第九軍団のワシ (岩波少年文庫 579)

制作 : C.ウォルター ホッジス  Rosemary Sutcliff  猪熊 葉子 
  • 岩波書店
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レビュー : 50
  • Amazon.co.jp ・本 (459ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001145793

感想・レビュー・書評

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  • ローマ帝国を背景とした小説を探していて、偶然この本を見つけました。
    最初は、児童文学という事で軽い気持ちで読んでいましたが、魅力的な登場人物と良く練られたプロットそして、ブリテン島の美しい情景の描写に引き込まれてしまいました。
    物語の中で、主人公であるローマ人のマーカスに彼の友人であるブリトン人のエスカが、ローマの文化とブリトンの文化が相容れないことを
    マーカスの身に着けている短剣の鞘の規則正しい模様と彼の持っている楯に彫られた流動的で生命のある曲線を比較して説明するシーンがありましたが、この部分が非常に印象的でした。

  • BSフジ「原宿ブックカフェ」のコーナー「ブックサロン」で登場。
    http://harajukubookcafe.com/archives/598

    ゲスト上橋菜穂子さんの人生を変えた一冊。

    「高校生の時に初めてこれを読んで、『わぁ、すごいなあ』と思いました。高校生の頃私は人類学を知らなかったんです。歴史学をやろうと思ってたんですけどね、でも大学に行って出会ってしまって。多用な民族と暮らす経験は、日本だとあまりないんですよね。でも、征服したり征服されたりということが生々しい現実としてある世界に生きてる人は、こういう実感をもって書くのかとか、この作品を書いたローズマリ・サトクリフだって現代の人なのに、煙の匂いさえ感じたんですね。この描写の凄さに圧倒されて、物語ってこうも書けるのかと思いましたね。こんなものを書いてみたいと思いました。憧れになりましたね。」(上橋菜穂子さん)


    原宿ブックカフェ公式サイト
    http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/index.html
    http://nestle.jp/entertain/bookcafe/

  • ローマンブリテンの物語。ローマ軍の若き百人隊長マーカスは、赴任したブリテンでの初めての氏族との戦いで足を負傷し、将来の夢を断たれる。そして、マーカスが子どもの頃北辺の地に消えた父の第九軍団の謎と失われたワシの行方を求め、軍団の名誉の回復、再興を夢見て、ブリテン人の友エスカとともに未開の氏族たちの地への冒険の旅を始める。

    ローマ時代の生活を丁寧に描写し、読む人をローマブリテンの世界に誘う。

    冒険を始めるまでの生活のゆったりとしたときの流れと冒険を始めてからの手に汗握る展開の対比も面白く、とても楽しめた。

    中学生以上となっていますが、何のために生きるのか、何のために命をかけるのか、大人向けのテーマかな。

  • ローマ時代のブリテンが舞台の物語。ローマ軍団百人隊長のマーカスは足を負傷し退役する。マーカスは行方不明となった父の軍団の象徴である「ワシ」を求めて、元奴隷のエスカと共に北の地に旅立つ。
    何とも骨太の物語でした。まず、この時代の風物がしっかりと描写され世界に引き込まれます。そしてローマ人であるマーカスが他の民族と出逢い、自分たちとは違う民族のこと(それは征服者と被征服者であったり、侵略者であったりするのですが)を知っていくにつれ、世界が広がります。
    そして終盤ワシを奪取して逃走する際の緊迫感。またマーカスとエスカの主人と奴隷という立場から解放され、友情を深めて親友となる様子も素敵です。
    実に濃密な読書体験でした。

  • 紀元2世紀のブリタニアを舞台にした歴史冒険小説。60年前に出版されてるけど全く古さを感じさせない。児童文学に分類されているけど大人のほうが楽しめると思う。
    上質なファンタジーは、読んでいる間は周りの音が聞こえなくなるほど没頭出来て、読み終わって現実に戻ってくると世界が少し良くなって見える。これもそういう一冊でした。

  • 冒頭、翻訳の硬さに馴れず、挫折しそうだったけど、マーカスが負傷して軍を引退した後ぐらいから、読みやすくなり、エスカが登場してからは、面白くなった。
    児童文学とは思えないほど、難しいが高校生の頃、読みたかった。

  • 古代ローマが好きな人にはお薦め。

    描写が細かいので、ぱっと情景が頭に浮かびやすく読みやすかったです。
    映画化もされているので、今度はそちらを見てみようかな。

  • 面白かった
    軍団と名がつくので、勇壮な話だったが、潜伏任務というか、派手なアクションはない。

    ・主従の運命の出会い
    ・年上で知識も品格もある執事
    ・有能でカリスマもあるが表舞台には立てない主人
    ・勝ち気だが一途ででしゃばらないヒロイン
    …と、現代にも通じる萌え要素ww

  • 先日観た本作の映画版が結構面白かったので、原作を読んでみようと思い、手に取りました。

    内容は映画とかなり異なっていて、小説も映画もそれぞれ善し悪しがあるのですが、個人的にはどちらも楽しめました。

    映画版では主人公マーカスとエスカの関係が、友人というには敵か味方かがはっきりしない危うさがあり、それが緊張感となって終盤までハラハラさせられました。個人的にはそこは気に入っていたポイントでしたが、小説版はそれがなく、ちょっと残念な印象。(この点は映画を観ていなかったら気にならなかったのかも…)

    逆に、マーカスたちがブリタニア人の氏族たちと交流し、友情すら芽生えそうな状況になっていたところは、すごく意外な展開でした。そんな“イイヤツら”からどうやってワシを奪回するのか。追いつかれたらどのように対応するのか。彼らとの追跡劇は単なる追うもの、追われるものの関係だけでないスリルがあって、ここは映画よりも良かったと思います。

    児童文学と言われてる作品にしては、読み応えもあるし、内容も十二分に重厚。変な先入観から大人ぶった人たちに拒絶されてしまうのはもったいないので、この作品は「歴史小説」として紹介するのが正しいのではと思います。

  • ローマ帝国がブリテン島(イギリス)を支配していた時代。
    ブリテンに百人隊長として赴任した青年マーカス・アクイラ。
    かって父親が所属した第九軍団が消息を絶っていた事も気にかかり、出来るなら謎を解明し、名誉を回復したいと願っていた。
    が、暴動を鎮圧する際に脚に大けがをして軍人としての生命を絶たれてしまう。
    元軍人でブリテンに住み着いた叔父のもとで、療養生活を送ることに。

    闘技場でエスカという奴隷が試合で殺されかかっていたとき、親指を上に上げて助命を主張する。
    慈悲をかけられた後は試合しても人気が出ないので、奴隷として譲り受ける。
    ローマに反乱を起こして一家を殺されたエスカ。
    どことなく通じ合う物があり、しだいに身分の壁を越えた友情が培われていく。
    奴隷身分から解放した後も、従者に。

    第九軍団の旗印であるワシが、北方の部族の神殿にまつられているという噂を聞く。
    旅回りの目医者にばけることを思い立ち、エスカと共に旅立つことに。
    ハドリアヌス城壁を越えれば、そこはローマの力の及ばない土地。情報を集めながら、ゆっくり地方を回って、ついに‥

    懐いた狼の子が待ちわびているのがずっと気になっていました。
    再会できて、良かった~!

    若々しさと共に、悠揚迫らざる風格。
    ドラマチックな緊迫感だけでなく、詩情があり、すばらしい作品です。

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