あのころはフリードリヒがいた (岩波少年文庫 (520))

制作 : 上田 真而子  岩淵 慶造 
  • 岩波書店
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レビュー : 97
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001145205

感想・レビュー・書評

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  • ◆ヒットラーユーゲントの熱心な一員だった作者が筆を抑えて記さざるを得なかった文章。その意志の強さに言葉を失う。◆同じアパートで一週違いで生まれた「ぼく」と「フリードリヒ」の17年間(1925〜42)。幼児のころから、一つずつ二人の違い(=ユダヤ人の徴)が記されていく。作者は、出来事のみを感想や判断を挟み込むことなく淡々と記す。従って、それを判断しそれによって巻き起こる感情は、読み手自身の責任で引き受けるしかない。重い重い読書だった。◆フリードリヒを失った「ぼく」のそれからは『ぼくたちもそこにいた』に続く。
    ◆中学校国語教科書掲載「ベンチ」以外は初読。中学生のころは、読んでも(あるまじきこととは思っても)こんなに辛くはなかった。それは、私が幼かったということ。作中の「ぼく」と同じように。
    ◆集団心理が変わっていくのが、そして理性ある人々も生活を守るために行動を変えざるを得ないところが、物凄く怖い。
    ◆ムスコが初めて〈教科書で続きを読まずにいられなくなった〉本。
    私も彼らと同じ年代で読んでおけばよかった。ちゃんと作品がムスコに伝わっているかどうかは不安だけれど、今の彼の心で受け止められるだけ受け止めることが大事なのだとも思う。

  • 子どもの時読んで声を出して泣いた本。
    社会の流れの中で図らずも弱者になっていく人の姿をみて幼心にとても怖かった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「幼心にとても怖かった。 」
      時代に流されないようにするには傍観者であってはならないと思いますが、、、悲しいですが、私にはそれが出来るか判ら...
      「幼心にとても怖かった。 」
      時代に流されないようにするには傍観者であってはならないと思いますが、、、悲しいですが、私にはそれが出来るか判らない。。。
      「フリードリッヒ・・・」に続く2冊も是非お読みください。
      2013/01/24
  • 私が中学生の頃に読んだ一冊です。誰でも読めますし、オススメです。読み終わった時の喪失感は、言葉で言い表すには難しいものがあります。私が「社会」なる怪物の様なものの存在を意識させられた原点とも言える作品です。
    ドイツ人で、フリードリヒの友人である「ぼく」の視点で描かれるユダヤ人迫害の時代の物語です。ナチス政権下の時代に、ユダヤ人であるフリードリヒとその家族が崩壊してゆく様子が生々しく描き出されています。
    何かがおかしい、どこか歯車が狂っている、そう気づいた頃にはもう遅いのかもしれません。多くの未知なる不幸が訪れる前に、それを防ぐにはどうすれば良いか、本書をきっかけとして考えさせられました。色々な感情がこみあげてくるので読むのは疲れますが、是非人生で一度は触れてほしいと思える、そんな名著です。

  • ナチスの負の部分、加害者としてのドイツについてじっくり学ぶドイツ。
    映画「シンドラーのリスト」を観たり、この小説を読んだりする。それは悲劇を繰り返さないため。これに尽きる。ドイツ人のコラムニストの記事に触れこの本を再度読んでみた。

    翻って昨今の日本はどうだろうか。
    日本の加害の部分に触れる物語より、被害の部分に触れる物語が増えているような気がする。
    加害の部分に触れすぎて、自国にネガティブな感情を持ちすぎるのも考えものだけど、ドイツのように自国の負の部分を常に振り返る習慣は見習いたい。
    戦後生まれの人が増えている今だからこそ。

  • 寮の破壊に加わるシーンが心に深く刺さっている。

    煽動されてしまう
    引き寄せられてしまう
    同調してしまう

    「人は弱いものだから」
    そんな言い訳で済まされることではないのだけど、
    差別行動に限らず、
    世の中は気付かないうちに引きずられていってしまうのだと考えると
    恐ろしくてたまらなくなった。

  • 「僕」はドイツ人で両親はナチス党員。友人のフリードリヒはユダヤ人で…と展開が読めてしまうのですが。この話は、加害者の立場に立って書かれています。でも本当に恐ろしいのは戦争がもたらす狂気なのかもしれません。ごく普通の人々が、ごく普通に隣人を迫害して死に追いやっていく。そこに罪の意識は存在しません。それが日常で、隣人に同情する人々こそが「異常」なのです。苦い物語です。

  • 社会、戦争、宗教、子ども、大人、恋愛、教育。
    淡々とした語りが色んなことを考えさせてくれる。
    お涙頂戴のストーリーではなく、どこまでも現実的。

    巻末の小話も胸に響いた。
    「ドイツの店員が(訳者に)この本をすすめてくれた。」
    この事実は、とても大きな意味がある。泣きそうになる。

    日本はどうだろう。自分はどうだろう。
    過去と向き合えているだろうか?
    将来、自分の子どもにも読んでほしい一冊。

  • 国家が差別行為をしてよいと許可を与えると、恐ろしい地獄が出現する。そしてもっと恐ろしいのが、人々がそうしてしまう過程が、理解できることだ。今現在の世の中も、一歩間違えば、簡単に地獄に変わり得ることが、恐ろしい。

  • かなり前の本ですが、友人の感想を伺って、読みたくなりました。映画「ハンナ・アーレント」を観て、「悪の凡庸さ」というものは、当時どんなものであったか、子どもの世界を通して、描いていると思います。登場人物はすべて平凡で良心的な人間です。だから、日常の生活に潜む残酷さを、優しく描いています。
    心理的な意味では、アウシュビッツものより恐ろしい。それは今いるごく普通の人たちが、そういうふうに変貌するから。また、それに気づいていても、身動きできないもどかしさも伝わってきます。
    今の時代、読み直す価値があると思います。

  • ヒットラー政権下のドイツで、隣人のフリードリッヒ一家の運命を「僕」の視点から描いた作品。  このテーマには、ベンニーニの映画"lIFE IS BEAUTIFUL"などの秀作があるが、あの映画にはまだまだコミカルで軽快な部分や、明るいエンディングがあったが、この小説は徹底的な厳しさに貫かれている。「僕」の語りによる回想という方法もリアリティを高めているだろう。みんなに読んでほしい作品。

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