ふしぎなオルガン (岩波少年文庫)

制作 : 国松 孝二 
  • 岩波書店 (2010年3月17日発売)
4.20
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  • 8レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001141641

作品紹介

ドイツの外科医が戦地から故郷の子どもたちに書き送った美しい童話。神さまのみこころにかなった花よめ花むこが教会に入っていくと、ひとりでに鳴りだすオルガンの話など、20編。どの物語も忘れがたい印象を残します。小学3・4年以上。

ふしぎなオルガン (岩波少年文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 「出逢った」という運命を感じてしまう本というのは稀にあるもので、これもその一冊。
    ストーリーテーリングのテキストとして選んだのだが、読み終えた後ではもうそんなことはどうでも良くなってしまった。

    ドイツの著名な外科医リヒャルト・レアンダーが、戦地から子どもたちに書き送った童話集。
    この本にはそのうちの20編が収録されている。原題は【フランスの炉辺の幻想】。
    1870年の独仏戦争に、レアンダーも軍医監として出征したのだという。

    全264ページ中に20編なので、1話ずつはさほどの長さでもなく、それぞれの最初と最後にペン画による挿絵が慎ましやかに添えられている。
    王子様や王女様・騎士とその妻、職人や百姓、小さな子どもや寡黙な若者、魔女と天使と。
    さまざまな立場の登場人物たちが現れ、話の舞台も広範囲に及ぶ。時には天国と地獄まで!
    一貫して言えるのは、どれもみずみずしい清潔感にあふれ、押し付けがましい説教くささは微塵もないこと。
    貧しいひとや障害を持つひとをことさらに哀れんだり、童話のふりをして高邁な思想を振りまこうなどという俗っぽさもない。
    レアンダーの筆が殊に冴えるのは、自然がひとの心にもたらすものを描くときだ。
    【見えない王国】という作品では、しばしば涙で先が読めなくて困った。

    夫婦のお話もいくつか登場し、リアルな言い争いもあるのに何となく微笑ましい。
    読みながら、作者をどんどん信頼している方向に向かっているからだろう。
    その意味では、アンデルセン、グリム、ペローなどとはまるで違った分野の開拓者だったと言えるのではないだろうか。
    ところで、表題作の【ふしぎなオルガン】は一番はじめに登場する。
    短いが大きな感動をたたえた話で、今の私の力ではとうていこの話の美しさを伝えきれない。
    なので、繰り返し読んでは、心の中で温めていこうと思う。
    私自身はありふれた小さな存在でも、お話はゆっくり私の中で育っていくだろう。
    そして、辛いときや悲しいときに、そっと背中を押してくれるだろうから。

  • 創作童話20遍が収録されています。

    実際に子どもが夢の中で創造しているようなお話と、道徳的な面がちょっと強く出されたお話。
    訳書なので違和感を感じる部分もあり、特に道徳的なお話は子どもには少し難しいかなぁとも思えるのですが
    子どもの想像力は計り知れないので凝り固まった大人の感想はあてになりませんね。


    そんな大人が特に惹かれたのは「若返りの臼」。
    過去をやり直すより、今を、これからを大事にしようというお話。
    大切なことは大人も子どもも違いはないですね。


    童話は大人になっても楽しめるので大好きです。

  • 口琴というと、アイヌの「ムックリ」くらいしか知らずにいたが、金属製もあったり、さらには、昔は日本にも金属の口琴があって「びやぼん」と呼ばれていたそうだ、などという話を、9月の初めにおしえてもらった。

    それで、何か本があるかなと図書館の検索窓に「口琴」と入れて引いてみると、このリヒャルト・レアンダーの本が出てきた。この童話集のなかに「コショウ菓子の焼けないおきさきと口琴のひけない王さまの話」という一篇があるのだ(この本では「くちごと」とルビが振ってある)。

    せっかくなので、借りてきて読んでみた。「口琴のひけない王さま」がひけないのが、びよよーんと鳴らすこの楽器なのかどうかは話を読むだけでは判然としないが(なにせ、ひけないのだからその描写がない)、「口笛」を吹ける王さまなので、そういうのと取り違えてる風ではない。

    この本におさめられているのは美しい創作童話で、こういうのを久しぶりに読んだなと思った。昔読んだり、読んでもらったりした話を思いだすところがあり、それでいて、ふと自分の今の生活のことを考えてしまうような、読後感。

    作者のレアンダーは、1830年にうまれ、1889年に没している。ドイツの医者で、独仏戦争の際には軍医監として出征し、ドイツ軍のパリ攻撃に参加した。長らく続いたこのパリ攻撃のあいだ、レアンダーはふるさとのことや、ふるさとに残してきた子どもたちのことを思いおこし、同時に自分がまだ子どもだったころの思い出や夢やまぼろしがよみがえってきて、それらを書きつけ、野戦郵便に託して、ふるさとの子どもたちのところへ送った。この本にまとめられている童話はそうしてできたものなのだという(そういう話は、ほかにもあった気がする)。

    1980年に書かれた訳者のあとがきには、新版を出す際に「小さな黒ん坊とこがね姫」を割愛したとある。「時代による制約とはいえ、そこにおのずと息づいている、一種の差別意識の影響を案じたから」(p.264)という。私が読んだ本は、さらに2010年に新版として出されたもので、編集部による付記があり、また一篇「小さなせむしの少女」を、「現在の人権意識に照らして」割愛したとある。

    現代の人権意識に照らして、それらがどんな話なのか、旧版も読んでみたい。

    *「口琴」とか「びやぼん」などとネット検索していて、日本口琴協会(http://www.koukin.jp/)という団体があることを知る(URLに「koukin」とあるように、ここでは「こうきん」とよむらしい)。

    (9/25了)

  • 童話・民話は大好きです。
    幼少期に読んだ記憶も何となくあるが、再読。
    割と、教訓的なことを含んでいるお話は多かったが、中々新鮮な気持ちになりました。
    子供のころは、正直そう好きな童話では無かったのですが、今読むと、結構色々と考えさせられる童話でした。
    面白かった。

  • どこが気に入ったのか教えてくれないのだけど、何度も何度も読んでいるので惹き付けられている様子。

  • ドイツの外科医さんがかいた童話集

    けっこう面白い
    ひやひやしたり
    あらまぁって思ったり

    「錆びた騎士」(貧乏人をいじみめた罰で半身が錆びた騎士を助けるために奥さんが物乞いする話)
    「沼のなかのハイノ」(青い目さんに惚れた王子を城に戻すために両親が画策してピンチの王子を青い目さんが助ける話)

    「不幸鳥と幸福姫」(名前のせいか不幸な若者にキスしたら元気がなくなったお姫さまにキスを返すうちに結婚することになる話)

    「夢のブナの木」(ブナの下で夢を見るとその夢が叶う木の下で寝た男と奥さんの話)

    が面白かった!!

  • ドイツの外科医が戦地から故郷の子どもたちに
    送ったとのこと。
    教訓じみたりしてなくて
    すきだなあー
    こがねちゃんかわいい

  • 小学生の時に読んで以来忘れられない本。とても影響を受けた。ファンタジーであっても、心の中では現実と同じように感じていた。最近思い出して、また読みたいと思って本屋で買ってきた。ところが、一番好きだった話が見当たらず、最期を見たら、その一編が人権意識に照らして割愛されていた。話そのものより、その言葉が問題とされてしまうのだろうか?「ちびくろさんぼ」も一時はなくなったと聞いたが、また復刻されたが、どうなっているのだろうか?

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