ともしびをかかげて〈下〉 (岩波少年文庫)

制作 : チャールズ・キーピング  Rosemary Sutcliff  猪熊 葉子 
  • 岩波書店
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レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001145823

感想・レビュー・書評

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  • 上・下巻あわせた感想。
    2~5世紀、ブリテン島の南部・中部はローマ帝国の属州だった。衰退したローマ帝国が撤退した後のブリテン島が舞台。複雑な立場に置かれながら、誓いを守るために命の限り生き続けようとするアクイラ。

    5世紀に生きたアクイラが、妹を思ってとった行動のために命をかけようとしている。現代においては、肉親を命をかけてまでは守る気のない人が結構いる。命をかけて生きることを忘れると、命を長らえることにしがみつくのだろうか…

    誇りを持って生きること、命をかけて生きることの潔さを、5世紀に生きた主人公から学んだ。

  • 奴隷から解き放たれ、ブリテン復興を目指す軍に身を投じたアクイラの長い人生を描くこの巻では、妻となる女性との出会いとすれ違い、息子の誕生など様々な人生のイベントを迎えながら、サクソン軍との死闘を繰り広げる。中でも妻以上の愛を傾ける妹フラビアの血を引く者との出会いには驚かされ、そこから向かう結末に安堵した。全4部作の3部目だそうで、機会があったら他の作品も読みたい。

  • ローマンブリテン三作目。

    読んで思ったのは、「これ、本当に児童文学⁇」ということ。
    アクイラとネスの会話って大人にはわかるけど、子どもには理解できないんじゃないかな。
    大人が読んでも、かなりずっしりな内容の物語。いろんな出来事が織り込まれてストーリーは進むんだけど、それが取っ散らかってなくってすごいなぁと思った。

    色んな人物が出てくるし、訳もちょっと読みづらいと思う部分もあるけれど、それを上回るサトクリフの情景描写が素晴らしくって、頭の中で鮮明に情景を思い浮かべることができる。

    辺境のオオカミも楽しみ。

  • 戦士は、つらい…

  • 「あなたのすることがいやなのではなくて、
    あなたのやり方でむかむかするのだわ。」
    っていうネスの言葉は割とぐさりと突き刺さる。

  • アクイラが、自分の憎しみや色々なことを、すべてフラビアのせいにしていて、後半まで、まったく好きになれなかった。
    フラビアは、どうしようもなかった。彼女の力では逃げられなかった。救えなかったアクイラは自分を責めるべきなのに、責めもしても、さらに転嫁した。
    どうして理解してくれないのか
    せずとも、責めるのか
    そんな資格などないだろう

    アクイラはあきらめのだろうか。

    ラスト
    捨てたものが帰ってきた、とは。
    アクイラが「失ったフラビア」が帰ってきた、とは、つまり、心のことなんだろうか?

  • 奴隷としての使役から逃れ、軍人として仕えるべき人を見出したアクイラ。物語は佳境へと進みます。

    この話は速読しちゃだめです。
    児童文学とはいえ、古い訳だし、人称、代名詞が文脈の中で多少とらえづらいと感じるところもあるし(ノリはないし)で、ホントじっくり読まざるを得ませぬ。
    しかし、それゆえ気づく情景描写の妙!
    これを味わってしまうと、ストーリーテリング中心のラノベがかなり物足りなくなってしまうかも!

    また、なんと解説が上橋菜穂子。
    そこで彼女が語るのを読むと『守り人』が面白かったわけについて、すとんと腑に落ちるものがあり。

    息子たちが「パーシー・ジャクソン」シリーズにはまっており、そちらをぱらぱらとめくったものの、あまり食指は動かないもんな。

  • 最後は一気に別れと戦いが進む。主人公と子供との葛藤、さらには、敵の妻になった妹の子供との出会い。様々な試練に心が灰色になるようなところも耐えていきていく主人公に感銘を受ける。

  • 風景描写がすごいんです
    上橋さんの言葉を借りると

    北国のうす青い空にチドリが鳴く声を聞き、
    夕暮れには蜜色の光が
    漆喰のはがれかけた壁に
    たゆたうのを見るだろう
    …という感じです
    見えました

    それは、戦いの場面にも劇的に描写されていて
    …でも、美化しちゃいけないよーと
    ツッコミを入れたくなってしまいました(ーー;)

    フラビアが出てくるシーンは少ないのだけど
    印象がずっと続く感じです
    美しい過去と一緒に

    ネスの意志が強そうなところに好感が持てました

  • 上巻に比べると波瀾万丈な展開は幾分か減りましたが、主人公アクイラがいろんな事柄に悩み、葛藤する姿が見られ、その点において非常に興味深く読むことが出来ました。

    特に、ボーティマーが殺害され、彼に従っていた氏族がアンブロシウスの元を離れて行くときの、彼らと同じ氏族出身である妻ネスとの会話の場面。政略結婚に似たドライな二人の関係が、この場面で大分印象が変わったのと同時に、サクソン人に奪われた妹フラビアがネスと重なり、いろんな思いが渦巻くこの複雑な場面が最も印象的。

    そして、フラビアの息子マルとの邂逅と解放、そのことをアンブロシウスに告白する際の息子フラビアンの行動なども強く記憶に残っています。

    本シリーズの第1作目「第九軍団のワシ」も、ローマ人とブリテン人のコンビという複雑な関係はありましたが、本作はそれ以上に複雑な人間相関があり、単純なブリテン人vsサクソン人の戦争、というお話で終わっていないところがすばらしいと思います。児童文学にカテゴライズされていますが、自身が家族を持つ年代の人が読んでも格別な感銘を受ける作品なのではないでしょうか。

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