王への手紙 (下) (岩波少年文庫 575)

制作 : トンケ・ドラフト  西村 由美 
  • 岩波書店
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レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001145755

感想・レビュー・書評

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  • 上巻から引き続き。
    主人公ティウリと、旅の仲間となった山の少年ピアックの冒険が、豊かな情景描写やテンポの良いリズムで描かれた作品です。
    ストーリーの展開としてはファンタジーの王道として、安心して楽しむことができますし、1962年の作品ではあるものの決して「古い」という感じもないと思います。
    エンディングがややご都合主義的な部分があるようにも感じましたが、少年文庫の古典作品としての魅力を損なうものではありませんでした。


    「騎士」としての使命をどのように果たしてゆくのか、他者から(形式的に)認められるかどうかが問題なのではなく、自分が何を大切に生きるかということが最も重要なのだ、というメッセージがしっかりと伝わってきます。
    小説として楽しみながら、自身の生き方についても考えさせられる、”課題図書”として出すにも適した本だと感じました。

  • 岩波少年文庫のおすすめ、でこれを挙げるひとが多かったのでさっそく借りてきた。
    内容は少年、見習い騎士の冒険物語。直球。
    オランダの作品だそうで、人名がやや難しい。たくさんひとが出てくるので、一気に読まないといけない。
    雰囲気は、美形のでない田中芳樹、といったところ。まっすぐな少年の心や友情。

    しかし、ラストは不満が残る。第三国の行く末はどうなったのか?主人公の国、二番目の国の国王親子の不仲、戦争が始まりそう、というがその未来はどうなるのか、すっきりしない。続編?があるらしいから、そちらを読んだ方がいいのかな。

    最後に。
    個人的には、本気の中世騎士物語の超展開に慣れまくっているので、読みながらいろいろ驚いていしまった。ちゃんと話が展開するし、変態ぽいひとも出てこない。ミストリナウト城の話は、アーサー王のバクデメイガスのくだりを思い出した。

  • 雑誌クレアの児童文学特集で知った。

    騎士叙任式前日の少年ティウリが、あるきっかけで隣国の王に手紙を届けることになる冒険小説。

    これ、おもしろい‼
    いきなり見ず知らずの人に手紙を託されて、騎士になれないかもしれないのに任務を遂行するティウリが本当にいい子で感動。
    一緒に旅をしながら読んでいるようなかんじの書き方なので、どんどん引き込まれた。
    時々地図を見ながら読むのも楽しい。

    続きもあるようなので、そちらも読んでみたい。

  • 長い旅路を終えて、文句なくページを閉じることが出来ました。大満足。

    ダングリアでは人の名前がたくさん出てきて若干わからなくなりましたが、なんとか先に進めることが出来ました。イルヴェン、ドアルヴェン、ディルヴィン辺りが、時々誰?ってなりました。笑

    下巻で一番印象深いのは、虹の川の関守の領主様の言葉です。
    橋を渡るのに通行料の金貨3枚を払うことを要求されたティウリとピアックは、それが払えずに途方に暮れます。橋を渡るのに通行料、もしくはそれに相当する3週間の労働をすること。一見すると支配者からの搾取のように思える決まりですが、実はそうではありません。そのことを語る時の領主の言葉に、そういう考え方もあるのか、と思うと同時に、その考え方は現代にも通じるものがあるなと思いました。

    ウナーヴェン王への謁見からダホナウト国への帰還までも、ティウリはもはや任務を終えているにもかかわらず、飽きずに読み切ることが出来ました。
    往路で出会った人々との再会に、自分もまた嬉しく、懐かしい気持ちになりました。
    ティウリがマリウスを忘れていなくてよかった!

    これは、少年の成長と、出会いの物語であると思う。
    それらをいちいち大仰に描くことはなくとも、人との出会いと、その支援によって、ティウリの旅は完結したと言えると思う。
    それはマリウスであり、イルヴェンであり、関守の領主に会うことを頼んでくれた兵士であり、泊めてくれた名もない農民でもある。護衛をしてくれた灰色の騎士であり、その灰色の騎士との決闘に武器を授けてくれたミストリナウト城主であり、その娘である。そして、最愛の親友となるピアック。
    人は出会い、繋がれていく、ということを、ティウリとともに、王国から王国へと旅する中で、共に感じることが出来る喜び。
    冒険小説であるとともに、出会いの物語であることが、このお話に惹き付けられた理由の一つだと思う。また、ティウリの爽やかな高潔さと、ピアックのどんな時にもへこたれない底抜けの明るさにも救われる。
    読み物としては、中学以上、となっているが、内容的には、小学校高学年でも。

  • 何者であるか、ではなく何をしたのかが大切です。

  • 高学年~中学生へのおすすめ本を探していて手にとってみた本。
    冒険、友情、架空の王国で繰り広げられる陰謀などなど。
    爽やかさも残るおすすめ本。

  • 下巻

    ティウリピアックは様々な試練を乗り越え、とうとうウナーヴェン王に手紙を届けるにいたる。

    あちこちに往路で起こったこと、出会った人の謎解きがあり、すっきりとした気持ちで結末を読むことができる。
    こうでなくちゃっ!!

    印象的なのは、ティリロの存在。
    ティリロの言葉は、私たちに大事なことを気づかせてくれる。

    また物語の各所に出てくる、「信じる」ことにも注目したい。

    P259
    「わたしに祈らせてください。いちばん大事なことが、また、いちばん楽しいことでもあるように!この二つは決しているもいっしょだとはいかぎらない!」


    作者のトンケ・ドラフトは1903年にオランダ領のインドネシアに生まれ、第二次大戦中は日本軍の収容所に入れられていた。
    その中で、お話を作ること、それを語ることに目覚めたとんこと。
    制限のある生活の中でこうした想像力を働かせるお話を生みだしたとは驚き。


    書店ユトレヒトの江口宏志さんの冒険小説をすすめる理由のことばがこれまたすばらしい。
    P369
    「一つは興味を尽きさせない工夫が随所になされているので、最後まで読み切ることができ、本を一冊読み終えたという達成感を味わえること。もう一つは、それらの小説は読んでいる時に楽しいだけで、読後に何も残らないという類のものではなく、人間関係の対立や協調、難局に対した時の心理状態などがしっかり描かれているので、読むことが人生経験を深めることにつながるからです。2004年12月26日朝日新聞

  • オランダの女性作家による名作、下巻。

    何より読後感が爽やか。色彩と景色が目に浮かぶよう。登場人物たちはややステロタイプだけども、いささかも作品の魅力を減じていないと思う。レリーフみたいにシンプルに輪郭がくっきりして美しい。

    ちなみに挿絵も著者によるもの!!!

  • 続編も読みたくなりました。

  • 今まで読まなかったのが惜しい位の児童文学。日本で刊行されたのが割と最近というのが信じられない位の名作です。
    自分が子供の頃に読めたら尚良かったのに。今どきのライトノベルが逆立ちしても太刀打ち出来ない、良質の児童文学です。もっと子供たちに読まれたらいいなあ。

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