- Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001145755
感想・レビュー・書評
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上巻はティウリが一人で頑張っている様子に胸が痛くなりもしましたが、下巻はピアックの存在が緊張感をやややわらげてくれた気がします。
ティウリが無事使命を果たせたときは心からホッとし、あとは安心して楽しく読めました。
読み応えはありますが、細かく分かれているので少しずつでも読み進められると思います。
高学年以上の男女問わず、勧めたいです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
冒険物語の下巻。手紙を届けることはできたのか、主人公は騎士になることができるのか、ハラハラしながらもどんどん読み進めることができる。本当に大切なものは何なのかを考えさせられる。
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上巻から引き続き。
主人公ティウリと、旅の仲間となった山の少年ピアックの冒険が、豊かな情景描写やテンポの良いリズムで描かれた作品です。
ストーリーの展開としてはファンタジーの王道として、安心して楽しむことができますし、1962年の作品ではあるものの決して「古い」という感じもないと思います。
エンディングがややご都合主義的な部分があるようにも感じましたが、少年文庫の古典作品としての魅力を損なうものではありませんでした。
「騎士」としての使命をどのように果たしてゆくのか、他者から(形式的に)認められるかどうかが問題なのではなく、自分が何を大切に生きるかということが最も重要なのだ、というメッセージがしっかりと伝わってきます。
小説として楽しみながら、自身の生き方についても考えさせられる、”課題図書”として出すにも適した本だと感じました。 -
長い旅路を終えて、文句なくページを閉じることが出来ました。大満足。
ダングリアでは人の名前がたくさん出てきて若干わからなくなりましたが、なんとか先に進めることが出来ました。イルヴェン、ドアルヴェン、ディルヴィン辺りが、時々誰?ってなりました。笑
下巻で一番印象深いのは、虹の川の関守の領主様の言葉です。
橋を渡るのに通行料の金貨3枚を払うことを要求されたティウリとピアックは、それが払えずに途方に暮れます。橋を渡るのに通行料、もしくはそれに相当する3週間の労働をすること。一見すると支配者からの搾取のように思える決まりですが、実はそうではありません。そのことを語る時の領主の言葉に、そういう考え方もあるのか、と思うと同時に、その考え方は現代にも通じるものがあるなと思いました。
ウナーヴェン王への謁見からダホナウト国への帰還までも、ティウリはもはや任務を終えているにもかかわらず、飽きずに読み切ることが出来ました。
往路で出会った人々との再会に、自分もまた嬉しく、懐かしい気持ちになりました。
ティウリがマリウスを忘れていなくてよかった!
これは、少年の成長と、出会いの物語であると思う。
それらをいちいち大仰に描くことはなくとも、人との出会いと、その支援によって、ティウリの旅は完結したと言えると思う。
それはマリウスであり、イルヴェンであり、関守の領主に会うことを頼んでくれた兵士であり、泊めてくれた名もない農民でもある。護衛をしてくれた灰色の騎士であり、その灰色の騎士との決闘に武器を授けてくれたミストリナウト城主であり、その娘である。そして、最愛の親友となるピアック。
人は出会い、繋がれていく、ということを、ティウリとともに、王国から王国へと旅する中で、共に感じることが出来る喜び。
冒険小説であるとともに、出会いの物語であることが、このお話に惹き付けられた理由の一つだと思う。また、ティウリの爽やかな高潔さと、ピアックのどんな時にもへこたれない底抜けの明るさにも救われる。
読み物としては、中学以上、となっているが、内容的には、小学校高学年でも。 -
岩波少年文庫のおすすめ、でこれを挙げるひとが多かったのでさっそく借りてきた。
内容は少年、見習い騎士の冒険物語。直球。
オランダの作品だそうで、人名がやや難しい。
たくさんひとが出てくるので、一気に読まないといけない。
雰囲気は、美形のでない田中芳樹、といったところ。まっすぐな少年の心や友情。
しかし、ラストは不満が残る。第三国の行く末はどうなったのか?主人公の国、二番目の国の国王親子の不仲、戦争が始まりそう、というがその未来はどうなるのか、すっきりしない。続編?があるらしいから、そちらを読んだ方がいいのかな。
最後に。
個人的には、本気の中世騎士物語の超展開に慣れまくっているので、読みながらいろいろ驚いていしまった。ちゃんと話が展開するし、変態ぽいひとも出てこない。ミストリナウト城の話は、アーサー王のバクデメイガスのくだりを思い出した。 -
何者であるか、ではなく何をしたのかが大切です。