土曜日はお楽しみ (岩波少年文庫 201)

  • 岩波書店 (2010年12月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784001142013

感想・レビュー・書評

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  • 1941年出版 原題”The Saturdays”

    兄妹たちが作った、お楽しみの”土曜クラブ”
    子ども時代って、こういうちょっと秘密めいた、自分達だけに分かるルールとかを決めたクラブのようなものを結成して遊びましたよねー。
    この時代は1ドル50セントで色んな冒険が出来たんだなぁ!

  • メレンディ家の、モナ13歳、ラッシュ12歳、ランディ10歳、オリバー6歳の4人きょうだいの物語。
    子ども部屋の大人が関わらない子どもだけの世界がある。
    4人はそれぞれ個性的で未来の希望に満ちている。けれど、雨降りの土曜日に退屈しきっていた。
    そこで考え出した土曜日を最高に楽しく過ごす方法。そこから始まる冒険がなんとも楽しい。
    出会いあり、失敗あり、きょうだいが多いっていいなぁとつくづく思う。

    最後に、もうすぐ14歳になるモナが、やがて大人になるということにハッと気づきこわくなる場面がある。そう、子ども時代のこの素晴らしい土曜日は永遠には続かない。
    だからこそ輝かしいのでしょう。

    メレンディ家の子どもたちの輝かしいこの日々が、第二次世界大戦中のアメリカ・ニューヨークだということに複雑な思いがしたが。

  • 「あああ、たいくつて、死ぬう!」

    雨の土曜日にそう言ったメレンディ家の3番めの子どものランディは、4人きょうだいの1週間分のおこづかいをまとめて一人が使う、クラブを作ることを提案します。

    4人は性格も好きなことも違うけれど、それぞれが将来の希望を持っていて、また、お父さんや家政さんのカフィの言いつけをよく守ろうとしながらも、子どもらしい好奇心と冒険心を持っているところが素晴らしい。

    クラブを作ることを決めたとき、1番上のモナが
    「お父さんにきいてみなくちゃいけないわね」
    というと、2番めのラッシュが
    「うん、きっといいっていうさ。子どもたちが自主的にいろいろやるのはいいことだと思っているから」
    と答える場面で、家族間の信頼関係を強く感じました。

    「車にひかれない、知らない人についていかない」

    これだけのシンプルなルールで、あとは子どもたちを信じる、こんな子育てができたら理想的。

    一番心に響いたのはランディと、知り合いの老婦人オリフィアント夫人との会話

    「よく考えると、あたしたちって、すごく平凡な毎日を送っているんですもの。だけど、つまらないとは思えないんです。」
    「それはね、あんたが人よりよく見える目を持っているからだし、人よりよく聞こえる耳を持っているからですよ。そういう人は、毎日をつまらないなんてあんまり思わないもんですよ。」

    平凡=つまらない、ではないことを多くの子どもたちにもわかってほしいと思います。

    そして、この本を読んだ子どもたちが、大人になって親になるまでこのお話を覚えていてくれたらいいなあ。



  • 土曜の午後にきょうだい全員のおこづかいを使って、ひとりだけが好きなことをする。モナはおさげを切って大変身。オリバーはサーカスへでかける。迷子になっちゃうけど。子どもたちがニューヨークの街にひとり出かけて好きなことをする。現代の冒険。素敵だな。何があっても乗り越える明るさ、家族に必要なのはそういうことかも。

  • 土曜日は、何かが起こる! 4人きょうだいの結成したぼうけんクラブは、夢いっぱい、ゆかいな事件もいっぱい。おさげを切って大変身したり、サーカスへでかけて迷子になったり、子どもたちがニューヨークの街をかけまわります。

  • メレンディ家の四きょうだいは、今日も大冒険!

    懐かしい児童日常モノ。こういうの好き。長女・女優志望のモナ、長男・ピアノを始め音楽を愛するラッシュ、次女・何気に大事件の火付け役であるランディ、次男・落ち着きと無邪気さが同居するオリバー。母親は亡くしたけれど、父親と家政婦カフィ、ボイラー・マンのウィリー、そして雑種のアイザックが同居しています。

    「土曜日」ということばに感じる夢。解放感。子どもの頃、大好きで仕方なかった土曜日。なんでもできる気持ちになった。今でもその気持ちを思い出していきたい。

    土曜日の冒険は、オペラやサーカス、お茶だけではなく、ガスが充満したり火事になったり、正直楽しいことだけではないけれど、全体には明るい雰囲気。でも1941年の作品だとか。アメリカだから、まだ明るいのかな。小さななんてことないことも大冒険だったあの頃を思い出しつつ。

  • これも楽しい物語でした。  正直、できれば子供時代にこの物語を読みたかったなぁ。  子どもらしい発想がそこかしこに溢れていて、今となっては子供時代が遠い思い出となりつつある KiKi には甘酸っぱいやら、羨ましいやらで、何だかとてもまぶしいものを覗き見しちゃった・・・・・そんな気分にさせられる物語でした。

    物語の主人公はメレンディ家の4人兄妹です。  上から♀、♂、♀、♂と実に見事に半々に分かれていて、それぞれの性格が又いいからとにかくバランスがいいんですよ。  いちばん上のモナはまだ大人にはなりきれない、でも長女ということもあってやっぱりどこか落ち着きを感じさせる夢見がちな女の子。  2番目のラッシュは、そんなお姉ちゃんをからかったり冷やかしたりするヤンチャなところもあるけれど、実は優しい男の子。  3番目のランディはなかなかのアイディアマン(ウーマン?)で、活気にあふれる女の子。  末っ子のオリバーはまだ6歳なんだけど、みんなに邪魔者扱いされちゃうような甘ったれでもキカン児でもない。  そしてこの兄妹、実に仲がいいんですよね~。  一人っ子だった KiKi はそれだけでも垂涎モノです。

    彼らにはお母さんはいないんだけど、その代わりに家のことはすべて取り仕切ってくれている優しくも口うるさいばあやのカフィがいます。  そしてお父さんは懐が深くて子供たちに常に暖かい眼差しを注いでくれています。  そんな彼らの遊び場は「オフィス」と呼ばれている大部屋で、壊れかけたような家具ばかりが置かれている部屋なんだけど必要以上に大人たちが干渉してくるわけではないいわば自治区みたいな所。  何だか KiKi が子供時代に欲しかったもの全てを持っているような兄妹なんです。



    でね、ある大雨の土曜日に次女のランディが素晴らしいアイデアを思いつきます。  それは一人一人がもらうお小遣いでは大したことができないけれど、兄妹全員のお小遣いを集めてかわりばんこにそれを使うようにすれば、ちょっとしたことができるようになるんじゃないか?という提案でした。  ランディはその「ISAAC(アイザック)基金」(「(I)いちどにひとり(S)すてきな土曜日(A)ああ、楽しい午後の(A)アドベンチャー(C)クラブ」)でメトロポリタン美術館で絵画鑑賞、ラッシュはメトロポリタン歌劇場でオペラ鑑賞、モナは初めてのパーマに挑戦、末っ子のオリバーはマディソン・スクエア・ガーデンでサーカス見物と KiKi が社会人になって初めて経験できたことをやってのけるんですよ。

    KiKi にとってとにかく羨ましかったのはラッシュが観たオペラが「メットのリングのジークフリート」だったこと。  ワーグナーだよ、メットだよ!!  12歳であの舞台を観に行くことができたなんて、なんて生意気なガキなんでしょ!!(笑)  KiKi なんてメットで本物は観たことなくて、大人になってから乏しい稼ぎの中からそれこそ清水の舞台から飛び降りるほどの覚悟をしてLDを購入してやっと観ることができた舞台なのにぃぃぃ!!!  それにしてもラッシュは趣味がいいなぁ。  2回目の土曜日のお楽しみはルドルフ・ゼルキンのピアノ・コンサートですもんね。  もう KiKi が大人になってからであってもやりたかったことを2つもやってくれちゃっています。

    ま、それはさておき、色々なことを堪能する子供たちの反応がこれまたすれていなくていいんですよ。  末っ子のオリバーがサーカス帰りに迷子になっちゃったのを機に、兄妹が毎週土曜日には全員で遊べるようなプランを考えるようになるっていうのも何だかとっても素敵です。

    最後の方では立て続けに事件が発生するんだけど、それぞれの事件は実に子供らしいおっちこちょいが原因なんだけど、その原因を作ったことをものすご~く素直に反省する子供たちも素晴らしければ、その失敗をちゃんと説き聞かせ、子供たちの心に反省のみならず安心感を与える大人たちの対応がこれまた素敵なんですよね~。

    そして最後の最後にランディが美術館でお友達になった老齢のオリファント夫人所有の海辺の別荘(灯台付き!)で子供たちが過ごすシーンはその自然描写・風景描写が美しくて思わずため息1つ。  こんな素敵な休暇を過ごすことができる子どもたちが羨ましくもあり、微笑ましくもあり・・・・・・。

    文庫本の訳者のあとがきによれば実はこの物語、4冊のシリーズものの第1巻なんだそうです。  で、どうやら残りの3巻は邦訳されていないみたい・・・・・。  実に残念です。  どうせなら他のシリーズものと同じように谷口さんの訳で4冊セットで出してくれないかなぁ>岩波書店さん。

  • 実に楽しい物語。ニューヨークに住むメレンディ家の4きょうだいは土曜日にみんなのお小遣いを併せて一人が好きに使っていいことにする。美術館に行き絵のモデルとなった婦人の話を聞き、オペラを観に行った帰りに犬を拾い、思い切って美容院で髪を切り、サーカスの帰りに迷子になる。
    魔法もドラゴンも出て来なくとも冒険は身近にある。そんな感じで子どもたちの行動が活き活きと描かれています。また厳しくも愛情たっぷりの家政婦や、どんな事件が起こってもドンと受け止めてくれる父親はもちろん、子どもたちに話を聞かせてくれる人も迷子になった時に助けてくれたおまわりさんも、出てくる大人の子どもたちに対する眼差しが素敵なんですね。これは子どもの時に読んでおきたかった1冊ですね。

  • 農場のお話だった『ゆびぬきの夏』の作者エンライトが、ニューヨークを舞台にメレンディ家の4人きょうだいが繰り広げる楽しい物語を書きました。

    2女のランディの提案で、それぞれのお小遣いをまとめて、土曜日に持ち回りでそのまとまったお金を使って出掛けることにしようとクラブを発足。それぞれの冒険や、家の出来事などが活き活きと描かれています。

    『土曜日はお楽しみ』というタイトルと作者による表紙絵にも惹かれ、手にとりましたが、とても面白いし、素適な気持ちになれます。

    それもそのはず、これはシリーズになったようで、最後に、その時の作者の言葉を一部載せてくれていて、これが又なかなか興味深い。
     
    ――お読みになればおわかりのように、あこがれ、というものが、この物語シリーズではたいへん大事な要素になっています。メレンディきょうだいは、わたしが子ども時代に欲しかったもの、やりたかったことを、すべて持っていて、やってくれます。―― 
    ―― というわけで、メレンディ四人きょうだいは、いろいろなものが合わさってできている、とおわかりになったでしょう。あこがれと、思い出と、想像力によって生まれてきたきょうだいです。――

    それぞれが、絵を見に行ったり、お芝居に行ったり、美容院に行ったり、大きな公園があったり…と、なるほど、ニューヨークの香りも味わえますね。

  • ニューヨークに住む14歳から6歳までのメレンディ4兄弟の愉快なお話。「毎週土曜日は全員のお小遣いを一人が自由に使う!」退屈だった土曜日がこのアイディア一つで特別な土曜日に変わる。モナは長いおさげを大胆に切ってしまい、ラッシュはオペラの帰りに迷い犬を拾い、ランディは美術館の絵画に描かれた夫人に出会い、オリバーは一人でサーカスを見に行き迷子になる。どの子の土曜日も大冒険。後半はメレンディ家に大事件が起こるが迷い犬や夫人がキーとなりとても素晴らしい結末を迎える。1940年代の古いお話だけれど、子供の心はいつの時代も同じ。そして出てくる大人(お父さんや家政婦のカフィ、ゾウ夫人)がみな素敵。子供たちがピンチに陥った時に必ず心も体も寄り添ってくれる。子どものころに出会いたかった一冊。4人の結成したクラブ名ISAAC(アイザック)「(I)いちどにひとり(S)すてきな土曜日(A)ああ、楽しい午後の(A)アドベンチャー(C)クラブ」が洒落ていて好き。

  • メレンディ家の4人兄弟が、みんなの一週間分のおこづかいをまとめて、順番に1人ずつ使うことになり、まとまったお金である子は舞台を観に行き、またある子は髪を切りパーマをかけて…とそれぞれ楽しむ。舞台はNY。4~5年向け。ゾウ夫人のおはなしが面白い。

  • 最初はぼんやりと読んでたんですが ゾウ夫人がでてきたあたりですこぶるおもしろくなってきました。
    こどものとき、ものごとはすべてのみこめないほどいちいちがおおきかったよなあ、いまならやりすごせることでも全然やりすごせなくて、ものごとの正確なおおきさをはかりきれないで右往左往していたよなあ、ということをおもいだす。
    それがしんどくもあり、だけどもたのしくもあり。
    ということを、おとなになったいま、なつかしくおもいだす。
    この本を読んで。

  • メレンディ家の4にんきょうだいは、たいくつな雨の土曜日にうんざりしていましたが、次女のランディがいいことを思いつきました。1週間分の4人のおこづかいをまとめて1人が使うことにしよう!  おこづかいをたっぷりもってたった1人ででかけるなんて、それだけでもワクワクするね。4人それぞれどんなことに使うのかな?きっと思いもかけない冒険が待ってるよ! 

  • 楽しいよ~
    子どものうちに読んでおきたかった。

    お話も楽しいし、挿絵も本人によるもの。
    S40年代に出たエリザベス・エンライトのハードカバーにはあとがきに写真がありますが美人です。
    三拍子そろった人もいるんだネ。

    翻訳もいい(^-^)b

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