おとぎ草子 (岩波少年文庫 576)

  • 岩波書店 (2006年3月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (242ページ) / ISBN・EAN: 9784001145762

みんなの感想まとめ

日本の古典文学の魅力を再発見できる作品で、室町時代から江戸時代にかけて作られた短編物語が収められています。特に「一寸法師」や「浦島太郎」といったお馴染みの話が、現代の感覚では考えられないような生々しさ...

感想・レビュー・書評

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  • 降雪のニュースを観ていたら雪を頂いた大江山の姿を思い出し、「そうだ!酒呑童子の話を読み直してみよう」と相なった。
    大岡さんの流麗な文章が好きなので、この文庫に。
    全七編。日頃聞きなれた話とのあまりの違いに驚いたり喜んだりの新鮮な読書体験だった。

    「一寸法師」は、やっと授かった子であるのに、あまりの成長の遅さに親に疎まれたという。
    そして本人は、なかなかの知恵者で確信犯的な生き方の末幸福を手に入れる。
    「浦島太郎」は、たまたま自分で釣り上げた亀を逃がしたというのが始まり。
    乙姫という名はなく、ただ「妻」もしくは「女」と表記されていて、浦島太郎との仲はほとんど純愛と言えるほどロマンチック。
    もっと驚くのは「鉢かづき」で、いじめの描写が想像以上に多い。

    以下、「唐糸そうし」「梵天国」「酒呑童子」「福富長者物語」と続くのだが、どれもよく知られている話より数段生々しく、登場人物たちの気持ちもよく描かれていて面白い。
    一般に流布している昔話は、子供向けにあらすじだけで綺麗にまとめられたのだと分かる。
    あっさりしているのが日本の昔話の特徴とは言え、こちらの元の話を読むと違いが明白。
    たった七編とは言え、収穫は大きい。
    御伽草子の中で、活字になったものと写本で伝わるものを合わせると五百編にもなるらしい。
    いにしえの人々がどんなに夢中になって読みふけったか、想像するとますます楽しくなる。

    興味深いのは、ここぞという場面で登場人物たちが和歌を詠むこと。
    現代語訳では真っ先に省略されそうな部分だが、それである種不思議な情緒が漂っている。
    また、神仏への祈りや誓いがどの話にも出てきて、それだけ現代よりはるかに神様たちが身近だったのだと見直すことにもなった。
    荒唐無稽と笑ったりせずに、そのことの意味を考えると興味が尽きない。

    肝心の「酒呑童子」はと言うと、住吉・八幡・熊野の三社の神の手助け無しではなし得ない武勇伝となっている。
    荒々しくも恐ろしい話で、気の弱い方にはお薦め出来ないほど。
    いやぁ、子供の頃はやはり絵本で良かったのね。
    大人になってこちらを読み、絵本を再読してどこが何故省かれたか想像するという楽しみもある。

  • 一寸法師に浦島太郎などの日本で長く読み継がれてきたおとぎ話を楽しむことが出来る。

  • 一寸法師や浦島太郎の話は見たことがあるだろうが、書かれた時代の価値観をじゅうぶん反映させている原文を是非よんでほしい。その入門として訳したものをよませたい

  • いろいろな話があっておもしろかった

    「鉢かづき」が特にじーんときて、よかった

  • この中で KiKi にとって人生お初だった物語は「福富長者物語」のみだったのですが、それ以外の物語も少しずつ、KiKi がかつて読んだことがあって「知っていたはずのお話」との違いがありました。  どの物語よりもその差が大きかったのは「一寸法師」でした。  つらつらと思い起こしてみると「一寸法師」というお話は絵本でしか接したことがなかった(同じようなスモールサイズの主人公の活躍譚は数多く読んできているけれど)ような気がしないでもないので、ここに収録されているようなあらすじ(一寸法師の親であるおじいさん & おばあさんがいつまでたっても背が伸びない一寸法師を疎んじる・・・・・とか、家を出てお仕えした宰相殿の姫君に一目ぼれして彼女を手に入れるために策略をめぐらす・・・・とか)ではちょっと「お子ちゃま向け」とは言えないのかもしれませんが・・・・・。

    この本の素敵だったところは、いくつかの物語の中で登場する和歌が省略されることなく掲載され(しかも読みにくそうな漢字にはルビ付き)、さらにはその後にその歌の大意も記載されていたことです。  こういう「子供向け」のお話では往々にしてカットされてしまうこれらの和歌が載っていることにより、「古い時代の日本人の心根」とでも言うべきものが香り高く滲み出ているようで、大人の KiKi には読みごたえがありました。

    (全文はブログにて)

  • 「一寸法師」は姫をやたら汚いやり方でだまくらかしてものにする。
    日本の昔話は草食系男子のルーツばかりかと思っていたが、どうしてどうして…狡猾さと大胆さを兼ね備えていた。この身の上で生き抜くには、汚かろうがなんだろうが、このくらいの策略をめぐらす知恵が必要というわけだ。
    「酒呑童子」の源頼光がむちゃくちゃにかっこいい。神達の支援をうけたとはいえ肝が太い剛の者。こんなに頼れる男性についぞ出くわしたことはないので、やはり、草食系は平成独自なのかもしれない。

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著者プロフィール

大岡 信(おおおか・まこと):1931-2017年。静岡県生まれ。東京大学文学部国文科卒業。詩人、評論家。読売新聞外報部記者を経て、明治大学教授、その後東京藝術大学教授となる。詩の実作はもとより、詩歌、芸術に関する文章も数多く執筆。朝日新聞で長年連載された「折々のうた」は、多くの読者に愛された。レジオンドヌール勲章(オフィシエ)、文化勲章他数多くの受賞歴がある。詩集に『水府 みえないまち』『草府にて』『春 少女に』『故郷の水へのメッセージ』『地上楽園の午後』他。評論に『蕩児の家系』『うたげと孤心』『詩人・菅原道真』他多数。

「2026年 『日本詩歌の特質』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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