時の旅人 (岩波少年文庫)

制作 : Alison Uttley  松野 正子 
  • 岩波書店
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レビュー : 54
  • Amazon.co.jp ・本 (452ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001145311

感想・レビュー・書評

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  • とてもよいお話だった。舞台はイギリスで、療養のために、母方の田舎の農場サッカースに滞在することになったペネロピーが、16世紀当時のサッカースと現在とを行き来する「時の旅人」になるお話。歴史上の大事件も絡んできて、なかなか読みごたえがあった。美味しそうな食べ物や、ドレスや室内装飾、豊かな自然の描写は「大きな森の小さな家」シリーズを彷彿させるが、あちらはフロンティア精神満載で、こちらは時を隔てた同じ場所で、大きく変化したものもあれば、変わらないものも確かにあると噛みしめれられるような感触を受けた。どちらもよいと思う。

    特に印象に残ったのが、昔のサッカースの領主の母親が、ペネロピーに本を見せながら、つづりは人それぞれ、好きな文字を選ぶ、と説明しているところ。これは当時当たり前のことだったのだろうか。だとしたら、とても自由で豊かだなあ。皆同じ文字で同じつづりで書けば、確かに分かりやすいけれど、例えば自分の名前もその時々で好きな漢字を使ったり、少しぐらい音を変えて書いてみることができるとしたら、楽しいだろうなあ、とワクワクした。

  • ふとしたことから、16世紀の荘園に迷い込んだ主人公ペネロピー。彼女はそこで繰り広げられる王位継承権にまつわる事件に巻き込まれることになる。
    ペネロピ―と共に自分も時を越えているような気がしてくる。そして・・・過ぎてしまった時を変えることが出来ないとわかってはいるのに、それでも変えたいと願ってしまう。会えないとわかっているのに、また会いたいと願ってしまう・・・。
    美しい風景が余計に切なくなった。

  • 久しぶりにすごくよかった。過去は変えられないという事実の残酷さと、主人公がその過去をどれだけ思っているかと、田舎の風景が合わさって、静かに悲しく胸にしみいる。

  • 迷い込んだ過去の歴史の事実を変えることのできない少女の切なさが伝わってくる物語。P・.ピアス著『トムは真夜中の庭で』L・M・ボストン著『グリーン・ノウの子供たち』より背景は哀しい。

  • ぜんぜん読めなかった。これ手強いな。でも構造が同じ作品はたくさんあるわけで、いつかまた手にするんだろう。

  • 再読。じっくり読んだので時間がかかった。
    スコットランド女王メアリにまつわる歴史的な事件の悲劇的な結末が分かっていながら、現にその事件の渦中にいる親しい人たちのなかで過ごす辛さとか、とうとう別れの時がやってきて、現在の世界のことが煩わしく思える場面とか、ぐーっと引き込まれた。

  • 珠玉の物語。
    五感を通して物語の世界を味わった。読みながら、広々と開けた緑の田園風景を目の前に浮かべ、教会の鐘の音を聞き、ハーブの香りを鼻一杯に嗅ぎ… 「ペネロピ―!」と呼びかけるみんなの声が耳に残った。
    描かれている世界は繊細で美しく、生き生きとして、そして物悲しい。いつまでもこの世界にとどまっていたい気持ちになる。

    今のこの時は、幾世代もの営みが積み重なった結果。荘園屋敷にも農場にも、いたるところに幾世代もの人々の営み、思いが刻み込まれている。何人ものペネロピ―がその空気のなかで育まれてきた。この土地に結びついて生きることで、生きる底力を得ていく。
    故郷を持たず、世代をこえて受け継ぐ記憶も持たない私は、生命力の弱いみなしごだ。

    読み終わっても、いつまでも余韻に浸っていたい気持ちになる物語だ。

  • ロンドンの少女が、サッカーズでの田舎暮らしをしている間に、何百年も前の“時”に紛れ込んでしまう。その“時”と今の“時”とを行きつ戻りつする中で、美しい自然と、命を繋げているそれぞれの人々の息吹が聞こえて来る物語。

    読み始めは、まさか自分が完読出来るとは思わなかったが、サッカーズの館や自然が眼に浮かぶ様になってからは、少しずつ少しずつ、風景を大切にしながら読み進める事が出来た。

  • 子どもの読み物とは思えん…
    裏の(?)主人公、メアリー・スチュワートは直接出てきて動いたり喋ったり殆どしない。ただ、誰かの眼や語りを通じて描写されるだけだ。その扱われ方がそのまま高貴な身分のアナロジーになっていて、かつ、それが一層、過酷な運命に翻弄された存在であることを際立たせる効果になっている。

  • 少女は時を旅する。

    とても古典的なファンタジーを読んだ。スコットランドの女王メアリーについては、もちろん日本でも有名だ。もし、メアリー・スチュアートを知らなくても、ペネロピーのわくわくした気持ちもわかるだろう。過去に入り込んで生活するという王道ファンタジーは、永遠の夢ではないか。ペネロピーが姉アリソンに「時の旅」をいつか卒業するだろう、と言われてショックを受ける気持ちも、誰でも共感できるはず。

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著者プロフィール

イギリスの童話作家、ファンタジー作家。1884年生まれ。幼少期を過ごしたクロムフォード、ダービーシャーの自然を題材にして物語を執筆しはじめ、「チム・ラビット」シリーズや「グレイ・ラビット」シリーズ、タイムファンタジーのさきがけとなったA Traveller in Time(邦題『時の旅人』岩波少年文庫)など、生涯で100タイトルを超える物語を残した。1976年没。

「2017年 『小さな赤いめんどり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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