ドラゴンフライ: ゲド戦記 5 アースシーの五つの物語 (岩波少年文庫 592 ゲド戦記 5)
- 岩波書店 (2009年3月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (558ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001145922
作品紹介・あらすじ
ある少女が、自分の持つ力をつきとめるため、大賢人不在の魔法の学院ロークを訪れる。表題作を含む、アースシー世界を鮮やかに映し出す五つの物語と、作者自身による詳細な解説を収録する。
感想・レビュー・書評
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「私たちは揺るがない確かなもの、遠い昔からある真実、変わることのない単純さを、ファンタジーの領域に求める。ー
するとそこに多額の金が注ぎ込まれる。模倣と矮小化された“商品化されたファンタジー”は、かわいく安全なものとなり、ステレオタイプ化されてガッポガッポと金を儲けていく。ー
私たちは長い間、現実と空想の両方の世界で暮らしてきた。しかし、その暮らし方は、どちらの場合も、私たちの両親やもっと前の先祖たちのそれとはちがう。
人が楽しめるものは年齢とともに、かつまた時代とともに変化していくものなのだ。-
物事は変化する。
作家や魔法使いは必ずしも信用できる人たちではない。
竜がなにものであるかなど、誰にも説明できない。」
再びアースシー世界に足を踏み入れるにあたってアーシュラ・K. ル=グウィンが記した警句である。
それは自らが創りあげた美しい世界に目を凝らし、そこに潜むひび割れを鋭く批判する作業である。
賢人の島ロークの権威が孕む矛盾と欺瞞が語られるとき、ファンタジーの魔法は解けるのか?
いや、『カワウソ』そして『ドラゴンフライ』はアースシーとリアルな世界を共鳴させることで、物語をより重層的にそして切実に感じさせてくれる。ファンタジーのテーマは剣と魔法だけじゃない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ゲド戦記全6部作の内の5作目。
これまでの4巻に比べて、
ゲドの出番がほとんどありません。
副題にある通り、5つの短編が語られています。
今回の5つの作品には共通したテーマがある。
読んでいて私はそう感じました。
それは『勇気』。
楽な方に流れるのではなく、
自分の正義を貫く『勇気』。
自分のやりたいことをする『勇気』。
伝統を壊す『勇気』。
あなたは『都合のいい言い訳』をして
結局何もやらずに、後で後悔した、
なんて経験はありませんか?
もし思い当たることがあるなら、
この作品を読んで、自分の『勇気』を
奮い立たせてください。
『勇気』を出したい大人にこそ
読んで欲しい作品です。 -
実際に手にしている本は、単行本<ゲド戦記外伝>。
最後のアースシー解説は少々読むのがしんどかった。 -
アースシーの世界のエピソード集です。「帰還」より生活する人間たちがさらにリアルに語られています。「手の女」たちの結社が、ロークで学院として発展するにつれて、魔法の場が男性に独占され、女性のまじないの営みは俗のものとして貶められていく…。ファンタジーとは思えなくなってきました。
「ゲド戦記」から冒頭にアースシーの詳細な地図が載っていて、物語世界の設定の緻密さに感嘆しましたが、歴史まで綿密に組み立てられていたのですね。すごい…。
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年代順に並ぶ短編集
まえがきにある作者の物語へのスタンスが面白い
アーキペラゴへ行き、収集してきた話を書きつけているという
実際書いている感覚はそんな感じなのかなと想像してみるも、アースシー解説の記述の詳細さにくらくらする -
1.2巻は面白くて一気に読めたのですが、3.4.5巻は話しがトントンとは進まず、ちょっと苦手でした。
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まえがきもなかなか印象的だ ファンタジーの商品化
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外伝の位置らしい短編集。
「ドラゴンフライ」はいよいよ最終巻へ、という感じがしてわくわくした。
「湿地で」もとてもよかったな。
大賢人のゲドの話、安心する。
4巻から急に「男と女」の色が濃くなってきて、そこだけは戸惑う。これを児童書の位置にしておくのはきついのでは。
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ゲド戦記外伝、短編集。独自の世界観のなかでのファンタジー。