ぼんぼん (岩波少年文庫)

著者 :
制作 : 宇野 亜喜良 
  • 岩波書店
4.09
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本棚登録 : 52
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001141979

作品紹介・あらすじ

洋が小学3年生の年、突然おとうちゃんがたおれた。そして、戦争がはじまった。軍国主義の波にもまれながらも、ほのかな恋心にめざめる少年の成長を、元やくざの佐脇さんが見守る。大阪弁にのせて、人間の真実にせまる作者の代表作。小学5・6年以上。

感想・レビュー・書評

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  • 今江祥智さんが3月20日に亡くなりました。児童文学の大家が次々と去り、寂しいばかりです。
    この本は、イラストを宇野亜喜良氏が飾っています。同じコンビで、戦争を題材にしながら全く世界観の異なる『あのこ』も一読を。(2015/3/28)

  • 戦時中にもいいことや嫌なことを伴う普通の暮らしがあることや、戦争に対するそれぞれの反応が異なること(それがその人の人となりを表すこと)、当たり前のごとくに人々の考えがとりしまられる時代であったこと、それらを本で読んでもやはり実際に体験するとは違いすぎること、でもそういう辛さをくぐり抜けた人々がいることに思いをはせることも重要であることなど、言葉にするとあまりにも表面的な感じがしてしまいますが、色々なことを垣間見て、また感じました。
    何人が亡くなったという数値とかからははかりしれない、戦争によりう人々がうけた影響について、少しだけ感じることができた気がしました。

  • すごく良かった!

  • 子どもの視点から戦争を描くことに成功している作品だと思う。戦争という暗黒の時代を一番身近なお兄ちゃんとの関係で描いている。しかし、途中から背中で生き方を語る、佐脇さんという人の存在が大きくなってきて、それが、時代にも揺るがない作者の理想の生きざまであるように思った。児童文学として、大人になったときに何が大切なのかを教える本。

  • 本書は大阪に住む、いわゆる「ぼんぼん」の物語である。時は戦前から戦後にかけての激動の時代、兄弟と一人の老人の生き様を小気味よいリズムで描ききった作品である。
    一人の人間のその生き様というのは、時に人を魅了する。ぼんぼんの導者であった佐脇さんの姿はどれほど洋二郎・洋兄弟の記憶にとどめることになっただろうか。
    著書を知ったのは、河合隼雄氏の『子どもの宇宙』の中で紹介されていたからである。第五章の「子どもと老人」において「導者としての老人」の中で、登場人物である洋と佐脇さんの交流について解説されていた。
    児童書で尚且つ戦争について書かれているものを読むのは初めてと言っても良いくらいだ。小学生の頃、夏休み課題図書の中には必ず戦争ものがあったのだが、当時は読書嫌いであったし本は家にあっても読むことなどほとんど無かった。この「ぼんぼん」は児童書と言ってもかなりの長編小説である。ページ数にして485ページあり、さすがに時間はかかったが、あっという間でもあった様にも思う。ただの戦争小説ではなく、その時代に生きた洋や洋二郎の生活の中で起こる喜びや悲しみがつまった物語だったからだ。時には二人の学校生活に触れ、当時の遊びや女の子との交流についても触れられている。まるで戦時下とは思えないほどの日々の記憶がつまった物語なのだ。しかしながら最後は戦争の波に家族全員が飲み込まれていく。
    たまたまGWに広島を訪れたことで原爆資料館へ行ってきた。ありありと残る当時の面影に言葉にはならないものを感じ、時としてこみあげてくるものさえあった。世界遺産となっている原爆ドームを目の当たりにし、広島市内を歩いている時でさえ、考えすぎではあるのかもしれないが、今この瞬間に原爆が落ちてきたら…ということさえ考えてしまったほどである。ありえない現実などは無い。もしかしたらあと何年か後には3Dテレビが一般普及している時代がくるかもしれない。そうやって次々と新しい「もの」が生産され生まれることも私たちにはまだ分からないが、私たちの明日に「何が」失われるかということだって誰にも予想は出来ないし、いつ何時何が起こるかなどは誰にも分からないことなのだ。それはもちろん洋や洋二郎にも分からなかった。しかしながらそれを敏感に察知し、「何か」を難なくやってのけていたのが佐脇さんだった。導者としての立場で洋に勇気と知恵を与え、洋二郎には正義というものを背で語って見せた。父や祖母の突然の死と戦争という大きな変化の中で、家族を支え、生き方というものを揺さぶるように教えた佐脇さんの生き様というものが心に染み入る作品だった。著者の「格好よい人物像」というものがありありと描かれている「生きる」ことについての作品である。
    関西に住んで八年目になるはずだが、主人公や佐脇さんたちの聞きなれない「大阪弁」なのか「千田」の言葉なのかには少々戸惑った。しかしながらそれも良い味になり、情景描写もよくイメージが出来る作品となっている。

  • う~ん、この本は凄い!!  戦時中の話だからめちゃめちゃ暗いかと言えばそんなことはなく、あの時代の市井の人たちの暮らしぶり(とは言え、タイトルからもわかるように、どちらかというと裕福な家の子の話だけど)や、時代の空気感はちゃ~んと伝わってくるし、そして最後の最後で大阪空襲の悲惨さもきっちりと描かれていて、ぐいぐい引き込まれながら読み進めることができました。

    構成もものすご~く凝っていると思うんですよね。  物語冒頭は昭和16年、主人公の小松洋(小学4年生)は中1のお兄ちゃん洋次郎に連れて行ってもらったプラネタリウムで、10万年後には北極星が北にはないことを知ります。  これは彼らにとっては大問題なんです。  だって、学校では北極星は必ず北にあると教えられてきたのですから。  「この世に確かなもの、永遠に変わらないものなど実はないらしい。」ことを知るんです。  とは言うものの、それはすぐ先にあることではなくて10万年後のことだから、まあいいかと一時は思うんですけど、その直後に父親が病没し、それを追うように祖母も亡くなります。  そしてその年の暮れには日本は米英との戦争に突入します。  

    でも、それは最初のうちは、どこか遠くの場所で行われている出来事なので、洋君一家の生活をさほど脅かすことはありません。  まして、大本営の発表だけを聞いていれば(そして実際もそうなんだけど)洋君が大好きな相撲取りのいる部屋の力士が連戦連勝しているのと同じく、日本は勝ちっぱなしなのですから。  でも、少しずつ何かが変わり始めます。  まずはお兄ちゃんの雰囲気が変わり、ノートの紙質が悪くなり、食糧が乏しくなり、人びとの笑顔が少なくなり、最後には大阪大空襲で家も町もなくなってしまうんです。  でもね、そこに至るまで洋君は実に生き生きと生活しているんですよ。  まあ、洋君が生き生きとしていられるのは「みごとに堅気の人ではない」佐脇さんという大人の男の人が同居していて、大きな翼で彼ら母子家族を影に日向に見守ってくれているから・・・・・というのが大きいんですけどね。  

    俗に言う戦争文学であるにも関わらずどことなく明るいのは、語り口にもあると思うんです。  この物語の大半は大阪弁で語られているんですけど、ポンポン機関銃のように飛び出してくる大阪弁じゃなくて、どことなくのほほんとしているんですよ。  で、ついでに洋君がけっこう飄々とした男の子なので、どこかちょっととぼけているというか、トンチンカンというか、そんなところのある子なんです。  で、もっと言えばこの洋君、未だに「男」ではなくて「男の子」だもんだから、あの時代にあってしてもプチ恋愛というか、女の子との触れあいを必要以上に避けようと不自然になるわけでもなく、かといってませているわけでもなく、何とも自然体・・・・というか、不器用というか、微笑ましいというか・・・・・(笑)  

    (全文はブログにて)

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