ぼくと〈ジョージ〉 (岩波少年文庫 149)

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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001141498

感想・レビュー・書評

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  • 主人公ベンには目に見えないもう一人の人格<ジョージ>がいる。。。ベンがもう一人の人格と時にはけんかしながらも最後には互いに認め合って成長してゆく。私は小さい頃もう一人の自分がいた。私より頭がよく美しくて優しい子。一人でも寂しくなかった。小学生に上がる頃、いろいろな他人につきあってゆくうちに消えてしまったけれども。誰でもこんな時代があったのではと思った作品。物語の最後がすがすがしい。

  • 何の予備知識もなしに何となく読みました。謎展開の退屈な物語かと思っていたらさにあらず。終盤の疾走感はなかなかのもので、児童書とバカにはできません。ジブリの鈴木さんの解説までついているとは。
    少年ベンのなかにひそむもう一人の存在、ジョージ。上手くやってきたはずの二人にも行き違いがあって、そこから事件が起こっていくという話。大人はある程度断絶された書きぶりで、子どもの目線で物語が進行していきます。

    解説で鈴木さんが掲げていたのが、思春期というキーワード。若くて、元気で、でもちょっと鬱屈していて、なんかわかるような気がしました。

  • 数日前に読了。カニグズバーグは5冊目?
    むすびの文句がやや消化不良なのだけど、終わり方がけっこう好き。ベンとジョージをきっちり別物として描いていて、おしまいに大人を出すような妥協をしていないのがよかった。
    訳の距離感が気になる感じもするので、いつか原書で読んでみたいな。

  • ぼくと、ぼくの中にいるジョージとの話。

    ベンの中にはジョージという少年がいる。ベンの中で様々なことをしゃべる。ベンの行動を非難することもある。ウィリアムはずっと組んでいたベンではなく、同じ上級生のチェリルを相手に選んだ。バーコウィッツ先生は母親のシャーロッテ・カーに接近している。離婚した父親の奥さんマリリンはベンを精神分裂症だと心配した。盗難事件でジョージが疑われる。一度は仲違いしたベンとジョージが選んだ答えは——。

    最初のうちはなかなか状況が理解できなかったが、不思議に読み進められた。ベンが内包するジョージは、ベンの心を代弁する存在。信じたいことと疑い。好かれたい気持ちとプライド。心配。不安。頭の良い子どもだからこそベンは戸惑い、立ち止まり、耳を塞ぐ。でもそのままではいられない。

    ウィリアムとチェリルが何をしているのかベンが理解したとき、ベンとジョージの取った行動が意外だった。てっきりウィリアムとチェリルを告発するのだと思った。しかしそうではなかった。ベンとジョージが選んだのは、自分を守り、バーコウィッツ先生を守り、有機化学のクラスを守り、そしてウィリアムとチェリルには地味だけど効くペナルティを与える選択だった。

    私の中にジョージはいるだろうか。いたような気がするし、今もどこかにいるような気がする。裏腹になる感情と行動。苛立ちとか不安とか勇気とか欲とか。全部ひっくるめて抱えていきたい。いいじゃない、ずっと思春期。

  • 思春期の苛烈さを描きつつ。破滅的に終わらないのは、カニグズバーグならでは。
    自身のうちにある二つの声の掛け合い、せめぎ合い。それを日記として対話することを私も行ってきた。

  • アンドリュー・ノリスの「マイク」を読んでこの本を思い出した。読み直して設定は違っていたことに気が付いたけれど、やっぱりこの本はすごかった。
    弟と二人で車を運転してしまうところが印象深いんだけど、自分の中にいる別の人格という難しいテーマを納得できる結末に導いていく力に脱帽する。

  • ぼくと(ジョージ) カニグズバーグ 岩波少年文庫

    鈴木敏夫さんの書いた「じぶりの哲学」を読んだことでこの本にたどり着いた
    この作品は「魔女の宅急便」や「思いでホロホロ」に愛着のある私を納得させてくれる
    自分に相対するもう一人の自分の存在を浮き彫りにしてくれる
    本文も十分に面白いけれども
    最後に解説として鈴木さんが書いている文はとても面白い

    純粋な子供の意識と社会性という身勝手な安全のお仕着せの価値観に
    侵されてしまった大人が繰り広げる保守的で暴力的な侵害に対して
    自在で対等で純真な心を失っていな人ほど信頼性が強く無抵抗である

    社会性に飲み込まれて過去に依存してしまった人は
    縄張りという見せ掛けの安全地帯に入れてもらう代わりに
    損得と勝ち負けの競争と不安に縛られて暮らさなかればならない

    社会性を飲み込んで今現在に自律して生きようとする人は
    群れとな違う切磋琢磨によって成長する自分なりの選択力を身に付けながら
    社会の一員として参加し人知れず貢献していく道を選ぶだろう

    メジャーな価値観に対立してメジャーの権利を奪い合う縄張りも同じ穴の狢である
    奪えたとした所で元の木阿弥となってその価値観は革新から保守に寝返るだけで
    状況はひどくなる一方である

  • 頭がよく、ひかえめな少年べんの体の中には、もうひとり別の少年が住んでいた。
    幼いときからうまくやってきたふたりは、ある事件をきっかけに決裂する……。
    思春期の少年の傷つきやすい心の内側を照らし出した意欲作。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    うーん面白かったかな!?
    なんか途中の言い回しで気に入ったとこがあったんだがどこだったか…
    結局決裂したんじゃなくて共生していくとこが良いなぁと思う。

  • すごく胸に刺さる。
    内側の混乱から抜け出せなくて、
    「正常で標準的」になることがどうしてもできない自分。

    今、この本を読めて良かったと思う。

  • この時代にクスリの事件が書かれているのはすごい。
    現在に通じる内容。カニグスバーグさんはやっぱりいい!

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