ハックルベリー・フィンの冒険(下) (岩波少年文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001142433

作品紹介・あらすじ

サギ師たちが引き起こすさわぎに巻き込まれながら、ハックとジムの旅はつづく。だがハックは悩んでいた。奴隷を逃がすなんていう大それた犯罪を、本当におかしていいのだろうか…。みずみずしい新訳でおくる、アメリカ文学の原点。小学5・6年以上。

感想・レビュー・書評

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  • トムソーヤーの冒険はとても楽しめたけど、ハックの冒険はいまひとつ楽しめなかったな。もちろん、いいところもあったし、クスッと笑えるようなおもしろい話もあったよ。でもさ、つまらなくてどうでもいい話が長いんだな。まったくの話。

  • 十九世紀、南北戦争以前のアメリカ南部。気ままに生きる少年ハックルベリー・フィンは、黒人奴隷のジムとともに筏でミシシッピ川をくだる冒険の旅に出る。ハックの冒険は一筋縄ではいかない。さまざまな人種や身分の人と出会いこれでもかというくらいピンチや窮地にたたされるも、そこはハックの機転と愛嬌とラッキーでなんとかなっちゃう。それもこれもハックはよく考えるから。誤り懺悔し許し祈り。ハックはきっと大丈夫だ。

  • 子どもの頃からタイトルは知っていたけど読んだのは初めて。
    1884~85年の作品なので、時代を考えたら黒人の方を人間扱いしてないのは理解できる。
    いろんな意味でアメリカの原点を感じる。
    暴力的な父親、すぐ銃でやりあうなんかは今もあるよね。
    ハックの頭の良さ(機転が利く)がやはり自分の人生を切り開いていく力かな。
    黒人のジムがこの本の良心って気がする。

  • 19世紀のアメリカ、人情味にあふれているが、そこには人種差別や犯罪や暴力が当たり前のようにあった。
    そんな古き良き、そして残酷でもあった時代が、ミシシッピ川の豊かな情景と共に少年の目線で生々しく、時に子供らしいユーモアも交えながら描かれている。
    それにしてもハック・フィンはなんてたくましいことか!
    様々な知恵(時に悪知恵)を絞って、何としても生き抜こうとするその生命力の強さは今時の子供達にはないものだろう。
    そんなハックだけれど、切羽詰まった場面だとやはり子供らしさが垣間見えるところがある。
    特に、気まずいところを大人に見られたときに必死で言い訳を考えだして相手を騙そうとするところは、彼の冷や汗がこちらにも伝わってきそうな感じ。こんな無理やりな言い訳、どう見てもすぐバレそうな嘘をついているのに、それでも大人達はコロッとだまされてしまうし(笑)単純な人が多かったのね。。。
    千葉氏の翻訳はとても読みやすい。子供向けなので差別的な用語も抑えられている。ハックの一人称で語られる文章にしては若干お上品な感じかなぁとは思うものの、初めて読む子供達にはちょうどいい感じかもしれない。

  • 王さまと公爵の詐欺師ふたり組がまあ、面の皮が厚いのなんの(笑)。そして、巻いても巻いてもつきまとってくる。ついにジムを勝手に農家に売り飛ばされてしまい、ハックがふたり組にさとられないよう、遠回りしてその家に乗り込むと、なんとそこは……ということで、最後はもうトウェインさんがベタなくらいにどんどんたたみかけてきます。

    読み終えて、あーおもしろかった! 読めてよかった! というのが一番の感想。
    そして、トム・ソーヤーがめんどくさいやつだという意外な感想を抱いたんだけど、けっきょくのところトムは、純粋に子どもの世界に生きているからなんだよね。
    ジムは、逃亡奴隷として命がけで逃げてる。ハックは暴力的な父から、こちらも命がけの知恵比べで逃げ延び、そのまま川をくだっている。どちらも生きることをかけて結果的に冒険しているんだけど、トムだけは冒険を求めて、話をわざとややこしくしながら、結果的に命がけになってる(よかったね、トム)。そこらへんのギャップの描き方がすごい。

    けれど、ハックはそんなトムに対して「お前は何もわかってない、世の中ってのはそんなに甘い物ではない」なんてすれっからしの態度をとったりはせず、ひたすらこの無邪気でやっかいな友だちを崇拝している。ここらへんがナイーブで、なんともいえないハックのよさだなあ。
    なんかこれまでハックルベリー・フィンは「屈託のない野生児」というイメージがあったけど、実際に読んでみるととてもそれではすませられない複雑さがあるなあと思った。

    そして、同じくトムの茶番にちゃんとつきあい、トムの看病をしたせいで自分がつかまっても文句もいわないジム。でもなんでもかんでも黙って耐え忍ぶわけではなく、生き別れになるかどうかという場面でハックが自分に冗談をしかけてからかったときには、真正面から目を見つめて怒りをぶつけた。諸処に、そんなジムのピュアな心が感じられて、じーんとした。

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著者プロフィール

Mark Twain 1835年-1910年.
邦訳された自伝に、
時系列順に並べられている
『マーク・トウェイン自伝 〈上・下〉 ちくま文庫 』
(マーク トウェイン 著、勝浦吉雄 訳、筑摩書房、1989年)
や、トウェインの意図どおり、執筆順に配置され、
自伝のために書かれた全ての原稿が収録されている
『マーク・トウェイン 完全なる自伝 Volume 1〜3 』
(マーク トウェイン 著、
カリフォルニア大学マークトウェインプロジェクト 編、
和栗了・山本祐子 訳、[Vo.2]渡邊眞理子 訳、
[Vo.1]市川博彬、永原誠、浜本隆三 訳、
柏書房、2013年、2015年、2018年)などがある。



「2020年 『〈連載版〉マーク・トウェイン自伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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