クリスマス・キャロル (岩波少年文庫)

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制作 : ジョン・リーチ  Charles Dickens  脇 明子 
  • 岩波書店 (2001年12月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001145519

クリスマス・キャロル (岩波少年文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 冷酷な守銭奴スクルージが、神の慈悲によって改心し善人になる話。要約するとそれだけであり、そう聞いただけで脊髄反射的に読む気を失ってしまう人も多いだろう。まして作者の御都合主義ぶりは、翻訳者ですら認めている(というより、それがディケンズの一般的評価らしい)のだから尚更だ。

    それでも私は敢えて高評価をつけたい。この作品の魅力は、ストーリーやプロットとは別の所にあると思うからだ。第一に、人間描写の妙。特に、大都会ロンドンの下町に生きる庶民の活写ぶりが秀逸だ(その光も闇も含めて)。次に、シニックでハイブロウなブリティッシュ・ジョーク。英国紳士は、たとえ読者が子供であっても手加減はしないようだ(「極めてむなしいもの」の比喩として「アメリカ合衆国の公債」を挙げるあたり)。

    そして何より、クリスマスの情景の素敵なこと! キリスト教徒でないにも関わらず、この作品を読んだあと無性にローストチキンとクリスマスプディングが食べたくなったのは、絶対に私だけではないはずだ(イギリスのプディングとやらは実はあまり美味しくないという噂を聞いていてもだ)。このクリスマスの描写だけでも19世紀イギリスの風俗小説として読んでおく価値があると思う(ただし実際は順序が逆で、この作品の発表によってクリスマスを盛大に祝う習慣がイギリスに根付いたらしい)。

    ディケンズの文章はやたらセンテンスが長くて読みにくいという印象があったのだが、岩波少年文庫の訳は平易で読みやすい。解説も充実しているので、子供だけでなく、大人のディケンズ入門としても手頃だと思われる。

  • 年の瀬も押し詰まってきました。
    生徒たちにとっては、この時期、プレゼントがもらえるクリスマスが楽しみのようです。
    街に出ればクリスマス一色の華やかさ。イルミネーション・クリスマスカード・クリスマスケーキ・リース・ポインセチア・・・どのご家庭でも何かしらクリスマス的なものに彩られているのではないでしょうか。私校長も今度の休みにはシュトーレンでも買ってみようかななどと考えています。

    かつて縁あって、カトリック教会の聖夜のミサに参加したことがありました。それはいわゆる祝祭的な街の雰囲気とは全く異なるとても静かで厳かなものでした。この時に私のクリスマスのイメージが作られたように思います。家族が、それがどんなに小さくても、一緒に暮らせることを感謝し、家族の絆を感じ合う。クリスマスをきっかけに、家族がそんな思いでひとつになれるなら、それは宗教の垣根を越えて素晴らしい体験となるのではないでしょうか。

    クリスマスをあつかった名作と言えば、ディケンズの『クリスマス・キャロル』が有名ですね。
    今、映画化(アニメ化?)されて上映中です。映画を観る前に、この素晴らしい物語を、是非小説で読んでおきたいものです。

    主人公は「金がすべてのきらわれもの」の老人スクルージ。彼の代名詞は次の通り・・・冷酷・無慈悲・吝嗇家・強欲・守銭奴・けちん坊・我利我利亡者・・・。いやはや最悪の人間なわけです。(英語で Don't be Scrooge. と言えば「ケチケチするなよ。の意だそうです。)このスクルージのもとに、かつての相棒マーレーの亡霊が現れ、スクルージに改心することを求めます。マーレーの予言通りに第一、第二、第三の幽霊が現れ、スクルージを過去・現在・未来にいざないます。過去の自分や未来の自分を見せられ、かたくななスクルージも心を入れかえる・・・そんなストーリーでした。
    忘れられない場面があります。
    「学校はまだすっかり空っぽにはなっていないよ。友達に仲間はずれにされて、一人ぽっちの男の子がまだいるよ」と幽霊は言った。(・・・) 幽霊とスクルージは廊下を抜けて、裏口へまわると、戸があいていて、殺風景な、長い、暗い部屋が見えた。中には何の飾りもない、松材の腰掛や机が幾列も並んでいて、それがなおのことあたりを殺風景にした。一つの机にしょんぼりとたった一人で、ほたるのような火にあたって、男の子が本を読んでいた。スクルージは自分も一つの腰掛にすわった。今の今までまったく忘れ果てていた遠い昔の、いじらしい自分の姿を眺めて泣いた。」

    とても美しく感動的な場面です。感動の理由ははっきりしています。人間は変わりうるのだということをしみじみと感じ、元気付けられるからです。人間は変わりうる。それがディケンズからの私たちへの希望のクリスマスプレゼントなのでしょう。

  • 初めて読んだのは小学生のときで、ミッキーのクリスマスキャロルを観たのは保育園に通っていた時かな…。

    簡単に言うと「人の親切を受け取らず、他人の不幸にも目を向けない人は、ひとりぼっちで不幸に死んでいくし、亡霊になった後も苦しむことになるんだぞ」という教訓めいた物語なのだが、子どもの頃の私の記憶からすると、これは「怖い物語」であった。
    しかし、周りの友達や大人に聞くとそんな感想を言う人は誰もおらず、不思議に思っていた。
    何故私だけがそんな感想を持っていたのか。
    それはおそらく「死」というものが関係していると思う。

    「幽霊」や「お墓」、「今は亡き共同経営者」など、この物語には数々の「死にまつわるキーワード」が出てくる。
    ましてや、この物語は何者か分からない語り手から読者に語りかける方式をとっており、この物語に触れあうだけで、自分が死の国に引きずり込まれるような気になってくる。
    そして、この「怖さ」が先行していたために、私はこの物語の真意を受け取ることができなかったのだと思う。

    私自身想像力の足りない子だったなと思うが、本というものの受け取り方は人それぞれ。(開き直り)
    一人くらい、私のような感想を持つ子どもがいても面白いかもしれない。
    そのため、読書感想文や朗読会の題材としてはとても良いと思う。

    現在の私は教訓も読み取れたし、スクルージが最終的には良い人になったことを喜ばしいと思う。
    しかし、冒頭に出てきた、マーレイや他の苦しんでいた亡霊はどうなったのだろうか…。
    今もクリスマスの時季になると苦しんでいるのだろうかと考えると、少し陰鬱になる。

  • クリスマスの浮き立つ気持ちと町並みと雰囲気と人々が
    これ程幸せに描かれている物語は他に無い気がする。
    料理の表現が本当に美味しそうで素晴らしい。
    特に、クリスマスプティングの描写は、
    ちょっと、すごいことになっている

  • 季節外れですが(^o^;
    息子の本棚から拝借。子供の頃に読んだが、当時は道徳的な意味合いだけを理解していた。大人になってから読むと、なんだか、しみる、、、主人公の年齢に近づいているからだろう、、、

  • クリスマス・イブの夜、強欲な金貸しスクルージの元を訪れる三人の精霊。過去・現在・未来をスクルージに見せてくれ、スクルージは生きる喜びを思い出す。
    クリスマスという季節の素晴らしさを呼び覚まさせてくれる婦負作である。

  •  小学校の頃に父が読み聞かせてくれてから30年ほどして、今回自分の子供たちに読み聞かせるために初めて再読。この間、ディケンズの小説を読んだことはまったくなかったのですが、今回の僕の感想は「ディケンズすげー!!」でした。
     すごいと思う一つ目の理由はその想像力です。読み始めてすぐに感じた率直な感想は「これはハリーポッターじゃないか!」ということでした。JKローリングが影響を受けていたのでしょうか。ググってみたところハリーポッター自体よりもその後に彼女が書いた小説について、ローリングをディケンズの後継者だとみなす記事があるようですが、僕はハリーポッターしか読んでいないのでハリーポッター・シリーズそのものに類似点があるというところを指摘したいです。まずクリスマスキャロルで幽霊に連れられて過去を見に行くところはハリーポッターが Pensieveを使って過去を見に行く場面と状況が似ています。しかもその際の場面転換で景色が溶けていく描写などはまったく類似しており、まるで現代の映画でのCG表現を文字にしたようです。幽霊たちの外見もハリーポッターに現れる幽霊や Dementer に似ているようだし、鎖やロウソクなどの小物の使い方も似ているように思います。まったくSFXが存在しなかった時代にこのようなものを想像することができたディケンズはすごい!
     次にすごいと思う理由はストーリーです。生命の危険を伴うような極限的な体験をした主人公が、これまで気づいていなかった生の実感に目覚め、物事を捉え直し、感謝を感じ、周囲の人に対し心を開き、人生を変えた。そしてそのような体験談を視聴者とシェアすることで、視聴者にも同じような意識を持ってもらいたい、というメッセージ性。これは、まさにTED Talksの一つのパターンではないでしょうか。これが現代に本当に起きた物語だったら、スクルージはTED Talksに登壇してスライドを使って3人の幽霊について語り、スタンディングオベーションを受けているでしょう。今なお価値を高く認められるストーリーだと言えると思います。
     描写も素敵です。クリスマスのロンドンの描写も非常に活き活きとしていて楽しくなります。これが意外にも、解説によれば当時のロンドンではクリスマスの風習が衰えており、ディケンズの創作だというのだからますます驚きです。文体は適度に華美にレトリックが効いています。トム・ソーヤのマーク・トゥウェインほどやりすぎではありません。
     子供たちは最初のマーレイの幽霊で怯えていましたが、恐ろしいのは序盤だけなのですね。一人目の「過去のクリスマスの幽霊」が登場してしまうと、むしろ展開が(スクルージの転向が)早すぎて物足りなかったような気すら僕はしました。子供たちはその恐ろしい部分を越してからは(未来の幽霊の一部を除き)リラックスして楽しみながら教訓を吸収していました。娘は、本の表紙に使われた挿絵が本の主題とあまり関係がないと不満を述べていました。それは僕もまあそう思います。

  • 昔読んだけど、内容があまり覚えていなかったので読んだ。

    随所にみられる文学独特の表現が、クリスマスの心躍る雰囲気を醸し出すのによく貢献している。
    内容は、王道を行くスタイルで教育的であったといえる。

    大人の視点で読み返してみると、どうしてもバッドエンド版を読みたくなってしまうw。

  • 幸せですね。
    このままじゃいけないよって、教えようとしてくれる人がいて。
    その人はもうこの世の人ですらないのに、それでも、教えようとしてくれた。

    きっと、マーレイさんにとっても、それが幸せだったのだろう。
    スクルージさんに気付いてもらって、自分と同じ道を歩ませないことが、彼にとっての幸せだったのだろう。

    マーレイさんの永劫の旅路も、これでやっと一歩、踏み出せたのかもしれない。

  • わけあって本著を読むことに。

    ので、感想はなし。

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