帰還―ゲド戦記〈4〉 (岩波少年文庫)

制作 : マーガレット・チョドス=アーヴィン  Ursula K. Le Guin  清水 真砂子 
  • 岩波書店
3.81
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本棚登録 : 267
レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001145915

作品紹介・あらすじ

ゴント島で一人暮らすテナーは、魔法の力を使い果たしたゲドと再会する。大やけどを負った少女も加わった共同生活がはじまり、それぞれの過去がこだましあう。やがて三人は、領主の館をめぐる陰謀に巻き込まれるが…。

感想・レビュー・書評

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  • やっとここまできた~!という達成感。まだあと2冊残ってるけど。

    今作はテナーが語り手となったテルーのお話。
    未亡人となったテナーと、親に焼き殺されかけた少女テルーの元に
    魔法の力を失ったゲドが竜に乗り現れ、共に生活をはじめます。
    オジオンが亡くなり、ゲドが力を失ったことにより引き起こる禍がテナーとテルーにのしかかります。

    これまでゲド戦記を読んできてずっと感じていたのが、物語の世界観は壮大だけど、暗くて抑揚がないということ。
    ここはそんなに細かくなくていいなと思う部分で淡々と語り続けたり
    逆に、ここはもっと書いてほしい!って部分が妙にあっさりしていたりして...。
    日本語に訳してあるのに言葉の壁があるような感じがありました。

    で、実は3巻を読み終わったあとジブリのゲド戦記を観たんです。
    そうしたらまるで霧が晴れたように、モヤモヤ解消。笑
    私の中でゲドもレバンネンもテナーもテルーもようやく動き出したみたいな感覚がありました。
    とはいえやっぱり原作ありきですから、原作を読まなければここにはたどり着けなかったと思います。読んでよかった。

    そして改めて児童書ってなんだろう?とも思いましたね。深い。
    もし中学生くらいの時に読んでいたらどうなっていたんだろうな~。

  • 前作の3巻『さいはての島へ』から
    16年の時を経て刊行された第4巻『帰還』。
     
    大賢人ゲドは力を使い果たし
    魔法を使うことができなくなっていた。
     
     
    主人公の魔法使いが魔法を失っているという
    まさかの展開。
     
    この物語のテーマは『世代交代』。
     
    偉大な力で世界を守ってきたゲドも
    年齢には抗えないのか?
     
    しかし、衰えるものあれば
    突き出てくるものあり。
     
    残り2巻、今後の展開が楽しみです。

  • なぜここまで、アニメと違うのか…(>_<)3-4巻をガチャガチャポンしたのがアニメな感じ。
    魔力を失ったゲドが、情けなく…
    色々と全力で駆け抜けたゲド。
    こういう人生もこれはこれでありなのかと思ったりした。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「情けなく…」
      読んでいる時は、ゲドの復活?を期待していましたが、読み終わった時はスッキリ。
      「これでありなのかと思ったりした」
      そうですよ...
      「情けなく…」
      読んでいる時は、ゲドの復活?を期待していましたが、読み終わった時はスッキリ。
      「これでありなのかと思ったりした」
      そうですよね、だから次の話「アースシーの風」が生まれる訳です。
      2012/08/28
  • ゲド戦記の第四作。

    回を重ねるごとに、どんどん暗くなっていくゲド戦記だが、この作品はマジに暗い。
    親から虐待により、身も心もボロボロになった少女テルー(顔や身体の半分は醜い火傷)。虐待のおぞましい体験で心を閉ざしてしまった彼女を引き取る、魔法使いであった過去を持つテナー。
    物語は、ふたりの女性を軸に、邪悪が支配しつつあるゴント島の人々を描く。
    ゲドはどうしたか?
    もはや力をなくし、世捨て人のような存在で登場する。

    暗い。。。暗すぎる。。。

    この物語、宮崎二世監督が映画化したらしいが、エンターテイメント要素は0なのに、子供達を喜ばせる事ができたのか不思議。
    観てないのでなんとも言えないが、アニメになるような題材ではないと思う。

    ファンタジーの姿はとっているものの、この作品は人間と世界の関係を哲学的な示唆をあたえつつ、寓話的にまとめた傑作だと思う。

    怪物や魔法はほとんど出てこないが、大人のためのファンタジーといった印象です。
    ちなみに本屋に行くと、「子供の読み物」ってところにあったりするのだが、小学生だと読み手をかなり選ぶと思います。

    大人のためのファンタジーではないでしょうか?

  • これはすごい!
    今までのゲドシリーズで培ったイメージをかなぐり捨てた作品。作者の強い意志を感じる本。
    女として、どう生きるのか? 作者のメッセージがあふれている!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「イメージをかなぐり捨てた作品」
      ショックを受けると同時に感動しました。グウィンって本当に凄いです!
      「イメージをかなぐり捨てた作品」
      ショックを受けると同時に感動しました。グウィンって本当に凄いです!
      2012/12/10
    • ayahさん
      nyancomaruさん、コメントありがとうございます!

      ル・グウィンいいですよね!ゲド戦記は5巻まで読みましたが、どれも素晴らしかったで...
      nyancomaruさん、コメントありがとうございます!

      ル・グウィンいいですよね!ゲド戦記は5巻まで読みましたが、どれも素晴らしかったです。「闇の左手」も好きです。
      2013/01/07
  • 3冊目のゲド戦記から16年後に発表されたゲド戦記4番目のお話。訳者の清水さんが書いているように、竜の親分カレシンに乗ってゴント島に帰ってきたゲドを迎えたのは、2巻目でゲドとともにハブナーに伝説の腕輪を持ち帰ったテナーだった。
    この巻は、そのテナーが再び主人公になり、養子に迎えたテルー、そして一切の魔法を失って普通の中年男になったゲドが脇役となる。
    3冊目までの冒険小説ぶりとは全く違う内容なのだが、まず驚くべきことは、この話の主人公が40過ぎの中年の未亡人だということだ。どこが少年少女向けの小説なのか。私は中年女だから、このテナーのぼやきやら疑問やらが手に取るようにわかるが、若い人にはたぶん全然ピンとこないと思う。

    相変わらずの対比、物事の相対化がすごい。この巻では、対比は男と女、そして知とそれ以外のもの、いわば生活のようなもの、が相対化して現れている。明らかにフェミニズム的な観点から描かれた小説である。

    女が手仕事やら様々の家事仕事、女まじない師たちが司ってきた出産や葬式などの儀式が、ここでは肯定的に、なくてはならない生活の一部として描かれている。またそれを動かしてきた女そのものへの愛も感じられる。

    知の象徴であることばは、つまりことばを操るアースシーでの魔術は誰のものであるか。男が元来占有してきたことばの世界とは、また別の世界、同じように大切で尊い世界を担っているのは誰か、というのがはっきり浮き出てきた感じだ。

    こういう対比を全体としてドラマ仕立てにして提示できるというのは、相当の力量だと思う。書くという技術もすごいし、またストーリー展開もテルーという謎の子供を登場させることで俄然面白くなる。
    テルーは、どうやら男女やら知と生活やらの対比の世界とは違うところにいるらしい、というのは最期のほうでわかるわけだが、それから5巻目に続く展開が楽しみでしょうがないという気分になって終わるところもすごい。

    それにしても、3巻までのゲドの活躍ぶりとは打って変わった、ゲドの普通の男ぶり・・・。大賢人の見る影なく、しょんぼりと生きてるところをテナーの愛に救われるというのがまたいい。これで二人は同等の人間として愛し合うことができるようになったわけだから。

  • 中学生の頃読んだ時は絶対に理解できてなかった箇所が多すぎた。
    社会に出て結婚もした今、共感できる要素も多々入っているけれど、なんとなくもやっとした気持ちになった読後感。
    「女」「男」に重点を置き過ぎた色々に抵抗感があった。
    確かに明らかに、前の3部作とは毛色が違う作品。

  • なんだろう、、生き方とか、考え方とか、
    たくさんのことを教えてもらった気がする。

    時間置いてまた読み返したい一冊。

  • 「何もかも変わった!変わったんだよ、テナー!待っててごらん。ここで待っててごらん」という冒頭に出てくるオジオンの言葉は、前巻でゲドとレバンネンが起こした変化であり、ゲド戦記シリーズの変化も暗示しているようです。冒険の旅を終えてテナーの語りで進み、彼女と同じ世代の感覚で読んでいきました。この巻があって、魔法世界で終わらないもっと深みのある物語になったと思いました。

  • このゲド戦記シリーズは大魔法使いの一生の中で一貫して
    人間世界がもたらした視野の狭い知識と知恵と所有意識によって
    自然界の調和した食物連鎖に見る営みからはみ出した
    人間の強欲と対立関係が必要とする嘘と秘密による暴力と
    イジメ真理からなる無理心中とも言える共食い問題について
    文化的な無限なるモノとして掘り下げている

    この自滅的問題を逆手に取ることで自分とその環境が不安恐怖に陥り
    全体観を見失っているという事実を知って
    自らの意識をもって自然界の真理を解き明かし
    自律へ向かう集いの道を切り開けるようになっている

    このパラドックスこそが
    無限なる全体観と有限なる部分からなる自己簡潔構造が示す
    この世の有り様なのだろう


    これは空想大冒険物語のメルヘンであると同時に
    正しくリアルな知識と知恵を取り込んだ人間社会が抱える
    大自然と遊離する対立と暴力の問題を取り上げた
    ドキュメントの要素を十分に表現してその解決策を模索している
    大人にとっても最大の難問を提示し
    子供と対等な立ち位置に立って正面から取り組んでいる

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プロフィール

アーシュラ・クローバー・ル=グウィン(Ursula K. Le Guin)
1929年10月21日-2018年1月22日
ル・グィン、ル=グインとも表記される。1929年、アメリカのカリフォルニア州バークレー生まれ。1958年頃から著作活動を始め、1962年短編「四月は巴里」で作家としてデビュー。1969年の長編『闇の左手』でヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞。1974年『所有せざる人々』でもヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞。通算で、ヒューゴー賞は5度、ネビュラ賞は6度受賞している。またローカス賞も19回受賞。ほか、ボストン・グローブ=ホーン・ブック賞、ニューベリー・オナー・ブック賞、全米図書賞児童文学部門、Lewis Carroll Shelf Awardフェニックス賞・オナー賞、世界幻想文学大賞なども受賞。
代表作『ゲド戦記』シリーズは、スタジオジブリによって日本で映画化された。
(2018年5月10日最終更新)

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