ぼく、デイヴィッド (岩波少年文庫 143)

  • 岩波書店 (2007年3月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784001141436

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

人生の苦しみや喜びを描いた物語で、主人公デイヴィッドの成長と周囲との絆が深く掘り下げられています。彼は大切な父親を失い、農家のホリー夫妻に引き取られますが、その中で無邪気さを保ちながら、周りの人々にと...

感想・レビュー・書評

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  • 約100年前の児童書である。
    最近の児童書やYAは社会を反映して、離婚や虐待や貧困や発達障害、LGBTQなどが描かれることが多いが、昔の児童書ってこうだったなあ、と思う。
    ひねくれた子どもだったのでアニメの『ポリアンナ物語』が嫌いで、そのせいでこの作者にも興味がなかったのだが、いやいや、なかなか良かった。

    主人公のデイヴィッドは無垢な少年である。
    ハイジやセドリック(『小公子』)もこういうキャラだった。所謂大人が評価するお利口な子どもではなく、本当に邪気がなく、天衣無縫で、やさしく、明るい。こんな子どもは本当はいないのである。いないのではあるが、いたらきっとこんな風に世界は良くなるな、と思わせてくれる。

    父と二人きりで山の上の小屋で暮らしていたデイヴィッドはヴァイオリンの(作曲、即興演奏もできる、というか即興を最も得意とする)天才で、ヴァイオリンだけでなくラテン語もフランス語もドイツ語も父から教えてもらい、自然を心から愛し、美しいものだけに囲まれて暮らしてきた。
    しかし、父は自分が余命いくばくもないことを悟り、息子を連れて山を下りる。そして途中で死んでしまう。少年はヴァイオリンしか持たず、名前もデイヴィッドとしかわからない。親切な農家の夫婦に引き取られるが、農家の仕事は上手くやれないし、教会に行ったこともないのでキリスト教徒としてのふるまい方も身についていない。
    しかし彼のやさしさ、自然を見つめる目、そして音楽が、頑なだったり、利己的だったり、希望をなくしたりしている周りの人々を変えていく。

    これほどの奇跡を起こすなら、普通の子供では無理。
    こういう風に書くと、全く絵空事、と思う人もいるだとうが、ディテールがきちんとしてきるので、すごく心に響く。
    これは私がすっかり汚れちまった大人だからかもしれない。
    子どもだったら、デイヴィッドのあまりのいい子ぶりに反感を抱いたかもしれない。
    しかし、今は、こういう本にも価値があると思う。こういう世界がたとえ現実にはなくても、読んでいる間だけでもこういう世界にいられることが幸せ。
    何度か涙が出た。
    伏線はすべて回収され、デイヴィッドの出自の謎も解け、完全なハッピーエンド。
    一種の貴種流離譚であり、そこも子どもは好きだと思う。(ハリー・ポッターしかり。)
    読めるかどうかは子ども次第だが、現代の子どもにも、意外と面白いだろう。
    しかし一番楽しめるのは俗世間に疲れ切った大人かもしれない。

  • 大好きな本、少女パレアナ、パレアナの青春(ポリアンナ物語の原作)と同じ作者の作品です。とても素晴らしい物語で宝物になりました。たくさんの人に読んでほしいと思っています。お父さんのデイヴィッドにあてた手紙が出てくるのですが、これがとても深い愛情につつまれたもので、読んでいて泣きそうになりました。お父さんがどんなことを考えて、何を大切にしてデイヴィッドを育てたのかがよくわかります。

    人生の苦しみや悲しみ、時には絶望の底を歩かなくてはいけないことを誰が教えることができるでしょう。悲しみのなかにいる時には、それを言葉にすることなんてできません。たくさんの物語は私たちに色々な経験をさせてくれるし色々な感情を教えてくれますが、自分が傷だらけになって生きてはじめて理解できる言葉のほうがずっと多いのです。だからこそ、この世には絶対に清らかで美しいものがあると教えることが大切なのだと思いました。人生の試練の時、その確信は生きる力になると思います。

  • 名字のない、ただのデイヴィッドはバイオリンで語る。

    父親を亡くしたデイヴィッドは、ホリー夫妻に引き取られる。日々の仕事よりも自然の美しさに心を震わせてバイオリンを弾く。デイヴィッドをおかしな子だと思っていた村の人々も、だんだんとデイヴィッドの考えに一目置くようになる。喜びも悲しみもバイオリンに歌わせるデイヴィッド、彼の秘密とは——。

    同じ作者であり「独特な子が常識的な周囲の人たちをほぐしていく」「過去に不幸なすれ違いから別れたままの恋人たちがいる」「初めはその子に戸惑っていた周囲もだんだんと感化される」「その子が倒れたときは村中が心配する」という要素がポリアンナと共通。ポリアンナよりも独特のペースであることは否めないが。ラストで一気に時が進むハッピーエンドなのも、スッキリしてよいかもしれない。

    デイヴィッドが、ホリー夫妻のために財産を投げ出そうとしたところ、その金貨で彼が音楽を学べるところに行くという夢をどれだけ大切にしていたか語られていたために、デイヴィッドの決心がとても心に残った。その後、後悔はしないものの夢破れたことに沈むデイヴィッドの葛藤にも。だから最後にデイヴィッドの気持ちを知ったシミアン・ホリーのセリフは重たかったし、心に残るラストシーンとなった。

    「必要なやっかいごと」に取り掛かっている「かがやいていない時間」をかがやかせるための夢。それを失って病の床につくデイヴィッド。自分は自分の時間をかがやかせているだろうか。自然の美しさに気がついているだろうか。デイヴィッドから学ぶことがたくさんあった。

  • 学校教育とは、何かと思うわねー

  • ヴァイオリンを弾く少年の話。自然の中の美しさに触れたくなります。

  • デイビッドの存在が全ての人に幸せを与えてくれる。
    孤児となった彼に取り巻く人々は、彼と、彼のバイオリンに心を癒されて絡み合った糸が解けて行く様子が、暖かく描かれている。

  • うわぁぁぁん
    おもしろい
    泣ける

    なんか似てるな〜と思ってたら
    ポリアンナの作者だったー!
    にてるなー!

    主人公が超!いい子
    いい子で天才でふしぎちゃん

    すれちがってるカップルが出てくる
    このへんもおもしろいけどポリアンナのおばさんっぽい

  • 純真で美しいものは、なににも負けないのだということ。それを信じていていいのだと励まされる。単なる「よい子ちゃん」話で終わるんじゃなくて、デイヴィッドの素性が知らされる最後には、ほぉ〜と普通にびっくりさせられる。27 Aug 2007

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著者プロフィール

1923年、東京に生まれる。東京大学西洋史学科卒業。翻訳家。『シェルシーカーズ」上・下『九月に』上・下(朔北社)『懐かしいラブ・ストーリーズ』(平凡社)、ハヤカワ文庫のクリスティー文庫(早川書房)、『子どものための美しい国』(晶文社)など児童書から推理小説まで幅広いジャンルの本を多数翻訳している。

「2022年 『ロザムンドおばさんの花束』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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