こわれた腕環―ゲド戦記〈2〉 (岩波少年文庫)

制作 : ゲイル・ギャラティ  Ursula K. Le Guin  清水 真砂子 
  • 岩波書店
4.08
  • (46)
  • (41)
  • (30)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 398
レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001145892

作品紹介・あらすじ

ゲドが"影"と戦ってから数年後、アースシーの世界では、島々の間に争いが絶えない。ゲドは、平和をもたらす力をもつエレス・アクベの腕環を求めて、アチュアンの墓所へおもむき、暗黒の地下迷宮を守る大巫女の少女アルハと出会う。中学以上。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 物語の4分の3は、閉塞感が漂い、暗い。ページをめくる手も重かった。しかし、敷かれたレールは正しいのかと主人公が自らの意志で考え始めた時、重圧の闇の世界に一筋の光が差すようだった。あきらめずに読んで良かった!と思った。

  • 世界三大ファンタジーの1つ『ゲド戦記』の第2話。
     
    私は個人的に第1話より、この第2話の方が好きです。
     
     
    アチュアンの国の墓所の地下に広がる
    暗く、広大な迷宮。
    そこを守る大巫女の少女アルハ。
     
    そこに隠された宝物とは?
    そしてゲドはどのようにこの物語に関わってくるのか?
     
    大人向けのファンタジーを読みたい、
    という方におすすめです。

  • 引用
    ・自由は、それを担おうとする者にとって、実に重い荷物である。勝手のわからない大きな荷物である。それは、決して気楽なものではない。自由は与えられるものではなく、選択すべきものであり、しかもその選択はかならずしも容易なものではないのだ。
    ・あんたは、決して残酷さや闇に奉仕するために生まれたんじゃない。あんたはあかりをその身に抱くように生まれてきたんだ。

  • 今回は前作ゲドが老婆から授かった世の中を平和にする力があるといわれるエレス・アクベの腕環のお話。
    腕環の片割れを持つアチュアン神殿の大巫女アルハ(テナー)は、先代のアルハが死んだ日に生まれたというだけで、家族や故郷、名前までもを捨てさせられてしまった可哀想な女の子。
    アチュアンの地下迷宮を舞台に、呪われた運命を背負うテナーをゲドが救いだし腕環がひとつになります。

    うーん。世界観は抜群にすきなのだけど...。どうも文章に深みがないというか...いまいち乗れないのが残念。
    やっぱり自分の想像力が乏しいことが最大の難点ですね。
    宮崎駿がアニメにしてくれたらすっごい映像になる気がするもんなあ。
    地下迷宮とか宝物庫やら壁画の間なんてもろジブリだもん。

    次はいよいよ本命の3巻。ここがジブリで映画化した部分らしいので楽しみです。

  • お墓の地下迷宮とか、名なき者たちとか、恐い要素が沢山のなかで、ハイタカとテナーのやりとりが驚くほど健全で明るくて普遍的でホっとする。

  • 生まれ変わるためには人は死ななければならない…この言葉の本当の意味を知った気がします。
    でも「別の見方をもってすれば、さほどむずかしいことではない」

    テナーが自由になる過程は自分と重ね合わせてつらかった。
    闇の力から完全には自由になれず苦しむ姿。
    「悪の奴隷となっていたずらに費やした歳月を悔やんでは泣き、自由ゆえの苦しみに泣いた」
    「彼女が今知り始めていたのは自由の重さだった」
    自由は苦しくて重い。
    奴隷のままでいる方が楽なこともあるから。
    諦めたり目を背けたりができるから…。

    でも、目をしっかり開けて、見据えなきゃいけない。
    苦しくてもつらくても足を止めちゃいけない。

  • 特殊な状況下に置かれた主人公の心理が、細かい描写でよく表現されており、共感できる。

  • 第1作目のゲド戦記は、少年ゲドの成長物語だったが、これは主に少女テナーのが囚われの身から自由になるまでの物語である。
    闇の者、名のなき者たち、つまりは死の世界に属する精霊の世界で大巫女アルハ(「名がない」という意味)は、「選ばれた少女」として特別な位置にいながらも、実際には闇の世界の奴隷として生きている。生まれた時の名前は剥奪され、暖かい愛情も知らずに、大巫女として義務のみを果たす生活。つまり、自分自身がない状態で生きている。そんな生活のなかで、異邦人である南方の魔法使いゲドが、神聖な墓地の地下迷宮に忍び込んで、宝を奪いにくる。中盤まではこんな感じ。
    大巫女としての務めを果たしながらも、決して満たされることがない少女。外の世界に興味を抱きながらも、大巫女としての自尊心と責任感から、必死に自分が仕える闇の世界に忠誠を誓いつづける姿が痛々しい。それが、人生で初めてみる男、またその男の説得により、自由を求めて全てを捨てることになる。その葛藤もまたリアルで胸に迫るものがある。

    読んでいて、これはまるで原理主義宗教やセクトなどに夢中になる人と同じではないのかと思った。自分が空っぽになるということは、自我は抑圧されるか忘れられるかして、考えることがなくなり、義務と規範のみが自分の行動の基準となることだ。
    主人公アルハ(テナー)は、実際、読み書きができない。読んだり書いたりするのは魔法使いのような人間たちがすることで、彼女の世界ではそんなことには価値がない。たとえば、地図を読むことはないので、迷宮の道も口頭での指示か、または暗闇のなかで全て手でさぐって覚える。大巫女の責務を果たすには、読み書きのような「考える」教育は必要なく、代々受け継がれてきた儀式や儀礼を習得するだけでよいのだ。
    が、腕環を奪いにきたゲドは、闇を崇拝するアルハ(テナー)に、闇(名のなきものたち)は人間たちに何ももたらさない、彼らには与えるものなどなにもないのだから、と教え諭す。自らを相対化してみる、最初の試練である。

    彼が来た光の世界とアルハが住む闇の世界の対比、そして、地下の迷宮で出会う女と男という対比が際だち、違う世界に生きる二人が信頼を基盤にして二つに割れていた腕輪を一つにするところはとても象徴的だ。信頼というのは、この本ではでてこない言葉だが、愛のようなものだと思う。それを暗示しながらも、しかし、話はそこでは終わらず、テナーに戻った少女がこれから超えていかなければいかない困難、そして自由への希望を予感させながら物語は終わる。
    とにかく素晴らしい筆運び、スケールも大きく、かつ自分の人生についてもはたと考えてしまうような深さを併せ持つ小説である。

  • 1巻より断然面白い。1巻よりだいぶ狭い世界の話なおかげで、世界観の描写がとても充実している。はじめの1/3くらいは神殿での生活を延々と描くだけでほとんど展開らしい展開はないが、世界観を積み上げていく感じがとてもいい。展開のある後半よりも、ひたすら描写に徹する前半の方がかえって読んでて面白かったように思う。

  • 中学生の頃読んだ時、「自由の重さ」をいまいち実感できないまま、読了したことだけは、内容を忘れても覚えていました。
    今回再読し、テナーがいたずらに費やした歳月を悔やんで泣き、自由ゆえの苦しみに泣いたとき、今の私と重なりました(とはいえ、私はおそらくテナーの倍くらいは生きてるはずなんですが)。

全31件中 1 - 10件を表示

こわれた腕環―ゲド戦記〈2〉 (岩波少年文庫)のその他の作品

こわれた腕環 ゲド戦記 (岩波少年文庫) Kindle版 こわれた腕環 ゲド戦記 (岩波少年文庫) アーシュラ・K.ル=グウィン
こわれた腕環―ゲド戦記 2 単行本 こわれた腕環―ゲド戦記 2 アーシュラ・K.ル=グウィン

アーシュラ・K.ル=グウィンの作品

こわれた腕環―ゲド戦記〈2〉 (岩波少年文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする