オオバンクラブ物語(下) (岩波少年文庫 ランサム・サーガ)

制作 : 神宮 輝夫 
  • 岩波書店
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001141795

感想・レビュー・書評

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  • (No.11-83) ランサム・サーガ 5。上・下巻をまとめて書きます。
    以前出版されたときの題は「オオバンクラブの無法者」でしたが、「無法者」ってきっと今の子には通じないわね~。
    しかもよく考えてみると無法者って誰?トムのこと?うーん違うような・・・。
    改題して正解かな。

    『ディックとドロシアは、ミセス・バラブルの招待でイースター休暇をノーフォーク湖沼地帯で過ごすことになった。ミセス・バラブルは、昔きょうだいのお母さんの女学校の先生だった人。弟は有名な肖像画家で、二人で休暇を過ごすために船を一隻借りたのに弟の都合が悪くなり、一人では寂しいのできょうだいを招待して一緒に過ごそうと誘ってくれたのだ。
    この前の冬休みにふたりはウォーカーきょうだいたちと知り合い、セーリングを習うことを切望していた。それが叶いそうなので嬉しくてたまらない。
    だがミセス・バラブルが借りたティールズ号に着いて、それが誤算だったことがわかる。ミセス・バラブルだけでは船を動かせないので、船に泊まるだけだったのだ。
    がっかりしていることを隠そうとするきょうだいと、それに気がつくミセス・バラブル。そこに素敵なチャンスが飛び込んでくる。土地の少年トムをトラブルから助けた縁で、トムやその友達のポートとスターボードがセーリングを指導してくれることになる。
    二人は立派な船乗りになれるだろうか?』

    きょうだいと仲良くなったトムは、卵を温めているオオバンの巣を守ろうとして観光客とトラブルを起こしてしまいます。この土地では、子供たちは自己責任で何をしてもいいけれど観光客とトラブルだけは起こしてはいけない、という不文律があるのに。
    ディックは鳥が大好きですが、観察して記録することに情熱を持っているだけで、卵を捕ったりはしません。トムもそのことを知ってすぐに意気投合します。こういうところは自然保護に対するランサムの想いを、オオバンクラブの子供たちが代弁しているようでした。

    わがまま勝手な観光客の追求からトムは逃げることができるか。
    ディックとドロシアはセーリングが出来るようになるのか。
    出発してしまったティールズ号にポートとスターボードは合流できるのか。
    潮の満ち干で流れが複雑に変わる沼沢地で嵐にまであって、無事航海出来るのか。
    など、今回は大変ドラマチックな展開でした。

    本筋とは全く関係ないことですが、以前読んだ時も印象に残ったベーコンの焼き方。
    カリカリが良いか、やわらかいのが良いか。私はカリカリに焼くものだと思っていたので、この小説でちょっとだけ焼くのもありなんだ!と。小説の中で、お互い譲らないところがおかしかったです。

    トムは土地の子供ですがお父さんは医者、ポートとスターボードは弁護士の子供、ディックとドロシアは学者の子供です。全員知識階級の子供たち。
    彼らを助けてくれる子供たちの親は労働者階級で、皆仲が良いのですがやはり違いがあるような感じに描かれています。
    今よりもっと階級がはっきり分かれていただろう時代の雰囲気が伝わってきました。

    これからもどんどん新訳が出そうなので楽しみにしています。

  • ハラバルー(無法者)たちの追撃から逃れるように
    トムたちは遠出をしていきます。
    ただし、双子たちとは行き違いになったようで…

    何とかしてでもトムたちに追いつきたい双子の
    知恵を絞った行動がなかなかほほえましいです。

    そして今回も絶体絶命のピンチに
    見舞われることとなります。
    そう、あいつらに本当に捕まる危険に
    見舞われるのです。
    ですが…

    まあ、ある最後のほうにあるセリフのとおりです。
    バカなことさえしなければこんなことにも
    ならなかったのにね。
    「どけろって頼んだのに、きかなかったからね。」

  • 個人的にはあまり気に入らなかったシリーズ第3作(このブログでの「ランサム・サーガ Review」 では第4作目になっちゃったけど)、「ヤマネコ号の冒険」を読了した際、この先この物語はどっちの方向へ向かって行っちゃうんだろう?とちょっとおっかなびっくりだった KiKi なんだけど、この第5作「オオバンクラブ物語」を読んでみてほっと一安心。  ・・・・・というより、あの「長い冬休み」で初登場したD姉弟のその後のお話であることを知り、安心を通り越して大喜びしてしまいました。

    ツバメ号 & アマゾン号クルーたちに大いに感化されたD姉弟は子供らしいライバル心(?)から次に彼らと会う前(つまり次の夏休みまで)にセーリングをこっそりと学んで、彼らの遊び世界から置いてけぼりを食らわないようにと考えます。  そこに何とも都合の良いことにイースター休暇をノーフォーク湖沼地帯で過ごすチャンスが転がり込んできます。  

    彼らを招待してくれたミセス・バラブルは、昔、姉弟のお母さんの女学校の先生だった人で、弟さんと2人で休暇を過ごすために船を一隻借りたのにたまたまその弟さんは仕事の都合で来られなくなり、姉弟を招待してくれたのです。  ところがその船(ティールズ号)に着いてみると、ミセス・バラブルだけでは船を動かせないので、船に泊まるだけという事実が判明。  

    落胆を必死で隠そうとする姉弟と、それに気がつくミセス・バラブル。  そこに再び別のチャンスが飛び込んできます。  土地の少年トム(鳥類保護運動をしている)が少し前から傍若無人な振る舞いが目立ち土地の人たちからちょっぴり白眼視されていた団体観光客とトラブルを起こしてしまい、彼らから逃げ隠れしなければならない状況に陥っていたのです。  土地っ子のトムはツバメ号 & アマゾン号のクルーたちも顔負けのセーラーなので、ティールズ号を動かしながらD姉弟にセーリングの手ほどきをしつつ、観光客から逃げ続けるということでお互いの利害が一致します。



    こうして始まった「逃亡劇」 兼 「セーリングの初級コースのレッスン劇」 兼 「くるくる変わる自然現象との戦い劇」 兼 「自然保護運動劇」 兼 ・・・・・・と、まあ色々な要素が組み合わさった冒険劇が繰り広げられるこの物語。  実に楽しい物語でした。  そこかしこにチラチラと見え隠れする「自然保護」に対するランサムの想いが印象的です。

    「長い冬休み」では、ツバメ号 & アマゾン号のクルーたちに押されっぱなし、どちらかというとお荷物的なポジションにいて、どこか「都会っ子」の匂いが強かったD姉弟が少しずつ少しずつワイルド系(と言ってもそんなに激しいものではない)に変貌していく姿は見ていて(読んでいて・・・・と言うべきか?)実に頼もしいものでした。

    特に KiKi にとって印象的だったのはディック(弟)の方で、眼鏡をかけてどこかボ~っとしたようなところもあり、典型的な理系天才型のもやし少年に思えたディックが案外頼もしいということ(笑)  そして、そんな彼らの変貌していく姿に

    「うんうん、これならツバメ号 & アマゾン号のクルーたちと十分やっていける!」

    と思わせてくれたことが本当に嬉しかった!!  と、同時にここから先はこの3家の兄妹たちの物語をぞんぶんに楽しめることが確信できたのが何よりもの収穫でした。

    もう1つ物語を読んでいて感じたのはトムと敵対することになった「傍若無人な振る舞いが目立ち土地の人たちからちょっぴり白眼視されていた団体観光客」(マーゴレッタ号)の人たちの姿がいかにも現代人の悪い面をデフォルメしたような描写になっていたことです。  静かな自然の中に遊びに来ていながら大音量で音楽をかき鳴らし、連日連夜のどんちゃん騒ぎ。  昼間は昼間で周囲の船の状況には頓着せずモーターボートで大波を蹴立てて狭い水路を暴走族さながらにかっ飛ばし、奇声をあげる・・・・・。  

    KiKi は軽井沢という所が大嫌い(でも北軽井沢あたりは決して嫌いじゃない)なんだけど、あそこはこのマーゴレッタ号のクルーみたいな人たちが多く集まる所だよなぁと感じます。  もちろん、そういう人ばかりじゃないのも知っているんですけどね。  でも、あそこへ行く度に(と言っても嫌いだからめったに行かないんだけど ^^;)

    何で都会をここへ持ち込まなくちゃいけないのか!  そんなに都会の利便さ・賑やかさが欲しいなら最初から山の中なんかへ来るな!

    というような気分になるんですよね~。  まあ、そんな観光客の落としてくれるお金であのあたりの財政が潤っているのは事実だから、あんまり大きな声で非難はできないことは百も承知なわけですが・・・・・ ^^;

    ・・・・・と書いて来てみて、KiKi がこのランサム・サーガで一番気に入っている点は「便利すぎる生活」に敢えて背を向けて、不便さの中にホンモノの自由を見つけ出している子供たちの姿勢・・・・のような気がします。  彼らは「小奇麗さ」とか「洗練さ」とか「便利さ」とか「文明の力」みたいなもの(要するに表面的なもの、自分の力には余ること)にはほとんど見向きもしません。  それよりは「自分たちの力だけで何かをする」ということに大きな価値観を置いています。  そうすることにより本当の意味で「生きている実感」みたいなものを感じている姿に共感しているような気がするのです。

  • 訳は変える必要を感じなく、久しぶりで記憶よりも面白かったが、ビデオどうしたかな。

  • 全集版の岩田欣三訳になんら不満はなかったのだが、やっぱり私には神宮訳がしっくりくると再確認。

    でもタイトルは『オオバンクラブの無法者』のほうが断然好きなんだけど・・・。

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