わたしたちの島で (岩波少年文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001142228

作品紹介・あらすじ

ウミガラス島にやってきた、メルケルソン一家。父親と4人の子どもたちは、海辺での遊びや動物に大はしゃぎ。元気な島の女の子チョルベンと、その忠実な犬の水夫さんともすぐに仲良しになります。島での輝きあふれる毎日を描きます。小学5・6年以上。

感想・レビュー・書評

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  • 昼休みにちょっとずつ読み進めた。仕事のごたごたを忘れさせてくれる、すごく貴重な時間だった。
    大事なのは、わたしたちひとりひとりが完璧になることではない。
    不完全でもいいから、相手の足らないところも許して、肩の力を抜くこと。

    最後の1ページまであたたかい小説。

  • ドラマの脚本を小説化したものらしい。映画の方も観たい!
    「家全体を、まるでひとつの生き物、家族のみんなをだきこんでくれるたよりがいのある、善良であたたかい生き物として、受けとっていた。」
    ↑建物にたいする愛着の気持ちがよくわかる。

  • その島は生きる喜びに満ちている。

    父のメルケル、一家の母代わりの長女マーリン、ユーハンとニクラス、そして心優しい末っ子のペッレ。ストックホルムっ子のメルケルソンがウミガラス島に避暑にやってくる。古いが感じのいいスニッケル荘、隣に住むチョルベンとその飼い犬である水夫さん、動物たち。ウミガラス島で出会うすべてがメルケルソン一家を惹きつける。

    島の暮らしがいきいきと描かれる。メルケルソン一家が主人公かと思いきや、チョルベンにもかなりのスポットライトが当てられる。この生きるエネルギーに満ちた少女を好きにならずにいられない。時々挟まれるマーリンの日記も魅力的だ。自然と共に生きる喜びが素直に綴られている。ペッレの心の動きは誰もが経験したことのある喜び、悲しみ、怒り、恐れである。動物の命を慈しみ、家族に守られることに満足し、将来を夢見たり不安に思ったりするペッレはとても愛おしい存在である。

    ストックホルムの人たちは夏になると島に避暑に行く。夏の太陽の陽射しを求めて北極圏の長い昼間を楽しむ。この物語は明るく読者を照らす光の物語である。このような物語の光をどんどん取り込みたくなる。

  • 読書家の友人に薦められて。
    現実以上に春夏秋冬を楽しめる作品。
    同じ地球人なのにスウェーデン人は孤島を買って避暑地にするのが普通だとか、考えるとフラフラする。
    夏好きの自分としては、美しい夏の描写が嬉しい。
    リンドグレーン作品は「やかまし村」シリーズや「ピッピ」シリーズなどの日常を描いた作品と、『はるかな国の兄弟』などの心理描写が多かったり、いきなり日常から非日常にワープするものがあり、後者が好みなのだが、この本は既読のリンドグレーンのどれとも違っていて、楽しく読めた。
    水夫さんとペッレが好き。
    ムーミンパパ的お父さんメルケルと、ムーミンママ的少女マーリンが古典的。

  • 水夫さんが好きです。
    映画[なまいきチョルベンと水夫さん]は、この本が原作です。まだ見ていないので、早く見たいです。

  • 最高にハッピーで、最高なライフスタイル、それに可愛くって、ロマンチック、更にユーモアたっぷり。
    マーリンというおんなのこの素敵な生き方、考え方、暮らしぶりには幸せになるヒントが詰まっていて勉強になります。

  • たまに覗く児童書コーナーで出会いました。
    楽しくて一気読み!
    外国の、日常の話系が好きな私だからかもしれませんが‥‥


    水夫さんが本当にかっこよくて、かわいいです。

    自分のイメージとは多少違いましたが、映画も観に行きました。
    チョルベンは彼女しかないし、全体的に原作を忠実にうまくまとめてあり、こちらも楽しめました。

  • 関東の友達が映画「なまいきチョルベンと水夫さん」をみにいくというので(大阪での上映はもう少し先)、私は原作本を借りてきて読む。

    登場人物がかなり多く、本の3分の1くらいまで読んだところで、頭がギブアップ。もういちどてっぺんに戻って、出てくる人物のメモをつくったら、それで頭がおちついて、あとは最後まで楽しく読めた。この長い(岩波少年文庫で500頁近い)話の、どこがどう映画になっているのだろう?と思っていたら、巻末の解説には、そもそもこの本はテレビドラマからできたと書いてあった。

    1964年、スウェーデンでは、「海ガラス島のわたしたち」という13回シリーズのテレビドラマが放映された。脚本を手がけたのがリンドグレーンで、その後、テレビドラマと同じタイトルで児童向け読みものとして出版されたのがこの本、さらにこの本の9章から12章で出てくるアザラシのモーセと犬の水夫さんにからんだ話を中心に新たに劇場用映画としてつくられたのが「チョルベン、水兵さんとモーセ」(邦題「なまいきチョルベンと水夫さん」)なのだという。

    とにかく1964年のスウェーデンは「わたしたちの島で」に沸いた年だったそうだ。それから50年目のことし、50年前の映画が日本で初公開されるとのこと。

    ちょっと前に読んだトーベ・ヤンソンの『少女ソフィアの夏』や『誠実な詐欺師』となんとなく重なるような感じだった(ウミガラス島の村人のなかに「ヤンソンさん」がいるのだ)。

    住んでいるのは20人ばかりというウミガラス島も、夏には避暑客でにぎわう。島のスニッケル荘を借りたメルケルソン一家も、ストックホルムからの避暑客だ。一家は、子どもっぽい父(作家で、「ウミガラス島」という名前が気に入ってここに家を借りた)に、19歳の娘マーリンと、13歳のユーハン、12歳のニクラス、7歳のペッレという息子が3人。

    いちばん下のペッレがうまれたときに母が死んで、娘のマーリンが母代わりみたいになってるところがある。このマーリンの「日記」が、話のところどころに差し挟まれていて、地の文で書かれた出来事をマーリンはこう見ていたのか、こんなふうに感じていたのかと知ることができるし、その後あれはこうなったのかと事情も分かるようになっている。

    一家が借りたスニッケル荘(ちょっと、かなり、ボロっちい)の隣には、よろず屋をやってるグランクビスト一家が住んでいて、7歳のチョルベンはそこの娘。水夫さんと名づけたセントバーナード犬をつれていて、上には13歳のテディと12歳のフレディ、2人の姉がいる。

    このふたつの家族を中心に、ウミガラス島での夏の日々、そして冬休みと春休みが描かれる(メルケルは、1年借りたのだからと、夏だけでなく冬にも春にも一家で島へやってくるのだ)。

    同じ年格好のユーハン、ニクラス、テディ、フレディの4人はつるんで秘密集団をつくり、ボートをこいで別の島へわたったり、隠れ家をつくったり。島の中をよく歩きまわっているのは、生きものが大好きでたまらないペッレと、島育ちで大人にも怖じずにものを言えるチョルベン、そこに時々セーデルマンじいさんところのスチーナ(5歳)が加わって、この子らの目から島の日々がみえてくる。

    カエルはみんな「魔法をかけられた王子さまだ」と、チョルベンとスチーナがカエルにキスしてみるところには笑ってしまった。それもマーリンのために!そうすると、変身するのをいやがって、ぴょんとボートに飛んだカエルのかわりに、ほんとに王子らしい人があらわれるのだ。しまいには、チョルベンはマーリンに叫ぶ。「マーリン、その男に気をつけてね。ほんとうはカエルなのよ。知ってる?」(p.347)

    物語の終盤、来年もまたスニッケル荘を借りたいと思ったメルケルソン一家の前に、ここを買いたいという金持ちがあらわれる。おんぼろの家はつぶしてバンガローを建てるのだといい、あまりお金のない一家はきりきりまいをする。すんでのところでペッレとチョルベンが大家のショーブルムおばさんにうまく会えて、前金(1クローナ銀貨!)を入れることができた。ここのところは、もうはらはらしながら読んで、最後の最後に、ほっとした。

    それにしても、父メルケルのことをマーリンはじめ子どもらはずいぶん配慮していて、母をなくしているからよけいにそうなるのか、あるいはこの父が子どもじみているのか…と思った。

    (7/30了)

  • 独特な表現があって、おいてけぼり感をあじわう。
    が、そんなことお構い無しに、登場人物たちの個性が賑やか

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著者プロフィール

1907年‐2002年。スウェーデンに生まれる。1944年『ブリット‐マリはただいま幸せ』(徳間書店)で、出版社主催の少女小説コンテストの二等賞を得て、デビュー。以後、児童書の編集者として働きながら数多くの作品を発表しつづけた。1958年には国際アンデルセン賞を受賞。「長くつ下のピッピ」「やかまし村の子どもたち」「名探偵カッレくん」のシリーズや、『ミオよ わたしのミオ』(岩波書店)など、世界中で今も愛されている数々の物語を生み出し、「子どもの本の女王」と呼ばれた。

「2018年 『長くつ下のピッピの本 決定版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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