ともしびをかかげて〈下〉 (岩波少年文庫)

制作 : チャールズ・キーピング  Rosemary Sutcliff  猪熊 葉子 
  • 岩波書店 (2008年4月16日発売)
4.21
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  • レビュー :12
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001145823

ともしびをかかげて〈下〉 (岩波少年文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 奴隷から解き放たれ、ブリテン復興を目指す軍に身を投じたアクイラの長い人生を描くこの巻では、妻となる女性との出会いとすれ違い、息子の誕生など様々な人生のイベントを迎えながら、サクソン軍との死闘を繰り広げる。中でも妻以上の愛を傾ける妹フラビアの血を引く者との出会いには驚かされ、そこから向かう結末に安堵した。全4部作の3部目だそうで、機会があったら他の作品も読みたい。

  • ローマンブリテン三作目。

    読んで思ったのは、「これ、本当に児童文学⁇」ということ。
    アクイラとネスの会話って大人にはわかるけど、子どもには理解できないんじゃないかな。
    大人が読んでも、かなりずっしりな内容の物語。いろんな出来事が織り込まれてストーリーは進むんだけど、それが取っ散らかってなくってすごいなぁと思った。

    色んな人物が出てくるし、訳もちょっと読みづらいと思う部分もあるけれど、それを上回るサトクリフの情景描写が素晴らしくって、頭の中で鮮明に情景を思い浮かべることができる。

    辺境のオオカミも楽しみ。

  • 戦士は、つらい…

  • 「あなたのすることがいやなのではなくて、
    あなたのやり方でむかむかするのだわ。」
    っていうネスの言葉は割とぐさりと突き刺さる。

  • アクイラが、自分の憎しみや色々なことを、すべてフラビアのせいにしていて、後半まで、まったく好きになれなかった。
    フラビアは、どうしようもなかった。彼女の力では逃げられなかった。救えなかったアクイラは自分を責めるべきなのに、責めもしても、さらに転嫁した。
    どうして理解してくれないのか
    せずとも、責めるのか
    そんな資格などないだろう

    アクイラはあきらめのだろうか。

    ラスト
    捨てたものが帰ってきた、とは。
    アクイラが「失ったフラビア」が帰ってきた、とは、つまり、心のことなんだろうか?

  • 奴隷としての使役から逃れ、軍人として仕えるべき人を見出したアクイラ。物語は佳境へと進みます。

    この話は速読しちゃだめです。
    児童文学とはいえ、古い訳だし、人称、代名詞が文脈の中で多少とらえづらいと感じるところもあるし(ノリはないし)で、ホントじっくり読まざるを得ませぬ。
    しかし、それゆえ気づく情景描写の妙!
    これを味わってしまうと、ストーリーテリング中心のラノベがかなり物足りなくなってしまうかも!

    また、なんと解説が上橋菜穂子。
    そこで彼女が語るのを読むと『守り人』が面白かったわけについて、すとんと腑に落ちるものがあり。

    息子たちが「パーシー・ジャクソン」シリーズにはまっており、そちらをぱらぱらとめくったものの、あまり食指は動かないもんな。

  • 最後は一気に別れと戦いが進む。主人公と子供との葛藤、さらには、敵の妻になった妹の子供との出会い。様々な試練に心が灰色になるようなところも耐えていきていく主人公に感銘を受ける。

  • 風景描写がすごいんです
    上橋さんの言葉を借りると

    北国のうす青い空にチドリが鳴く声を聞き、
    夕暮れには蜜色の光が
    漆喰のはがれかけた壁に
    たゆたうのを見るだろう
    …という感じです
    見えました

    それは、戦いの場面にも劇的に描写されていて
    …でも、美化しちゃいけないよーと
    ツッコミを入れたくなってしまいました(ーー;)

    フラビアが出てくるシーンは少ないのだけど
    印象がずっと続く感じです
    美しい過去と一緒に

    ネスの意志が強そうなところに好感が持てました

  • 上巻に比べると波瀾万丈な展開は幾分か減りましたが、主人公アクイラがいろんな事柄に悩み、葛藤する姿が見られ、その点において非常に興味深く読むことが出来ました。

    特に、ボーティマーが殺害され、彼に従っていた氏族がアンブロシウスの元を離れて行くときの、彼らと同じ氏族出身である妻ネスとの会話の場面。政略結婚に似たドライな二人の関係が、この場面で大分印象が変わったのと同時に、サクソン人に奪われた妹フラビアがネスと重なり、いろんな思いが渦巻くこの複雑な場面が最も印象的。

    そして、フラビアの息子マルとの邂逅と解放、そのことをアンブロシウスに告白する際の息子フラビアンの行動なども強く記憶に残っています。

    本シリーズの第1作目「第九軍団のワシ」も、ローマ人とブリテン人のコンビという複雑な関係はありましたが、本作はそれ以上に複雑な人間相関があり、単純なブリテン人vsサクソン人の戦争、というお話で終わっていないところがすばらしいと思います。児童文学にカテゴライズされていますが、自身が家族を持つ年代の人が読んでも格別な感銘を受ける作品なのではないでしょうか。

  • 何度目かの再読。暗黒時代のはじまりに、闇の中でともしびをかかげてブリテンを守ろうとあがく人々の物語。時を渡るイルカの指輪のクロニクルでもあり、サトクリフ版アーサー王クロニクルでもある。

    この本の後に続く「夜明けの風」を読み終えた時、「ともしびをかかげて」から「落日の剣」、そして「夜明けの風」へとつながるタイトルが、ブリテンの暗黒時代とそこからの復興を象徴することに気付いて心が震えた。(原題でThe Lantern Bearers・Sword at Sunset・Dawn Wind)これだけの時間の流れを魔法のように再現してくれるサトクリフに感謝。

    ローマ帝国の地方軍団十人隊長アクイラの人生を主軸に、各民族の合従連衡の歴史を描いているが、アクイラの人生は(多分その時代の多くのブリトン人と同様に)非常に辛いものとなっている。これが児童文学であるとは信じがたいくらい。
    (しかし「訳者のことば」によると「すぐれたイギリスの児童文学作品に与えられるカーネギー賞の選考委員会は、毎年のようにサトクリフの作品に注目していましたが」と書いてあるので児童文学で間違いない。)

    父と子の心の壁についてはもしかしたら何か感じるものがあるかもしれないが、フラビアとネスの心情を理解するのは子どもには難しいだろうと思う。大人になっている私ですら完全に理解できてはいない。
    しかし理解できないから読む意味がないわけではなく、ある日シナプスがつながって意味が分かる日のために、子ども達にはじゃんじゃんサトクリフを読んでもらいたいものだと思う。

    最初に読んだ時はハードカバーだったが、今回は岩波少年文庫版。下巻末尾にある著者のことば、訳者(猪熊葉子さん)のことば、上橋菜穂子さんによる解説の全部で涙腺がゆるんだ。本当に、こんなに力強い物語を読むことができて幸せ。岩波書店さんありがとう。

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