王への手紙 下 (岩波少年文庫 575)

  • 岩波書店 (2005年11月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (380ページ) / ISBN・EAN: 9784001145755

みんなの感想まとめ

冒険と成長がテーマの物語で、見習い騎士のティウリが手紙を託され、仲間の助けを借りながら使命を果たす姿が描かれています。ティウリは特別な力や優れた人格を持っているわけではありませんが、素直で正直な性格と...

感想・レビュー・書評

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  • 2冊まとめての感想です。見知らぬ男に手紙を託された見習い騎士のティウリ。手に汗握る冒険の始まりです。ティウリはたくさんの人たちの助けをかりながら一生懸命に自分の使命を果たそうとします。特別強かったわけでもないし優れた人格者だったわけでもありません。だけど素直で正直でズルくなくて、弱い人を助けようとする心がありました。とても立派な性質です。「徳は孤ならず必ず隣あり」という孔子様の言葉がありますが、素直で正直で心が優しいというのは何と偉大な徳でしょう。

    規則は守らなくてはいけませんが、本当に良いこと悪いことを判断するのは自分の心だと思います。戦争では敵を倒すことが良いとされますが、人を殺めることが良いはずがない。状況によって変わるものは良いものではない。どんな状況であっても絶対に変わらない本当に良いことは何かを考えて行動することの中にしか善悪はないと思います。そういう善悪をもって生きる人間は本当に強いと思いました。騎士になるのに剣も盾も身につける必要はない。文中のこの言葉は真実だと思いました。王道の冒険小説の傑作です。

  • 上巻はティウリが一人で頑張っている様子に胸が痛くなりもしましたが、下巻はピアックの存在が緊張感をやややわらげてくれた気がします。

    ティウリが無事使命を果たせたときは心からホッとし、あとは安心して楽しく読めました。

    読み応えはありますが、細かく分かれているので少しずつでも読み進められると思います。

    高学年以上の男女問わず、勧めたいです。

  • P.73 下巻
    「ぼくを信じて、助けてください。助けてもらえないと、ほんとにたいへんなんです!」

    えーーー。もっと根性ある方がいいよ!若いんだし、怖いもんなしな感じでいっちゃえよ!
    なんて思いつつも、誰にも明かせない極秘の任務。しかも突如降りかかってきた初任務。そしてツテもない他国への旅路。なにやら命の危機もある。16才。
    ティウリはよくやった!もうちょっと根性を見せてくれなんて思ったわたしは不届者だ。

  • 王道の少年冒険小説。王道を侮るなかれ。
    旅の目的は、隣国の王へ秘密裏に手紙を届けること。
    道中、手紙を届けさせまいと邪魔をする敵や、旅の目的を話せない主人公を訝しむ人に足止めされつつも、一つ一つクリアして、仲間や道具を手に入れながら目的地を目指す。
    極々シンプルなストーリー展開だけど、道中の危機をどう乗り越えるのか、無事に手紙を届けられるのか、ハラハラドキドキしながら読み進めた。
    一つの難題を超えると、信頼出来る仲間が増えていくのも飽きさせない。騎士や隠者、街の人々に王、魅力的な人が多くいる。特に騎士はかっこいい…
    語り口はいま流行りの児童書に比べれば、単調で堅苦しく感じるかもしれないけど、そのシンプルさが物語の展開を際立たせているように思う。
    なので、絶対映像化作品も面白いんだろうな、と思いつつ、この語りでの良さとは別物なんだろうなという気がしている。

    同著『白い盾の少年騎士』でティウリとピアックの旅はまだ続くようなので、そちらも読みたい。

  • 長い旅路を終えて、文句なくページを閉じることが出来ました。大満足。

    ダングリアでは人の名前がたくさん出てきて若干わからなくなりましたが、なんとか先に進めることが出来ました。イルヴェン、ドアルヴェン、ディルヴィン辺りが、時々誰?ってなりました。笑

    下巻で一番印象深いのは、虹の川の関守の領主様の言葉です。
    橋を渡るのに通行料の金貨3枚を払うことを要求されたティウリとピアックは、それが払えずに途方に暮れます。橋を渡るのに通行料、もしくはそれに相当する3週間の労働をすること。一見すると支配者からの搾取のように思える決まりですが、実はそうではありません。そのことを語る時の領主の言葉に、そういう考え方もあるのか、と思うと同時に、その考え方は現代にも通じるものがあるなと思いました。

    ウナーヴェン王への謁見からダホナウト国への帰還までも、ティウリはもはや任務を終えているにもかかわらず、飽きずに読み切ることが出来ました。
    往路で出会った人々との再会に、自分もまた嬉しく、懐かしい気持ちになりました。
    ティウリがマリウスを忘れていなくてよかった!

    これは、少年の成長と、出会いの物語であると思う。
    それらをいちいち大仰に描くことはなくとも、人との出会いと、その支援によって、ティウリの旅は完結したと言えると思う。
    それはマリウスであり、イルヴェンであり、関守の領主に会うことを頼んでくれた兵士であり、泊めてくれた名もない農民でもある。護衛をしてくれた灰色の騎士であり、その灰色の騎士との決闘に武器を授けてくれたミストリナウト城主であり、その娘である。そして、最愛の親友となるピアック。
    人は出会い、繋がれていく、ということを、ティウリとともに、王国から王国へと旅する中で、共に感じることが出来る喜び。
    冒険小説であるとともに、出会いの物語であることが、このお話に惹き付けられた理由の一つだと思う。また、ティウリの爽やかな高潔さと、ピアックのどんな時にもへこたれない底抜けの明るさにも救われる。
    読み物としては、中学以上、となっているが、内容的には、小学校高学年でも。

  • 上巻から一ヶ月経っての下巻…カタカナの名前たちを忘れてしまい…なかなか読み進められなくなった(目次あたりに登場人物紹介とかあればなぁ)。又、“ピンチに陥る→なんとなく敵と思われた人がティウリの状況を察してくれる→助けてくれる→先に進む”みたいな流れがよめてしまう。でも、物語の終わり方はおもしろかったかな。。

  • 冒険物語の下巻。手紙を届けることはできたのか、主人公は騎士になることができるのか、ハラハラしながらもどんどん読み進めることができる。本当に大切なものは何なのかを考えさせられる。

  • 上巻から引き続き。
    主人公ティウリと、旅の仲間となった山の少年ピアックの冒険が、豊かな情景描写やテンポの良いリズムで描かれた作品です。
    ストーリーの展開としてはファンタジーの王道として、安心して楽しむことができますし、1962年の作品ではあるものの決して「古い」という感じもないと思います。
    エンディングがややご都合主義的な部分があるようにも感じましたが、少年文庫の古典作品としての魅力を損なうものではありませんでした。


    「騎士」としての使命をどのように果たしてゆくのか、他者から(形式的に)認められるかどうかが問題なのではなく、自分が何を大切に生きるかということが最も重要なのだ、というメッセージがしっかりと伝わってきます。
    小説として楽しみながら、自身の生き方についても考えさせられる、”課題図書”として出すにも適した本だと感じました。

  • ティウリの冒険は終わりを迎える。

    宿敵スルーポルとの対決は案外あっさりと決着が着いた。ティウリが勇気を示すことで、事態が好転していくのが気持ちいい。仲間となったピアックも魅力的なキャラクターだ。ようやく会えたウナーヴェン王もよいが、その道化ティリロが印象的。ダナホウト国へ戻ってから王に騎士に叙すことはできないと言われた時の衝撃。しかし大切なのは、自分が選んで人を助けたこと、誰かに叙されることがなくてもそれでもう騎士だということ。ダナホウト王の真意が明かされるのと、別れたピアックが戻ってきて、堂々のハッピーエンディング。これは気持ちの良い物語だ。長年人気なのもわかる。

  • ◯本の構成の話
    ティウリがお世話になった人に挨拶しに行く話が丁寧に描かれていた。物語のエンディングにあたる、お世話になった人への挨拶は、ダイジェストのように短くカットされていることは多いから、その部分が詳細に物語られる様子が新鮮に思えた。


    ◯かっこいい大人
    ティウリを導いた大人(ウーベェン王、ナトリウス、ダナホウト王)たちは、若者(ティウリ、ピアック)たちに、耳を傾けるができる。若者に自分で考えることを伝える。その決定に、責任を持つこと持たないことどちらも大切だとを教えるため、若者が決定がひと段落しその後に生じる発見に気づくまで待つ。人の成長を待つことができる人ってかっこいいなぁと思った。


    ◯ティウリの感想
    ティウリが騎士になるための儀式と、「人を助ける」という本質的な騎士道を天秤にかけて後者を選んだ。ほかの人には助けを呼ぶ声が聞こえなかったし(?)、ティウリは「余人を持って変えがたいこと」ができる人だった。

    だが目的を達成してから自分が唯一の任務でないことを知る。これや他の要因で、ティウリは旅の誇りを失ってしまう。だが、彼はその感情を自分で再解釈し、お世話になった人との触れ合いにより、葛藤から抜出していく。
    ダナホウト王国へ帰還したティウリの態度から、人間的な器量の大きさ、今後も成長していく未来像を見た。

  • 王への手紙を携えたティウリは、山で暮らす少年ピアックと共にウナーヴェン国王の元へ急ぐ。馬で移動中に敵の気配を感じるシーンは緊張感があり手に汗握る展開だったが、街の入り口で乞食に変装した敵と対峙するシーンは現実味がなくあっけなく感じた。
    下巻の中盤で目的を達成し、残りは帰路を描くというストーリーも斬新。
    しかし児童文学だけあって優しく温かい読後感だった。

  • ピアックという心強い道連れもでき、ウナーヴェン市への旅を続けるティウリ。上巻ほどの緊迫感はないし、結末もわかりきっているものの、これまでの旅とティウリの成長を確認する第八章の読後感は格別だった。勇敢だけど無鉄砲ではなく、時に疑心暗鬼に駆られながらも決断すべきところでは潔く決断するティウリの性格が気持ちいいし、ピアックとの友情もよかった。行きの旅では敵か味方かわからなかった相手が帰りの旅ではティウリにとって大きな意味を持つ人物になっているというのもいい。続編『白い盾の少年騎士』もぜひ読んでみたい。

  • 岩波少年文庫のおすすめ、でこれを挙げるひとが多かったのでさっそく借りてきた。
    内容は少年、見習い騎士の冒険物語。直球。
    オランダの作品だそうで、人名がやや難しい。
    たくさんひとが出てくるので、一気に読まないといけない。
    雰囲気は、美形のでない田中芳樹、といったところ。まっすぐな少年の心や友情。

    しかし、ラストは不満が残る。第三国の行く末はどうなったのか?主人公の国、二番目の国の国王親子の不仲、戦争が始まりそう、というがその未来はどうなるのか、すっきりしない。続編?があるらしいから、そちらを読んだ方がいいのかな。

    最後に。
    個人的には、本気の中世騎士物語の超展開に慣れまくっているので、読みながらいろいろ驚いていしまった。ちゃんと話が展開するし、変態ぽいひとも出てこない。ミストリナウト城の話は、アーサー王のバクデメイガスのくだりを思い出した。

  • 何者であるか、ではなく何をしたのかが大切です。

  • 高学年~中学生へのおすすめ本を探していて手にとってみた本。
    冒険、友情、架空の王国で繰り広げられる陰謀などなど。
    爽やかさも残るおすすめ本。

  • 下巻

    ティウリピアックは様々な試練を乗り越え、とうとうウナーヴェン王に手紙を届けるにいたる。

    あちこちに往路で起こったこと、出会った人の謎解きがあり、すっきりとした気持ちで結末を読むことができる。
    こうでなくちゃっ!!

    印象的なのは、ティリロの存在。
    ティリロの言葉は、私たちに大事なことを気づかせてくれる。

    また物語の各所に出てくる、「信じる」ことにも注目したい。

    P259
    「わたしに祈らせてください。いちばん大事なことが、また、いちばん楽しいことでもあるように!この二つは決しているもいっしょだとはいかぎらない!」


    作者のトンケ・ドラフトは1903年にオランダ領のインドネシアに生まれ、第二次大戦中は日本軍の収容所に入れられていた。
    その中で、お話を作ること、それを語ることに目覚めたとんこと。
    制限のある生活の中でこうした想像力を働かせるお話を生みだしたとは驚き。


    書店ユトレヒトの江口宏志さんの冒険小説をすすめる理由のことばがこれまたすばらしい。
    P369
    「一つは興味を尽きさせない工夫が随所になされているので、最後まで読み切ることができ、本を一冊読み終えたという達成感を味わえること。もう一つは、それらの小説は読んでいる時に楽しいだけで、読後に何も残らないという類のものではなく、人間関係の対立や協調、難局に対した時の心理状態などがしっかり描かれているので、読むことが人生経験を深めることにつながるからです。2004年12月26日朝日新聞

  • オランダの女性作家による名作、下巻。

    何より読後感が爽やか。色彩と景色が目に浮かぶよう。登場人物たちはややステロタイプだけども、いささかも作品の魅力を減じていないと思う。レリーフみたいにシンプルに輪郭がくっきりして美しい。

    ちなみに挿絵も著者によるもの!!!

  • 続編も読みたくなりました。

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