さいはての島へ―ゲド戦記〈3〉 (岩波少年文庫)

制作 : ゲイル・ギャラティ  Ursula K. Le Guin  清水 真砂子 
  • 岩波書店 (2009年2月17日発売)
3.89
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  • レビュー :24
  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001145908

作品紹介

ゲドのもとに、ある国の王子が知らせをもってきた。魔法の力が衰え、人々は無気力になり、死の訪れを待っているようだという。いったい何者のしわざか。ゲドと王子は敵を求めて旅立つが、その正体はわからない。ゲドは覚悟を決める。中学以上。

さいはての島へ―ゲド戦記〈3〉 (岩波少年文庫)の感想・レビュー・書評

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  • ゲド戦記3巻。

    今作はエンラッドの王子アレンが登場。
    エンラッドでの異変...魔法の力が衰え、人が無気力になる...。
    アレンが大賢人となったゲドの元に訪ねることで物語がはじまり、二人で原因を追及する旅に出ます。

    いままで同様読んでいる間はずっと雲をつかむような感覚でしたが、竜が出てきたあたりからぐぐんと面白くなりました。

    どうやら私はそういうわかりやすい展開がぼんぼこ起こるようなお話じゃないとだめみたい。
    でも、それでも、時間をかけても読む価値がある気がする。不思議な力を持った小説。
    次はどんな物語だろうなあ。楽しみ。

  • ゲド戦記初期3部作の最終章。
     
    アースシーという架空の魔法世界。
    魔法の力が衰え、人々は無気力になり、
    死の訪れを待っている。
     
    何者の仕業なのか?
    ゲドと王子は敵を求めて旅立つ。
     
    3部作の中でも最も重い
    『死』をテーマにした本作。
     
    「死んだ人々はみな生きている。
     死者は朽ちることなくよみがえり、
     永遠に果てることはないだろう。
     ただ、そなたは別だ。
     詩を拒んだからだ。
     そなたは死を失い、
     詩を失うことで、
     同時に生を手放した。
     自分を救おうとして、
     たかが自分ひとりを救おうとしてな。」
     
    過去多くの権力者たちが求めてきた『不老不死』。
     
    『世界3大ファンタジー』の1つである
    『ゲド戦記』。
     
    もっと若いうちから読んどけばよかった、
    と思えるくらいおもしろくて、
    考えさせられる作品です。
     
    新たな旅が始まる第4巻以降も楽しみです。

  • ゲド戦記の三作目。エンラッド公国の王子アレンと、大賢人となったゲドが旅に出る話。

    小学生の頃に読んだことがあるけれど、全然内容を覚えていなかった。でも今改めて読んだら、それも納得。哲学的な話が特に多くて、今読むとすごく面白い。スピリチュアルに通じる教えも数多く載っている。

    テーマが「生と死」だから、必然的に深い話が多くなり、ゲドが生きてきた人生の長さ、アレン王子が生きてきた十数年という歳月の差から出てくる考えや気の長さの違いが思われた。

    娯楽として読んで面白いだけでなく人生が覗ける一冊。物語が壮大すぎて、読み終えたあとの余韻がすごい。

  • アレンは、かつてゲドが影を呼び出してしまった昔の自分と同じ年頃。旅の途中、魔法も使わず、沈黙しているばかりのゲドに不信感がつのる。でも、このことを乗り越えてアレンが力尽きたゲドを支えて黄泉から生還する。その過程は、ゲドが告げた「アレンの旅」で、王になるために必要な成長を促すものだったと思う。三巻で、ゲドは冒険の主人公ではなく、導き手となった。1~3巻でゲドの人生(人の人生)を見せられた。何度も読み返したい本になった。ゲドが若者に語る人生観がいいなあ。また、これまでいろいろなファンタジィに限らず「物語(小説)」を読んできたけれど、自分がなぜ「物語」を読みたがるのか?と今更ながら知りたくなった本。

  • 一貫してこの作者は自主性を貫いて
    けして脅しや不安恐怖による命令で
    人の心を奪って自分の思惑で物事を動かし
    無理強いした解決を良しとしない

    浅知恵であろうと怯えからであろうと
    本人のその時その場の意思と選択を尊重し
    むしろこの物語の主人公の成長を可能にするために
    自分の肉体を提供しようとすらしてみせる

    この自主性の村長こそが全体観につながる
    調和を目指すことで
    どの部分にとっても最善の喜びへ向かう旅になることを
    意味しているのだと伝えたいようだ

    何かを決断するときには
    「ある」と「する」のどちらかを選ばなければならない
    そこに「ある」人生に添うことと
    何かを選んで「する」人生に踏み出すことの
    どちらかを常にイヤでも選んで行かなければならない
    つまりどちらにしても選ぶことから始まっていく
    そして何かをすることから何かをすることへと
    大きな変化を迎えるときの踊り場では
    ソコに「ある」人生に身を任せながら
    咀嚼する時間を必要とする(63ページ)

    歪むことで流れを生み出し学ぶことを
    可能にしているこの世だけれども
    歪み過ぎた時に自己修復する治癒力によって異変が起こる
    又コレとは別の利己的で邪悪な欲望によって
    自然に見せかけた密かな思惑による異変もある

    この飴と鞭で心をくすぐる異変を利己心を離れた心で
    全体を加味する冷静さで見つめることは難しい
    本文より(65)
    「まちがいではないさ。しかしただ行きたいと思うだけではなく、例えば限りない富とか・絶対の安全とか・絶対の命とかを求めるようになったら、その時人間の願望は変わるのだ。そして知識がその欲望と手を結んだら、よこしまなるものが立ちあがる。そうなるとこの世の均衡はゆらぎ、破滅えと傾いていく」

    これは学問とか宗教とか魔法とも同じことで
    性善説をとるか性悪説を取るかが問題になる

    「恥を知るものにこそ栄光がある」(66〜67)

    「ソプリは死を求めていたのでない。死にも生にも背を向けて安心を求め死の不安に終止符を打ちたかったのだ」
    「でも、死を超えて生に通じる道があるはずでしょう。私達はそれを求めているしあなたはそれを知っているでしょう」
    「ワシは知らん。勿論彼らが探していると思っているものが何かということは知っている。だがそれが嘘だということも知っておる。いいかソナタはいつか死ぬ。永久に生き続けることなどない。俺等は幸いな事にいつか必ず死ぬことを知っている。これは人間が天から授かった贈り物だ。そなたは一つの波を救うために、自分を救うために海を鎮め潮の流れを止めようと思うかい?永久の身の安全を得るためになら、持っている技を放棄し喜怒哀楽の情を放棄し太陽の輝きを見られなくなってもいいとおもうかい?」「生を拒否することによって死を拒否し、永遠に生き続けるという!だがな、ワシは絶望から発した勧めなど受け付けない。」「そなたの生身の人間としての恐怖がそなたを引っ張っていく所に行き着かなければならない」(201〜)
    「わしらの心の中には裏切り者がひそんでいる。そいつの囁きがわかるのはほんの少しの人間だけだ。魔法使いとまじない師に吟唱詩人と職人たちと英雄がいる。自分自身であろうと務めている人だ。自分であることは偉大なことだ。だが永久に自分自身であることはどうなんだろう?」
    「不死を願い気持ちが強いほどその魂が健康だとも言える。」
    「よこしまな王が支配し人の術は忘れられ詩人が言葉をなくし皆盲になる。今がこの状態だ。この世では二つのもの、相対立するものが一つのモノを作り上げている。万物の影。光と闇。天の両極。そして生は死から死は生から生まれている。対立しながら求め互いに生を与え合い、永遠に蘇りを続けていく。だとすると変わること無く永遠に続く生とは?死を他にして何がある?」
    「誰が許す?誰が禁止する?(誰が善悪を決める?)」(224〜)
    (自分以外に決定をくだし責任をとれる者などいないだろう)

  • 引用
    ・子どもから大人への第一歩は、いつもこんなふうになんの準備も警告もなしに、過去を振り返る事も、未来を思うこともないままに、ある日まったく突然に踏み出されるものだ。
    ・過去を否定することは、未来を否定することだ。
    ・この人はこちらの尊敬と信頼に全面的に応えてくれた。自分を信頼してくれているからだ。こちらのすることは正しいと信じてくれているのだ。
    ・たえざる変化は変化しないのと同じだ。
    ・ことばを聞くには静寂がいる。星を見るには闇がいる。
    ・無垢には悪に立ち向かう力はないが、善を守り、それを支える力はある。
    ・本当に力といえるもので持つに値するものは、たったひとつしかない。それは何かを獲得する力ではなくて、受け容れる力だ。
    ・ろうそくのあかりが見たいなら、そのろうそくを暗いところに持っていかねば。

  • ハードカバーを持っているんだけど、やっぱりソフトカバーが気軽に読めるので、こちらも購入。
    何度読んでも、読み飽きない。

  •  1・2巻に比べて、随分と読みやすかった。
     時代の変化と共に、流行の構成が変わったのか、作者の文章力が上がったのか、誌面の都合かはわからないが、導入部分が短く、早い段階から本題が明確になる。(ゲドとアレンにとっては最後に至ってやっと明確になったようだが)

     ゲド戦記は現代のハリー・ポッターシリーズに相応する物語だと思う。
    しかし、ゲド戦記のほうがより神話的で、抽象的な要素が多い。読み終えると、一見命題に対する答えが書かれているように思えるが、答え自体が抽象的で、自分の中で反芻し、答えを導きなおさなければならない。それに対して、ハリー・ポッターシリーズは、一見抽象的に描かれているが、一つ一つの問題に丁寧に答えが用意されている。

     対象年齢の違いだろうか。
    いずれにしても、残り3巻を読むのが楽しみである。

  • 師弟がテーマで、レバンネンがいかに成長するかが見物、だったんだがあまりグッと来なかった。
    それでもレバンネンの迷いがよく書かれていると思う。
    解説もよかった。解説のおかげで、三部作のそれぞれのテーマをよく理解できた。
    ただやっぱり、二作目のテナーの葛藤が一番印象に残った。

  • ゲド戦記3冊目、訳者はこれが最終巻だと思って訳していたらしいが、それも納得のゲドの最後の冒険物語。しかし、これはゲドの大魔法使い、大賢人としての冒険の最後ではあるが、同時に新しい王の誕生につながる王子の冒険物語である。喪失と誕生の物語といえる。

    多島海の西の端から、魔法が効かなくなり、人々は無気力になり、社会がまともに機能しなくなってきているという知らせをゲドの元に持ってきた若い王子。ふたりはその原因を探るために西方目指して旅立つ。行く先で目にする不可解な現象。人々が生活の拠り所にしていた魔法が効かないのだ。魔法使いや吟遊詩人たち、つまり文化の象徴である中心であった者たちが、呪文、呪文の意味、歌を忘れていく。多島海ではことばが重要である。太古のことば、まじないのことば、代々伝わる英雄や賢者たちを語ることばが存在しないということは、文化の核が消えるということだ。同時に社会に混乱が深まり、人々は平安を忘れ、ハジアと呼ばれる麻薬に溺れている。ここまでの描写がとにかくすごい。内面から崩壊していく社会の脆さを暴き出している。

    どうやら世界の一部に穴が開いていて、そこから何かが漏れ出している。まるで世界に傷がついていて、血が流れているように。原因はなんなのか。それを突き止めるため、老人と若者が、一方は自分の力の最期を予感しながら、また一方は自己実現と師匠への敬愛から、西の果てまで旅をする。

    この作品のテーマとなるのは、生と死、そして人間の欲望のひとつである生への執着である。大賢人は、永遠の生とは何だ、終わらない生があるというのなら、それは死んでいるのと同じではないか?と問いかける。

    私たちも、変わらないもの、永遠への欲求に突き動かされて現代を生きているが、まさにそんな私たち人間への痛烈な批判である。

    最後は大魔法使いとして全ての力を出しきり、ボロ切れのように倒れたゲド。最後は竜とともに戦い、そして竜が彼を生まれ故郷のゴンドに連れていった。その後の展開はこの16年後となるが、その続きも最高に面白いものである。

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