運命の騎士 (岩波少年文庫)

制作 : チャールズ・キーピング  Rosemary Sutcliff  猪熊 葉子 
  • 岩波書店
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レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (437ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001145946

感想・レビュー・書評

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  • サトクリフ初期の代表作の一つ。
    中世イギリス、第一次十字軍の時代。
    孤児のランダルは、アランデルの城の犬飼いにかろうじて養って貰っている育ち。
    犬と同じような扱いを受けていました。
    犬飼いが寝込んだときに、犬がいうことをきくのはランダルだけだったのですが。
    亡くなった母はサクソン人、父はブリトン人でした。

    城主ヒュー・ゴークの帰還を屋根の上から覗いていたのを見つかり、むち打ちにされそうな所を居合わせた楽人エルルアンの機転で助けられます。
    エルルアンの計らいで、初めて連れて行かれた土地ディーンに、なぜか帰ってきたような気がしたランダル。
    ディーンの荘園の領主である騎士エベラードに渡され、孫の従者になるよう、一緒に育つのです。
    孫ベービスは一つ年上なだけで、他に友達もいない。
    最初は警戒し合いますが、すぐに心通うかけがえのない存在になっていくのでした。
    立場は違っても…

    ベービスは母を早く亡くして、母代わりの女性アンクレットに育てられました。
    浅黒く賢い女性で、ブリトン人よりも古い民の伝統を守り、村の人にとっては貴重な薬剤師のような存在。
    キリスト教が広まるに従って、異端の魔女という疑いをもたれるようにもなります。

    ノルマン人の征服王朝の時代。
    領主エベラードもノルマン人ですが、30年来すっかり土地に馴染み、村人にも同じイギリス人と思われていました。
    先の王がウィリアム征服王。
    王には3人の息子があり、次男がお気に入りだったので、イングランドを次男ウィリアム(赤顔王)に、大陸の領地ノルマンディを長男に、そして三男ヘンリーにはわずかな金額しか与えなかった。
    3人は機会あるごとに張り合い、王位を争うことになります。

    ランダルやディーンの村人達も、何かと巻き込まれることに。
    ランダルがお城でひそかに見聞きしたことも、事件に繋がっていくのでした。
    ディーンの領地を守るために、単身、危険な相手に立ち向かったランダル。
    それはまた、敵を作ってしまうことにもなったのですが。
    命がけでかばい合う人々。

    時代背景の中での少年の成長を描いて、胸が痛くなるような感動があります。
    いつも傍にいる大きな犬たち。
    あざやかな季節の移り変わり。
    ハシバミの黄金色の若芽を先駆けに春に目覚める森。
    男の子は騎士の小姓になり、従者になって勤め上げ、寝ずの祈りをして、騎士として叙任されるのを待つ。
    状況をありあり伝えてくる着実な描写に、シンプルな荘重さがあります。

    児童文学の名作ではありますが~十分、大人にも読める内容。
    むしろ歴史的な部分など、小学生にはやや難しいかも。
    この内容で漢字が少ないのがちょっと辛いけど。
    のめり込んで読み上げました。

  • サトクリフと言えばローマン・ブリテン四部作(既読の「第九軍団のワシ」「銀の枝」「ともしびをかかげて」「辺境のオオカミ」)が出世作なわけですが、そこからは時代がぐ~んと下った11世紀のイングランドとノルマンディを舞台にした歴史ロマンです。  ものすご~く大雑把に言ってしまえば第一次十字軍なんかがあった時代、「荘園」と「騎士」の時代の物語です。  

    「騎士の時代」と言われるとどうしても「アーサー王」とか「シャルルマーニュ伝説」みたいなちょっとロマンチックな様子を連想しがちな日本人(それともそれって KiKi だけ? 笑)に、リアルな「騎士の生活」を感じさせてくれる物語だと思います。  領主以外は大広間の暖炉の傍で雑魚寝しているとか、その暖炉の煙突ではしょっちゅう煙が逆流するとか、オシャレ感のかけらもない生活がいきいきと描かれています。

    物語としては孤児のランダルの成長物語なんだけど、KiKi はこの物語を読みながらそんな若者の成長物語・・・・というよりは、先日読了したばかりの「「里」という思想」にあった「時間的普遍性」(いつの時代も通用する普遍性)の本質・・・・みたいなものを感じていました。  と、同時に物語に流れる人生観には私たち日本人がかつては持っていた「人生とはすなわち無である」という思想に通じるものも感じました。  そういう意味では「場所的普遍性(どこでも通用する)と時間的普遍性(いつの時代も通用する)の合わせ技」的なものを感じていた・・・・とでも言いましょうか。

    (全文はブログにて)

  • 11世紀のイギリスを舞台に、孤児ランダルの波乱に満ちた半生を描いた作品。

    イギリス好きをもって任ずる私ですが、この辺の歴史がとんとわかりません。

    支配層はノルマン人。
    被支配層はサクソン人。
    王位は安定しておらず、王位をめぐる小競り合いが絶えない。
    そして主人公のランダルはサクソン人、ノルマン人より昔からこの島に住んでいたブリトン人。

    孤児のランダルはアランデルの城の片隅で、城主の犬の世話をしながら過ごしている。
    ひょんなことから城主の怒りに触れ、むち打ちの刑に処されるところを、たまたまそばにいた楽人のエルルアンに救われる。

    人の親切に初めて触れたランダルはエルルアンのそばにずっといたかったが、騎士ダグイヨンの館に引き取られる。
    ダグイヨンの孫、ベービスには同じ年頃のともだちがいなかったから。

    児童文学なので、この辺の友情の育みかたとか、愛情・尊敬・恐怖などの感情がストレートに表現されていてわかりやすいはずなのに、社会情勢が難しくって何度も何度も読み返す。

    史実に即したフィクションで、単純なハッピーエンドではないけれど、読みごたえは十分。
    ただ、タイトルほど「運命の騎士」を感じはしなかったな。

  • 大好きな作品のひとつ。サトクリフ作品ではこれが一番好き。
    ノルコンちょいあと位の時代設定なんだけど、その雰囲気がすごく伝わってくる。
    主人公ランダルの成長とか色々見所がたくさん。
    とにかく皆に読んでもらいたい作品。

  • 少年2人の物語…ではなかった

  • 湖水地方、イギリスなどを舞台とした作品です。

  • 立ち読み:2010/12/9

  • 請求記号【93 サ】中学生くらいから

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