若い兵士のとき (改版) (岩波少年文庫)

制作 : 岩淵 慶造  上田 真而子 
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レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001145717

感想・レビュー・書評

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  • ヒトラー時代を描いたリヒターの三部作、第一作の「あのころはフリードリヒがいた」を読んだのが確か90年頃、二作目「ぼくたちもそこにいた」が96年頃、随分間が空いて三作目「若い兵士のとき」が13年…と、長きに渡って三部作を読破。正直、少年時代を描いた一・二作目だけで十分かなと思ってはいたのだが、むしろ40代を迎えた今だからこそ、この最終作は心に響くものであった。
    第二次世界大戦のドイツ。「ぼく」は将校に憧れ、17歳で軍に入隊。しかしそこでの日々は、過酷すぎるほどの壮絶さであった。軍での厳しいしごき。激しい戦い。負傷で左腕を失い、士官学校に移った後は順調に出世し、自分より年配の兵を配下に置く。肩書きと年齢とのアンバランスさが、時に切ない。
    人を人とも思わない軍の上層部の体制は日本の軍も相当な非情さだったが、ドイツも大差ない。当時の日々が短いエピソードで淡々と語られているからこそ…「この後もう書かなかった、書けなかったリヒターの気持ちが伝わってくるようです」との訳者のあとがきの一文が心に残る。(リヒターは三冊を発表後筆を折った)
    戦争により歪んだ感情は何とも醜く、人としての誇りを捨てざるを得ない極限状態は、「辛い」という言葉では語り切れない。児童文学としては重すぎるかもしれないけど、鉛のようなずっしり感を感じるだろうけど、その重さを感じてほしいと思う。そして大人なら、行間から様々な感情を読み取れるだろう。生々しい描写もいくつか見受けられるが、是か非かとは簡単に言い切れないものがある。読んだ後も色々考えさせられ、苦々しい思いにとらわれてしまっているけれど…リヒターが伝えたかった「事実」を、しっかりと受けとめたい。

  • 被害者を書く話は数多くあれど
    加害者を書く者はなかなかいない
    その加害者ですら最初は善良な少年の姿形をしていることもある 人を変えていく

    彼らのような少年達が戦争が終わった後もなお、地雷撤去に駆り出されたと考えるとまた滅入る

  • 「Die Zeit der jungen Soldaten」の翻訳(2005/07/15発行)。

    第2次世界大戦中、17歳で国防軍に志願し、陸軍に入隊してから20歳でドイツの敗戦を迎えるまでの著者ハンス・ペ-ター・リヒターの体験を綴った自伝。
    但し、最後の章のエピソードはフィクションだそうで、戦後暫くの間著者は、シベリアで抑留生活を送っていたとのことです。

    若干フィクションが混ざっているようですが、本書は著者が体験した短編のエピソードをまとめたモノです。 そのため、各エピソードとの繋がりが多少判りずらくなっていますが、時系列的にはあっていますので、それ程違和感は感じませんでした。

    一応、児童文学本として出版されていますので読み易い上、大人にも読める良書であると思います。

  • 散文形式で綴られている。時系列に並んでおらず、物語の前後がわかりにくいが、それだけつらい経験だったのだろう。
    もう戦争は起こしてはいけない。

  • 「あのころはフリードリヒがいた」
    「ぼくたちもそこにいた」の
    完結編となるこの作品。

    読みながら、何か不思議だなと思っていたら
    この作品は各章が*で仕切られているだけで
    ストーリーがないことに気付いた。
    つまり、リヒターは記憶に残っていることを
    絞り出すようにして、
    ただただ、書き残したのだろう。
    思い出すこともつらく、思い出したくもないことを
    「伝えなくては。。。」という使命感のみで
    懸命に書き残したことが伝わる文章だった。
    一説には、リヒターはこの作品を最後に
    筆を折ったとも言われている。
    それだけつらい作業だったんだろうと思う。

    この三作品を読んで、まず「知る」ことが大事だと思った。
    もし、「戦争」というものを知って
    これらの本に書いてあることが
    全部本当に起こったことだと知ったら
    戦争なんてしたいと思うはずはないのに。。。

  • 訳者のあとがきにもあるように、前二作とは形式が異なり、日記の様な断片的な話の羅列になっている。ほとんど年齢のかわらない「ぼく」と私の、なんと遠いことだろう。生まれた時代の差はこんなにも。

  • 図書館の本

    内容(「MARC」データベースより)
    17歳で志願し入隊してから20歳で敗戦をむかえるまで、ナチ政権下のドイツで実際に体験した戦争のなまなましい姿。「あのころはフリードリヒがいた」「ぼくたちもそこにいた」に続く、3部作の完結編。

    戦場で、兵士としての体験。
    ドイツの兵隊も、日本の兵隊のシステムとなんら変わらないんじゃないかと思わせる記述が時々ある。
    訓練と称していじめがあったり、管理されすぎるが故の暴力。
    兵隊になれば、兵士になれば、制服もあり、配給も豊かになり、尊敬されると信じて志願して(父親は反対する)、そして現実に直面する。
    お父さんも戦争に取られ、お母さんの苦労はどれほどか。

    戦争はいけない。
    でもどうして戦争になったのか?
    その戦時下でどういう選択をして生き延びたのか?
    考えさせられました。

    Die zeit der Jungen soldaten by Hans Peter Richter

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