ともしびをかかげて 下 (岩波少年文庫 582)

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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001145823

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  • ブリテンの王子アンブロシウスの部下となるアクイラ。
    サクソン軍との戦いに挑むことになる。

    ネスを妻とし愛の無いまま結婚生活を送る二人だが、
    ネスがアクイラと離れて息子のフラビアンと共に逃げることを是とできない姿に
    妹のフラビアの姿が重なったところにはっとした。
    アクイラはここでやっと妹の気持ちが理解できて、彼女を許せたのではないだろうか。

    ブリトン側が勝利した後、サクソン兵として戦いに出ていたフラビアの息子マルに出会うアクイラが
    彼を助け、マルもまた伯父の好意を最終的には受け入れる。
    託した指輪が送り返されてきた時にはほっとした。
    伝言もフラビアに届けられたことだろう。
    このことをアンブロシウスに告白するシーンも心に残る。

    下巻の上橋菜穂子先生の『運命の本』という文章も素敵だ。
    このシリーズの主人公には必ず『諦めることを受け入れる』という転換期がある。
    諦めずに頑張る、というのではなく、諦めてそこを乗り越えるというところに
    運命をどう受け入れ生きていくのか、人間の姿が見えてくると思う。

  • 最初から一貫して流れるもの。どんな時代でも大切なこと。
     家族、友人、信頼出来る人、住んでるところ(家から国まで)

    ローズマリ サトクリフの文章、内容はとても魅力的。、
    描写は簡潔だけれど、そこここに自然の草木・鳥の鳴き声も聞こえ、風さえも感じます。

    登場人物にも それぞれ人間らしさが描かれている。
    主人公 アクイラ(イルカ)、妹フラビア、妻ネス、息子フラビアン(メダカ)、
    ニンニアス修道士、ブリテンの王子アンブロシウス、敵サクソン王ヘンゲストでさえも・・・。

    読み始めた時に、主人公アクイラが、「第九軍団のワシ」のアクイラと同じ名前なので不思議に思っていたら、「著者のことば」で、その子孫だとわかって納得。

    これまで知らなかった古代のイギリスの話は、とても面白かった。

    5/10 上を読み終わったので急いで予約 5/12 借りる。5/19 読み始める。6/28 読み終わる。

    内容 :
    山中にたてこもるブリテンの王子アンブロシウスのもとに集い、来るべき闘いにそなえるアクイラたち。
    勢いを増す「海のオオカミ」ことサクソン軍との死闘の末、アクイラは何を手に入れたのか。

    著者 : ローズマリ サトクリフ
    1920〜92年。イギリスの児童文学作家・小説家。「ともしびをかかげて」で1959年カーネギー賞受賞。
    他の著書に「第九軍団のワシ」「銀の枝」など。

  • 上・下巻あわせた感想。ローマン・ブリテン4部作の3作目。

    2~5世紀、ブリテン島の南部・中部はローマ帝国の属州だった。衰退したローマ帝国が撤退した後のブリテン島が舞台。複雑な立場に置かれながら、誓いを守るために命の限り生き続けようとするアクイラ。

    5世紀に生きたアクイラが、妹を思ってとった行動のために命をかけようとしている。現代においては、肉親を命をかけてまでは守る気のない人が結構いる。命をかけて生きることを忘れると、命を長らえることにしがみつくのだろうか…

    誇りを持って生きること、命をかけて生きることの潔さを、5世紀に生きた主人公から学んだ。

  • 奴隷から解き放たれ、ブリテン復興を目指す軍に身を投じたアクイラの長い人生を描くこの巻では、妻となる女性との出会いとすれ違い、息子の誕生など様々な人生のイベントを迎えながら、サクソン軍との死闘を繰り広げる。中でも妻以上の愛を傾ける妹フラビアの血を引く者との出会いには驚かされ、そこから向かう結末に安堵した。全4部作の3部目だそうで、機会があったら他の作品も読みたい。

  • 戦士は、つらい…

  • 「あなたのすることがいやなのではなくて、
    あなたのやり方でむかむかするのだわ。」
    っていうネスの言葉は割とぐさりと突き刺さる。

  • アクイラが、自分の憎しみや色々なことを、すべてフラビアのせいにしていて、後半まで、まったく好きになれなかった。
    フラビアは、どうしようもなかった。彼女の力では逃げられなかった。救えなかったアクイラは自分を責めるべきなのに、責めもしても、さらに転嫁した。
    どうして理解してくれないのか
    せずとも、責めるのか
    そんな資格などないだろう

    アクイラはあきらめのだろうか。

    ラスト
    捨てたものが帰ってきた、とは。
    アクイラが「失ったフラビア」が帰ってきた、とは、つまり、心のことなんだろうか?

  • 奴隷としての使役から逃れ、軍人として仕えるべき人を見出したアクイラ。物語は佳境へと進みます。

    この話は速読しちゃだめです。
    児童文学とはいえ、古い訳だし、人称、代名詞が文脈の中で多少とらえづらいと感じるところもあるし(ノリはないし)で、ホントじっくり読まざるを得ませぬ。
    しかし、それゆえ気づく情景描写の妙!
    これを味わってしまうと、ストーリーテリング中心のラノベがかなり物足りなくなってしまうかも!

    また、なんと解説が上橋菜穂子。
    そこで彼女が語るのを読むと『守り人』が面白かったわけについて、すとんと腑に落ちるものがあり。

    息子たちが「パーシー・ジャクソン」シリーズにはまっており、そちらをぱらぱらとめくったものの、あまり食指は動かないもんな。

  • 最後は一気に別れと戦いが進む。主人公と子供との葛藤、さらには、敵の妻になった妹の子供との出会い。様々な試練に心が灰色になるようなところも耐えていきていく主人公に感銘を受ける。

  • 風景描写がすごいんです
    上橋さんの言葉を借りると

    北国のうす青い空にチドリが鳴く声を聞き、
    夕暮れには蜜色の光が
    漆喰のはがれかけた壁に
    たゆたうのを見るだろう
    …という感じです
    見えました

    それは、戦いの場面にも劇的に描写されていて
    …でも、美化しちゃいけないよーと
    ツッコミを入れたくなってしまいました(ーー;)

    フラビアが出てくるシーンは少ないのだけど
    印象がずっと続く感じです
    美しい過去と一緒に

    ネスの意志が強そうなところに好感が持てました

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