に半端じゃない興味を持ったきっかけもこの本でした。  4人兄弟の長男ピーターが「今持っているお金全部とーーそれからもう少し」を払って、不思議なおじいさんから買った船が魔法の船だったという出だしからして子供時代の KiKi をワクワクさせてくれました。 

    子供時代にはこの「もう少し」がとっても素敵なフレーズに思えたものでした。  そして「本当に欲しいもの」に出会うことができたなら、「思っていた金額とそれからもう少し」を使ってでも手に入れるというその行為そのものが何だかとても大事なことに思え、そういう出会いができたピーターに憧れたものでした。  そんな「私だけのコレ」に拘る気持ちを忘れ去り、それに似た代用品をついつい購入しがちになってしまったのはいつからだったんだろう??

        
    ところがその船が北欧神話に出てくる「フレイの船」、スキーズブラズニル(スキッドブラドニール)だったというあたりから物語が動き始めます。  これが伸縮自在の船であるばかりか、世界中どこでも、そしてあらゆる時代に4兄弟を運んでくれるというあたりで、子供時代の KiKi のワクワクは急上昇(笑)。  

    彼らが冒険の旅に出た先は当時のKiKi にはまったく未知の世界だった「オーディンの国」や「ウィリアム征服王時代のイギリス」や「エジプトのファラオの墓」だったりしたわけですが、「知らない時代、場所」という事実が読書の楽しみの妨げになることはなくて、逆に「魔法の真実味」に直結したような感じで、それこそ「貪り読む」状態に突入したものでした。

    一つ一つの冒険も楽しいものなんだけど、それより何より、KiKi にとってこの本が特別だったのは最後の1章があるから・・・・・だと思うんですよね。  単なるタイムトラベル、瞬間場所移動の物語で終わってしまっていたら、恐らく KiKi は「よくあるタイムトラベルものの1つ」としてこの本を片付けちゃっていたような気がするんです。  でも、この物語はそこでは終わらなくて、最後の最後、魔法が信じられなくなってきたピーター(要するに大人になってきた)は、この「とぶ船」を本来の持ち主、フレイに返すんです。

    そもそもこの船をピーターに売ってくれた不思議なおじいさんはオーディン(というより「さすらい人?」 笑)で、この船を購入した後はどうしても見つけることができなかったお店とそのお店があった路地を「船を返す」と決めたピーターにだけは見つけることができたっていうのが何とも素敵!!  そしてそのおじいさんに船を返すとおじいさんの方もピーターが購入当時に支払った金額をそのままピーターに返してくれるんです。

    で、本当に印象的なのはここからで、ピーターはこのお金を「別の何か」に使ってはいけない特別なお金だと感じるんですよ。  そして・・・・・・・。  

    ここでのピーターの行動がいわゆる子供から大人への通過儀礼。  子供時代に純粋に信じることができていた魔法を忘れるという行為を自ら選ぶピーターの姿に、神々しいものを感じます。  さて、この時オーディンが約束した



    「お前がこの船を正当な持ち主にかえすとき、お前の心からの望みをかなえてやろう」



    の「ピーターの心からの望み」とは何だったんでしょうか??  物語ではそこははっきりとは書かれていません。  でも、KiKi が思うに、ピーターは「とぶ船」を持っていた時代ほどリアルにではないものの、心のどこかで「魔法」を信じ続け(というより「魔法を信じる心を失いたくない」と思い続け)、そしてそんな「魔法の語り部」(≒ 作家)になることにより、「忘れたくない」という望みが叶えられたということなんじゃないかと思っています。  



    最後に、この本に関する宮崎駿さんの推薦文を転載しておきますね。

    友人が、子供の時大好きだったんだと、この本を教えてくれました。  クリスマスのプレゼントにもらって、そのあと何度も読み返したが、本当にまったく面白いんだと言いました。  ずいぶん大人になってからなのに、友人の眼はキラキラして、懐かしさでボウとなっているようでした。  それで、この本は友人のもので、僕が読むのは他人のものを盗み見るような気がしました。  それでも読みましたがね・・・・・。    



    そう、この物語は宮崎さんのお友達だけのモノじゃありません。  KiKi にとっても目がキラキラしちゃって、懐かしさで頭と心がホウっとなってしまう物語です。

  • 図書館で。
    舟を手に入れるまでは面白かった。
    エジプト行ったりした後はなんかガイドブックみたいな感じでちょっとあまり… ファンタジー感が後半は薄れちゃうんですね、と思ったら歴史の先生が作者だったのか。なるほど。

  • ある日、ピーターは、うす暗い小さな店で古い小船を買った。その小舟はなんと、魔法の「とぶ船」だった。ピーターたちは「とぶ船」で、母のいる病院へ、エジプトへ、北欧神話の世界へ、そしてウィリアム征服王時代のイギリスへと冒険に出発する。少年たちがタイムスリップし、スリリングな体験をする様子にワクワクが止まらない1冊。

    「とぶ船」を不当に安い値段で買ったと思い、店の老人に返そうとするピーターたちを見て、彼らを一気に好きになった。

    「さいしょの冒険」が、入院中の母を思って病院へ飛ぶというのがよかった。子どもたちが母を驚かさないように気をつけながら合図を出し、対面するシーンは感動した。ハンフリが置いたバラの花が、子どもたちの来訪が「夢じゃない」証拠になるのも素敵だなあ。

    北欧神話の世界にタイムスリップして、店の老人とつながりがあると思われる北欧神話最高の神「オーディン」に出会ったり、元々の持ち主「フレイ」と争ったりするのも楽しかった。

    戦争中のイギリスで囚われたエピソードは、ハラハラしつつも、城主の娘マチルダとの温かい交流に心がほろりとなった。

    下巻も楽しみ。

  • 「ピーターがある日,うす暗い小さな店で手に入れた古い小船は,なんと魔法の「とぶ船」でした.この船に乗ったピーターたち4人きょうだいは,古代のエジプトやウィリアム征服王時代のイギリス,さらには北欧神話の世界アースガルドにまで冒険旅行をします.作者が幼い息子のために書いた空想物語の傑作.」

    古道具屋で小さな船を買った帰り道、潮が満ちて、おぼれそうになった。ピーターはさけんだ、うちへ帰りたい!!ポケットのなかの船が大きくなって、ピーターを乗せて空を飛んだ。

    (『キラキラ子どもブックトーク』玉川大学出版部より紹介)

  • 魔法のとぶ船を自分のお金とあと少しで買ったピーターは兄弟たちといろんな場所やいろんな時代に旅をして冒険する。
    その中で、昔の時代の姫と友達になって友情を注いだり、火あぶりにされそうな人を助けだしたりする。
    その過程で成長していくのだけれど、成長と共に魔法の船のことをやがて忘れてしまったり、不思議な旅は本当にあったのだろうか…と思う。
    魔法を信じられるのは子ども時代の特権ですね。
    この本は、冒険のワクワクとドキドキ、ヒヤヒヤと共に、人を思いやる暖かさを感じさせてくれると思う。

  • 読みやすいタイムファンタジー。魔法の「とぶ船」でエジプト冒険や、歴史のなかの昔に行ったり、ウィリアム征服王の時代に飛んで行ったり、自分まで4人の子ども達と船に乗り込んで冒険している気分になりました。飛んで行く時はワクワク、でもいざ現地に着くとホントに帰ってこれるのか心配になりながら読み進めました。下巻も楽しみです。ウィリアム征服王の時代に出会ったマチルダと再会できるのかも気になります。

  • 「子どもを本好きにする10の秘訣」>「冒険・ファンタジー」で紹介された本。

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