ヤマネコ号の冒険(上) (岩波少年文庫 ランサム・サーガ)

制作 : 神宮 輝夫 
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001141740

感想・レビュー・書評

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  • 前作までと違って本格的に海に乗り出し、宝探し…とはいえ、冒頭出てくる船乗りの名前が『ツバメの谷』でティティが生み出したキャラクター、ピーター・ダック。
    ということで、ほんものの冒険ではない(らしい)。けれど、冒険前半のリアリティはすごい。『宝島』は時代背景とかで、やはりどこかお子様向けのにおいがするけれど、こちらは容赦なく細部にわたる船の描写があって、大人にも歯ごたえしっかり。ここで挫折する人もいるかもしれないけれど、お好きな人にはたまらない。
    個人的には
    1)勇者ナンシーが実は船酔い体質(ネルソン提督、ホーンブロワー以来のお約束)
    2)ピーター・ダックの前歴がサーモピレー号(作中ではテルモピュライ号)の乗組員だった
    あたりでうけました。
    さあ、後半は…。

  • トイレはどうしてるんや、と特に思う本編

  • 下巻にまとめて書きます。

  • 今回はエンジンの絡む船という
    今までとはちょっとスケールの違う作品です。
    子供たちだけではなく、
    元凄腕の船乗り2名が乗っています。

    その一人の名前…おや?
    と思ったあなたはきちんと読んでいますね。
    そう、空想物語ではなくて
    ついぞ現実になったんですよ。

    その水夫はある秘密を持っていたのですが
    どうやらその秘密を付けねらうある
    不届き者がいるようです。

    実際に何度も付けねらわれていますし
    最後の最後まで金魚の糞のように
    ついてきていますので。

    お宝が気になるな!!

  • ここまでの「ランサム・サーガ」の物語の Review の中で KiKi はある意味で手放しでキャプテン・フリントを褒めちぎってきたけれど、そんな KiKi の評価はこの「ヤマネコ号の冒険」で地に堕ちました。  ダメでしょう、こういう大人は!!  この「ヤマネコ号の冒険」を読んだ後であればあの「長い冬休み」の最後の方でナンシィのお母さんが口にしたセリフ

    「それから、たぶん、本当のことが分かったら、他の人と同じくらいジムおじさん(≒ キャプテン・フリント)の罪ってことになるんでしょうね・・・・・・。」
    には文句なしで同意していたことでしょう。  子供達の「ごっこ遊び」にとことん付き合って、リアリティ演出にひと肌もふた肌も脱ぎ、それでいて目だたないところで安全確保要員として走り回る姿には「こうありたい大人の姿」と憧れさえ抱いたけれど、この「ヤマネコ号の冒険」のように大人が自分と老水夫ピーター・ダックと2人だけという状況で子供達にとっては初となる海への航海、しかも遠洋航海に出かけ(まあ、そこまではいいとして)、しかもふとしたことで耳にした「宝探し」に夢中になって他のことは冷静に考えられなくなり、しかもその同じ宝を本物のかなり物騒な海賊が狙っていることがわかっていながら、子供だらけの一行をその宝があるらしいカニ島に導くなんていうのは真っ当な大人のすることじゃありません。

    もちろんこの物語が「ロビンソン・クルーソー」とか「宝島」に触発された「海洋冒険もの」として書かれた物語であることは百も承知です。  でも、KiKi の気分としては、この「ランサム・サーガ」がギリギリの境界線で保っていたある種の良心みたいなものがこの1作によって粉々に壊されてしまった・・・・・そんな気分なんですよね~。



    しかも・・・・です。  もちろんこの物語の臨場感を煽るための演出の数々として・・・・であることはわかっていても、そのカニ島を信じられないような暴風が襲ったり、大地震が発生し山崩れが起きて地形が変わっちゃうほどの大惨事が起こったり(そんな状態でよく津波に襲われなかったもんだ!)、そんな中でいくら有能なサバイバリスト揃いのパーティとは言え子供たちが全員無傷で無事だったり、挙句、その地崩れのおかげであっさりと宝が見つかったりとなると、何だか派手な演出で観客を煙に巻く昨今のハリウッド映画を見せられているような気分です。

    物騒な海賊が襲ってきた割にはピーター・ダックも赤毛のビル少年も軽症で(と言っても歯がなくなったり骨折したりはしているけど)済んでるし、その海賊襲来のときには子供たちを案じて船を離れたキャプテン・フリントが無事(彼の後を銃を持った男たちが追っていた)なのも、海賊が発砲した銃弾が壊したのがカンテラや帆柱だけというのも何だかご都合主義的でちょっぴりウンザリ・・・・・。 

    挙句、海上で竜巻に遭遇し、その竜巻が一行の乗る「ヤマネコ号」をかすめるように進んでいき、海賊どもを一掃してくれちゃった・・・・・に至っては正直呆れ返ってしまいました。  ここまでご都合主義の結果オーライ物語でいいんだろうか?ってね。

    少なくともこの物語に至るまでの「ランサム・サーガ」は「ロビンソン・クルーソー」や「宝島」といったような物語に憧れていることを感じさせつつも、そこかしこに普通の子供たちの日常生活が滲み出ていて、子供らしい「想像力」がいわゆる平平凡凡な日常の中に冒険の要素を見出しているところに、更には分別ある大人がそれを遠巻きに見守っているところに魅力があったのになぁ・・・・・。

    ただ1つだけ、この物語を読んでいて、そして KiKi にとっては決して褒められたものではないと感じる今作でのキャプテン・フリントの姿に、帝国主義を推進した大英帝国の原動力みたいなものはいやというほど感じました。  分別も理性もなく、ひたすら冒険と富を求める、一歩間違えば獰猛な海賊と大差なし・・・・・というような何かを。

    まあ、この Review ではケチョンケチョンなキャプテン・フリントだけど、元は海賊船側のクルーだったのにふとしたことで「ヤマネコ号」に拾われることになった赤毛の少年、ビルに対する優しさみたいな評価できる部分もちゃんと描かれていたことは一応触れておきましょう。  

    そしてこのビルが物語に登場したことにより、どちらかというと「いい家の子供達だらけ」「恵まれた子供達のお話」だった物語に、同じ時期にビルのような貧しくて気の毒な子供もイギリスにはいたというある種の時代背景・深みみたいなものが垣間見えたところはいいなと感じました。  この格差と比較したら、「格差社会」と言われて久しい我が日本国の格差は小さなものです。  (あ、だからと言って今の「格差社会」が容認できると言いたいわけじゃありませんよ。)

    さて、何はともあれ、ツバメ号のクルーもアマゾン号のクルーも、さらにはキャプテン・フリントもみんなが無事なので、サーガはまだまだ続きます。  可能なら、もう一度あの「ツバメ号とアマゾン号」、「ツバメの谷」、「長い冬休み」みたいな健全さを保った物語を読みたいものだけど、この先はどうなることやら・・・・・。  物語にしろ人生にしろ、エスカレートし始めるとあるレベルまでは際限なくなる傾向があるからちょっと怖い・・・・。

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