- 本 ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001141399
感想・レビュー・書評
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インドの昔話。
手を抜いたら痛い目にあう、人には親切にしないと良い道は開かれないなどよくある話。どこか懐かしいような話で後書きには日本の民間の伝承にも溶け込んでいるからみたいです。
仏教関連の本を読んでいたら出会ったジャータカ物語。面白かったです、詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
お釈迦様の前世のお話だが、それぞれ独立した説話として楽しめる。案の定、元は口承文学を再話したものであるようだ。流石に仏教思想に沿ったものが多いが、情景がインド的で、純粋に民話しても読めるので、読書慣れしていない小学生にもお勧めできる。何と1956年第一刷のロングセラー。
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有名な「ウサギの施し」など、仏教の説話を簡単に知りたい人にお勧め。
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ブッダになるまでのお話が教訓的にかかれた言い伝え?伝承?民話?みたいなかんじでした!
輪廻転生が書かれていて、人間でもうさぎでもサルでも、良い行いをすれば生まれ変わって仏様になれるといったお話。グリム童話とかイソップ童話にも近いお話がたくさんあって、こういうのは万国共通なのかなあと思いました。もしくは輸入してるのか…。 -
大乗仏教を生んだ種に、このジャータカ物語がある。釈迦が前世においてまだ修行の身(菩薩)であった頃、衆生を救おうと利他行を積み重ねていたという「事実」をもとに、個人の悟りだけでなく多くの人の悟りをめざすべきだという教えが生まれた。本書のあとがきを読むと、ジャータカ物語がいまあるような形で編集されたのは5世紀頃だが、その原型は西暦前1世紀というから、大乗仏教が起こる時期とほぼ符合する。
物語そのものはどれもたわいのないものだが、どれも仏教のめざす慈悲の教えに溢れている。仏教は悟りの教えなので、奉仕の精神はあっても悟りに向けた方便であり、奉仕を重視するキリスト教と比べて、原始仏教には慈悲の思想は薄かったという見方がある。原始仏典を読めば、慈悲の大切さは各所で触れられているので、そのような見方は誤解だと言える。ただ、そのような見方が存在するのは、部派仏教時代に、あまりに僧侶専門家集団内部の修行の手段と化した結果、慈悲の教えから遠ざかってしまっていたからではないか。その意味で、仏教の教えの中で、もう一度慈悲の思想を前へと押し出す役割を、このジャータカ物語が果たしたといえる。
本書に掲載されている30話の中で、私が一番印象深かったのは「ウサギの施し」だ。托鉢をする僧侶になんの施しもできないウサギが、たき火の中に身を投じて自らの肉体を僧侶に供ししようとした話である。同じ話が手塚治虫の『ブッダ』の中にも出てくる。興味深いのは、この話の結末に、神がウサギの徳をたたえて「月の表面にウサギの似姿を」書いたことだ。月にウサギがいるという話は日本固有のもののように思っているが、原型はインドにあった。もう一つ。この自己犠牲の精神は、熱心な日蓮宗徒であった宮沢賢治の中で発酵し作品の中に注ぎ込まれた。
辻直四郎の作品





