オタバリの少年探偵たち (岩波少年文庫)

制作 : エドワード・アーディゾーニ  Cecil Day Lewis  脇 明子 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 67
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001141559

感想・レビュー・書評

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  • 第二次世界大戦直後のイギリス、オタバリの町で起こった一大事件。
    この事件で大活躍したのは、やんちゃで好奇心旺盛で時々むこう見ずな少年たちです。
    本書はその少年たちの一員・ジョージが、事の起こりから顛末までを綴ったもの。

    導入部分から、すでに彼らの仲間に入りたくてうずうずしてしまいます。
    戦争ごっこに明け暮れ、友人のピンチに協力してお金を集め、盗まれたお金を取り戻すために現場検証をし、推理する…。
    「子供時代って無敵だったな」と思うことがあるのですが、まさにその無敵さにあふれたストーリーなのです。
    もちろん怪我をしたり、危険な目にもあったりするのですが、こんな冒険してみたい!

    アーディゾーニの挿絵がいいのです。
    少年たちの何気ない立ち姿や、自転車をこぐ後ろ姿から、オタバリの町の空気が感じられて、彼らと一緒に駆け回りたくなるのです。

    子供心に戻りたくなったときにページをめくりたい1冊でした。

  • ◆◆ ベッドでミステリー ◆◆ 第十九回

    ・・・ 第十九回 「オタバリの少年探偵たち」 ・・・

    イギリスの桂冠詩人である、セシル・デイ・ルイスがたった一つ書いてくれた(だと思った)児童文学です。
    子どものときその文章読んで、編集者、なにしてる、書かせんかい!?
    と思ったのを覚えてます。
    いまとなっては、超テンポが遅いので覚悟して息を吸って、ゆっくり読んでね、ですが、もし入り込めるのなら読まない手はないよ、の名品。

    オタバリという町で、ある日みんなでサッカーボール蹴ってて学校のガラスを割ってしまった……。
    ところがたまたま蹴った子は、爆撃で家族をいっぺんに亡くしておじさんちに引き取られてる子だった……。
    青くなる彼のために、仲間たちは週末バイトを計画します。
    首尾よく稼げたと思ったら……今度はその金が無くなる……。
    誰が、どうやって盗んだのか、と同時にこれは少年たちの友情問題です。
    テーマは重苦しいけどあちこち笑えるコメディ仕立てなので楽しく読むことができるよ。

    2018年06月12日

  • 男の子たちが戦争ごっこに興じる様が生き生きと描かれていて、まずそこから引き付けられました。でも、現実の世界は空襲で町がひどい状態での遊び場であり、両親が亡くなった仲間もいる。
    仲間を助ける友情や、盗まれたお金を捜す推理話や、お金を取り戻す冒険などいろんな要素が詰まっていて楽しかった。少年たちにお勧め。
    2016-4-10再読

  • 物語冒頭はどこか先日読了したばかりの「飛ぶ教室」を彷彿とさせます。  メインの登場人物たちは男の子たちばかりだし、その子たちのリーダー的存在である二人の少年、テッドとトピーが率いるグループに分かれて戦争ごっこをしているあたりは「あれ?  つい最近、似たようなお話を読んだばかりのような・・・・」と思わせるに十分でした。  しかもその後も舞台背景やらやっていることこそ違えども、いかにも男の子的な友情と対立が描かれているあたりも、「お国や時代は違えども、いずこも男の子の遊びはこんなもの。」という感じです(笑)  ついでに、子供たちに無条件に好かれる大人(先生)が出てくるあたりもね。

    この物語が「飛ぶ教室」とはやっぱり別物であることを感じさせるのは物語の途中からです。  対立する2つのグループの中のとある少年が学校の教室の窓ガラスを割ってしまったことから、その2つのグループはあの「三銃士」の「全員はひとりのために。  ひとりは全員のために。」な~んていうことを言いながら講和条約を結び、その窓ガラス代をみんなで協力して弁償するという素晴らしい判断をします。  でも時は第二次大戦直後。  子供どころか親だってその日を暮らすのが精一杯。  ましてこの主犯(?)の男の子に至っては両親を失って親戚に引き取られ肩身の狭い思いをしている毎日なので、保護者に「学校の窓ガラスを割っちゃったから、お金を頂戴」なんて言える状況ではありません。  

    彼らはいくつかのグループに分かれてあれやこれやと知恵を絞って、お金を稼ぐ算段をし更にはそれを実行するわけですが、ここがこの物語の最初の見せ場になっています。  靴磨きのための作戦の部分なんて思わずクスリと笑っちゃいます。  路上売りのお手伝いをする辺りは「へぇ!  なかなかこの子たち、逞しいじゃん!!  将来はきっといい営業マンか広告マンになるんだろうなぁ」な~んて思わせてくれるしね。  このプロジェクト、名付けて「ガラス屋作戦」。  こんな状況であってもどこか「遊び半分」なのが、さすが男の子です。(笑)

    で、彼らの努力の甲斐もあって彼らが試算した窓ガラス代にはお釣りがくるほどお金は集まったんだけど、な、な、なんとそのお金がなくなっちゃうんですよ。  当然疑惑はそのお金を預かった男の子に向けられます。  するとせっかく結んだ講和条約はいきなり吹っ飛んで、再び元の2つのグループ(若干の人員配置の変更アリ)に分かれ、今度は「法廷ごっこ」です。  対立するグループのリーダーが裁判官 & 検察で、弁護人もちゃんといます。  で、この裁判の結果、「何びとも有罪と証明されるまでは無罪であり、罪を証明する義務は検察側にある」という大人顔負けの論理性のもと審議保留となり、今度は「探偵ごっこ」に突入です。



    ここから子供たちが容疑のかかった少年をある者は救うため、別の者は有罪の証拠固めのため捜査を開始する展開となるわけだけど、この捜査が又なかなか凄い。  子供っぽい場当たり的な適当な捜査でお茶を濁すのかと思いきや、子供なりにかなり理にかなった行動をとり始めるんですよね~。  しかも物語ではちゃんと伏線も張ってあるからちょっとしたミステリー仕立ての物語にもなっているし、「ホームズの大ファン」らしい変人の大人が捜査に協力したりと遊び心にも溢れています。

    捜査の過程で当初は裁判官 & 検察側だった人間が容疑者の無実を確信するようになり、再び全員一丸となって真犯人を追求し始めると、物語はアクション満載のサスペンスに変わります。  この子たちの大人顔負けの計画性、それを遂行する実行力、組織の動かし方には脱帽ものです。  時代のせいもあるのかもしれないけれど、イマドキの子供たち、KiKi の時代の子供たちと比較しても「小さな大人」と呼ぶにふさわしい成熟度があるように感じました。

    彼らが行き着いた先は盗難品を闇市に流していた犯罪集団のアジトで、しかもホンモノの警察が何とか炙り出そうと努力していたのになかなか尻尾をつかませなかった集団でした。  最後は怪我人まで出ちゃったしかなり危うかったんだけど警察に助けを求めて、一件落着です。  そして少年たちは警察から「捜査の協力に対する感謝」と「子供たちが悪意なく犯したいくつかの不法行為への戒めのお説教」を頂いて大円団。  

    この最後の学校集会での校長先生と警部のお話がなかなかいいんですよね~。  大人らしい「良識」と子供たちの行動への「感動」と「感謝」が実に良い加減に Mix されていて、ユーモア感覚にも溢れていて・・・・・。  今となっては子供たちに説教する側にいる KiKi は是非彼らを見習いたいものです。



    さて、最後にこの本の宮崎駿さんの推薦文をご紹介しておきましょう。



    かつて、少年達とはこういうものだったなどとは言いません。  ぼくらも戦争ごっこに熱中しましたが、この本にあるような事件には出会わず、この少年達のような勇気や行動力を発揮するチャンスはありませんでした。  まったく、残念なことです。

    いや、ちがうかもしれない。  少年時代をはるか後においてきたまぎれもない高齢者のぼくは考えます。  事件はあったにちがいありません。  スレスレに脇を通ったかもしれません。  ただ自分は気がつかないふりをしたり、追跡しようとしなかっただけなんです。  それこそ、ますます残念なことだと思います。



    確かにこの物語の少年たちの活躍は眩しいくらいだし、彼らが持っている多くの資質には目を奪われちゃうから「残念」と思う気持ちもわかるけど、それは物語が最終的にはハッピーエンドだったから言えることです。  彼らも1つ間違えばもっと大惨事に巻き込まれていたかもしれません。  もしも KiKi 自身がこの子たちの親だったら彼らのやったことを目を細めて喜んだり誇りに思うことができたかどうか・・・・・。

  • 90点。映画のようでかっこよく、おもしろい。(つづきはまた今度)

  • 読書感想文の為に読みましたけど、普通によんでも充分に面白いっす!

  • 純粋で、残酷で、素直で、無謀で、・・・・。
    普段対立するグループ同士が、力を合わせて事を成し遂げる姿が、とても爽やかです。エドワード・アーディゾーニのさし絵が物語りに花を添えています。

  • ダニエル・デイ・ルイスの父親なわけですが、自分からしたらダニエル・デイ・ルイスはセシル・デイ・ルイスの息子です。
    小学生の時に少年探偵物を読みまくった中の好きなものの一冊です。

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