雪女 夏の日の夢 (岩波少年文庫 (563))

制作 : 脇 明子 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 37
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001145632

感想・レビュー・書評

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  • 子どもたちから「雪女のお話をして」というリクエストがあったが、さすがに原典から紐解くのは難易度が高すぎる。
    で、こちらを選択することに。
    ところが、肝心の「雪女」の舞台は「武蔵の国」なので、惜しいかな標準語なのだ。
    雪深い土地の話という意味では、やはり東北弁の方が味わいがある。
    とは言え、リクエストとして『雪女』というタイトルが子どもたちの口からすらりと出てくるなんて、小泉八雲の果たした役割はあまりに大きい。
    私自身も中学生の頃に読んだ『雪女』『耳なし法一』や『ムジナ』『食人鬼』などという怪談は今も記憶に鮮やかだ。
    ところが読み返してみたらまだまだあって、エッセイもたくさん残っている。
    どれも一度ならず二度三度と読みたくなる不思議な読後感だ。

    小泉八雲の物語にはどれも原典がある。
    と言うことは、日本語を英語にし、そこに彼ならではの想像力で肉付けしたということになる。
    感心してしまうのはその点で、流麗な文体と、読み手を刺激する表現力は特出している。
    明治の頃の日本であるはずなのに、何故か懐かしさにあふれるエッセイの数々。
    日本と、日本人と、その文化と歴史とをこよなく愛していた八雲さん。
    風景の描写ひとつとっても、どれほど美しく、心動かされるものだったかが伝わってくる。

    横浜に着いたばかりの八雲が、人力車に乗って町を駆け巡った興奮を綴る『東洋の土をふんだ日』。
    新鮮な驚きにみちた文章は、こちらまでわくわくしてくる。
    特に『夏の日の夢』というエッセイは素晴らしく、もううっとりとしてくる。
    このエッセイの中に物語が二編含まれていて、一つは『浦島太郎』で、もうひとつは『若返りの泉』だが、
    日本人なら誰もが知っているその話を、彼の眼を通してあらためて日本を言う国を見つめなおすことになる。
    叙情豊かな『伊藤則資(のりすけ)の話』が一番印象的で、これと良く似た話がアイルランドの昔話にもあったのを思い出す。

    新聞記者として文筆力をつけていたことだし、来日前にすで本も出版していたというから、もともと八雲は文章力のある人だったのだろう。
    しかし、そこに日本人妻のセツさんの存在が加わることで、どれほどその世界が広がったかは想像に難くない。
    セツさんはかなり聡明な女性だったと聞く。
    八雲の質問には的確に答え、仕事上では有能な助手でもあったらしい。
    う~ん、やはり自分の国について正しく知ること。
    次に、それを英語で伝える力を持つこと、という順番が正しいのかもね。

  • 読了。読書倶楽部課題図書。

    八雲が日本について書いたエッセイもあり、その表現がとても美しく、本当に日本を気に入ったんだなということがわかる文章だった。

    エッセイは読みやすくて(和訳されたものだけど)、細かい描写が上手かった。そして外国人らしい表現である。

    人となりがよくわかる。
    (170729)

  • 私の知ってる盆踊りは、お祭りの喧騒の中で行われる、楽しげな盆踊りだけだ。
    こんな、神秘的で、静けさに満ちた幻想的な盆踊りは知らない。
    やはり、今では失われてしまった、日本の姿なんだろう。

    私たちの良く知る、この日本のことを書いたものであるのに、今の私たちが見ると、幻想的な、でもなんだか懐かしいような、そんな風景だと思える。
    その昔、ハーンさんが見た、その時の感動と、現代から過去を見た日本人である私たちの感動とは、似たものであるのかもしれない。

  • 読マラの次回棚のテーマにいいかも?
    対象年齢が気になるが…。

  • 2009年8月15日

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著者プロフィール

1850年、ギリシャに生まれる。1890年に来日、1896年に日本に帰化し小泉八雲と名のる。1904年没。
『知られぬ日本の面影』『怪談』など、日本関係の著作は十数冊にのぼり、今も多くの人の心をひきつけてやまない。

「2017年 『復刻版 ラフカディオ・ハーンのクレオール料理読本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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