さいはての島へ ゲド戦記 3 (岩波少年文庫 590)

  • 岩波書店 (2009年2月17日発売)
3.89
  • (72)
  • (72)
  • (66)
  • (11)
  • (3)
本棚登録 : 893
感想 : 58
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784001145908

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「死を拒絶することは生を拒絶することでもあるんだよ。」
    死を拒絶するクモと生きる気力を失うアースシーの人々。果たしてゲドとアレンは世界を救えるのか!?
    個人的には指輪物語やナルニア国物語よりもこちらのほうが好きです。ジブリのゲド戦記が嫌いで本を読まないのはもったいないです(´▽`)

  • チマチマと「火明かり」を読んでいるのですが、ありゃ?と思っている。
    地図にも「内海」となっているのに、、、何故?訳者のコダワリかな???

    さいはての島へ/アーシュラ・K.ル=グウィン, 清水 真砂子|ゲド戦記 - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/book/b269797.html

    「火明かり」を読む前にサラっと目を通しておこうと思ったのですが見当たらない、、、"物語コレクション"と"少年文庫"持っているのに、どちらも出てこない。。。何故?

  • 68歳の老人が読んだ所感
    冒険活劇としてはおもしろかったが、「生と死」の問題としての深読みはできなかった。
    「日本人が、結局死んでも生きても同じこと、いつ死んでもかまわないとか、金をもうけようが勉強しようが何しようが意味がないから死にたいというような、本当に無におそわれて死にたいと言っているような人間の話は、なかなか西洋人には分かりにくい」と河合隼雄さんが言っていた。
    つまり、死の概念が、キリスト教圏と仏教圏とは違うという話で、わらわれは欧米人より死というものを身近に感じているような気がする。深さが違うのかもしれない。われわれはファンタジーを元来もっている国に生まれたともいえないだろうか。

    アメリカでは、ファンタジー本は現実逃避の手段で堕落していると映ると、そこが問題なんだとル・グインは他の著作で言っている。しかし、ル・グインにはファンタジー作家というバイアスがかかっているとおもう。
    世の中はファンタジーを楽しむ「心に余裕のある層」と「心に余裕の無い層」とが同時にパラレルに同居している思う。それは時間的なズレと空間的ズレで平衡を保たれているのだ。
    なんか私の言い回しが「ゲド戦記」になってきた!

  • ゲド戦記シリーズの中の一つ。
    ドラゴンっていいよね。ファンタジーだね。
    読了。

  • ゲド戦記3巻。

    今作はエンラッドの王子アレンが登場。
    エンラッドでの異変...魔法の力が衰え、人が無気力になる...。
    アレンが大賢人となったゲドの元に訪ねることで物語がはじまり、二人で原因を追及する旅に出ます。

    いままで同様読んでいる間はずっと雲をつかむような感覚でしたが、竜が出てきたあたりからぐぐんと面白くなりました。

    どうやら私はそういうわかりやすい展開がぼんぼこ起こるようなお話じゃないとだめみたい。
    でも、それでも、時間をかけても読む価値がある気がする。不思議な力を持った小説。
    次はどんな物語だろうなあ。楽しみ。

  • 年を重ね大賢人を務めるゲド。彼のもとに、王子アレンが魔法の危機を知らせに訪れ、二人はあの「はてみ丸」で旅立ちます。「指輪物語」のように目的がはっきりしていない不安の中、苦難を重ねながら、成長していくアレン。王に相応しい力を得る旅だったのですね。ゲドも「普通のお年寄り」になって、故郷で静かに余生を送る…で、終わったのかと思っていたら、続編が!

  • スタジオジブリによって映画化された作品。
    とても面白い。 個人的にはゲドが少し老いていて残念だったが、読みやすかった。
    ラストシーンは時間が経つのも忘れて没頭してしまった。
    映画の内容とは異なるシーンも多々あるため既に映画を見たという人も楽しめる。

  • これまでの冒険活劇とはまた打って変わって、2人の途方もない旅のように見せかけて生と死・それに立ち向かう人の内面的なお話。
    一巻では傲慢でどこか勢いのあったゲドが、大賢人となり若い頃自分が疑問に思っていた筈のことを説く立場になっていたのは、歳を取り様々なことを知ることは臆病になる訳ではないんだなと言う説得力が凄くあった。

    アレンの自己との闘い、自分自身の影の部分とのせめぎ合いの描写が本当に良い……。
    この作者は本当に人間の内面を描くのがものすごく丁寧で登場人物の心情が手に取るようにわかる。

    映画は3・4巻を基にしたとどこかで聞いたけど(鑑賞したのがかなり前で記憶が朧げとは言え)なぜこの原作であの映画になったんだ…?本質的な部分が真逆じゃないか…?
    散々映画の批評で言われてたことに納得してしまった。

    ゲド達と自分も共に冒険するような勢いで読めなくなってきた。が、それがいいですね。

  • 再読だが以前読んだ記憶がほとんどない。物語中盤まで変化がないので不安になるが、竜が出てきてからはどんなに騒音の中でものめりこめるぐらいの面白さ。4巻が出るまで長らく全3巻と見なされていたのも納得できる。

  • ゲド戦記初期3部作の最終章。
     
    アースシーという架空の魔法世界。
    魔法の力が衰え、人々は無気力になり、
    死の訪れを待っている。
     
    何者の仕業なのか?
    ゲドと王子は敵を求めて旅立つ。
     
    3部作の中でも最も重い
    『死』をテーマにした本作。
     
    「死んだ人々はみな生きている。
     死者は朽ちることなくよみがえり、
     永遠に果てることはないだろう。
     ただ、そなたは別だ。
     詩を拒んだからだ。
     そなたは死を失い、
     詩を失うことで、
     同時に生を手放した。
     自分を救おうとして、
     たかが自分ひとりを救おうとしてな。」
     
    過去多くの権力者たちが求めてきた『不老不死』。
     
    『世界3大ファンタジー』の1つである
    『ゲド戦記』。
     
    もっと若いうちから読んどけばよかった、
    と思えるくらいおもしろくて、
    考えさせられる作品です。
     
    新たな旅が始まる第4巻以降も楽しみです。

  •  1・2巻に比べて、随分と読みやすかった。
     時代の変化と共に、流行の構成が変わったのか、作者の文章力が上がったのか、誌面の都合かはわからないが、導入部分が短く、早い段階から本題が明確になる。(ゲドとアレンにとっては最後に至ってやっと明確になったようだが)

     ゲド戦記は現代のハリー・ポッターシリーズに相応する物語だと思う。
    しかし、ゲド戦記のほうがより神話的で、抽象的な要素が多い。読み終えると、一見命題に対する答えが書かれているように思えるが、答え自体が抽象的で、自分の中で反芻し、答えを導きなおさなければならない。それに対して、ハリー・ポッターシリーズは、一見抽象的に描かれているが、一つ一つの問題に丁寧に答えが用意されている。

     対象年齢の違いだろうか。
    いずれにしても、残り3巻を読むのが楽しみである。

  • 師弟がテーマで、レバンネンがいかに成長するかが見物、だったんだがあまりグッと来なかった。
    それでもレバンネンの迷いがよく書かれていると思う。
    解説もよかった。解説のおかげで、三部作のそれぞれのテーマをよく理解できた。
    ただやっぱり、二作目のテナーの葛藤が一番印象に残った。

  • 物語は、アレンとゲドが『アースシーで起きている異変』を突き止めるためにあちこちを旅することで進んでいく。

    あちこちの島を巡り、アレンとゲドの敬愛と尊敬が徐々に深まっていき、世界の謎が徐々に解き明かされていく。というのはワクワクするのだろうなと思いながら読んだ。

    私、こういう物語にワクワクできない……と自分にがっかりしてしまっている。男たちの男たちによる男たちの物語。
    この場合は、せめて世界観だけでも楽しめたら……と思うけど、好みの世界なだけにあれこれ読み過ぎて、新鮮味もなく、この辺りの作品と同じだなという類似点でまとめてしまっている私がいる。
    読みすぎ注意。歳をとるってせつない。

    なんていうか、どう読んでいいのかわからない。困る作品。
    ごちそうさまでした。

  • いやはやこれは凄い。

    これが児童文学ってジャンルなのは本当か。本当なのか。私には禅問答だったり哲学だったりのルグウィンさんの思う世界の有り様のようなお話と思う。これ全世界の子供が理解できるのか。

    今回はアレンという若き王子の物語。テナーの巻もそうだった。若き者の驕り~己の事を知り成長する過程が、心情が詳細に綴られるので見えてくる。そんでそれをゲドが付かず離れずで見守る。

    ドラゴンとか出てくるのでファンタジーなんだけど、人間であるということはどういうことか、を突き付けられてる感じ。でてくる「敵」は一体何なのか(ネタバレなので書かないケド)。

    読後は、いやぁこれは凄い本よ。

    ゲド戦記はここで一端終わり。
    ルグウインさんはこの後18年の月日を経てその後を書くのだが、どうしてこの続きを書くことにしたのか、また何故18年もの月日の後に書こうと思ったのか実に興味深い。
    確かに私もカレシンとゲドが向かった先ゴントでのその後を聞きたいけどね。

  • うーん、これで児童文学とか。この生と死の世界観が理解できるのかな。
    歳を重ね、ロークの大賢人となったゲド。王子の少年を連れて、魔法の力が衰え人が無気力になった原因を突き止めるため、その敵を倒すために旅立つ。

  • 相変わらず渋い展開というか、何をしたいんだか分からないままに旅を続ける、自分探しをするヒッピーみたいな生き様が良くも悪くも全く盛り上がらん。わけで。
    とはいえ片やもう死んでる爺さんと、イメージ的には50歳を過ぎたくらいのオッサンという誰向けやねんという年齢設定の中にお姉様も満足的な美少年を付け加えてなんとか彩りを添えてて。だって美少女とかいなくてあるいみ泥臭くて実に昭和な展開なんだもの。女性作者というわけで、そうきたか、と。
    そんなこんなで面白いってわけでもないんだけど、爺さんになってもはや金も要らんとなれば名誉にしがみつくのも分かるわけで、いややっぱり誰向けやねんという年齢設定なお話。

  • 老人、大賢人になったケドと王子アレンの冒険。
    寡黙で、魔法を淫らに使わないゲドにやきもきする(アレンも読者も)けど、風格がある。
    ドラゴンが本格的に出てくるので、竜王としてのゲドの格好良さが際立つ。

  • とても難しい。難しいからこそ、ゲドの元へ来た王子アレンを通して、読者は問答をしながら答えを探しているような気がする。
    物語全体としては、1巻と同じく目に見えない漠然とした恐怖、いつ魔法がなくなるかわからない不安というものがあって、本当に少しずつ糸口は見えてくるのだけれど、掴めるようで掴めない闇だからこそ、もがいてもがいて、どうなってしまうのかとハラハラしどうしてある。なぜ魔法がなくなろうとしているのか?魔法が使えないということ、そしてドラゴンまでもが言葉を失うという恐ろしい事態が起こっている、しかしその原因はどうにも雲をつかむよう…けれど足の進む先、船の向かう先にあると信じて進む旅は、はやく終わって欲しい、どうか解決して欲しいとやきもきしながらも、この文量があるからにして深淵の深さをとてもよく現すことができているのだと思う。
    それはさておき、やはりゲドの人柄が好きだ。仙人みたいに達観したことを言ってみれば、本来の姿は1巻の頃と何も変わらない、少し意地っ張りなところもある孤独が好きな船乗りだ。それがいい。そんな大人になりたいと思う。

  • 生きることとは何か?死とは恐れるべきものなのか?
    まさしく深いテーマ。

  • 歳をとり、描写をおりありと思い描くことがかつてのようにできなくなった、面倒がるようになったことを感じる。それでもなお、ぼんやりとしたイメージで捉えつつも、最後まで読まずにいられないアレンとゲドの冒険と戦いの記録。
    古びることのない警句に問いただされる気分に幾度もなった。
    次巻も楽しみ。

全49件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

1941年、北朝鮮に生まれる。児童文学者・翻訳家。2010年3月まで青山学院女子短期大学専任教員。主な訳書に、アーシュラ・K・ル=グウィン『ゲド戦記』全6巻(岩波書店)など。最近の著書に、『あいまいさを引きうけて』『不器用な日々』『本の虫ではないのだけれど』(かもがわ出版)、『大人になるっておもしろい?』(岩波ジュニア新書)、『そして、ねずみ女房は星を見た』(テン・ブックス)、『青春の終わった日――ひとつの自伝』(洋泉社)など。

「2019年 『子どもの本のもつ力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

清水真砂子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×