科学と科学者のはなし―寺田寅彦エッセイ集 (岩波少年文庫 (510))

著者 :
制作 : 池内 了 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 338
レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001145106

感想・レビュー・書評

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  • 19/09/13読了

  • 閲覧室 404||T

  • サイエンス
    思索

  • 自然は過去の習慣に忠実である。がんこに、保守的に執念深くやってくるのである。太平洋沿岸の各地を襲うような大がかりなものが、いつかまた繰り返されるであろう。

    この一節は、1933年3月に起きた昭和三陸地震直後の2ヶ月後に書かれた『津波と人間』(本書収録)からの引用である。

    ・・・東日本大震災後に報道された前大船渡市議の平田武氏のエピソードが思い出される。平田氏は、悲願であった越喜来(おきらい)小学校への津波避難用非常通路建設に尽力し、震災9日前に病気で亡くなったが、昨年末に完成したこの非常通路によって平田氏の3人の孫を含む小学校の児童計71名の命が救われた。この非常通路は、児童全員が高台に避難したあとに押し寄せた黒い波により建設後4か月で校舎とともに大破した。

    寺田寅彦(1878―1935)は文学への造詣の深い自然科学者として知られる。寺田寅彦と夏目漱石の親交が深かったことは本書収録の『夏目漱石先生の追憶』からも読み取ることができる。寺田は旧制第五高等学校(現在の熊本大学)時代に英語教師であった夏目漱石を師と仰ぎ、漱石は寺田を自著の登場人物のモデル(「吾輩は猫である」の水島寒月、「三四郎」の野々宮宗八)としている。私は大学受験用の国語参考書に例題文として掲載されていた氏の文章に絶対的な美しさを感じて通常そんなことはしないのだが幾度となくその問題文を読み返したことを記憶している。12月31日は、寺田寅彦の命日でもある。

    寺田寅彦は専門である物理の分野でも業績を残しており、のちに帝国学士院恩賜賞を受賞する岩塩単結晶のX線回折に関する研究は当時のNature(91,135,1913)に掲載された。

  • 寺田寅彦さんは、明治生まれの物理学者。ノーベル賞の一歩手前まで言っていたといわれているので、相当レベルの高い研究者だったのだろう。しかも、彼は文学的才能にも恵まれていて、東大在学時に夏目漱石に師事し、卒業後にも彼と交際があり、そのため、「我輩は猫である」にも出演?している。本書は、そういったかなりユニークな人の著作であるため、着眼点は傑出しており、このレベルの人の脳はどのようなものにも反応し、それなりの考察をまとめ、提言できることを示している。頭の柔軟性を失いつつあることに自覚症状のある私にとっては、脳をどのように鍛えていけばよいかの示唆をいただいたような気がする。

  • 寺田寅彦全集から抜粋、現代仮名遣いにするなど一部手を加えて掲載。
    軽くジャンル分けして章立ててあり、読み易く理解し易い。
    高校生ぜひ読むべし。

  • 印象に残った作品
    P51 電車の混雑について
    P180 津浪と人間
    P189 涼味数題
    P198 科学者とあたま

  • 身近な疑問に対して、科学的な疑問を持つ。今読んでも、なるほどと思わせるものがある。満員列車には周期が有り、その後の列車は空く。

  • 「茶碗の湯」だけ青空文庫で読んだ。

  • 保坂和志さんの本に紹介されていて読んだ。物理学者寺田寅彦の随筆。夏目漱石との出会い。「吾輩は猫である」に登場する水島寒月君は寅彦をモデルとしているそうだ。
    「落ちざまに虻を伏せたる椿かな」(漱石の句)
    身近なことから何故を考える。その中に優しさを感じる。「解かれた象」が印象的だった。

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著者プロフィール

1878年、東京生まれ。物理学者、随筆家、俳人。文学にも造詣が深く、多くの随筆を残した。おもな著作に『寺田寅彦全集 科学篇』『寺田寅彦全集 文学篇』ほか。1935年没。

「2017年 『こぽこぽ、珈琲 おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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